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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第二章 モーターボートで荒稼ぎ!!
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5話 買い物と危険

 今日はどうするつもりだったっけ……ああそうだった。教会に行って、買い物に行くつもりだったな。それに商業ギルドにも報告に行かないといけない。結構忙しくなりそうだ。まずは朝食を食べて、さっさと行動するか。


 たしか南東の島に行く船の数が足りないって言ってたし、先に商業ギルドに行くといきなり仕事振られそうだな。まずは教会、次に買い物、そのあと商業ギルドだな。


 朝食を食べて教会に向かう。ちょっとお祈りには早い時間だけど、大丈夫かな? おっ、教会の前で掃除している神官さんがいる。聞いてみるか。


「おはようございます。朝早くに申し訳ないのですが、お祈りしても大丈夫ですか?」


「おはようございます。ええ、大丈夫ですよ」


 二度手間にならなくて助かったな。神官さんに頭を下げて教会に入り、創造神像の前に両膝をつけお祈りする。南方都市に到着した事、船召喚のレベルの事、新しい仕事の事等、最近あったことを報告してみる。


 お祈りを終えても神界に呼ばれる事はなかったな。神官さんに1銀貨のお布施を渡して教会を出る。呼ばれなかったって事は、今のところ、神界に呼ぶほど僕の行動に不満はないって事だよな? ……神様の考える事なんか分かんないけど、そういう事にしておこう。その方が精神的に楽だ。


 次は買い物だな。道具屋で木箱を8つと皿とスプーン、コップ、毛布6枚を1銀貨60銅貨で購入。食料も手に入れたいけど荷物が多くなってきた。先に和船に運ぶか。


 木箱8つ運ぶのに2往復してしまった。途中で倉庫船を使いたかったけど、人目につかない場所が見つからなかった。こんな時は自由に船召喚できないのが不便だよね。


 和船に木箱を6つ椅子代わりに並べて、中に毛布を入れておく。残りの3つには鉄鍋と自分用の毛布、食器を入れる。


 パンや小麦粉や鍋に合いそうな野菜を買って……肉は船召喚を使わないなら腐るかもしれないな。干し肉を多めに買うか。それだけだと出汁がないな。おっ、干したキノコがある。あとは……鳥の骨とかどうなんだろう。これも腐るかな? 肉屋に行って干し肉を買って、鳥の骨を分けてもらえるか聞いてみる。


「鳥の骨? 破棄するから構わないが、何に使うんだ?」


「僕の故郷では鳥の骨をじっくり煮込んでスープを取ってたんです。その鳥はここにはいないんですけど、似たスープができないか試してみたいんです」


「そういう事なら持って行っていいぞ。成功したら教えてくれよな、俺も試してみるから」


 肉屋のおじさんも興味深そうだ。どうやら鶏ガラのスープは南方都市にはないらしい。


「はい、でも素人の挑戦ですから、期待はしないでくださいね」


 完成するかどうかも分からないのに、期待されても困るからハードルを下げておく。まあ、おじさんの方も、冗談半分なんだろうけどね。これでだいたい必要な物は買いそろえたな。野菜と干し肉で1銀貨、結構使ってるな。でも、鳥の骨をただでもらえたのはラッキーだった。


 鳥の骨は洗って煮るんだったっけ? うっすらと、黄金〇説で観た記憶があるんだけど思い出せない。とりあえず腐らない様に火を通しておくか。


 船まで戻り炭を熾して鍋に水を張る。沸騰してきたので洗った鳥の骨を鍋に入れる……なんだか肉片とか浮いてるな。もしかして煮てから洗うのか? お湯を捨て水を入れて鳥の骨を綺麗に洗う。


 あっ、たしか骨は砕いて味が出やすくなるようにするんだった。それとネギも入れてたような? ネギは市場で見つけられなかったし、今回はなしで作るか。


 鍋にもう一度きれいな水を張り、砕いた鳥の骨を入れて炭火の上に置く。たしか沸騰はさせたら駄目なんだよね。じっくりコトコトと煮込む。違う、ここで煮込んでどうする。島での暇つぶしも兼ねているんだから、島で煮込まないと……。


 火の始末をして鍋と野菜は木箱に入れておく。さて、商業ギルドに向かおう。カミーユさんがいるといいな。


 商業ギルドに到着し、受付カウンターを見回す。おっ、カミーユさんがいた。さっそく報告しよう。


「こんにちはカミーユさん。無事に島にたどり着けましたよ」


 笑顔全開でカミーユさんに報告する。ちょっと喜びを表に出し過ぎだったかな? 


「まあ! ワタルさん本当ですか。いえ、失礼しました、別室にきていただけますか?」


 あれ? カミーユさん、驚いたあとに、深刻な表情になってしまった。


「えーっと、別室ですか? 別に構いませんが、どうしてですか?」


「それも、別室でお話ししますね」


 何かやっちゃった? 面倒事にならないといいんだけど。前を向くとカミーユさんが歩いている。キツネのしっぽだ。もふもふしたい。


「ワタルさん、島にたどり着けた事を誰かに話しましたか?」


「いえ、誰にも話してません。あっ、でも島でグイドさんに会ったので、グイドさんは知っていますね」


「そうですか、グイドさんでしたら大丈夫ですね」


 何が大丈夫なんだ?


「あの、何かまずい事でもしちゃいましたか?」


「いえ、島にたどり着ける船が増える事は大変助かります。ですが島の薬草、素材共に大変貴重な物が多いので、そのルートを手に入れたい方は沢山いらっしゃいます。その中には違法な手段を躊躇わない人も混じっているんです」


 ……今の話をまとめると、あれ? 僕、狙われる?


「うわー、どうしましょう? 別の町にでも逃げた方がいいですか?」


 本気で面倒事だな。大きく稼げると思って調子に乗っちゃったか? 船に乗っていなければ僕なんて速攻で狩られるぞ。


「別の町に出るのも選択肢の一つです。ですが、商業ギルドとしましては、島にたどり着ける方には是非とも南方都市で活躍して頂きたいのです。失礼ですがワタルさんの戦闘の実力はどうなんでしょう?」


「あはは、ゴブリンが精一杯ってところですね」


 船召喚を使う余裕があれば話は違う。でも、街中でいきなり誘拐とかされたら、僕では対処できないだろう。


「大変失礼ですが商業ギルドで代わりの魔導船と、差額のお金をお支払いしますので、ワタルさんの魔導船を譲って頂く事は可能でしょうか?」


「そうした方が安全なのは理解できるんですが。あの船は僕しか扱う事ができないんです」


「使用者権限まで付いているんですか。本当にいい船なんですね。でしたら、護衛を雇うか街を出るかしないと本当に危険です」


「護衛ですか……」


 護衛って常に側に人がいるって事だよね。船召喚も使えなくなるし結構面倒そうだ。どうする? ……狙われる事も、よく考えれば分かる事だよね、大儲けできるんだもん。ほしがる人が沢山いるに決まってる。


「あのー、他の4艘の方達はどうされてるんですか?」


「他の方達ですか? 3人は、初めの頃は護衛を雇って、お金が貯まってからは強い奴隷を購入されて、身を守ってらっしゃいますね。あとの1人は高ランクの冒険者なので、手出しはされてないようです」


 身を守る手段は必須って事だな。うーん、稼がないと豪華客船を買うなんて無理だ。この仕事は間違いなく高額報酬なんだから、護衛を雇って次の船が買えるようになるまでは、我慢して稼ぐべきだな。


 奴隷には興味津々だけど、どうせ今は資金が足りないだろう。護衛に守ってもらって、稼いで大きな船を買って胡椒貿易に挑戦するのが、豪華客船への最短距離っぽい。


「うーん、お金を稼ぎたいので、護衛を雇いたいんですが、護衛ってどうやって雇えばいいんですか?」


 まず、そこから分からない。前途多難だな。


「そうですね、信頼できる護衛を雇うのは大変ですが、島にたどり着ける方ですからギルドマスターに話を通せば、信頼できる護衛を紹介してくださると思います」


「お願いしてもいいですか?」


 ギルドマスターの紹介とか、腕利きっぽい。自分で探すよりもだいぶマシだろう。


「はい、少々お時間を頂いても?」


「ええ、お願いします」


 しょうがない事なんだけど面倒だな。まあ、お金が貯まるまでの我慢だ。それまでは諦めて、頑張って稼ごう。豪華客船買ったらのんびりしたいな。


 考え事をしていると、突然ドアが開かれ、元気なおじいさんが入ってきた。このパターンってギルドマスターの登場なんだろうな。


「おぬしがワタルか、いい船を手に入れたようだな」


「ギルドマスターお待ちください。ワタルさん申し訳ありません」


 カミーユさんが慌てて入ってくる。やっぱりギルドマスターだったな。


「いえいえ、ワタルと申します。どうぞよろしくお願い致します」


「うん、話は聞いたぞ。任せておけ、ワシがいい護衛をみつくろってやろう。おなごがいいか?」


「僕も男ですから女性の方が嬉しいですが、命が懸かってそうなので、実力のある方をお願いします」


「そうじゃな、死んでしまっては何もできんからな」


「今のところ。周囲にバレておらんだろうが、安全のため今日はギルドに泊まるといい。明日からは島の依頼を受けて、しばらく島に行っておれ、その間に護衛を用意しよう」


「あの、失礼な事をお聞きしますが、島に行く冒険者さん達は安全なのでしょうか?」


「島に行く冒険者は高ランクの中で、信頼できる者達に限定されておるから、卑劣な依頼は受けん。それにバレたら儲かる島の依頼を受けられなくなる。いくら積んだら卑劣な依頼を受けるのかワシにも分からんな」


 なるほど、島の探索が儲かるのに、わざわざギルドに喧嘩を売ってまで、危ない橋を渡る必要はないって事だな。


「分かりました、よろしくお願いします」


「うむ、ではな」


 言うだけ言って去って行った。ギルドマスターだもんね、忙しいに決まってる。


「部屋までご案内しますね」


「はい、お願いします」


 カミーユさんに今日泊まる部屋に案内してもらう。なんか、今朝まで考えてた事と、大分違う状況になっちゃったな。


「こちらをお使いください。何か必要な物はございませんか?」


「聞いてもいいですか?」


「はい、なんでしょう?」


「今から島に行く冒険者が見つかるんですか? 信頼されている方達なんですよね?」


「はい、見つかると思います。いつ船が帰ってくるのか不定期ですので、島に行きたい方達は冒険者ギルドに申し込んで連絡が付くようになっているんです」


「そうなんですか、ありがとうございます。あと明日は何時に出発するんですか?」


「説明が足りず申し訳ありません。早く島に着いた方が動きやすいので、朝6時には出発するのが普通です。その時間に合わせて準備をお願いします」


「分かりました。あと、海猫の宿屋に泊まってるのですが、しばらく戻らないと伝言をお願いできますか?」


 いきなりこんな事になるとか、予想外過ぎて何にも伝えてないよ。


「かしこまりました。島での食料などお持ちですか? 緊急な事なのでこちらでご用意する事もできますが……」


「ある程度の食料はあるんですが、足りるかどうか分からないので、お願いします」


「ご用意して、明日の朝お渡ししますね」


「お手数おかけします。ありがとうございました」


「いえ、何かありましたらお呼びください、失礼します」


 うーん、結構大変な事になったな。明日から島か。いきなり依頼が入る可能性は考えてたけど、命の危機は考えてなかったな。


 こうなったらしょうがない。やばくなったら逃げよう。それまでは稼げるだけ稼ぐんだ。とりあえず、やる事がないから生活魔法の練習をして、あっ、晩御飯どうしよう。お湯も欲しいな、あとでお願いするか。


「ワタルさん、お食事をお持ちしました、お食べになりますよね?」


「ありがとうございます。どうしようかと思っていたので助かります」


 おー、まだ言ってないのに持ってきてくれた。さすがカミーユさん。


「他に必要な物はございませんか?」


「食後に体を拭きたいので、お湯を頂きたいのですが」


「かしこまりました。お食事が終わりましたらお持ちしますね」


「よろしくお願いします」


 ある意味上げ膳据え膳? これで命を狙われなければ、いい感じなんだけどな。


 残高 1金貨 47銀貨 80銅貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
前話にて荷物を入れた木箱を1つ和船に積んでいるので すでに積んである1つと 冒険者用6つ 追加の自分用2つで 9つになります なので 木箱の総数は9つで合っているかと
[一言] ワタル君肉片ではなく灰汁ですよ…。
[気になる点] >次は買い物だな。道具屋で木箱を8つと皿とスプーン、コップ、毛布6枚を1銀貨60銅貨で購入。 〜中略〜  木箱8つ運ぶのに2往復してしまった。 〜中略〜  和船に木箱を6つ椅子代わりに…
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