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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第九章
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9話 レンジャー号と地竜とダークエルフの村

 地竜が逃走した後お風呂と夕食を済ませ、部屋に戻る。


「ちょっと買う船を選ぶから、イネスとフェリシアはリムと一緒にのんびりしててね」


「ご主人様、今日の地竜を見たら、私の結界でも大丈夫そうでしたけど、船を買われるんですか?」 


「うん、ダークエルフが移住してくれた時、今回買う船で一気に運べそうなんだ。その方が安全に移動できる。それに地竜が倒せるとしても、毎回ハイダウェイ号を召喚するのも時間が掛かるからね」


「ありがとうございます、ご主人様」


「どう致しまして、上手く行けばダークエルフの島も賑やかになるね。じゃあ、リムをよろしくね」


「はい」


 リムを抱っこしてリバーシに向かうフェリシアの足取りは軽い。村が大きくなるのが嬉しいんだろうな。機嫌が良いのは良い事だ。さて水陸両用バスを選ぶか。


 道幅が3メートルはあった、予定通り大型で良いか。大型で通れない所はアッド号か徒歩だ。


 値段は1白金貨か……車として考えたら高いよねスーパーカーが買えちゃう。でも大型で、水陸両用なら数も少なそうだし、しょうがないか。


 うん、これにしよう。チャ〇ンジャー号って言うらしい。ペイントが異世界だと違和感があるが船偽装で問題無いだろう。


 この水陸両用バスの名前はレンジャー号だ。バスに名前を付けるのも違和感がハンパ無いけど、船扱いだからね。名前を付けないと。


 選ぶ対象を絞っていたから直ぐに終わったな。僕もリバーシに混ざるか。


 リバーシを楽しみ、リムの訓練を見学して、ベットに潜り込む。明日から水陸両用バスの旅が始まる。ちょっと楽しみ。



 ………………


 

 朝食を食べ、ハイダウェイ号から出る。地竜が居る事も覚悟していたが、静かなものだ。


「ワタルさん、昨日言っていた船は買ったの?」


 アレシアさんがワクワクした顔で聞いて来る。


「ええ、買いましたよ。レンジャー号って名前にしました。今から召喚しますね」


 ハイダウェイ号を送還した後、レンジャー号を召喚する。……うん森の中にカラフルな水陸両用バス。まったく似合わないな。


「なんだか可愛い絵が描いてあるのね。そして、大きいけど、これって完全に魔導車よね。聞いていた外観に似ているわ」


 アレシアさんが描いてある絵を指摘する。観光に使用されるからしょうがないんだよね。そして完全に魔導車らしい。


「一応、水上を走れるので、船なんですよ」


「それって、発見されている魔導車よりも凄いって事よね」


 イルマさんが冷静に突っ込んで来た。返す言葉も無いよね。


「まあ、船偽装もありますし、普段は殆ど船での生活なのでバレませんよ」


 苦しい言い訳をして、レンジャー号の中に入る。広いな。ダークエルフを運び終わったら、椅子を外したりと改造してみたいけど、不壊なんだよね。壊すんじゃなくて取り外しなら可能なのかな?


 ……駄目っぽいな、穴とかあけられない時点で、木枠を組んで固定とかしないと駄目だろうから、職人の力が必要そうだ。ハイダウェイ号もあるからそこまでする事も無いな。


 興味深げに内部を観察している女性陣を席に座らせ、シートベルトの使い方を教える。これで横転したとしてもダメージは減るだろう。


 安全の為にリムはイネスに抱っこしてもらう。急ブレーキしたら飛んで行きそうで怖いよね。レンジャー号を発進させると、女性陣の楽しそうな嬌声が上がる。


 道が良くないので揺れるが、徒歩で移動するより断然早く移動できる。時速40キロぐらいが限界かな? 穴に突っ込んだり、木の根に乗り上げたら、事故を起こしそうだからこれ以上のスピードは無理だ。時速40キロでも歩くより10倍速い、あまり欲張らず事故に気を付けて進もう。


 エンジン音を響かせながら森の中を進む。偶に来る衝撃も女性陣にとっては楽しいようで、キャーキャー言っている。まるでジェットコースター気分だな。


「ワタルさん、右後ろから地竜が追いかけて来るわ。少しずつ距離が狭まってる。追いつかれるわ」


 サイドミラーを見ると、アレシアさんの言う通り地竜が追いかけて来ている。時速40キロに追いついて来るのか……あの巨体でそこまで走れるって凄いよね。……サイなら時速60キロで走るって聞いた事があるから、竜ならそのぐらい走れても当然なのかも。


「追いつかれるのなら戦う必要はありますね。近づいて来たら窓を開けて攻撃してください。ダメージを与えたら逃げられるか試してみます。急に方向を変える事もあるので、窓から落ちないように気を付けてくださいね」


 僕の言葉に、女性陣は右側の席に移り窓を開ける。サイドミラーだと良く見えないが女性陣が攻撃しているようだ。


「ワタルさん、私達の攻撃を足に当てるだけで、追って来られなくなるみたいね。距離が離れて行くわ。このまま引き離すの?」


 見えないけどアレシアさんの言葉通りなら、逃げる事は出来そうだな。地竜の群れが来ても後方からなら問題無いか。今回も単独みたいだから、倒しておくのも良いかもしれない。


「逃げるのも構いませんが、一度しっかりと地竜を倒してみましょうか。回収の仕方なんかも考えたいです」 


「……そうね、倒しておきましょうか」


 レンジャー号を停車させ後ろを見ると地竜が突っ込んできている。攻撃で地竜の速度が遅くなったとはいえ直ぐに来るな。


 地竜は止まる事もせずにそのままレンジャー号に突っ込んで来た。うん、デジャブだ。地竜が自分の突進の勢いで弾き飛ばされる。


 今回は見る必要も無いので全員で倒れた地竜に攻撃する。僕の矢も当たったから、経験値は貰えるだろう。全員の一斉攻撃の後、土煙が収まるまで様子を見る。


 土煙が晴れると、ボコボコになった地面の上に瀕死の地竜が見える。サクっと止めをさして戦闘終了だ。この調子なら地竜にどれだけ囲まれようとも、問題無さそうだ。


 問題なのはこの巨体をどうやって送還するかだな。切り分けるとしても何艘のゴムボートが必要になるか。温泉を捨てるのも勿体ないけど地竜を捨てるのも勿体ない。


「アレシアさん、地竜の素材は何処を取れば良いんですか?」


「うーん、竜に無駄な所は一つもないって聞いてるんだけど。この森を冒険するのなら、地竜の素材で溢れそうね」


 そうか……温泉を捨てればゴムボートの余裕はかなりあるから、取り敢えず取れるだけ取って、ゴムボートが足りなくなったらその時に考えよう。温泉はどうせダークエルフの島に行くんだし、その時に汲み直せばいい。


「では、取り敢えずゴムボートに入るサイズに切り分けをお願いします。もったいないので片っ端から送還しましょう、余ったらその時に考えます」


 女性陣に切り分けて貰った地竜を送還するのに、約11艘のゴムボートが必要だった 直ぐに温泉を捨てないと駄目だな。地竜の換金にも困るし、どうしたものか。


 ゴムボートを追加購入すれば良いんだけど、500艘以上あるのに、まだ増やすのも微妙だし、際限なくゴムボートが増え続ける事になりそうだ。いっその事ハイダウェイ号をもう一つ買うか? それなら切り分けずに丸ごと乗せられる。


「ワタルさん、そろそろ出発しない? 血の臭いで魔物が集まって来るわよ」


 そうだった、悩むのはゴムボートが満杯になってからでいい、出発しよう。


 レンジャー号に乗り込み再度出発する。これからは逃げられない魔物以外は無視して進もう。



 ………………



 前方から突撃してくる地竜以外は足を攻撃して引き離す事で戦闘を回避する。偶に挟み撃ちになったり、前方から群れが突撃してくる事等があり、複数の地竜とも戦闘をしたが、倒すこと自体は問題が無かった。


 ただゴムボートのリミットが近づいて来る。……シーサーペントもあるし、どっかで魔物を卸す事も考えないとな。カジノの景品にでもすれば、人気が出るかもしれない。


 それより面倒なのが、ダークエルフの村の方向に道が無い時だ。生物なので真っ直ぐ進む訳でもなく、行き止まりになっていたり、急に方向転換をして全然違う方向に道が伸びている事が多々ある。


 地竜は獲物を見つけた時以外は、あまり木をなぎ倒して進む事も無いらしく、頭数のわりに意外と道が少ない。まあ、空いている道を通る方が楽だし、普通に動けば木をなぎ倒さないでもある程度は行動が出来るんだろう。


 長く続く道程、何かの理由で地竜が暴走したって事だ。ちょっと理由が気になるよね。稀に集団で突撃したのか4車線道路ぐらいの広さの道に出た事もある。凄い騒ぎだったんだろうな。


 道が見つからない時は、アッド号もしくは徒歩で移動し、道に出たらレンジャー号に乗り換えて進む。


「ねえ、フェリシア、ダークエルフの村に近づくにつれて、木々が大きくなっているように感じるんだけど、気のせい?」


「いえ、ご主人様の気のせいじゃないです。木々の種類自体が変わっていますので、まるで違う森に来たような感覚です」 


 そうなのか、木々が違ってるのか。木とか興味が無いから気が付かなかったけど、よく見なくても葉っぱの形からして違ってるな。注意力が不足してるんだね。


「ねえ、この世界に世界樹ってあったりする?」


「世界樹ですか? 申し訳ありませんが聞いた事がありません。ご主人様の世界には世界樹と言う木があったのですか?」


 ファンタジーでエルフやダークエルフがいるなら、世界樹もあっても良さそうなものだが。フェリシアは知らないのか。地竜が世界樹を守ってるとかありそうなのにね。


「いや、無いよ。僕の世界の物語に出て来る木なんだ。もしかしたらこの世界にならあるかもって思っただけだよ。知らないのが当然な事なんだ。謝らないでね」


 世界樹か……ちょっと見てみたかったけど、神様に聞くのも野暮な気がするな。



 ………………


  

 レンジャー号、アッド号、徒歩を繰り返しながら4日、もう直ぐダークエルフの村が見えて来るはずだ。乗り物があるとやっぱり早いな。帰りは海に出れば問題無いんだから更に早そうだ。……駄目かダークエルフを連れて行く事になったら、アッド号は使えない、その分遅くなるな。


 ダークエルフの村の近くは大木の森で、一つ一つの木がかなりの大きさだ。地竜の道も殆どないから、ダークエルフが生き残っているのは、この木が関係してそうだよね。木々の間を慎重にアッド号で進むと後ろに乗っていたイネスが声をあげた。


「ご主人様、止めて!」


 慌ててアッド号を停止させる。


「イネス、どうしたの?」


 周りの女性陣も武器を抜いて警戒している。これはあれだね、たぶんダークエルフに囲まれたとかそんな感じだと思う。僕にはさっぱり分からないが、女性陣が僕を囲んで円状に警戒している。まあアッド号に乗ってるから問題はないよね。


「囲まれているわ。僅かに殺気もあるからご主人様も注意してね」


 殺気や気配と言う奴ですな。僕もレベルは達人を超えているんだけど、さっぱり分からない領域だ。いくらレベルが上がろうとも自分を磨かないと駄目なんだね。


「分かった」


 暫く警戒していると、何処からか声が聞こえる。上の方なのは分かるが、どの木なのか良く分からない。


「ここから先は立ち入り禁止だ。立ち入れば攻撃する」


 警戒心がバリバリだ。毎回、話をする事すら大変なんだよね。


「あー、ダークエルフの方ですよね。お話があるんですが、出て来て貰えませんか?」


「何故だ、何処で知った?」


 警戒心が増々上がった、森の女神様に教えて貰いましたって言えば簡単なんだけど、そういう訳にもいかないんだよね。嘘をつく事になるけど、しょうがないよね。


「ダークエルフの方に教えて貰いました。今、ダークエルフの村を作っているのでお話を聞いてもらえませんか?」 


「ダークエルフの奴隷を連れてか?」


 この問いも2回目だな。これからも言われ続けるのかと思うとうんざりする。そこからは前回と同じ展開だ。フェリシアが1人で事情説明。警戒は解けないが一応話を聞いてもらえることに。


 何度目かの話し合いの後にようやく村に入れて貰えた。村に入るまでに3日かかったよ。


 この村は今までで一番ダークエルフの村っぽい。何と殆どの住居が木の上に作られている。ツリーハウスの村だね。ちょっとワクワクする。


 ここら辺の大木は地竜でも倒すのに苦労するそうだ。しかも木と木を移動できるようにしてあるので、地竜が頑張って木を倒しても別の木に移動しているので、無駄骨に終わる。


 それを繰り返して、地竜にここら辺に近づいても無意味だと教え込んだそうだ。捕まったら食べられるけど、木に登れば逃げられるし、あんまり近づいて来ないから結構安全みたいだ。移住とか決断してくれそうにないな。地竜と同じく僕達も無駄骨にされてしまいそうだ。


 森の女神様も移住しそうにない村は印を付けないで欲しい。かなりやる気を失っていたら、別の方面から移住を希望する理由が出た。森の女神様、文句を言ってごめんなさい。


 資金 手持ち 34金貨 73銀貨 88銅貨


 ギルド口座  0白金貨 70金貨


 貯金船    189白金貨 胡椒船 45艘


 慈善事業費  95白金貨 70金貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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