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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第二章 モーターボートで荒稼ぎ!!
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4話 和船の性能と島の仕事内容

 船召喚のレベルアップの効果と、新たに購入した船を召喚する前に夕食だ。


 食堂に行き、お勧めを頼む。白身魚のスープとパンだった。やっぱりご飯が食べたくなるけど、美味しいのは間違いない。贅沢言わずに今は満足しておかないとな。食事を終えて、女将さんに散歩に行ってくると言って宿を出る。


 ここなら人目につかないな。まずは「和船召喚」……おー、船外機が付くと船って感じがする。さっそく船偽装を試してみるか。


 木造船で、ちょっとだけ古ぼけた感じに「船偽装」……おっ、完全に木製の和船に見える。でも、船外機がそのままだな。もう一度、船外機も船と一体になる様に「船偽装」……完璧だ。他の船と比べると、少し大きくて船外機部分が違うが、騒がれるほどの違いはないだろう。


 次は+1が予想通り、もう1艘船召喚ができるようになったのかを試してみよう。和船の横に倉庫船を船召喚してみる……召喚できたな。+1はもう1艘召喚できる事で間違いなさそうだ。


 和船に必要な荷物を移動して宿に戻るか。毛布を2枚とロープ、お茶の道具と食料を木箱に詰めて和船に入れておこう。


 あとは島に行けたら島で長時間待機なんだよね。船の上で火にも当たりたいし、鉄鍋を買って灰を入れて七輪の代わりにするか。その上に載せる鍋もほしいな。明日は島に行く前に鉄鍋2つに炭と食料も買っておこう。


 明日からは係留しないと駄目だから、武器とかは自分で持ち歩かないとな。あとはマップの性能を試しながら帰ろう。


 うーん、マップは自分が通った周辺までを表示してくれるみたいだな。進んだぶん、表示される部分が増えていく。なんだかゲームみたいだ。


 帰って軽く訓練して体を拭く。明日は1度和船を係留場所に持っていって、そのあとは南東の島に挑戦してみよう。時間がかかりそうだし早起きしないとな。


 ***


 パチッと目が覚める。今日は忙しくなりそうだし、頑張んないとな。しっかりと朝食を取り、女将さんに話しかける。


「おはようございます女将さん。今晩なんですけど、遠出するのでかなり夜遅くなるか、帰ってこない可能性があるんですが、夜中に帰ってきた場合は宿に入っても大丈夫ですか?」


「おはよう、夜中に帰ってきても、誰かがカウンターにいるから入っても大丈夫だよ。でも、周りは寝てるから静かに入っておくれよ」


 24時間体制なのか。日本だと普通にある事だけど、この世界だと結構すごい事だよな。助かります。


「はい、静かにしますね。では、いってきます」


 まず、街の外に出て和船召喚をしてから、係留所に向かう。大っぴらに船召喚が使えればこんな手間は必要ないんだけどな。まあ、手間を惜しんだ結果、命を狙われるのもバカらしい。不精をしないで真面目に頑張ろう。


 115番に係留して朝市に向かう。目に付いた野菜や肉を買い、道具屋に向かう。道具屋で蓋つきの鉄鍋を2つと炭を買い、1つの鉄鍋には灰を分けてもらう。全部で75銅貨か……結構かかったな。


 次は商業ギルドに行って、島の場所とどのくらい時間がかかるのかを聞いておこう。カミーユさんはいるかな? 商業ギルドに入り、カミーユさんを探す。おっ、いた。


「おはようございます、カミーユさん。魔導船が手に入ったので、さっそく南東の島に向かってみようと思います。正確な場所と到着までにかかる時間を教えてもらえますか?」


「おはようございます。もう手に入れられたんですね。コンパスはお持ちですか? 海側の門から外に出て、コンパスを見ながら南東に向かえば大きな島なのでたどり着きますよ」


 結構おおざっぱだな。海に出てその適当さ、ちょっと怖いぞ。


「時間は船によって違いますが、8時間ほどかかるようです。島に着きましたらまた報告をお願いします。お気を付けて、無理はなさらないでくださいね」


「はい、行ってきます」


 マップで方向は分かるんだけど、コンパスも買っておいた方がいいだろうな。人を乗せる時にコンパスも見ないで操船していたら、不安に思わせるかもしれないから買っておこう。


 再び道具屋に寄り1銀貨でコンパスを買う。コンパス高いな、日本なら100均で手に入るのに。


 和船に到着し買った荷物を載せる。さて、出発するか。島に行ければ大儲けだ。どうなるかな?


 南門から出て南東に和船を走らせる。うーん、和船で大陸から離れるのは危険だけど。不沈、不壊、があるから大丈夫だよね。しかし、船の事なんて全く知らないのに、スキルのおかげか操船だけは問題なくできる。知識がないのが怖いよな。


 でも、船で海を進むのは結構気持ちいい。天気もいいし、合間に休憩を挟みながらも順調に進むと、遠目に島が見えた。……あれ? まだ5時間も経ってないと思うんだけど……和船が魔導船より速いのかも。


 余裕を持って操船したので全力を出したら、かなり目立ちそうだな。あっ、ここにくる魔導船は何人も冒険者を乗せてるんだった。まだ、和船と魔導船、どちらが速いか分からないな。


 島に近づくと沢山の岩礁と渦が島を取り囲んでいる。ここを通り抜ける事ができればいいんだよね。


 渦と岩礁を避けて押し戻されそうになると速度を上げる。揺れはしたけど簡単に通り抜けられたな。島を間違えてる事は無いと信じたい。難所って聞いてたから、こうも簡単だと不安になる。


 岩礁と渦を越えて岸に寄せる。島は切り立った崖のようになっていて、ここからだと上陸できそうにないな。どこか上陸できる場所がないか探そう。島に沿って船を走らせると、陸地側に弧を描くように引っこんだ砂浜が現れた。


 綺麗な砂浜だな。透き通ったエメラルドグリーンの海。白い砂浜。完全にリゾート地だね。魔物がいるけど。


 砂浜に到着すると、小舟が停泊しているのが見える。挨拶しておくべきかな? ……あとから商売に潜り込むんだ。挨拶くらいはしないと常識知らずって言われそうだ。


 挨拶しようと小舟に近づくと、小舟に寝転がっていた人が起き上がったので声をかける。


「こんにちは」


「おう、見ない顔だな、冒険者か?」


「一応冒険者ですが、この船を手に入れたので商人ギルドにも加入しました。いい仕事がないか聞いたら、この島にこれれば稼げるって聞いたので、試しに挑戦してみました」


「いい船を手に入れたんだな。この島にこれれば確かに儲かるぞ」


 一人一日10銀貨だからな。冒険者のパーティーを運べばウハウハだろう。


「楽しみです。あっ、ワタルって言います。よろしくお願いします」


「おう、俺はグイドだ、よろしくな」


「グイドさんは冒険者ですか?」


「俺も冒険者ギルドと商業ギルドに加入してるぞ。まあ人数が増えるとありがたいからな。よろしく頼む」


 ん? 人数が増えると嬉しいのか? 4人での独占が崩れるのに。


「商売敵が増えるんですから、あんまり嬉しい事ではないんじゃ?」


「まあ、確かに増えすぎても困るんだが、今は4艘しかこの島にこれないだろ。今は俺しかいないが、ここに4艘そろってるのも珍しい事じゃないんだ。やっと南方都市に戻っても、すぐこの島に戻ってくる事もよくあるんだ。休みが取れないんだよな」


「たしかに休みが取れないのは辛いですね」


 独占で大儲けだけどブラックだった。判断に困る状況だ。


「ああ、まあ4艘が5艘になってもそんなに変わらないだろうが、少しは余裕ができそうだからな。助かるぞ」


「この仕事で気をつける事とか、必要な物はありますか?」


「うーん、暇つぶしの道具と、あと美味い食い物とかか?」


「そんなに暇なんですか?」


「冒険者達がいつ戻ってくるか分からん。大怪我して急いで戻らなきゃならん事もある。だから依頼中の数日間この船の側で待機しておかなきゃならん。暇だぞ」


 うわー、儲かるけど退屈なのか。小舟くらいの大きさだと、暇つぶしにも限度があるよな。俺も何か考えておかないと、退屈で心が病みそうだ。


「結構辛そうですね。この島は強い魔物が出るそうですが、魔物は大丈夫ですか?」


「魔物が出てきたら陸地から離れれば問題ない。海には入ってこないからな」


「そうなんですか」


 問題は暇な事だけか……魔物からすぐ逃げられるのは助かるが何をしよう? この場所でできる事か。釣りとか料理とかかな? 料理は趣味程度だし何か作れる料理を考えるか。うーん、何をしよう……そうだ!


「グイドさん、この島にスライムはいますか?」


「スライムか? いるぞ」


「おー、やったー。これで大丈夫だ」


 あの、もちもちプルプルのスライムと常に一緒にいられるなら、暇とか言っている暇はないだろう。最高だな。


「スライムがどうした?」


「いえ、暇な時間をどうしようかと思ってたのですが、僕はスライムが好きなんですよ。だから暇な時間にスライムと戯れて、テイムスキルが取れないか試そうと思いまして」


「スライムが好きなのか? 変わった奴だな。まあ、暇な時間は沢山ある。船からあまり離れないのなら好きにすればいいさ」


 グイドさんもスライムの魅力が分からない人なのか。ガッカリだな。テイムスキルを手に入れたら、スライムの素晴らしさを布教してやる。


「では、そろそろ戻りますね。商業ギルドに報告して仕事をもらうと思いますので、またよろしくお願いします」


「おう、またな」


 島を出て南方都市に戻る。これからの大儲けを考えると、テンションが上がるな。次の船が結構早く買えそうだ。


 ***


 ふー、意外と早く帰ってこられたな。ギリギリ宿で夕食が食べられるかも。


「おやお帰り。遅くなるんじゃなかったのかい?」


「予想以上に用事が早く済みまして。女将さん、夕食はまだ間に合いますか?」


「ああ、まだ大丈夫だよ食べるかい?」


「ええ、お勧めでお願いします」


 晩御飯を食べて体を拭いて一息つく。島にたどり着けたのはよかったけど、休みが取れないってのは厳しいな。でも、考えたら異世界にきてからずっと働いてる気がする。島で上手に時間を潰せれば、意外と充実した毎日が送れる可能性があるな。


 グイドさんもいい人そうだし、商売敵って事にもならないなら、他の3人とも少なくとももめる事はないだろう。


 明日は教会にいったあとに、和船で快適に過ごす事ができる道具を探そう。それから商業ギルドにも報告に行かないと。


 和船には何が必要なんだろう。冒険者の人達も乗るんだから、クッションくらい必要な気がする。……クッション代わりに毛布を6枚買って、自由に使ってもらうか、そっちの方が色々使えて便利そうだ。


 木箱も6つ買っておいて、椅子代わりにして中に毛布でも入れておけば十分だろう。木箱なら邪魔になったら捨てられる。あっ、鉄鍋や食料を入れておく木箱も必要だ。あと2箱追加だな。


 あとは冒険者が船に戻ってきた時に、お茶や食べ物くらい出した方がいいのか? 高額報酬がもらえるんだから、そのくらいはしておくか。なら皿とコップも足りないな。


 他には……数日島にいるなら洗濯するにしても、予備で下着と服が2枚ずつ。和船に移しておこう。


 あとは、スライムにあげる干し肉も忘れないように買わないと、必要な物はこんな物かな。仕事が決まったし、これからますます忙しくなりそうだ。


 残高 1金貨 51銀貨 40銅貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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