15話 閑話 街の人達からみたワタル
いかつい顔のおっさんから見たワタル。
ギルドが混む時間帯に俺はカウンターに座る。馬鹿な冒険者が暴れたら取り押さえるのが俺の役目だ。
ある日ギルドに平凡な顔の、平凡そうな男が入ってきた。疲れているようで受付カウンターの行列を見てうんざりしている。
空いている俺のカウンターを見て、他の受付嬢をみて、葛藤の末に嫌々俺のカウンターにきやがった。冒険者登録をしてやったら疲れた顔をして帰っていった。
それからは毎日角兎を狩って持ってくるようになった。嫌がらせで視線でここにこいと促すと、渋々このカウンターにやってくる。
目線がギルドの美人受付嬢達を見つめているが、そうはさせない。それからはあいつをギルドの美人受付嬢のカウンターに並ばせないのが俺のライフワークになった。
今日はこなかったな。そう考えていると受付嬢の1人が教えてくれた。今日は休むように勧めたそうだ。あいつ、全然休みをとってなかったらしい。
それから、あいつは訓練をはじめて、混む時間帯にギルドのカウンターにこなくなった。
嬉しそうにギルドの美人受付嬢のカウンターに並んでいるのを見て、ムカついたのであいつがくる時間帯に、俺もカウンターに座ろうとしたら、必要ないと追い出された。あいつは逃げやがったんだ見損なったぜ。
キツネミミの綺麗なお姉さんから見たワタル。
平凡な子がギルドに角兎を納品するようになった。礼儀正しくて私の耳が気になるのかチラ見する。冒険者には珍しいタイプの少年だ。
角兎の依頼は塩漬けになりやすく、依頼も出されることが少なくなっていたが、その子が角兎を納品しだしてからまた依頼が増えだした。
基本的な事もあまり知らない様子で、よく質問をしてくる。他の冒険者は、ゴブリン等の討伐依頼を受けて早くランクアップを目指すが、彼は角兎の依頼ばかり受けているので、何故か質問してみた。
ゴブリンって怖いじゃないですかっと彼は答えた。本当に珍しいタイプの少年だ。他の冒険者達は、自分の力を誇示する事が当然で、臆病者だと思われるのを何より嫌う。どんな育ち方をしてきたのか、少し興味があるわね。
気を付けて、いってらっしゃいと言うと。嬉しそうに返事をするので、少しかわいいと思ったのは内緒です。
何故かギルドマスターとよく分からない攻防をしているみたいで、トボトボとギルドマスターのカウンターに向かうあの子をよく見るようになった。何をしているのかしら?
働き過ぎに思えたので休日を取る事を勧めた。次の日、嬉しそうに今まで観光をしていなくて、観光してみたら休日が楽しかった事を報告してきた。観光すらしていなかった事に私は驚いた。
それから訓練を始めたいと言って講師の紹介を頼まれた。角兎の納品が減るのを残念がったら、他の冒険者に話したら、他の冒険者も角兎を狩るようだと教えてくれた。その後、角兎を納品する冒険者が増える。
何故かギルドマスターが、彼がくる時間帯にカウンターに座りたがり、必要ないので追い出したら、奴は逃げやがったんだと力説していた。くだらない匂いがプンプンする。
アルド達から見たワタル
毎日角兎狩ってる変わった奴だと思っていたら、ある日話しかけてきた。森に興味があってどんな場所なのか知りたいようだ。
1人で行くには危険だと教えると、冒険者か商人か迷っていてパーティーが組み辛いと答えた。明日から訓練をすると言っていたし、真面目なやつだ。冒険者よりも商人や職人の方が向いてそうだな。
角兎の事を聞いてみたら、あっさり教えてくれた。なんと1人で俺達パーティーより稼いでいた。パーティーで話し合い、とりあえず教わった通りにやってみると、あっさり収入が3倍になった。
強くはならないし連携が鈍くなると言われたので、ゴブリン狩りと角兎狩りを交互に行うようにしたが、角兎狩りに慣れると報酬がゴブリン狩りに比べて6倍になった。報酬が違い過ぎてゴブリン狩りが悲しくなってくる。
訓練に慣れてきたので、森に行く臨時パーティーを探すとワタルが言い出したから、森に連れていってやると言ったら喜んでいた。
俺達の方が断然恩恵を受けているので、当然なんだが。角兎の情報の価値を全然理解していないようだ。商人も心配だな。
少し緊張していたが、きちんと槍は振れていてゴブリンは簡単に倒せるようだ。しかしスライムをみてかわいいと言い出したり、触っては「もっちもっちふぉーーー」と叫びだしたのには引いた。
ギルドの講師たちから見たワタル
可もなく不可もなく、まあ一般レベルにはなれそうだな。
ナイフの講師から見たワタル
向いてない。敵に近づかれて目をつむったら駄目だろう。ナイフはやめておけ。
その他の冒険者視点
あいつ毎日角兎狩ってるなー、よく飽きないよな。
女将さん×2
毎日真面目に狩をして礼儀正しいしいい子だね。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。