19話 神様降臨とスタッフ任命
キャッスル号を召喚して、魔法陣でそのまま教会に移動する。いよいよか、どうなるんだろう?
約束の時間になった瞬間、目の前には創造神様がいた。……えっ? 神様の降臨ってこんなにあっさりで良いの?
光の柱から降りて来たり、荘厳な音楽が流れて神界の扉が現れるとか無いの?
「久しぶりの下界だ! おはよう、航君」
「あっ、おはようございます、創造神様」
光の神様、美食神様、他の神様にも挨拶をする。でも創造神様を含めて6柱、残りはどうしたんだろう?
「他の神様達は来られないんですか?」
「ん? ああ、いきなり沢山来たら困るでしょ? 順番に降りて来るように言ってあるんだ」
創造神様って細かい所にも気を配ってくれるんだな。ちょっと意外だ。
「じゃあ、遊びに行ってくるね。まずはどこに行こうかなー」
あれ? 行っちゃうの? 創造神様?
「異世界人君、勘違いしたら駄目だよ。創造神様が気を使ったんじゃなくて、光の神の手配だからね。誤解してたら悲しくなるよ」
えっ? そうなの? でも娯楽神様、創造神様に恨みでもあるのか? 言わなければ気が付かなかったのに、創造神様の評価が上がるのが嫌なのかな?
「おう、異世界人、楽しませてもらうぞ。まずは酒場だな」
戦神様がそう言って教会から出て行った。
「異世界人、私は図書室を使わせてもらう」
「僕は……ゲームセンターも気になるけど……まずはカジノだね」
魔神様と娯楽神様も言うだけ言って教会を出て行く。一応、自己紹介で名前を伝えてるんだけど、呼び方は異世界人で決定されてるのかな?
いや、そうじゃなくて、案内とか必要無いのかな? ……ああ、神様は僕の様子を見てるんだったな。船内の施設も分かってるか。
「航さん、スタッフ任命を使って欲しいメンバーは後半に降りて来ます。その時に付いて来て貰っていいですか?」
光の神様、下界でもお美しいです。しかも男性神様方は出て行っちゃったから、教会に居るのは僕と光の神様、美食神様だけだ。素晴らしい環境だ。
「分かりました。問題ありません。あっ、あの、神様達がいらっしゃる船内をビデオ撮影しても大丈夫ですか?」
「ビデオ撮影ですか? ……問題はありませんが、他の人には見せては駄目ですよ」
やっぱり神様の姿を他の人に見せるは駄目なんだな。元々、見せるつもりはないから問題は無い。ちょいエロな映像が取れないかな? 神様のちょいエロ動画……希少価値だな。
「はい、誰にも見せません。ありがとうございます」
話していると、次の神様達が現れた。……女神様が居ないな。簡単に挨拶をして教会から出て行く神様達。光の神様と美食神様と楽しく会話をしながら、神様達を送り出す。
「光の神様、こちらにいらっしゃるのは、男性神の方達だけなんですか?」
女神様って少ないのかな? 光の神様と美食神様が居れば問題無いとは言え、沢山の女神様が見たいな。
「いいえ、女神達が航さんにスパと化粧品店でスタッフ任命を望んでいますので、偏っているんです」
おお、纏まって女神様が来るのが、最高だ。
「……あのー、女神様ってお化粧品が必要なんですか?」
「私達も生命体ですからね、肌の調子も変わります。見ているとケア用品も充実しているので楽しみです」
そうなんだ……そう言えば光の神様も疲れている感じがするから、神様でも常に完璧とはいかないんだろうな。
「そうなんですか。神様も大変なんですね」
「ええ、とっても大変なんですよ」
遠い目をした光の神様。本当に大変なんだな。
次々と現れる神様達。途中から明らかに女神様が増えて来た。ドンドン教会の中が華やいでくる。今から撮影したいんだけど、第一印象がビデオカメラ付きなのは問題だろう。
「航さん、全員揃いましたので、お願いしますね」
「まずはスパに行けば良いんですよね?」
「はい、スパ、化粧品店、美食神達が望む飲食店でお願いします」
「分かりました。では出発しますね」
場所は分かっているんだろうけど、一応僕が案内役なので先頭を進む。先頭なので女神様の姿が見辛い上に撮影も出来ない。
船内を歩くと、何時もと雰囲気が違う。いつもは音楽が流れているだけで、ガラーンとした印象のある船内が、少しだけ賑やかになっている。
200柱の神様がいても少し賑やかになった感じなのが凄いよね。5千人以上の乗客が乗れる船なんだから当然なのか?
後ろの女神達も楽しみにしていたみたいで、楽しそうに話している。
「スパの後はプールに行きましょうよ」「私はケーキが食べたいわ」「夜はお酒よね」「化粧品はどうなのかしら?」「夕食は何を食べる?」「滞在は3日間なのよね? お店を選ばないと」「泊まるお部屋はどうなのかしら?」
色々考えているみたいだな。女神様達がプールで遊ぶのか……絶対に撮影しなきゃな。あと泊まる部屋の事は考えてなかったな。ロイヤルロフトスイートは創造神様に譲った方が良いよね。
「光の神様、泊まるお部屋の事を考えていなかったです。僕は1人なので適当な部屋に泊まりますので、ロイヤルロフトスイートも含めて割り振って貰えますか?」
「航さんのお部屋を提供してもらっても良いのですか?」
「ええ、念じて綺麗にはなってはいますが、僕が使っていた部屋で問題がなければ使ってください」
流石に神様が居るのに、最高の部屋を僕が1人で独占するのは問題だよね。偶には別の部屋も面白そうだ。ホテルみたいなものだからいろんなランクの部屋がある。何処に泊まろう?
「航さん、ありがとうございます」
「いえいえ、創造神様に頂いた能力のおかげなんですから、当然ですよ」
スパに到着すると、女神様達の騒めきも大きくなる。
「航さん、この15柱がスパに滞在しますのでスタッフ任命をお願いします」
お美しい女神様達がニコニコと僕の前に並ぶ。なんか変な感じだな。そもそも神様をスタッフに任命できるとかどんなチートだよって思う。
「分かりました。では任命しますね」
女神様達に魔法陣が吸い込まれ、知識を得た女神様達が、さっそく他の女神様を連れて施術室に入って行く。僕も頼んだら女神様にマッサージをして貰えたりしないかな?
……今は女神様達が並んでいるから無理だろうけど、暇な時間があればいけるかも。ちょくちょく覗きに来よう。
「航さん、次は化粧品店にお願いしますね」
軽く女神様にマッサージしてもらう妄想をしていると、光の神様に声を掛けられた。
「分かりました。行きましょう」
大部分の女神様がスパに残り、6柱の女神様達を連れて、化粧品店に移動する。
「光の神様。殆どの方達がスパに残られましたが、なんでこれ程の人気なんですか?」
「ああ、それはですね、ワタルさん達がスパを利用している姿を、美容関連の女神達が大絶賛したのが原因ですね。この船に来る事が出来ると決まった時の女神達の喜びは凄かったですよ」
苦笑いをしながら光の神様が教えてくれた。よっぽどだったらしい。
「はは、まあ、あれですね。喜んで頂けるのなら、地球の技術が認められるって事ですよね。何だか誇らしいです」
「ふふ、地球の技術は進んでいますからね。存分に誇ってください」
正直、地球の技術にまったく貢献はしていないんだけど。そう言って貰えると凄く嬉しいよね。
「そう言えば、この世界に来た異世界人は結構多いんですよね? みんな地球から来たんですか?」
「いいえ、無数の世界がありますから、地球から来られた人はそれ程多くはありませんよ。この大陸に地球から来られた方は航さんで2人めだったと思います」
へー、世界って沢山あるんだな。SFな世界とかもあるのかな? どんな影響をもたらしたんだろう? ん? この大陸?
「光の神様。地球よりももっと技術が進んだ世界から来られた人も居るんですか?」
「ええ、いらしてますよ」
「じゃあ、凄い技術が導入されたりしているんですか」
「創造神様が与えていたユニークスキルは戦闘関連の物ばかりでしたから、物凄く発展したわけではありませんが、1人の異世界人の方が、魔導車、魔導船等を作り、世界を纏め上げた事もありますよ」
おー、凄いな。世界統一をしたのか。だから、色んな所から魔導船とか、魔導車が発掘されるのか。……発掘……その文明は滅んだって事だよね。
「何故、その文明が滅んでしまったのか聞いても良いですか?」
「ええ、と言っても難しい事ではありません。安定した世界が作られていたのですが、新たに来た異世界人に創造神様が強力過ぎるスキルを与えたせいで、魔王が生まれたんです。大暴れした魔王は文明を粉々にしてしまいました」
異世界人が作った文明を、異世界人が滅ぼしたのか。
「なんでわざわざ文明を滅ぼしたんですか?」
「魔王になった異世界人は辛い人生を送られていたらしく、強力なスキルを得た事で世界を手に入れる欲望をいだいたようです。途中まで侵略は順調だったのですが、傲慢になった異世界人は家臣や女性に裏切られ暗殺されそうになりました。
強力なスキルを持つ異世界人は暗殺者を返り討ちにした後、暴走しだしました。結局、寿命で死ぬまで文明を壊し続け亡くなりましたね。魔王と呼ばれるにふさわしい行動でした」
「勇者に倒されたのではなく、寿命で亡くなったのですか」
うわー、最後まで暴れまわったんだ。どんだけ強力なスキルを貰ったんだよ。しかも寿命って、レベルが上がってただろうから、相当な長生きをしていたはずだよね? 途中で正気に戻ろうよ。だいたい魔王は勇者にやられるのがお約束だよね?
「ええ、魔王が居る間に異世界人が来られていれば、勇者になった可能性もあったのですが。創造神様はこの世界の者には肩入れしませんので、最後まで暴れていました。私達も創造神様にどうにかするように言ったのですが、頑なに拒否されましたね」
光の神様が物凄く不機嫌になった。思い出させたらいけない事だったらしい。話を変えないと。
「あっ、あそこが化粧品店です。美食神様以外の方をスタッフ任命すれば良いんですか?」
「えっ? いえ、こちらの2柱をお願いします。残りの3柱はレストランが目的です」
「あっ、そうなんですか。分かりました」
上手く話を逸らす事が出来た。化粧品店に入り、2柱の女神をスタッフに任命する。知識を得た2柱のお美しい女神様は、僕にお礼を言って、化粧品を手に取りキャッキャと話し合っている。楽しそうだな。お願いして撮影させてもらう。
「航さん、私もう待ちきれないわ。レストランに案内してもらって良いかしら?」
おうふ、ゾクッって来た。なんて色っぽい声なんだ。さすが美食神様。食べられたい。
「あっ、すみません。お待たせしました。今から向かいますね。150セ〇トラルパークで良いですよね?」
「ええ、今日は150セ〇トラルパークで勉強するわ。楽しみね」
美食神様も他の2柱の女神様もご機嫌だな。今の内に頼んでおこう。
「あの、美食神様。忙しくない時に大量に料理を作って貰えませんか?」
「沢山料理を作るのは勉強になるから構わないけど、どうするの?」
「送還しておくと、時間が止まるので、料理をためておきたいんです。普段は一瞬で料理が現れますから何だか味気ないんです。美食神様達が作ってくれた料理の方が絶対に美味しく食べられますので、お願いします」
「んー、美味しく食べて貰えるのなら良いわ。神は200柱しかいないから、いつでも料理を作る時間は有りそうね。時間が空いたら注文しに来て。あっ注文に来るのなら、夜の方が良いわよ。もっと美味しく作れるようになっておくわね」
「ありがとうございます。夜に必ず注文に行きます」
美食神様の手料理ってだけで、数段味が上がるのにね。楽しみだ。よく考えたらクラレッタさんをスタッフに任命して料理を作って貰えば良かったな。頼んだら勝手に料理が出て来るから考えてなかったよ。
「うふふ、楽しみにしていて」
話していると150セ〇トラルパークに到着した。さっそく3柱の女神様をスタッフに任命する。魔法陣が吸い込まれると美食神様の顔が歓喜に染まった。マジでエロい。
「凄いわね。私が知らない調理方法、調味料が沢山だわ。今までこの世界にやって来た異世界の人達は、料理が得意な人達が少なかったから悲しかったのよね。それでも少しずつ知識を得ていたんだけど今回は段違いね。幸せだわ」
うわー、僕も幸せです。思わず撮影してしまったけど怒られないから大丈夫かな? 他の2柱の女神様も嬉しそうだ。
「じゃあ、航さん、私達は料理を作って来るわね。夜に待ってるわ」
夜に待っている……意味深な言葉だ。これがHな約束だったら最高なのにね。
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。