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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
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23話 最終日と説明の確認

 神様滞在最終日……あれから戦神様には会っていない。光の神様に聞いてみると困った笑みを浮かべ、強制送還された事だけ教えてくれた。……深く考えない事が良い時もある。 


「光の神様、もう直ぐ戻る時間ですがキャッスル号はどうでしたか?」


「楽しかったです。スパも温泉も、とてもリラックス出来ました。何より創造神様が問題を起こさないので、凄く楽でした」


 創造神様が問題を起こさないのが高評価みたいだ。疲れた雰囲気が殆どなくなっているからリラックスできたのも本当みたいだ。


 昼間はスパに通い、昨晩は覗かれないように自分で結界を張って、温泉にも入っていたから気に入ってくれたのだろう。


「光の神様は創造神様が問題を起こさないのが、一番嬉しそうですね。なんとなく気持ちは分かりますが」


「分かって頂けて嬉しいです。あの方は退屈されると面倒を起こす性格なので、豪華客船はとても助かります」 


 創造神様はカジノにゲームセンター、映画にプール、毎日楽しそうに遊んでいる。退屈しなければ無害な存在らしい。


「あら、楽しそうね。何を話しているの?」


「豪華客船の感想を聞いていました。美食神様、帰還の準備は終わりましたか?」


「ええ、準備は終わったわ。お邪魔しても良いかしら?」


「もちろんです」  


 美食神様とご一緒する事が邪魔なら、ドンドン邪魔して欲しい。


「うふふ、ありがとう」


 光の神様と美食神様との楽しいお茶会。素晴らしいな。


「美食神様、イタリアンはどうですか?」


「なかなか面白いわね。この世界にも似たような料理があるんだけど、こだわりが段違いね。勉強になるわ」


「お役に立てたのなら光栄なんですけど。美食神様って料理以外で豪華客船を楽しみましたか?」


 殆ど料理店にいたイメージだよね。沢山料理を作ってくれたから僕は嬉しいんだけど、水着姿の美食神様が見れなかったのが悲しい。


「そうね、スパと温泉は楽しんだけど、後は料理ばかりしていたわ。でも楽しかったから十分に満足よ」


「良かったんですかね? 今度来る時は料理以外も楽しんで下さい。お勧めはプールです」


 神様を怒らせると危険だから、セクハラっぽい事はやめようと思ってたけど、美食神様の水着は見たい。


「うふふ、そうね。次はプールにも行ってみるわ」


 よし! 言質は取った。次の機会には美食神様の水着は間違いない。夢が広がる。


「ええ、楽しんで下さい」


 僕も全力で楽しみます。光の神様と美食神様に、お勧めの映画を教えたりしながら楽しく雑談をしているとあっという間に時間が過ぎる。


「航さん、少し早めにいかないといけないので、私達は教会に行きますね」


「僕もお見送りしますから、ご一緒します」


 光の神様と美食神様と一緒に教会に向かう。光の神様は色々なお店で食事をしていたみたいで、あれが美味しかったとか、美食神、ドーナツは作れるの? とかキャリアウーマン的な雰囲気が崩れてかわいかった。


 教会に到着すると大量にお酒を購入した男性神様達や、沢山の荷物を抱えた女神様達が集まっていた。神様って収納できる魔法とか使えないのかな?


「準備が出来ている神達も居ますね。まだ時間は早いですが、神界に戻りましょうか」


 光の神様が神様達に声を掛けると、順番に神像の前から消えて行く。荷物を持っていないで仕舞いなさいと怒られている神様達も居たから収納は出来るらしい。


 神様の言い分はこれだけ買ったんだから、背負った方が旅行の雰囲気が出て良いのだと熱弁していた。気持ちが分かるような、分からないような、微妙な所だな。


 なかなか楽しんで貰えたみたいで、帰り際に、僕に声を掛けて下さる神様も結構いた。地味に嬉しいな。


 神様達を見送り続けて居ると、創造神様も戻って来た。集合時間に少し遅れたけど、きちんと自分で戻って来た事に、ちょっと驚いたのはしょうがない事だと思う。


「航君、お世話になったね。なかなか楽しかったよ」


「楽しんで貰えたのなら、良かったです。またいらしてください」


「うん、ありがとう。いつ頃なら遊びに来ても良い? 次はもう少し多く神達を連れて来たいんだけど良いかな? あとまた豪華客船を買うのならそっちにも神像を設置しても良い?」


 来る気満々だな。女神様達に会えるんだから、大歓迎ではあるんだけど……光の神様を見ると、少し遠い目をしている。


「1ヶ月に1度はキツイですが、2ヶ月に1度ぐらいなら、僕の方でも対応できます。ただ、船旅に出ていたり、豪華客船を召喚できない状況の場合は無理になりますね。


 来られる数を増やすのは……この船は5000柱までは対応できるスペックがありますが、スペックだけですので、少しずつ増やして頂けると助かります。あと豪華客船はお金が貯まったらと考えていますが、聖域になってしまうので、光の神様の許可を貰ってください」


「そっかー、2ヶ月に1度なら十分かな? 後の事は教会にお祈りに来たら話し合おうね。僕も神界で話し合っておくよ。またね」


 言うだけ言って帰って行った創造神様を見送る。これは、あれだな、教会にお祈りに行くタイミングを考えないと駄目だな。


 ……後は光の神様と美食神様だけかな? 聞いてみると魔神様が戻ってないらしい。真面目そうな印象だったんだけどね。光の神様と美食神様にどうするのか聞くと、図書室に居るだろうから迎えに行くそうだ。


 予想通り図書室に居た魔神様は、光の神様、美食神様の声を聞いても本から目を離さず、半分ぐらい残っている本を読み終わるまで待てと言い放った。図太い神経をしているな。


 光の神様から頼まれ、図書室を使用禁止にした。ブツクサと文句を言う魔神様を連れて光の神様も神界に帰って行った。


 ふー、神様降臨イベントもようやく終わったか。このまま寝たい所だけど、3日で戻るって言ったからな、戻らないと心配するだろう。さっさと戻ってリムと遊んでから、イネスとフェリシアと……よし! 帰ろう。


 キャッスル号からシーカー号に乗り換え、フェリーに向かって自動操縦をセットする。1時間後には再会だ。



 ………………



 1時間後、フェリーに横付けして、タラップに乗ると、イネスとフェリシアが飛び付いて来た。なんだ? 熱烈歓迎は嬉しいんだけど、大げさだよね? 3日しか離れてないよ?


「どうしたの? イネス、フェリシア。何かあった?」


 僕の体をリムがよじ登って来て、頭の上に陣取っている。ジラソーレも全員揃っている。問題は無さそうなんだけど、どうしたんだろう?


「ご主人様、ご無事で良かったです。いったい何があったのですか?」


「えっ? フェリシア、何の事? 意味が解らないんだけど?」


「ご主人様、本当に分かっていらっしゃらないのですか?」


 なんだ?


「えーっと、よく分からないよ。取り敢えず中に入ってから話そうか」


 女性陣に何言ってるのこの人? って目で見られながらフォートレス号の中に入る。取り敢えず自販機コーナーに向かい、飲み物を買って席に着く。


「それで、何で心配してたの?」


 女性陣に一斉にため息をはかれる僕。なんだか不本意だな。


「ご主人様が向かった方向から、夜になって激しい轟音と光が何度も何度も起こったの。私達が迎えに行こうにも、船は動かせないでしょ? 心配する事しか出来なかったの。


 海のど真ん中でそんな事が起こったら、ご主人様が関係しているって思って当然でしょ? 心配するわよね? それともご主人様はあの光と音に気が付かなかったの?」


 あー、なるほど。イネスの言う通りだ。確かにあれは凄かった。ここまで音や光が届いていたんだ……心配するよね。僕は騒動が片付いたからすっかり安心して女神様方に夢中だったよ。誤魔化すのは難しい……問題はなんと説明するかだよね。……無理だ、上手に説明できる気がしない。


「いや、気が付いたよ。その光と轟音は僕が関係してる。……でも、説明はちょっと待ってね。なんて説明したら良いのか分からないんだ」


 そもそも説明して良いのかすら分からないんだよね。明日教会に行って聞きに行かないと。答えてもらえるだろうか?


「整理がついたら話してくれるのよね?」


 創造神様の許可が得られれば、問題無いけど。許可が得られなかったら……僕の頭脳をフル回転させて話をでっち上げないといけないのか。無理だな、あんな光と轟音を如何したら説明できるんだよ。有耶無耶にする方が楽そうなんだけど、それも難しそうだ。創造神様に聞いてから考えよう。


「うん、だからちょっと待ってね」


「分かったわ」 


 取り合えず説明を後回しにする事を女性陣に納得してもらえた。軽くビールを飲みながら女性陣の話を聞く。僕が出航したら、その晩にあんな事が起こったから、どうするのか話し合ってばかりだったそうだ。


 フェリーだけだから女性陣が追いかけられなかったのが幸いしたな。ガレット号とかを残していたら面倒な事になっていたよね。神様が暴れている場所にクラレッタさんが来たりしたら、どうなるのか想像もつかない。


 ジラソーレの皆もかなり心配してくれていて嬉しい。アレシアさんにあまり心配させないでねっと、軽く怒られた事も、何故かカーラさんに頭を撫でられた事も、クラレッタさんにお怪我が無くて良かったですと、優しく労わって貰えた事も、全てご褒美だ。


 ただ、イルマさんがコッソリ近づいて来て、僕の耳元に色っぽい声で教会と関係あるの? っと言われた。耳元に掛かる甘い吐息と、ふみょんと肩に当たるお胸様の柔らかさに意識が取られるが、教会の言葉で素に戻らされる……なんかイルマさん、だいたい予想ついてる?


 夜も遅くなったので今日はそのままフォートレス号に泊まる。久しぶりにリムの変化の特訓を見学して、イネスとフェリシアと眠る。なんか落ち着くな。



 ………………



 朝食はキャッスル号で取る事になったので、船を乗り換えてフェリーを送還する。キャッスル号に乗り換えた時、クラレッタさんが船内に神聖な空気がっと騒ぎ出したが、答えようが無いので誤魔化しながらメインダイニングで朝食を取る。念じて綺麗にしてたはずなのに、残り香でも残ってるのか? ……イルマさんの目が怖い。しかし朝食は、美食神様が作った方が美味しいな。


「ワタルさん、今日はどうするの?」


「あー、僕はちょっと皆さんに話す事をまとめたいので、自由行動でどうですか? アレシアさんは何かしたい事がありますか?」


「ええ、ドロテアとマリーナが魔物を討伐したいって言ってるの。駄目かしら?」


 そう言えば昨日戻って来た時も、フェリーの周りに魔物がいたな。あれがキャッスル号の周りに集まってるのか。ふうちゃんとべにちゃんのレベル上げだろうから、イネスとフェリシア、リムも連れて行ってもらおう。


「分かりました、ルト号で良いですか?」


「ええ、十分よ。朝食が終わったらさっそく行きたいんだけど良いかしら?」


「構いませんよ。終わったら向かいましょう」   


 リム、ふうちゃん、べにちゃんのお裾分け行脚も終わり、タラップでルト号を召喚する。イネスとフェリシア、リムを連れて行ってもらう。


 さて、教会に行くか。創造神様に呼んで貰えると助かるんだけど、大丈夫かな? 教会に到着して神像の前で跪き祈る。


「航君、昨日の今日でどうしたの?」


 おお、呼んで貰えた。光の神様もいるな。助かる。


「あっ、創造神様、ありがとうございます。実は問題が起こりまして、相談させて頂ければと」


「問題? どうしたの?」


「あの、覗き騒動で色々と派手な攻撃が飛び交いましたよね。あれがフェリーに居る女性陣に心配を掛けてしまいまして。どう説明したものかと。


 僕だけであれだけの轟音も光も起こせないので、まともな説明が出来そうにないんです。神様の事を話しても良いですか?」


「……そんな問題がありましたか。ご迷惑をお掛けしました」


「あはは、戦神が文句言ってきたら、今の話をしてあげよう。どんな顔をするのかな? ねえ、航君、どう思う?」


「光の神様、こちらこそ申し訳ありません。僕が上手く説明出来れば、お手数をお掛けする事も無かったのですが。あと創造神様、僕に神様の内輪話を振らないでください。何と答えたら良いのか分かりません」


「航さん、神の事も覗きの事も事実ですので説明は問題ありません。ですが、航さん達の中で納めて頂けると助かります」


「えー、戦神の覗き騒動は広めようよ。絶対に面白いから。ねっ、航君!」


「光の神様、ありがとうございます。神様が降臨されて力を使われた事だけ、内密で話させて頂きます。あと創造神様、お願いですからそういう話を僕に振らないでください」


 説明する許可を得たので、戦神様の恥を下界に広めようとする要請を何とかかわしてキャッスル号に戻して貰えるように頼む。


「あっ、良かった。まだいたね異世界人君。ちょっと話があるから待ってね」


 なんだ? いきなり娯楽神様が現れた。……娯楽神様って吐きそうだな発言から、苦手なんだよね。嫌な予感がする。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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