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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十章
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18話 お土産の威力

お待たせいたしました。

 フローラさんから、海底に沈んだ公爵家のお城の情報と地図を手に入れた。そこに行くための潜水艇もおおまかに選んだし、後はアレシアさん達と潜水艇を選んで購入、イネスを救出してトレジャーハントだ。凄くワクワクしてきた。


「ワタルさん、どんな船を買うの?」


 物凄くワクワクした表情で聞いてくるアレシアさん。アレシアさんとイルマさん以外のメンバーが戻ってきていなかったから、夕食が終わるまで待つことになって、更に期待が高まったらしい。今日の夕食も美味しかったですね、とか言っていたら怒られそうだ。


「えーっと、昼に幾つか候補を絞ったので、その中からメインとサブの2種類を選びます。今から候補を見せますので、気に入った船を教えてください」


 船購入画面をみんなに見えるようにすると、7人の美女に周りを囲まれた。激しくモテているような気がして、ちょっとだけ気分がいい。あっ、ホッペにポヨンって……ふうちゃんか……。


 頭の上にリム、両肩にふうちゃんとべにちゃん。普段ならとても嬉しい状況なんだけど、美女達が密集している中でのこの配置は少し悲しい。


「ワタルさん、船っぽくないけど、この筒みたいなのが海に潜れる船なの?」


 筒? うーん、アレシアさんには筒のように見えるのか。僕的には羽も付いているし、飛行機っぽく見えるけど。


「はい。海に潜るには最適な形なんです」


 たぶんだけど。


「ワタルさん、この数字はなんの意味があるのかしら?」


 ドロテアさんは潜水艇のスペックが気になるようだ。


「えーっと、大きさと、どのくらいまで海に潜れるのかの数字ですね。ここで買う船は不壊の効果が付いているはずですから、大きさ以外は気にしなくてもいいと思います」


 僕の予想では、深海一万メートルとかでも大丈夫だと思う。……大丈夫だよね? 一万メートルの水圧と神様の攻撃力、どっちが上かなんて想像がつかないからちょっと怖い。でもまあ、人魚が活動できる範囲なら問題はないだろう。


「ワタルさん、船にお店ある?」


「えーっと、潜水艇にはお店はありません」


 おうふ、カーラさんがシュンとしてしまった。でも、観光用の潜水艇にも売店すらなかったし、あきらめるしかないよね。購入画面には載ってないけど、軍艦とかならお店があったりするんだろうか?


 っていうか、アレシアさん達の食いつきが凄いな。次々と質問が飛んできて、僕ではさばききれなくなってきた。




「ふー。では、メインはこれで、サブはこの丸い3人乗りの潜水艇で構いませんか?」


 僕が確認をするとリム達も含めた全員が頷いた。しかし、予想以上に時間が掛かったな。サブの潜水艇は、城内を探索するんだからと小型の3人乗り潜水艇を複数用意することに簡単に決まった。でも、メインの潜水艇は内装や設備での好みが分かれて大変だった。次からは相談しないで勝手に買うことにしよう。


 しかし、メインの方はともかく、サブの方はちょっと残念だった。狭い空間に全員で密集して乗るのも楽しそうだったんだけど、冷静に話し合うと、わざわざ狭い空間に無理して乗り込む必要はないってことになってしまった。


 費用は密集した方が少し安くなるから最初は優勢だったんだけど、密集する方は小型のよりも大きくなるし、手数も減って城内の探索にも不利になるから費用以外に優勢な部分が無いのが致命的だった。


「ワタルさん。海の中の冒険、楽しそうよね! ふふ、海の底ってどんな世界が広がっているのかしら?」


 アレシアさんが超絶ご機嫌に話しかけてきた。海中探索が楽しみでしょうがないらしい。うーん、貰った地図によると、お城は結構深い位置にあるみたいだから、下手したら真っ暗で何も見えないって可能性もあるんだよね。


 海の中ってどのくらいで光が届かなくなるんだっけ? ……駄目だ。聞いたことはあるはずなんだけど、まったく思い出せない。学校では習わなかったのかな? まあ、人魚ならたどり着ける場所なんだから、たぶん光は届くから大丈夫だろう。水圧とか温度の関係もあるし、いくら人魚でもそこまで深く潜れないと信じよう。


「どんな世界なのか楽しみですね。とりあえず、明日、明後日は潜水艇の練習をして明々後日に出発ってことで構いませんか?」


 自分で買った船ならなんでも操船できるとはいえ、潜水艇での一発本番は怖い。サブの方はアレシアさん達も操船することになるんだし、しっかり練習をしておくべきだろう。……2日程度の練習でしっかりとか言っていたら日本では怒られそうな気がする。


「ええ、練習も楽しみだわ」


 上機嫌で頷いたアレシアさん達と別れて部屋に戻る。今ならどんな頼みごとをしても、なんでも受け入れてくれそうな上機嫌さだったな。告白すればよかったかも。


 あぁ、そういえばイネスにも連絡しないといけないな。明日の午前中に話を通して、明後日の夜にこっちに来てもらえば大丈夫だろう。


 ***


「いえ、ちょっとイネスさんに予定を伝えに来ただけですから、上がらなくて大丈夫です。朝も早いのにご迷惑を掛けられませんから……」


「ワタルさんでしたらいつでも大歓迎なんですから、朝が早いとか気にしないでください。さあどうぞ、どうぞ」


 ちょっとイネスと話すだけでよかったのに、イネスのお母さん……えーっとベラさんに家の中まで引きずり込まれてしまった。今までと随分対応が違って怖い。フェリシア、クラレッタさん、僕の護衛なんですよね? 助けてください。


「えーっと、イネスさんは?」


 リビングに通されてお茶を出してもらっても、イネスが現れない。そしてベラさんが目の前でニコニコと座っている。なんだか果てしなく気まずい。


「家事や礼儀作法だけでは体がなまると言い出しましたので、走りに行かせています。もうそろそろ帰ってくるはずですので、少しだけお待ちくださいね」


 イネスがランニングをしているのか。僕と一緒の時にはフェリシアやジラソーレとの組手とかはしていたけど、そういった体力作りはしていなかったよな。


 たぶん、家事や礼儀作法から逃げたくて体がなまるとか言ったんだけど、ベラさんの方が一枚上手で、朝から叩き起こされて走りに行かされているんだと思う。せっかくお説教を減らせたのに、墓穴を掘ったな。


「そうでしたか。えーっと……こんなことを言うのはどうかとも思うのですが、その、とても綺麗というか、変わられましたね」


 奴隷の母親に何を言っているんだとも思うが、ベラさん、若返ったかと錯覚しそうなくらい綺麗になっている。イネスのお母さんなだけあって、元々が美人だったのに、今ではイネスの母親と言うよりも姉妹の方がしっくりくる感じだ。


 たぶん、僕が渡したお土産の効果だとは思うんだけど、こんなにも早く変化が現れるものなのか? ……元々のポテンシャルが段違いに高かったのかもしれないな。


「ふふ、ありがとうございます。ワタルさんに頂いた化粧品や石鹸、素晴らしかったです。それに、ドーナツと言いましたか? あれも大変美味しかったです」


 この上機嫌さはお土産の効果みたいだ。これだけ喜ばれるのなら、アクアマリン王国を離れる前に、もう一度付け届けをしておこう。


「ただいま……あっ、ご主人様。迎えにきてくれたのね!」


 死んだ魚のような目をして帰ってきたイネスの顔が、僕を見た途端に輝いた。なんだか少し嬉しい。でも、今日迎えにきた訳じゃないんだよね。いきなりイネスを連れて行ってしまったらイネスの家族に悪いし、明日の晩まで待ってほしい。


「今日じゃなくて明後日からちょっと冒険に出るつもりなんだ。明日の夜に合流してほしいんだけど、大丈夫?」


 僕が言うとイネスに部屋の隅にまで連れて行かれた。まだ、内緒話をする必要があるの?


(ちょっと、どうして明日の夜なのよ)


 物凄く不満そうなイネス。


(えーっと、まだ家に居づらいの? ベラさん、凄くご機嫌みたいだし、お説教はなくなったんだよね?)


 家事や礼儀作法がそんなに嫌なの? そこらへんは僕としても頑張ってほしい部分なんだよね。おしとやかなイネスとか、イネスの手料理とか体験してみたいです。


(ご主人様。もう少し女心を勉強しないと駄目よ。あの笑顔は単なる笑顔じゃなくて、欲望を内に秘めた肉食獣の微笑みなの!)


 ストレスが溜まっているのか、イネスが滅茶苦茶なことを言っている。


(どういうこと?)


(今はご主人様がいるから大人しいけど、居ない時は私の美貌の秘密を聞き出そうと質問攻めなのよ。これならお説教の方がまだマシだったわ。しかも、フローラまで母さんの変わりように気づいて、私を問い詰めるのよ。たぶん、今夜も家に来て騒ぐわね)


 まあ、いきなりベラさんがあれだけ変わったんだ。フローラさんも気になるだろうな。


(あんなに綺麗になっているのに、ベラさんは何が聞きたいの?)


 ベラさん、驚くほど綺麗になったよ?


(ご主人様は甘いのよ。たしかに、手入れがこれまでとは全然違うから、かなり変わったけど、女の目から見たら私との違いは明らかよ)


(手入れの回数の違いだよね? 時間が経てばもっと綺麗になるって教えてあげたらいいんじゃない?)


(回数や年齢の違いだって言ったんだけど、髪や顔だけじゃなくて、肌の艶や爪の違いも見抜かれてて、そこら辺の違いも問い詰められているの)


 年齢の違いって……自分の母親相手とは言え、デンジャーな部分によく踏み込めたな。それが朝、走らされている原因じゃないの?


 あと、爪や肌の違いか。僕には漠然としか違いが分からないけど、たぶん全身エステとかネイルサロンの効果だな。うーん、全身エステとかはさすがにお土産では不可能だし、どうしたものか。


 ふむ……よく考えなくても、豪華客船は公開しちゃっているし、ほぼ僕の秘密は漏れているんだよな。うーん、念のために商売の神様の契約を結ぶなら、豪華客船に招待しちゃっても大丈夫かな? でも、これを切っ掛けに、情報の管理が更に緩くなりそうなのが怖い。 


(ご主人様……)


 ふー、命の危機でもないんだし、放置しておいても問題はないんだけど、イネスにウルウルした目で見つめられると弱いんだよね。明日の晩まで放置して探索後はアクアマリン王国を逃げ出すか、家族を豪華客船に招待しちゃうか……悩みどころだ。


一度は書き終えたはずなのに、再度書き直すとなると、細かい部分をほとんど忘れていて物凄く苦戦してしまいました。自分の記憶力の無さが恨めしい……。


読んでくださってありがとうございます。

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[一言] 毎年読もうで年を越しているが 今年は豪華客船で年を越しそうだ。 たむたむ先生も他の作者の皆さんも 今年も一年間お疲れ様でした。
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