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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第九章
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18話 資材の積み込み完了とカリャリの街

 ちょっと騒動を起こしそうなマウロさんとの話し合いが終わり、次はドナテッラさんか。うん、何となく安心できる雰囲気だ。


 見た感じは真面目な秘書さんタイプだな。髪をアップにまとめ、服装は派手ではないが清潔で落ち着いた雰囲気の人族のお姉さんだ。お胸様もきちっとした格好で分かりづらいが、Dはあるだろう。この人にスケジュール管理をして貰えれば、凄く元気に働けそうだ。


「ドナテッラさんはどのようなお仕事をされていたんですか?」


「もう潰れてしまいましたが、王都の商店の財産を管理していました。現在は冒険者ギルドで資料の管理をしております」


 潰れたお店の財産の管理をしていた人……それって問題があるんじゃないのかな。


「えーっと、失礼ですがどの様な理由でお店が潰れたのでしょうか?」


 まあ、横領とか悪い事をした人を、カミーユさんが連れて来るとは思えないけど、一応聞いておかないと。


「はい、簡単に言いますと勤めていた商店が貴族様方の不興を買ったという事になります」


 あー、うん、お偉いさんに睨まれたらどうしようもないよね。


「ドナテッラ自体はとても優秀なんですが、貴族様方の不興を買った商店の関係者だと、雇うのを躊躇われるんです。ですが今回の場合だと問題無いと思うのですがどうでしょう?」


 まあ、カミーユさんの言う通り、不興を買ってようが特に問題になるとも思えない。この国の貴族が豪華客船に遊びに来て、ドナテッラさんに気が付いて文句を言って来たとしても、なんとでもなるだろう。


 それなら優秀なドナテッラさんに働いてもらった方が嬉しいよね。美人だし。


「僕は問題ありません。ドナテッラさんもマウロさんも心強く感じますので、まずは詳しく話す為の契約を結んで頂いて全てを話します。その後に納得して頂ければ働いて頂きたいです」


 秘密を洩らさない条件で契約を結んでもらいルト号に場所を移す。ルト号の内部を見せながら、魔導士様の事を含めて商売に関係する事を打ち明けた。


「うん、うん、あれじゃのカミーユ嬢ちゃんが燃えておるから、面白い話じゃろうとは思っておったが予想以上じゃの。うんワシに任せい。船の内容次第で大陸中の富裕層から富を搾り取ってやるからの」


 このお爺さん、いきなり物騒な事を言い出したな。人気が出た方が嬉しいけど儲けるのなら程々が一番だ。あまりやり過ぎると恨まれる。


 ドナテッラさんもやりがいがある仕事だと言って、協力を約束してくれたので、商業ギルドに行って本契約を結ぶ。


 取り敢えず今日はこれで解散して、明日にはカミーユさん、マウロさん、ドナテッラさんにキャッスル号を視察してもらう事に決定した。



 ………………



 カミーユさん、マウロさんとドナテッラさんをキャッスル号に案内する。3人は真剣に話し合いながらキャッスル号を見て回る。マウロさんとドナテッラさんもカミーユさんと同意見で、船内の料理や施設は契約出来る限り契約しておくべきだそうだ。


 マウロさんはキャッスル号が開放された後は、息子を呼んで販路を考える、と嬉しそうだ。僕にも契約料とは別にマージンを渡すから安心しろと言われた。


 文化が広まるのなら良いんだけど、マウロさんの言い方って悪代官臭がするから困る。見た目はご隠居様の方なんだけど。


 必要な人材、施設の使用料金など3人で喧々囂々と話し合っている。話し合いの内容が全然分からないな。


 孤児院の方も合わせて人材を探してもらう約束をして、残りは全部3人に任せる事にした。素人が口出ししても良い事無いよね。


 数日が経過してカミーユさんから停泊の許可が下りた事を伝えられる。簡単な偽装の為にルト号は港に停泊したまま、夜中に和船で外海に出てからフォートレス号を南方都市の港から少し離れた場所に停泊させる。


 遠目からでも確認できる大きな船に、港まで人が集まり屋台も出店して来た。お祭り騒ぎだな。キャッスル号を開放した時の世間の反応が怖い。


 カミーユさんに資材代金の20白金貨と荷運びの代金の30金貨を支払い、駐車場だけに出入りできるチケットを渡す。


 荷運び代金で30金貨……3000万円ってバカ高いと思うんだけど、何往復も船を使って重い資材を運ぶと考えたら妥当なのか?


 取り敢えず資材の搬入はカミーユさんに任せて、僕達はルト号の方で待機する。怪しまれていようとも建て前って大事だよね。


 案の定、南方伯様からの使者が、フォートレス号に向かった。前もって先触れが来ていたので、魔導士様ルックで待機して、話を聞く。


 城に呼ぶ事は出来ないが、南方伯様の所のお偉い文官様との会食を希望されたが、フォートレス号を停泊させてもらった事は丁寧にお礼を言って、会食はお断りさせて頂いた。


 魔導士様に興味はあっても、どう対応するのが良いのか迷っているみたいだ。何度か使者がやって来て簡単な会話をしてから帰って行く。


 たぶん情報収集をしているんだろうけど、何か分かるのか? まあ、突っ込んだ事を聞かれる訳ではないので難しくはない。でも僕、イネス、フェリシアは声を変えないといけないので面倒だ。


 そもそも素人が声を変えたくらいで誤魔化せるのか激しく疑問だが、やらないよりはマシだと信じている。


「ご主人様、カミーユさんからの知らせで、明日の昼にルト号のご主人様とフォートレス号の魔導士様と同時に使者が来るって連絡があったわよ。……どうするの?」


 完全に疑われているな。ほぼ確信されているのではなかろうか。


「うーん、完全に見抜かれている気もするんだけど、ここで誤魔化せれば南方伯様も混乱するよね。何とかならないかな?」


「……そうねルト号の方はご主人様に使者が来るんだから誤魔化すのは無理ね。フォートレス号は魔導士様に使者が来るんだから、体形と声さえ何とか出来れば誤魔化せるかしら?」


 体形か声か……声はビデオに録音しておけばいけるか? 音質とかノイズとかで違和感はあるだろうけど、ビデオの存在なんて僕ら以外は知らないんだから誤魔化せる気がする。


「そうだね。はいといいえ、それに挨拶をビデオに録音して流せば何とかなるかも。イネスがやってくれる?」


「背格好がマリーナの方が近いから、マリーナに頼んだ方が良いと思うわ」


「そっか、頼んでみるね」


 結果的には成功したと思う。胸の膨らみはサラシで誤魔化して、はいといいえ以外の言葉はジラソーレの機転に任せた。少なくとも僕の声がビデオで流れたので、使者もちょっとビックリしていたらしい。南方伯様の陣営も混乱しているといいな。


 そうこうしている間にフォートレス号は満杯になったのでストロングホールド号と入れ替えて資材を積み終える。


 カミーユさん達3人は次に戻って来た時に一緒に来て貰う約束をして、南方都市を出発する。上手く行けば次に来る時には全部の道筋がついているだろう。



 ………………



 フェリー2隻を送還してキャッスル号でカリャリの街に向かう。豪華客船だと移動中も休日と変わらないから、サボっている気分になる。


 毎日まったりとキャッスル号の中を楽しむ。元々アクティブな方じゃないから一生厭きない気もするな。ん? 寿命も延びているからそうでもないか?


 でも、女性陣とリム、ふうちゃん、べにちゃんがいればそれだけで厭きる事も無いか。


 自分では結構頑張っているつもりでも、船で移動が多いから月にどのぐらい働いているんだろう? 考えると頑張っている感が無くなるから止めておくか。


 のんびりとした航海を終えて、カリャリの街付近の外海に到着する。


「ワタルさん。これからどうするの?」


 アレシアさんが聞いて来る。


「ルト号に乗り換えてカリャリの街の商業ギルドで話をしに行きます。いきなりフェリーで乗り付けるのは騒ぎになりますから」


「分かったわ。じゃあまずは魔物の討伐ね」


「あはは、そうですね」


 外海だとキャッスル号に魔物がガンガン集まって来るからな。レベル上げになるから良いか。


 魔物を討伐してカリャリの街に入り商業ギルドに向かう。相変わらず街の中は活気が無く騒がしいのは海軍本部だけのようだ。人材と資材が足りないんだろうな。


 商業ギルドに入ると、商業ギルドのおっさんとお姉さんの視線が飛んで来る。……暇なんだね。お姉さんのカウンターに向かうが、おっさんも近寄って来るので意味が無い。


「おう、久しぶりだな。人材と資材を集めに行くって言ってたがどうなった?」


 やっぱりおっさんが話しかけて来るのか。世の中って儘ならないな。


「少し時間が掛かってしまいましたが、魔導士様にお願いして資材はたっぷり運んで来ましたよ」


「おおそうか、しかし人材はどうしたんだ? 大工や石工がいないと孤児院は立てられねえぞ?」


「カリャリの街は直轄領で海軍本部があるので、よそ者で大きな建物を建てるのは良くないって言われたので、諦めました」 


「ん? まあ、確かに間違っちゃいねえが、孤児院ぐらいなら……ふむ、よく気が付いたな。確かに海軍本部の真裏に、よそ者がデカイ建物を建てると嫌がられる可能性がある」  


「ええ、優秀なアドバイザーがいますから」


 僕だけだったらまったく気が付かなかったよ。カミーユさんに感謝だね。


「しかし、大工も石工も余ってねえぞ。どうするんだ?」


「ええ、そこで相談なんですが、魔導士様にお願いして資材を大量に運んで来ました。孤児院で使う分以外を此処に卸しますので、海軍本部に人材を貸して貰えるように頼めませんか? この街全体で資材不足なんですよね?」


「ふむ……確かに資材は不足しているが、人材も余っている訳じゃねえ。半端な量だと鼻で笑われるだけだぞ」


 かなりの量なんだけどどうなんだ?


「南方都市で20白金貨分の資材を買って来ました。孤児院を建てるのに使う分を除いても結構な量になると思いますが、どうでしょう?」


「20白金貨分か、かなりの量だな。確実とは言えんが海軍本部に話しに行ってやる」


「お願いします。あぁ、それと大きな船を停泊させる事になりますので、その許可と荷運びも海軍に頼めませんか?」


 あんまり人も居ないから海軍に荷下ろしが頼めなかったら大変だ。


「んー、まあ、頼めん事も無いが、あんまり顎で使うと後々やり辛くなるぞ」


「大部分は海軍本部で使うんですし、孤児院に使う分も場所は海軍本部の真裏なんですから、そこまで距離は無いですよね。文句を言って来ますか?」


「魔導士様に文句は言わないだろうが、海軍本部だから無意味にプライドが高い奴もいるんだよ。海軍に全部の資材を卸すのが当然だとか思っている奴らもな。まあ、話の分かるお偉いさんの所に行くから表面上は問題無いぞ」


 うーん、聞いているだけで面倒だ。特に表面上は協力的でも、コッソリ足を引っ張られると対策が取り辛い。


 ……資材を卸す時はフェリーを一隻ずつ、少し遠めに停泊させようと思っていたが、フォートレス号とストロングホールド号を港ギリギリに停泊させてプレッシャーをかけるか。喧嘩を売るのを躊躇ってくれれば嫌がらせもし辛いだろう。


「出来るだけ穏便に済むようにお願いします」


「まあ、出来るだけな」


 あんまり期待は出来そうにないのか? いや、こんなおっさんでも意外とやり手なはずだ。信じよう。


「それで、どのぐらいで許可が下りそうですか?」


「んー、なんやかんやと向こうも忙しいからな。どのぐらいかは分からんが、魔導士様関連だ。ある程度は手早く処理してくれるだろうよ。3日程待ってまた来てくれ」


「分かりました」


 商業ギルドを出てルト号に戻る。取り敢えず3日の空きが出来た。外海に出てキャッスル号でのんびりだな。


「ワタルさん、外海に出るのなら今日はクリス号に泊まらない? ちょっとクリス号のスパで試したい事があるの。駄目?」


 なんかイルマさんのおねだりって久しぶりな気がするな。もちろんOKです。


「ええ、構いませんよ。スタッフ任命はどうしますか?」


「それもお願いするわ。お礼のマッサージは期待しててね」


 なんか凄い楽しそうだ。何を試すつもりなんだ? 取り合えずマッサージは期待しておこう。外海に出てクリス号を召喚して乗り移る。


 ………………イルマさんが試してみたかったのは脱毛エステらしい。前回はワックスを使ったらしいが、今回は電気を使ってなんだかんだと言っていた。


 生々しくて耳を塞いでしまった。……そう言えばイネスもフェリシアも剃刀を使っていたな。……僕的には身だしなみだと分かってはいるけど、そういう部分は気が付かなかった事にしたい。


 他の事は考えずゆっくりマッサージをして貰おう。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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