20話 神様の様子とサポラビのショボイ秘密
美食神様達を150セ〇トラルパークでスタッフに任命して、店を出る。何気に光の神様と2人っきりだ。……神様と一緒な事を2人と考えて良いのか? 光の神様と1人と1柱きりだ、っが正しいのかな? 面倒だけど。
いかん、くだらない事を考えていないで、光の神様との疑似デートを満喫するんだ。女神様とHな関係になれるとは思わないけど、妄想ぐらいは許されるはずだ。
「光の神様、これからどうしますか?」
「そうですね。今日、航さんにお願いしたかった事は全部済ませて頂けたので、どうしましょうか?」
おお、全部終わってたのか。
「光の神様は何かやりたい事は無いんですか?」
「そうですね。問題無く神達を連れて来る事しか考えていませんでした……私のやりたい事ですか……思いつきません」
なんでだろう? 社畜って言葉が思い浮かんだ。光の神様お労しいです。
「そうですね、僕から見てもお疲れのようですので、スパに行ってマッサージとエステ。終わったら水着に着替えて展望ジャグジーがお勧めです。軽くお酒を飲むのも良いですね。せっかくなんですから疲れを癒して楽しんで下さい」
光の神様とご一緒したいんだけど、ここはお疲れを癒してもらうのが先だな。まあ、水着でジャグジーも勧めておいたけど、これ位なら許されるはずだ。
「船の持ち主である航さんのお勧めなら間違いはありませんね。そうしてみます」
「あはは、責任重大ですね。最低でもゆっくり休めるとはおもいます。ではスパまでお供しますね」
「ふふ、ありがとうございます」
光の神様との疑似デート。お勧めの料理やデザート、面白いイベントの話をしながらスパに向かう。凄く楽しい。
光の神様とスパに入るとバスローブを着た女神様が歩いている。……レアな光景だな。
「あら、光の神も施術を受けるの?」
バスローブの女神様が話しかけて来た。何の神様だったっけ。挨拶はしたんだよね……神様にもう一回名前を聞くのはありなのか? 森の女神様は覚えているんだけど、他の方達は目移りして名前までは覚えきれなかった。
「ええ、航さんのお勧めなので体験に来ました。芸術神も施術を受けたの?」
「ええ、受けたわ。お勧めだけあって素晴らしかったわよ。お肌も絶好調ね」
おお、芸術神様だったのか。お肌も絶好調らしいし、光の神様にも喜んでもらえそうだな。
「それは、楽しみね。航さん行って来るわ。ありがとう」
ちょっとウキウキした光の神様……有りだな。芸術神様に挨拶をして外に出る。ビデオ撮影しながら船内を回るか。神様がどんなふうに過ごしているのか気になるしね。取り合えずロイヤルプロムナードを回ってみるか。
ビデオを回しながら歩くと、機嫌よくお酒を飲む男性神とお土産屋やアクセサリーショップで騒ぐ女神、スパの後で化粧品店で真剣に商品を選ぶ女神様、なかなかにぎわっているな。
次はカジノに行ってみるか。娯楽神様も行くって言ってたしな。一つ下の階に降りて、カジノに向かう。
中に入ると20~30柱ぐらいの神様方が賭け事を楽しんでいる。
「あっ、航君。おかしいよ。全然勝てないんだ。普通僕みたいなVIPが来たら接待とかするべきじゃないのかな?」
創造神様がおかしなことを言い出した。カジノってイカサマも設定できるのか?
「創造神様、僕にはどうしようも無いんですが、そんなに負けてるんですか?」
「うん、あのサポラビって言ったっけ。あいつ絶対イカサマやってるよ。航君どうにかしてよ」
「あっ、それです。なんでサポートスタッフが角兎なんですか? 僕が好きなものに変えたってメッセージには書いてたじゃないですか。僕が好きなのは巨乳美女かスライムですよ。なんで角兎に変えるんですか!」
「何言ってるのさ。角兎が航君の根幹でしょ? 未熟な航君の生きる糧になってくれた角兎になんか文句でもあるの? それに角兎の丸焼きに喜んでむしゃぶりついてたじゃん、好きでしょ?」
……確かに角兎が居なければ、未だに西方都市からすら出れてない可能性もある。角兎の丸焼きも美味しくいただいていたけど、納得は出来ないよね。
「ですが創造神様、角兎って僕が虐殺していた魔物なんですよ。気まずいじゃないですか」
「いやいや、角兎達も喜んでるから大丈夫だよ」
へー、角兎も喜んでいるんだ。……喜んでる?
「……喜んでるって、サポラビと僕が討伐していた角兎は関係があるんですか?」
「あー! なんで娯楽神はそんなにチップ持ってるの? ねえ、勝ったの? どうやったのさ」
「あっ、創造神様、ちょっと待ってください。まだ話が……」
「僕は娯楽神だもん。読みも実力も運も違うよね。創造神様も頑張ってね」
娯楽神様も会話を続けないで欲しい。
「えー、航君、ずるいよ! なんで創造神が負けて娯楽神が勝つのさ。間違ってるよ」
「間違ってると言われても、創造神様から頂いた能力から出た船ですよね。それよりサポラビと僕が討伐していた角兎との関係を教えてください」
「そんなのどうでもいいじゃん。僕が勝てるようにしてよ。お願い」
「創造神様。頂いた能力の中にカジノでの勝ち負け操作する能力はありません。実力で頑張ってください。そもそも創造神様なら自分の力で何とか出来るのでは?」
「えー、……自分でやったら面白くないじゃん」
……自分でやったら簡単に勝てるけど面白くない。でも負けるのは嫌だから僕に勝たせて欲しいって事か? 意味が分からん。自分でやるイカサマと接待のイカサマ、結果はあまり変わらないと思うんだけど。
「それなら、自分の実力で頑張ってください。僕の能力では対応しかねます。ですのでカジノの事は忘れて、角兎の事を教えてください」
「まだ気にしてたの? 航君って細かいよね。楽しく生きてる?」
創造神様ってあれだね……言葉にするのは止めておこう、天罰が落ちそうだ。光の神様、頑張ってください。
「はい、細かいので、角兎の事が気になって楽しく生きられそうにありません。教えてください」
「しょうがないな。サポラビは航君が狩った角兎に間違い無いよ。わざわざ探して引っ張って来て形にしてみました。しっかり働くと成仏できるから角兎にとってもお得だよね」
うーん、魔物を倒したら幽霊になるのか? なるんだったら海でも虐殺してるよ? 不安なんですけど。……僕が虐殺した角兎が成仏できるのなら、良い事なんだろうけど……サポラビが出て来てから結構悩んだんだよね。
メッセージで説明してくれれば何の問題も無かったのに、これだけ引っ張られてこんな落ちなのは納得できない。……でも、創造神様に逆らう度胸は無いので、納得しておこう。そもそも神様が成仏って言葉を使うのはありなのか?
「ああ、そうなんですか。角兎にはお世話になったので、成仏できるのなら嬉しいです。創造神様、ありがとうございます」
「なんか気持ちが籠っていないのが気になるけど、良いか。じゃあ僕はカジノに再挑戦をしてくるね」
返事も聞かずに走り去っていく創造神様……そう言えばカジノのお金は何処から出てるんだろう? 後で聞いてみるか。他の神様達も、結構楽しそうだから別の所に行こう。
プールに行きたいけど、行くと他の場所に行けそうにないからな。他の場所を素早く済ましてプールに行こう。まずはセントラルパークだな。
セントラルパークに到着して、公園の中を歩く……なんか1人で公園を歩くのは久しぶりだ。自然は魔の森や、ダークエルフの島でたっぷり味わったったから、みんなでご飯を食べる時ぐらいしか来なかったもんな。
のんびり自然の中を歩くのも良い。人工だけど……この世界だとのんびり自然の中を歩いてたら死の危険がある。切ないよね。
録音された鳥の声が聞こえてくる。目的も無くフラフラと公園の中を歩いていると、木を眺めているお美しい森の女神様が居た。
女神様は当然のごとくみんな美人だ。ダークエルフの皆も当然のごとく美人だ。獣人も人間も美人率が高い。……まさに夢の世界だな。
神様方のなかでも光の神様、美食神様、森の女神様は飛びぬけているように思う。光の女神様はキリッとした出来る女の最高峰。美食神様は色気を極めた存在に思える。
森の女神様はあれだ、ニコニコふんわかなお姉さん系美女だ。しかもあの溢れんばかりのお胸様が、無限の優しさを表現している。ダークエルフが巨乳なのは森の女神様の加護なのかもしれないな。
「森の女神様、こんにちは。この公園はどうですか? 人工的に作られた公園なので違和感があったら申し訳ありません」
「航さん、こんにちは。違和感はありますね。でも考えられた配置が美しいですから、好きですよ」
森の女神様、僕も好きです。神様と人間の禁断の恋……そう言うのは勇者とか英雄の専売特許なんだろうけど、光の神様、美食神様、森の女神様を見ると何とかならないのか考えてしまう。
……考えた結果、どう考えても無理なんだよね。ビデオ撮影に全力を傾けよう。見るだけなら許される。神様達は僕のアイドルだ。握手会とか開いて欲しいです。
「森の女神様に気に入って貰えたのなら良かったです」
森の女神様をしっかりと観察しながら、会話を続ける。さすが森の女神様だ、癒されるんだよね。マイナスイオンが絶対に出ていると思う。
「そう言えば、航さん、ダークエルフの子達と、お祭りを開いてくださってありがとうございます。楽しく拝見しましたよ。あの子達も楽しそうで良かったです」
ああ、そうだよね、ダークエルフの祭神は森の女神様だから届いていたんだな。今度からダークエルフの島のお祭りは更に熱心に楽しめそうだ。豊かな双丘を思えば祈りは強くなるだろう。
「いえいえ、楽しいお祭りが出来て、僕達の方が感謝でいっぱいです。でも森の女神様、いまだにダークエルフは辛い境遇にいます。神様からの救いは無いのですか?」
「うーん、私も祈ってくれている子達を助けたいとは思うのですが、干渉を許されていないんです。こっそりあの子達の森を豊かにするのがギリギリですね」
「……あー、そうでした。下界に干渉してはいけないんでしたね」
そうだよね。優しい森の女神様があの状況のダークエルフ達を見て悲しまないわけがない。あの豊かな双丘が悲しみで満たされるなんて、人間至上主義者どもめ、許せんな。
「ええ、許されているのは、神の本来の仕事だけなんです。ごめんなさいね」
「いえ、こちらこそワガママを言って申し訳ありません」
「航さんがごく一部とはいえあの子達を助けてくれて感謝しています」
ごく一部って言われた。なんか微妙にもっと頑張れって言われている気がする。無理だよ。これ以上、ダークエルフの人達を探しに行く気力は無いです。気付かないフリをしよう。
「いえいえ、僕も契約を守っただけなので。感謝は必要ありませんよ。ではそろそろ次の場所に行きますね。森の女神様もキャッスル号を楽しんで下さい」
「あら、残念ですね。もっとお話しをしたかったのですが……ではまたお話しましょうね」
「はい、では、また」
急いで森の女神様から離れる。えーっと、取り敢えずアクアシアターにでも行こう。
あのまま一緒に居たら、いつの間にかダークエルフの捜索を約束してそうな気がした。森の女神様ってやっぱりダークエルフの事を気にしていたんだね。でも僕が巻き込まれるのは勘弁して欲しい。
アクアシアターか、ロイヤルプロムナードからの方が近いからそのまま見に行っておけば良かった。ビデオを撮りながら移動する。
アクアシアターに到着すると、サポラビ達がショーをしている。僕が討伐した角兎達が頑張っていると思うと、応援したくなるな。頑張って成仏して欲しい。
神様達はショーにあんまり興味が無いみたいだ。少数の女神様達がサポラビの頑張る姿を微笑ましそうに見守っている。あんまり神様達の琴線に触れていないみたいだな。次に行くか。
スケートリンクに到着すると、男性神達が猛スピードで競争している。……ああ、これは撮影する価値も無い。次は……図書室は行かなくても良いだろう。適当に歩いて見て回ろう。
シアターをのぞくとショーではなく映画を観ているようだ。有名な外国の映画を見ているな。……魔法が普通にある世界で、魔法学校のお話は面白いのか?
いや、僕も日本に居た頃は大好きで全部見たんだけど、微妙にセレクトを失敗している気がする。それとも魔法繋がりで見やすいのか?
普段よりも賑やかな船内を見て回る。女神様達は色々な場所に散らばり、買い物やグルメを楽しんでいるように見える。あれが欲しいとか、明日もスパに行きたいとか、楽しんでいるみたいだ。
女神様達に評判が良いのは嬉しいな。おおまかには見て回ったからそろそろプールに行こう。ワクワクして来た。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。