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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
173/568

21話 光の神様と美食神様

 目の前には楽園が広がっている。一通り船内を巡り、プールに到着すると。水着に着替えた女神様が楽しそうにはしゃいでいる。


 水着姿の女神様達は素晴らしい。水着の誘導をしていないので、ワンピースタイプの水着を着ている女神様もいるが、ビキニタイプを選んでいる女神様も居る。


 プールサイドでビデオを回す許可を得て、いくつかに分かれているプールを撮影しながら歩き回る。こうなると森の女神様の水着姿も見たい。チャンスがあれば良いんだけど。


 展望ジャグジーに近づくと光の神様の姿が見える。スパでの施術が終わったみたいだな。僕の言葉を参考にしてくれたのか展望ジャグジーに来てくれたんだな。


「光の神様、いらしてたんですね。スパはどうでしたか?」


 話しかけるとわざわざ立ち上がって出迎えてくれた。まさか光の神様がビキニタイプを選ぶとは。嬉しい誤算だ。撮影しないと。


「ああ、航さん。恥ずかしながら途中で眠ってしまったので、全部は覚えていないのです。ですがとても楽になりました」


 ちょっと恥ずかしそうな光の神様、そそりますな。疲れた雰囲気が薄らいでいる気もする。効果があったみたいだ。


「光の神様、お気になさらずお湯に浸かってください。途中で眠ってしまったのならそれだけ、リラックスが出来たんですね。疲れが取れきっていないのなら、何度か試してみると良いかもしれません」


 光の神様がお湯に身を沈める。……僕も水着を着ていればご一緒出来たのかな? でもさすがに不敬だと思うんだよね。神様を怒らせたら怖い。


「ええ、私ももう一度行こうと思っています。ある程度疲れが取れると、今までの自分がどれだけ疲れていたのか分かった気がしますね」


 まあ、神様なのに疲れた雰囲気がにじみ出るとか、相当疲れてないとありえないよね。創造神様の自由奔放ぶりを目の当たりにすると、大変なのは確信出来る。


「明日も、明後日もありますから、しっかり休んで下さい。はやく部屋を決めておくと、ルームサービスで部屋から出ずにのんびりする事も出来ますよ」


 僕は部屋でのんびりダラダラが一番疲れが取れる気がする。でも神様達からしたら退屈かもしれないな。


「ふふ、それも魅力的ですね。まあ異世界の文化を楽しみたいので、今回はゆっくり散歩しながら楽しみますね」


「あはは、楽しんで貰えたら良いんですが。地球の文化を楽しんで貰えると、なんだか僕も嬉しいんですよね」


 この気持ちって郷土愛ってやつなのかな? まあ、地球全体の文化を褒められて、喜ぶ事になるとは思わなかったけど。


 日本に居た頃は地元が褒められると嬉しかっただけなのに、今は地球が褒められると喜んでいる。……ワールドワイドな男になったって事だ。


「今の所、不満を聞いていないので大丈夫だと思いますよ。特にスパは施術を受けた女神達が、スタッフに任命された女神達に、技術を覚えるように迫っていました。神界にもスパを作ろうと画策しているのかもしれませんね」


「神界のスパですか。出来たら僕も体験してみたいですね。創造神様に呼んで頂けたら体験できますか?」


「ふふ、航さんが神界に呼ばれる時は魂ですから、マッサージを受けても意味がありませんね」


 あー、そうだった。自分では全然分からないんだけど、魂だけなんだよな。魂を女神様にマッサージしてもらう……特殊なプレイ過ぎて気持ちが良いのかすら分からない。


「残念ですが、諦めます」


「まあ、創造神様しだいですが、航さんなら肉体のまま神界に来る可能性もあるかもしれませんね。その時にスパが出来ていれば、招待させて頂きます。……ふう、そろそろ上がります」


 ザバッっと光の神様がジャグジーから上がる。ここはビールを勧めてみよう。……えっ? いま神界のスパを体験できる可能性があるって言われたよね。肉体のままか……創造神様に媚びをうっておこう。


「光の神様。お風呂上りにはビールというのが、僕の故郷のお勧めなんですが。試してみませんか?」


「お酒ですか……どうしましょう」


「光の神様がビール一本で動けなくなるのであれば不味いのですが、そうでなければ問題無いのでは?」


 乱れてHな雰囲気になるのなら是非とも勧めたいな。


「……そうですね。航さんビールをお願いします」


 ちょっと悩んだ後に、何かを吹っ切った様にビールをお願いされた。ビール一本に悩むとは、真面目すぎるな。食糧庫船を召喚して、ビールを渡す。


「ありがとうございます」


 プルトップを迷いもなく開けて、ビールをゴクゴクと流し込む光の神様。ビキニ姿でビールを流し込む光の神様か。「プハー」……プハーって言っちゃったよ。


 光の神様に出すお酒なら、シャンパンの方が似合ってたな。お風呂上りにはビールかコーヒー牛乳ぐらいしか思いつかない、僕のイメージが貧困なんだろう。……優雅そうってだけでシャンパンしか思いつかないのも切ない。


「美味しいですね。これは良い物です」


 気に入ったのなら良いか。


「良かったです。光の神様はこれからどうするんですか?」


「そうですね。部屋割りを伝えてから、少し休みます。航さんはどうされるんですか?」


「僕は船内を回った後に、美食神様に料理を作って貰う予定です。あっ、そう言えば部屋のお風呂に入られる場合は、言って頂ければ温泉を持って行きます。疲れが取れるので良いですよ」


 何となくだけど光の神様が元気じゃないと、創造神様が変な事をしだしそうだよね。頑張って貰わないと僕も巻き込まれそうだ。


「ダークエルフの島の温泉ですね。後で本当にお願いするかもしれませんが、構いませんか?」


「ええ、もちろんです。温泉を注ぐだけなので、たいした手間でもありません。いつでも言ってください」


「ありがとうございます。では、また夜に」


 光の神様と別れて、カフェでコーヒーを飲みながら休憩をする。



 ………………



 もう直ぐ美食神様に会える。ワクワクしながら歩いていると、ロイヤルプロムナードのバーで戦神様達に掴まり、付き合わされた。最悪だ。


 戦神様と仲の良い神様達らしく、周りのメンツも武闘派っぽくて完全に肌が合わない。しかも飲みながら話す内容は創造神様の愚痴だ。


 前は創造神様の悪口を聞いてイライラしたけど、創造神様の行動を見ているとしょうがないと思うな。戦神様達は理不尽な上司の愚痴を言っているだけなんだ。相当振り回されていて、ちょっと涙が出そうだ。


 しかし戦神様達は全員男性神だ。戦闘関連の女神様は居ないのか? ビキニアーマーの女神がいればいくらでも付き合ったんだけど、居ないんだから直ぐにこの男臭い飲み会を脱出するべきだ。


 脱出しようとする度に素早く回り込む戦神達……どこの魔王だよ。……身体能力がハンパない。戦神様達から正攻法で逃げ出すのは諦めて、大量のお酒を注文して戦神様達の目の前に並べる。


 お酒に興味が向いた戦神達の背後を素早く脱出する。背後で声が聞こえたけど、無視だ。男性神の評判などどうでも良い。


 苦難を乗り越え150セ〇トラルパークに到着した。美食神様との楽しい時間までもう直ぐだ。店の中に入り店内を確認する。女神様が数人ワインを飲んでいるだけだな、厨房も余裕がありそうだ。さっそく厨房に向かって、美食神様に料理を頼もう。


「美食神様、こんにちは。今、大丈夫ですか?」


 振り向いたコック姿の美食神様。おお、エロさが極まっていたはずの美食神様がコック服を着ると、雰囲気がガラリと変わっている。エロさにコック服の清潔さが加わった今の姿が本来の美食神様なんだな。好きです。


「ええ、大丈夫よ航さん。料理の注文?」


「はい、お願いできますか?」


「ええ、もちろんよ。だいぶ調理場にも慣れたから問題無いわ」


 キラキラした笑顔だな。よっぽど新しい料理が楽しいらしい。


「お願いします。料理を作っている所を撮影しても構いませんか?」


「ん? 良いわよ。それで何の料理が欲しいの?」


「出来るだけ多く料理をストックしておきたいので、片っ端からお願いします」


「ふふ、分かったわ。沢山作れるのは大歓迎よ。まかせておいて」


 気合十分の美食神様達が料理に取り掛かる。しっかり撮影しよう。……神様達が降臨してから僕は単なるカメラ小僧だな。……撮影以外に何か出来る事は無いんだろうか? 


 ……いかん、使用済みの水着を盗むとか、覗きとか着替えを隠し撮りとか犯罪しか思いつかない。さすがにそれは駄目だ。大人しく撮影だけしていよう。


 次々と美食神様が作り上げた料理をサポラビが運んで来る。食糧庫船にドンドン送還していく。いつも出て来る料理より美味しそうだ。さすが美食神様。



 ………………



「ふぅ、思う存分料理が出来たわ」


 満足そうに僕の前に座る美食神様。確かに僕の食糧庫船には大量の料理が詰まっている。あれだけ料理をすれば満足だろう。


「楽しめたのなら僕も嬉しいです。スタッフ任命は役にたったみたいですね」


「ええ、異世界の料理は面白くて勉強になったわ。ありがとう、航さん」


「どう致しまして、と言っても船召喚の力なんですけどね」


「ふふ、与えられた力でも、航さんの力なんだから誇って良いのよ」


「そうですかね? ……そうかもしれません。貰ったんですから絶対に返しません。……創造神様が能力を取り上げるって事、ありませんよね?」


「うーん、創造神様は気まぐれだから絶対とは言えないけど、魔王が大暴れしても能力は取り上げられなかったから、大丈夫だと思うわ」


 魔王でも能力が取り上げられなかったのなら、僕でも大丈夫だろう。……たぶん。


「安心しました。もっと気楽にやりますね」


「そうね。この世界を楽しんで貰えれば私も嬉しいわ」


「ええ、精一杯楽しませてもらいます」


 美食神様達とお茶を飲みながら明日働くお店を決める。メインダイニングで決まりかと思っていたんだけど、カクテルやデザートの専門店も捨てがたいと言い出した。


 話し合いの末、今回は料理の方に集中する事に決まった。まあ。このお店もメインダイニングにも、デザートはあるから勉強は出来る。専門店はまた次の機会だそうだ。


「航さん、ここに居たんですね」


「あっ、光の神様。温泉ですか?」


「ええ、今日はもう休もうと思いますので、温泉をお願いします」


「あら、光の神は航さんに温泉を入れて貰うの? 良いわね」


「美食神と私は同じ部屋ですよ。いっしょに入りますか?」


「ふふ、そうなの? 楽しそうね。でも200柱しか来ていないから部屋は余っているでしょう? 何で相部屋なの?」


 光の神様と美食神様が相部屋で、一緒に温泉だと。……想像するだけで鼻血が出そうだ。


「ええ、どうせなら、みんなで集まった方が楽しいでしょ? 森の女神も居るから、楽しく飲みましょう」


 森の女神様まで! 混ざりたい。


「そういう事なら大歓迎よ。行きましょうか」


「ええ、航さんお願いします」


「分かりました」

 

 光の神様達はロイヤルスイートに泊まるらしい。男性神達は夜通し飲むそうで、ロイヤルロフトスイートは創造神様だけど、それ以外の良い部屋は女神様達が独占したそうだ。


 僕の部屋はスカイロフトスイートを用意してくれたらしい。普通の部屋で良いと言ったんだけど、男性神に良い部屋は無駄だそうだ。神界でも男の立場は悪いらしい。身につまされる。


 光の神様と美食神様と一緒にロイヤルスイートに行く。部屋の中に入ると、森の女神様が出迎えてくれた。今、部屋の中には光の神様、美食神様、森の女神様……空気が美味しい。


「温泉を入れるのはどっちにしますか? 内風呂かバルコニーのジャグジー、どっちに温泉を入れますか?」


 3柱でキャイキャイと話し合いだした。全員大人な雰囲気なのに今は可愛く話しあっている。激しく混ざりたい。


「決めました。航さん、ジャグジーに温泉をお願いします。あと、シャンパンは手に入れたのですが、航さんに頂いたビールが見つからなかったんです。分けて貰えますか?」


 ああ、あれは日本の金色のいい感じのビールだけど、この船には売っていなかったな。光の神様、探すほど気に入ってたんだ。


「ああ、あれはフェリーに売っているビールなのでこの船には売っていないんです。飲みたくなったら用意しますから僕に言ってください」


「ああ、そうだったんですか。お手数ですがお願いしますね」


「はい、いつでも良いですよ。取り敢えず冷蔵庫に入れておきますね」


 食糧庫船を召喚してビールを冷蔵庫に入れる。ビールを貢ぐぐらいで、光の神様に喜んでもらえるのならいくらでも貢ぐ。


 僕の勘では創造神様が無理を言い出した時、頼りになるのは光の神様だ。部屋いっぱいのビールを貢いでも一度助けて貰えれば割に合う。


 続いて温泉が入っているゴムボートを召喚してジャグジーに注ぎ入れる。これで準備完了だな。


「温泉の温度は熱めなので、調整はお任せします」


「分かりました。ありがとうございます。航さん」


「いえ、ゆっくり楽しんで下さい。では僕は行きますね。お休みなさい」


「「「おやすみなさい」」」


 一緒に入って良いですかって聞きたかったけど、言葉には出来なかった。女神様3柱と混浴か……勇者なら可能なのかな? 勇者になりたい。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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[一言] 話そのものは好きですけど 主人公は嫌い(´・ω・)
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