表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第九章
184/568

7話 土地の購入と竜の森

 土地の大体の大きさを決めて満足していると商業ギルドのおっさんが話しかけて来た。


「かなり場所を取ったな。この規模だとボロボロでも城壁の中だ、4~5白金貨は掛かるぞ払えるのか?」


 確かに、心配になるよね。でも資金は1000白金貨以上だ。日本なら大問題になっている、市場が余裕で建てられるぐらいだ。この程度なら余裕があるよね。


「資金には余裕がありますから、大丈夫です」


「そう言えば魔導士様の手伝いだったな。侯爵様の紹介だし余計な心配か。なら、あの範囲内の値段の計算と、まだ権利を持っている奴がいたら、話を通しておく。まあ、土地を手放したい奴も多い。10日後を目途に商業ギルドに来てくれ。あっ、そもそもあの土地を何に使うんだ?」


「あぁ、言ってませんでしたね。あの土地に孤児院を作るつもりです」


「はぁ? 何で孤児院なんだよ。儲かるのか?」  


 孤児院が儲かるとか聞いた事無いな。


「儲かるとかではないみたいですね。魔導士様の気まぐれと理解してください」


「気まぐれなのか。聞いた話だが王族を土下座させたり、帝国海軍を壊滅させたりと無茶苦茶なんだが、今度はデカイ孤児院を作るのか。良く分からん方のようだな」


 僕は殆ど何もしていないんだけどね。


「あはは、そうなのかもしれませんね。10日後にまた来ますが、土地を購入したら直ぐに建設可能ですか?」


 無理っぽいけど一応聞いておこう。


「それは無理だな。人も資材も全部がたりねえ。最低でも海軍本部が落ち着いてからだろうな。まあ貴族も屋敷を直したり建て替えたりするだろうから。さらに時間が掛かると思うぞ」


 海軍本部はまだしも貴族の屋敷とかもあるのか……のんびり待っていたら、簡単に1年とか過ぎそうだな。自分で資材と人材を連れて来るしかないのか? 


「隣国から、資材や人材を運んで来るのは良いんでしょうか?」


「ん? 出来ん事は無いだろうが、既に隣国から資材は輸入しているから、隣国行っても数は確保出来んし、値段も高騰しているぞ」


 楽は出来ないか。何を如何するかはルト号に戻ってからの話し合いだな。


「分かりました。ありがとうございます。何か考えてみます。では10日後に商業ギルドに伺いますね」


「おい、ちょっと待て。契約はどうするんだ? 手付を払っとけば、交渉の優先権が持てるぞ。まあ、あの場所を買う奴が直ぐに現れるとも思えんが、買えるうちに買おうって奴がいるかもしれんぞ」


「あっ、お願いします。手付は幾ら払えば良いですか?」


「んー、そうだな。10金貨ぐらい払っておけば、問題無いな」


 ここで別れる気満々だったけど、商業ギルドのおっさんと商業ギルドに戻る。10金貨払って契約を結ぶ。


「アレシアさん、観光をする雰囲気でもないですし、これから船に戻るので構いませんか?」


「そうね。浮かれる雰囲気ではないから、戻りましょうか」


 ルト号に戻り、サロンで缶コーヒーを飲みながら今後の予定を話し合う。


「10日後まで時間が空きましたけど、どうしましょう?」


 中途半端な日数なんだよね。ダークエルフを探しに行くには時間が足りない。資材を先に買いに行くか? 前に行った隣国の港町オーフスも時間が掛かる。しかも資材が少なくなっているらしいから、10日後は無理っぽい。


「ワタルさんは何かする事はあるの? ダークエルフの村は10日では無理よね?」


「それが問題なんですよね。やる事に時間が掛かるので10日だと短いです。アレシアさんは何か思いつきませんか? あれだったらお休みにしてルッカで過すのも良いですね」


「うーん、今のルッカは休み辛いわね。お休みにするのだったら、私はワタルさんと船で過させて貰えると嬉しいわ。みんなはどう?」


 ジラソーレのメンバーが話し合う。みんな騒がしいルッカより、船での生活の方が断然いいと言ってくれている。騒がしいという理由はあるけど、船を選んでくれると嬉しいよね。


 やる事が無いのでジラソーレと一緒に外海で、のんびりする事に決まった。ルッカに来るまでの航海も休日みたいな物なので、移動が増えると休みが多いよね。



 ………………



 それから10日間は豪華客船の施設をフル活用して満喫した。ジラソーレとの仲は、楽しくお酒を飲んだり一緒に泳いだりと、悪くはないはずなのだが、一向に進展しない。


 なんだかなー、細かく頑張っているんだけど、上手く行ってるのかすら分からない。本気でイルマさんに相談するしか無いのか? 


 イネスとフェリシアにも聞いてみた。頑張っているのは分かるけど、ストレートに言わないと通じないから無意味だと、僕の細かい努力は全否定された。


 失敗したら後々気まずいから踏み切れないのだが。このままだと何の進展もせず時間が過ぎて、他の男にジラソーレが攫われて行く未来が見える。


 ……あとの事も考えると玉砕してもダメージが少ないように、孤児院の完成と豪華客船の開放、ダークエルフの移住を終わらせてからか、考えれるだけ考えておこう。


 悩んで疲れたら、リム、ふうちゃん、べにちゃんを連れてキッズコーナーに遊びに行く。日本に居た時は動物系のカフェに行く人の気持ちが分からなかったが、今なら少し分かる。大好きなスライムと一緒だと癒されるよね。


 

 ………………

 


 カリャリの街の商業ギルドに到着して中に入る。相変わらず暇だったらしく、中に入ると直ぐにおっさんが声を掛けて来た。


「おう、土地の用意は出来たぞ。海軍本部の許可も得た、なんの問題も無いぞ」


「ありがとうございます。しかし、海軍本部の許可って何ですか?」


「ん? あぁ、海軍本部の近くにデカイ敷地を確保するんだからな。海軍のお偉いさんにも話を通しておかんと、後で問題が出る場合があるからな。


 まあルッカ侯爵様の紹介状と魔導士様の関係者って事で、あっさりと許可が出たぞ。ただお偉いさんも魔導士様に興味があるからな。海軍本部も編成やらなんやらで忙しいらしいが、時間が出来たら会いたいと言っていた。いずれ連絡がいくと思うぞ」


 大きく動くと、お偉いさんに会う機会が増えるんだな。孤児院やら豪華客船やらと色々あるから顔を繋いでおく必要もある。豪華客船が来ればカミーユさんに丸投げだから、それまで頑張るか。


「分かりました。ですが、土地の契約をした後に資材や人材を集めに出航するつもりなんですけど……」


「ああ、今すぐの話じゃないから大丈夫だ。海軍本部が落ち着いてからになるだろう。それからだな」


 海軍本部が落ち着くより早く、用事を済ませれば会わなくて済む……いや、どっちにしろ豪華客船が来たら招待しないと駄目だろう。結局会う事にはなるか。連絡が来てからだな。


「分かりました。あとは土地の契約ですね。いくらになりましたか?」


「ああ、4白金貨30金貨だ。儲けは殆どないから値引きは出来んぞ」


 いきなり最安値にしてくれたのか? なんでだ?


「安くしてくれるのは嬉しいのですが、いきなり儲け無しって言うのはどうしてですか?」


「ああ、ルッカ侯爵様の紹介、魔導士様との関係、孤児院、大規模な工事、色々な要因があるんだが、一番は土地が浮いている事だな。土地が余っている状況は良くないんだよ。さっさと買って、さっさと開発して貰わんと、街にも人にも活気が戻らん」


「土地が安いのなら、買い占めに走る人も多いのでは?」


「そういう奴は、良い場所を選ぶんだよ。ブレシア王国は帝国の奇襲で全体的に土地が浮いているからな。港も海軍が優先で使い辛いし、土地の売買も国の重要施設があるぶん手間がかかる。人気がないんだよ」


 ……豪華客船が来たら、土地の値段が上がるんじゃないのか? 大儲けの予感がする。取り敢えずお金を払ってから聞いてみよう。


「分かりました。5白金貨からお願いします」


「おう、じゃあ契約するか」


 商業ギルドと契約を結びカウンターに戻る。あとは土地の事を聞くだけだな。


「あのー、この先、カリャリの街に人気が出そうな情報があるんですが、僕が土地を買い占めるのはありなんですか?」


「……どういった情報なんだ?」


「内緒です」


「土地の値段が上がると言っておいて、隠す意味があるのか?」


「まあ、絶対という訳ではないので……それで買い占めるのは良いんですか?」


「紹介状には何処までと書いていないから、買う事は可能だが、直轄領で無茶をやると紹介したルッカ侯爵の評判も下がるぞ。俺は買い占めて開発してくれるんなら助かるが」


 ……やめておこう。他でも稼げるのに、味方になってくれそうな侯爵様を敵に回す必要も無いだろう。土地の値段が上がる理由を探られたが、なんとかはぐらかしてルト号に戻る。


「ご主人様、これからどうするの?」


 一息ついているとイネスが聞いて来た。


「うん、先に孤児院を建てる人材と資材を集めてから、建設中にダークエルフを探しに行くのが時間の節約にはなるんだけど。隣国まで資材が不足しているんだよね。どうしようか迷ってる」


「資材と人材を集めるってどうするの?」


「うーん、少し離れた国に行くか、いっその事、南方都市まで戻ってカミーユさんに資材や人材を集めて貰うのが良いかもね。どう思う?」


 初めての場所で大量買いをするより、カミーユさんに任せた方が間違いが無さそうだけど、距離があるんだよね。


「南方都市に戻るのならダークエルフの探索を先にした方が良いかも。そのまま連れていけばダークエルフの島も近いでしょ」


「うん、南方都市に戻った方が確実だから、ダークエルフを探してから南方都市に向かおう。ジラソーレもそれで良いですか」


「ワタルさん、私達は気にしないで好きに動いていいのよ。私達は専属護衛みたいなものなんだから」


「ありがとうございます」


 なら、ダークエルフの村に行くか。森の女神様がマップにダークエルフの村の印をつけてくれたから、大体の場所は分かるんだけど、行った事が無い場所だから、何もない記入されていない所にポツンと印だけが浮かんでいる。


「ジラソーレの皆さんは此処がどの辺りか分かりますか?」


 マップ画面をジラソーレに見せる。


「ここからの距離と海沿いの地形を考えると……地竜の森よね。ドロテア、どう思う」


「ええ、間違い無いと思うわ」


「……ダークエルフは危険な森に隠れてるって言ってたけど、ここなのね。どうやって生き残っているのかしら?」


 何だか凄く物騒な所らしい。地竜の森ってどう考えても竜が出るよね。


「アレシアさん、どんな場所なんですか?」


「帝国とブレシア王国を遮っている大きな森なの。名前の通り地竜が住んでるのよ。旅に出る前に探索に入ったんだけど、奥に入るのは諦めたわ。今だったら地竜が一匹なら対処出来るでしょうけど、群れに遭遇したら無理ね。ワタルさんの能力が無かったら入りたくない場所ね」


 名前通りの場所らしい。本当にどうやって生き残ってるんだ?


「船召喚があれば問題はありませんか?」


「ええ、大丈夫よ。よいレベル上げになるわ」


 なるほど、竜が安全に倒せるのなら良いレベル上げになるな。魔の森よりはマシな気がする。あそこはある意味理不尽だったからな。


「どう行くのが良いですか?」


「そうね。印の位置から見ると、印の真横まで船で行ってそのまま森に入るのが一番速いんじゃないかしら?」


「距離的には一番近いですが、ある程度探索が済んでいる場所から入った方が進みやすいとかありませんか?」


「うーん、まったく無いとは言わないけど、何処も表層しか探索されていないから、距離が近い方が良いと思うわ」


 どこからでもたいして中に進んでいないから、何があるのか分からない。それなら距離が近い方がマシって事なんだな。


「分かりました。じゃあそうしましょう」


 目標を決定した。商業ギルドのおっさんに資材と人材を集めて来るので、数ヶ月戻って来ない事を伝える。どのぐらい掛かるのか分からないから、数ヶ月としか言えないよね。ダークエルフの移住が手早く済めば3ヶ月ぐらいかな?



 ………………



 自動操縦で3日、ストロングホールド号からルト号に乗り換え森の側に到着する。ここが地竜の森なんだな。帝国に行く時に通ったけど、そんな物騒な森だとは全く気が付かなかったよ。


 どう行動するのかをある程度確認して、いよいよ森の中に入る。

 

 資金 手持ち 34金貨 73銀貨 88銅貨


 ギルド口座  0白金貨 70金貨


 貯金船    190白金貨 胡椒船 45艘


 慈善事業費  95白金貨 70金貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ