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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
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25話 事情説明と今後の計画

 神界で創造神に……光の神様に女性陣に説明する許可を貰い、ついでに色々な依頼を受けてしまった。どう説明するか、内容を考える。どうしたものか、複雑に話すと余計な事まで言ってしまいそうだ。シンプルにして、話す内容を出来るだけ少なくしよう。


 話す内容を頭の中でグルグル回しながらコーヒーを飲む。なんか考え続ける事に疲れて来たな。さっさと話して気分をスッキリさせたい。


 キャッスル号のソファーに寝転がり、ボーっとしているとルト号が戻って来た。タラップに迎えに行く。暴れてスッキリした顔の女性陣がタラップを登って来る。


「お帰りなさい。どうでしたか?」


「ワタルさん、ただいま。ふうちゃん、べにちゃんもレベルが上がったわ。リムちゃんはワタルさんが確認してね」 


 アレシアさんが楽しそうに答えてくれた。ドロテアさんはべにちゃんをマリーナさんはふうちゃんを嬉しそうに撫でている。順調みたいだな。


「分かりました。それで、話す内容が纏まったので、今から良いですか?」


「ええ、もちろんよ」


「じゃあ、……楽な格好に着替えた後に、ドーナツ屋でおやつを食べながら話をしましょうか」


 部屋着に着替えて、ドーナツ屋に向かい、紅茶とドーナツを注文してテーブルに座る。


「それでは、今から話す事は秘密でお願いします」


「秘密? ワタルさんがそう言うのなら私達は話さないけど、危ない話じゃないわよね?」


 ……危ない話……信じて貰えなければ、僕が危ない人間だと思われそうな話だよね。……話すのが不安になって来た。


「危ない話ではありませんが、信じ難い話かと思います」


「……何だか聞くのが怖くなって来たわ」


 僕も話すのが怖いです。


「やめておきます?」


 アレシアさんは女性陣全員の顔を見て確認する。みんな頷いちゃってるね。


「ワタルさん、聞かせて貰うわね」


 やっぱり聞いちゃうんだね。


「分かりました。簡単に言いますと、僕が出かけていた3日間は……キャッスル号に神様方が降臨されていました」


 イルマさん以外は何言っているのって顔で見ている。イルマさんはやっぱりって顔だ。イルマさんの推理力が恐ろしいな。


「……冗談だったりしないのかしら?」


「アレシアさん、残念ながら本当です」


「わ、ワタルさん、どうして降臨されたのでしょう?」


 クラレッタさんがワタワタしながら聞いて来る。一緒に揺れるお胸様が素晴らしい。


「異世界の文化を体験したいと仰ってました」


 単に遊びに来たとは言い辛い。


「もしかして、教会で神様とお話されているんですか? この前、お祈りした後、急にサポラビちゃん達を召喚していましたよね?」


「クラレッタさんの言う通りですね」


「凄い、凄いですワタルさん。神様とお話しできるなんて」


 クラレッタさんのテンションが急上昇だな。


「クラレッタさん、落ち着いてください。話すも何も降臨されてますから」


 バッっとこちらの方を向くクラレッタさん。よく分からなくなっているな。明らかにテンションがおかしい。


「そうでしたね。そうでした」


 今のクラレッタさんと会話を続けるのは危険な気がする。話を進めよう。


「まあ、そんなこんなで神様方が降臨されて、ちょっとした事で力を使われた結果が、あの轟音と光です。信じて頂けますか?」


「え、ええ、ワタルさん以外の人が言っていたら、頭のおかしな人だと思うわ。でも、ワタルさんの場合は……信じるしか無いわよね。異世界と船召喚だけでも神様との繋がりが想像出来るわ」


 良かった。頭のおかしな人って所は回避できた。信じてもらえて嬉しいんだけど、自分で言っていて胡散臭いからな。神様が降臨されました……僕だったら病院に行く事を進める。


「概ね間違ってないですね。神様との繋がりはアレシアさんの言った通りです。約束通り秘密にしてくださいね」


「秘密も何も、言っても信じて貰えないわよ。たとえ信じて貰えたとしても大騒ぎよ。絶対に誰にも言わないわ」


 アレシアさんも僕と同じ意見だったか。言ったら友達を無くしそうな内容だもんね。広めてってお願いしても沈黙を守るレベルだ。


 テンションの上がったクラレッタさんをなんとか落ち着かせる。次の説明をしないとな。頭のおかしな人にならなくて良かったけど、これから神様の依頼の話をしないと駄目なんだよね。


「ありがとうございます。それで、まだ話があるんです。実は神様の事を皆さんに話す許可を得たんですが、3つの依頼を受けてしまいまして。お手伝い頂けたらと思います」


「あの、ワタルさん、依頼って、神様からの依頼なの?」


「はい」


 アレシアさんが頭を抱えている。


「あの、駄目ですか?」


「神様からの依頼を断れると思うの? やるわよ。やるしかないじゃない」


 巻き込んでしまって申し訳ない。でも巻き込まないと僕だけでは無理なんです。……好感度が気になる。


「巻き込んでしまって申し訳ありません。商売の神様が依頼料は弾んで良いと言っていましたので、期待してください」


「はー、普通に神様の名前が出て来るのが怖いわ。それで依頼って何なの?」


「一つ目は、美食神様と娯楽神様に頼まれた、豪華客船の開放ですね。これは新しい豪華客船を買ってからで良いそうなので余裕があります。


 二つ目は商売の神様からの依頼で、神界に集まった貨幣を世の為に使って貨幣を回す事です。殆どが船召喚で集まった貨幣なので自業自得ですね。計画はまだ決まっていませんが、取り敢えず孤児院とかを作ろうかと考えています。


 三つ目は森の女神様からの依頼で、隠れているダークエルフを助けに行く事ですね。場所は教えて貰えましたので、行って説得してダークエルフの島に連れて行く感じです。この三つですね」


「孤児院! 素晴らしいですね。ぜひお手伝いさせてください」


 クラレッタさんのテンションが再び急上昇だ。落ち着かせるのは大変そうだな。


「お願いしますね、クラレッタさん」


「はい!」


「あの、ご主人様。森の女神様は私達ダークエルフの事を気に掛けて下さっているのですか?」


 あっ、そうかフェリシアは気になるよね。ずっと森の女神様を信仰しているんだから。


「うん、とっても気にしていたよ。下界に干渉してはいけないから、森を少しだけ豊かにするのが精一杯だって仰って辛そうだった。僕にダークエルフの事を頼めてとても喜んでいたよ」


 あー、フェリシア、泣いちゃったね。……しかし、見返りにデートと耳かきを約束した事は、絶対に言えないな。本気で軽蔑されそうだ。


「フェリシア、よかったね」


「は、はい」


 女性陣も目を潤ませ、感動している。こんな状況で秘密を守らないといけないと、怯えている自分が恥ずかしい。リムがフェリシアを心配してよじ登り頬にスリスリする。美しい光景だ。


 なんだか穏やかな時間が流れる。暫くまったりして、落ち着いてから話の続きを再開する。


「でも、ワタルさん。神様の依頼だからしょうがないのかもしれないけど、一つ目の話は大騒ぎになるわよ。良いの?」


 良くないよね。面倒事が集まって来るだろう。勢いで承諾してしまった事を後悔しています。


「良くないです。ですが今のところ魔導士様に注目を集めるぐらいしか思いつきません。あと、豪華客船の運営の為にできればカミーユさんを引き抜きたいですね」


 僕達で豪華客船の運営は無理があるよね。物や部屋の値段決めとかどうして良いのかすら分からない。願望も混じってるけど、カミーユさんなら大丈夫な気がする。


「うーん、ワタルさん、どんな順番で動くの?」


「順番ですか? ……クラレッタさん、南方都市の孤児院はどんな感じですか?」


「南方都市の孤児院は、豊かとは言えませんが、何とかやっていけている状況ですね」


「うーん、それなら、孤児院を作った方が良いですか?」


「そうですね、スペースは余っていますので、何方かと言うと寄付をして頂ける方が助かると思います。もちろん孤児院が出来れば、その分楽になるのは間違い無いですね」


「そうですか、商売の神様は誠実にやっている所なら、少しの寄付は構わないと仰ってましたので寄付にしておきますか。南方都市なら何度も寄付できますからね。そうなると何処に孤児院を作れば良いのか」


「ワタルさん、図々しいお願いですが、ルッカに作って頂けませんか? ブレシア王国は帝国に攻められました。孤児が沢山居ると思うんです」


 うーん、ブレシア王国のダークエルフが住む森も教えて貰ったから、ついでに移住を勧めに行けば効率も良い。いっその事、豪華客船もブレシア王国に設置するか?


 それなら、関わる偉い人は魔導士の力を知っているルッカ侯爵様と王太子様ぐらいで済むかも。他の貴族もチョッカイを出してきそうだけど、ルッカ侯爵と王太子様をバックに付けることが出来れば、何とかなるだろう。


 王太子様とルッカ侯爵様を豪華客船に招待して、ブレシア王国に豪華客船がある利点を証明する。煩わしいチョッカイがあれば別の国に行くと言えば、全力で守ってくれるよね?


 そうなったら街を作るか? 豪華客船が中心の街……カッコいいかも。あっ、召喚能力がモロバレになるな、それに海に浮いていた方が、何時でも去れるって脅しやすい。


「豪華客船は船を買ってからなので先延ばしにして、孤児が沢山居たら、ルッカに巨大な孤児院を作りましょうか。そうすればブレシア王国の沢山の孤児を集められますし、商売の神様の依頼も達成しやすくなります」 


「ワタルさん、ありがとうございます」


 うーん、今回の件でクラレッタさんの好意はかなり上がった気がする。でも他のジラソーレのメンバーは……下がっていない事を祈りたい。


「では、南方都市で胡椒を卸して、商業ギルドでカミーユさんを引き抜きます。その後にルッカに行って孤児院の準備をして、ブレシア王国に居るダークエルフに移住を勧めるのはどうでしょう?」


「ブレシア王国にもダークエルフの村があるのね。ルッカなら私達にも知り合いが沢山いるから孤児院も作りやすいと思うわよ。国内も大体行った事があるから、役に立てると思うわ」


 おお、アレシアさんが自信満々だ。そう言えば戦争でかなり人気者になってたから、更に上手く行きそうだな。最初はルッカに決定しよう。


「じゃあ、アレシアさん達に交渉をお願いするという事で、ルッカに孤児院を作りましょう」


「ふふ、私達も頑張るけど、丸投げは駄目よ。ワタルさんも頑張ってね」


 丸投げは駄目か。楽ができると思ったのに。……まあ、頑張るか。


「ご主人様、南方都市の前にダークエルフの島に寄って貰うのは大丈夫ですか?」


「ん? 近くだから全然良いけど、どうして?」


「はい、場所が分かっているのなら、ダークエルフの島に移住者が増えると思うんです。先に建築用の木材を準備するように伝えておいた方が良いかと。あと、森の女神様の立派な神殿を作る様に伝えたいです」


「あー、うん、伝えておいた方が良いね。温泉の事もあるから。でも神殿の事は駄目だよ。神様の事は此処だけの秘密なんだから。余裕が出来てから立派な神殿を作れば良いんじゃないかな?」


「そうでした、内密の話でしたね。ご主人様、申し訳ありません」


 フェリシアは感極まってたからな。忘れていてもしょうがないな。


「うん、今回は良いけど、これからは気を付けてね」


「はい」


 取り敢えずシーカー号に乗り換えてからダークエルフの島に出発する。のんびり昼食を食べながら今後の事を話し合う。


 数時間後、何時もの場所にシーカー号を止めると、村長さんが大声で声を掛けて来た。珍しいないつもなら降りるまで待っているのに。ご無事ってどうしたんだ?


「無事ですが、何かありましたか?」


「いえ、ワタルさんが向かわれた方向から、激しい光と大きな音が何度も響き渡ったので、心配しておったのですよ」


 こんな所まで聞こえていたのか……遮蔽物が無いからか? しかし、色んな所に迷惑を掛けているな。さすが神様、ハンパ無い。


「ああ、あれは、ジラソーレの方達が魔法の特訓をしていたんですよ。ここまで届いていたとは驚きです。ご迷惑をお掛けしました」


 苦しい言い訳だ。


「そうなんですか、Aランクの冒険者は凄まじいのですな」


 信じてくれたらしい。話を合わせてくれただけかな?


「はは、僕では想像もつかない強さですね。村長さん温泉と鉱山の方はどうなりましたか?」


「副村長が行きましたがまだ戻っていません。しっかり整備をしてくるので、戻って来るには時間がかかると思います。村に移動しませんか?」


「いえ、申し訳ないのですが、直ぐに出発します。ダークエルフの村の情報が手に入ったので、数か月後には移住者が増えるかもしれません。それを伝えに寄っただけなので」


「なんと! ありがとうございます。木材の準備も頑張らねばいけませんな」


「ええ、移住を断られるかもしれませんが、準備だけはして頂けると助かります」


「断られる可能性もあるんですな。ダークエルフ同士での符丁でもあれば良かったのですが。残念ながら無いのです。申し訳ありません」


 符丁か、そんな物があれば、説得が楽なんだけどな。まあ、頑張るしかないか。


「いえいえ、頑張って説得してみます。それでは、そろそろ行きますね」


 村長さんと別れ、シーカー号に戻り、南方都市に出発する。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
異世界の王族や料理人を招くにしてもいきなり豪華客船はやはりまずいと思いました。 中型のフェリーから機械的な物を排除して異文化レストランで食事をとらせるのくらいでいいと思いました。 あとお風呂くらい…
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