18話 キャッスル号での休日とフェリーへの移動
最上階層以外はサポラビを配置し終えたので、水着に着替え、プールに向かう。楽しくなって来た。
プールに到着して、サポラビを召喚しながら賑やかな場所に向かう。何度見ても幸せな光景が広がっているはずだ。なぜ水辺のサポラビは囚人が着ていたような横じまの水着を着て現れるんだろう? 創造神様の拘りか?
おっ、フローライダーに居るみたいだな。急がねば。小走りで向かい、フローライダーにも専用のサポラビを召喚する。
「あっ、ワタルさん、用事は終わったんですか?」
おうふ、クラレッタさんの豊かな双丘がたまらない。
「ええ、問題無く終わりました。皆さんはフローライダーですか、僕は苦手なんですよね」
「ふふ、ワタルさんは直ぐに流されちゃいますものね」
ちょっといたずらっ子ぽく言うクラレッタさんも素敵だ。これが萌えだな。
「まあ、練習あるのみですね」
フローライダーに目をやると、ドロテアさんがべにちゃんを頭の上に乗せながら、優雅に波乗りをしている。カッコいいな。
「ドロテアさん、ビデオを撮っても良いですか?」
大声で聞くとOKとハンドサインを出してくれた。他のメンバーにも許可を得てビデオ撮影を開始する。大手を振って水着姿を撮影できるって、嬉しいよね。日本だと捕まっちゃうよね。
イネスとフェリシアが世話を焼いてくれるが、お休みだから自由行動だと言って遊びに行かせる。近くに居るとビデオが撮り辛いから大切な事だ。
何度かフローライダーに挑戦するが、相変わらず上手に乗れない。何故だ身体能力も器用も上がっているはずなのに……カッコいいスポーツは僕には出来ない呪いでも掛かっているのか?
『わたる、のる』
「? リム、フローライダーに乗りたいの? 僕は上手じゃないから、誰かに頼もうか?」
『んーん、ちがう』
違う? もしかして僕を応援してくれるの? 僕の頭の上で一緒に波に乗りたいと……リム、僕、頑張るよ。
「分かったよ。頑張ってリムを乗せて成功してみせるよ!」
『んーん、ちがう』
「えっ? 違うの?」
驚いてリムを見ると、両サイドのふうちゃん、べにちゃんも跳ねながら思念を飛ばして来た。
『『……のる……』』
「もしかして、リム達で乗るって事?」
『うん』
……怪我はしないだろうけど、大丈夫なのか? ワクワクした思念が飛んで来る。取り敢えず隣に居たマリーナさんにビデオ撮影をお願いして、ボディボードにリム達を乗せる。
あんまり重くないんだけど波に弾き飛ばされたりしないのかな? おそるおそるボディボードを波の上に乗せる。
乗りこなしてる。乗りこなしちゃってるよ。リムが先頭で後ろにふうちゃんとべにちゃんが並んで乗っている。三角形みたいな形になってるな。
どんな方法で体重移動をしているのか分からないが、見事に波に乗るリム達。凄いな。リム達の波乗りにドロテアさんとマリーナさんが食い付くように前のめりでリム達を見ている。
健康的なお尻が素晴らしい。ビデオを撮りたいんだけど、そのビデオはマリーナさんがリム達を撮るのに使っている。
リム達を撮ってくれるのはもちろん嬉しいんだけど、お尻も撮りたい……今からビデオを買いに戻るか? ……なんだと……お尻が増えた。
ドロテアさんとマリーナさんの声援に休んでいた女性陣が興味を持ち、ドンドンと増えて行くお尻に尻尾。僕はお胸様が大好きなんだけど、お尻も好きだ。
目が釘付けでビデオを買いに走れない。この光景は絶対に網膜に焼き付けるんだ。目を瞑ればいつでも思い出せるように。リム達の雄姿は後でビデオで見よう。今はお尻だ。
意識がリムから逸れているとリム達が流されてしまって慌てて助けに行く。リムを抱き上げると、思念が飛んで来た。
『みた?』
……ごめんよリム。僕はお尻に夢中だったよ。
「うん、リムは凄いね。とっても上手だったよ」
初めてリムに嘘をついてしまった……なんだろう罪悪感が凄い。
『りむ、すごい』
「うん、とってもすごいよ」
全力でリムを褒める。こうなったら嘘だと気づかせてはいけない。誰かが言っていた、最後まで嘘をつき続ければそれは本当になると。
ふー、しかし罪悪感が凄いな。リムが頑張っている時はエロに惑わされず、リムに集中しないとね。
ボルダリングに移動する。これからはローアングルの時間だ。ローアングルは男の角度だって偉い人が言ってた気がするけど……誰が言ってたんだろう? お胸は見えづらいが、とび降りて来たらタイミングを逃さず撮影しないとね。
楽しそうに登る女性陣を普通に撮影する。エロい感じで撮るのだけではなく、鑑賞会用の動画も撮っておかないと今度から撮影を許可してもらえない可能性もある。
ボルダリングやジップラインで楽しく遊び、夕食はロマンティックなビストロで食事を取る。
「ワタルさん、何だかサポラビちゃんがかなり増えてるんだけどどうしたの?」
アレシアさんが当然ともいえる疑問を聞いて来た。問題は、あははは、明後日に沢山の神様が降臨してくるので、そのサポートの為に召喚したんですよって言っても良いのだろうか?
……駄目だろうな。神様達も人払いをするように言ってた、それにクラレッタさんも暴走しそうな気がする。誤魔化すか。
「なんとなく、サポラビが大量に居た方が賑やかで良いかなって思ったんですよ。どうですか?」
「本当にそれだけなの?」
物凄く胡散臭そうに見られている。明らかに疑われているな。リムは信じてくれるのに、何が問題なんだ?
「あー、まあ別の考えもあるんですが、それは内緒です」
「内緒なの?」
「内緒です」
「うーん、まあ、分かったわ。そういう事ならもう聞かないわね」
「ありがとうございます」
うーん、今日、明後日から豪華客船が使えないのでフェリーに移りますって言ったら、また疑問に思うんだろうな。でも、ウソをついてもバレるんだから内緒で通そう。
食事を終えると、ソラリウムのジャグジーに移動する。ソラリウムバーでお酒を飲みながらジャグジーに浸かれるからな。
おそらく僕の影響なんだけど、女性陣はお風呂に入りながらお酒を飲む事を覚えてしまったな。体に悪そうだ。
ジャズバー、ワインバー、ラテンバー、色々な種類のバーがあるが、ソラリウムバーがジャグジーの影響か一番回数が多い。まあ僕も水着の巨乳美人とのジャグジーでお酒って、映画や雑誌でみてからの憧れだから大歓迎なんだけど、いつか水着を脱いでもらえる時がきたら最高だ。頑張ろう。
大いに飲んで、大いに騒ぐ、……王様ゲームを思いついてしまった。マジか……何で忘れてたんだろう? 王様だ~れだってこのメンバーでやれば絶対に楽しい。
問題は最初からエロ全開で行くのか、ゆっくりエロを増していくのか、お酒をガンガン飲んでいる今ならエロ全開で突っ走る方が良いのかも……うーん、リスクが高すぎる。酔いがさめた後、洒落にならないほど怒られそうだ。
僕にはそんな度胸は無い。コツコツとエロ成分を足して行こう。お酒を飲みながら簡単な命令をして慣れて行こう。さっそく割り箸を用意して……今から新しいゲームの説明は無理だな。お酒大好き組はベロベロだ。次の機会の飲みはじめに提案しよう。
微妙にHな感じのジャグジーを堪能してベロベロになったイネスをフェリシアと一緒に部屋まで運ぶ。イネスを別の寝室に寝かせて、久しぶりにフェリシアと2人きりの大人な時間を堪能した。
次の日にはお酒大好き組の面倒を見ながらゆっくりとした時間を過ごす。夜には復活したジラソーレを連れてフェリーに移動する。
クラレッタさんはユー〇ォーキャッチャーが出来るので喜んでいたが、アレシアさんは何でフェリーに移動するのかを疑問に思ったのか聞いて来た。
「ワタルさん、それでどうしてフェリーなの? 私達はフェリーでも問題無いんだけど、急だから理由を教えて欲しいわ」
「うーん、理由はあるんですけど、内緒なんです。明日の朝から3日間はフォートレス号とストロングホールド号を召喚しておきますので、そこで過してください。僕はその3日で用事を済ませて来ますね」
「うーん、理由は言いたくないのよね?」
アレシアさんが聞きたいと言うのも分かるんだけど。言いたくないと言うか、言っても良いのか分からないと言うか、言ったら大騒ぎになると言うか……どうしたものか。
「ええ、悪い事をするわけではないので内緒にさせてください」
「サポラビちゃんの事もそうだけど、急に秘密が増えたわね? ワタルさんが悪い事をするとも思えないんだけど、何か困った事になってない? 言ってくれれば手を貸すわよ」
困った事か……光の神様、美食神様や出会ったことのない女神様が来るのでなければ、困った事なんだけど、少し楽しみにしている自分がいる。女神様が沢山とかワクワクするよね。
「今の所、大丈夫ですが、困った事になったらお願いしますね」
「分かったわ。いつでも言ってね」
頼もしいんだけど、神様相手に困った事になったら……Aランク冒険者でもどうしようもないだろう。……戦いになったらさすがに無理だろうけど、人手が足りないとかなら頼めるかな?
「ありがとうございます」
「ご主人様、私達は一緒で良いのよね?」
「いや、今回は僕だけで行くね。自分の船から出る事は無いから安全だよ」
「ご主人様、本当に大丈夫なの?」
「そうですよ、ご主人様。安全かもしれませんがせめて、私達だけでもお連れ下さい。奴隷ですので命令して頂ければ必ず秘密は守れます」
イネスとフェリシアが心配そうに聞いて来る。お金で買った相手に心配してもらえるなんて、嬉しいよね。今までの生活が間違ってなかったって事だ……ある程度恩は売ったけど、エロい事しかしてなかったような気がする。……間違った生活をしていなかったのか自信が無くなって来たな。
いや、そんなことよりイネスとフェリシアを連れて行くのかか。人払いをしてって言われているから秘密を守るとかじゃなくて、連れて行けないんだよね。
「うーん、大丈夫だからお留守番をお願いするね。秘密を守るんじゃなくて1人で行動するのが大事なんだ」
「……分かりました。本当に大丈夫なんですよね?」
「うん、安心して、絶対に大丈夫だから」
絶対にって神様を怒らせて消されたりしないよね? ビデオはちゃんと許可を貰って撮影しよう。雑談をして部屋に戻る。
イネスとフェリシアは秘密を聞きたそうにしていたけど我慢してくれた。リムの変化の訓練を見守り。明日から3日は生殺しの可能性が高いので、全力でイネスとフェリシアに相手をしてもらった。
………………
「ワタルさん、おはよう。いつ頃出発するの?」
「アレシアさん、おはようございます。朝食を取ってから出発します」
ジラソーレと挨拶を交わして、久しぶりに自販機コーナーで食べたい物を選ぶ。最近は買い溜めしていた物を取り出していたから、新鮮な感じだ。
チャーシューおにぎりと唐揚げのボタンを押して、出来上がりを待つ。これはこれで良いね。
今日は神様達のお相手をする事になるんだろうけど、朝食をお腹いっぱいに食べて良いのか、お腹を空かしておいた方が良いのかすら分からない。中途半端だけどちょっと少なめの朝食にしておこう。
「じゃあ、行ってきます」
朝食を済ませて、タラップからシーカー号に乗り移ろうとした時、頭の上でリムがプルンとふるえた。
……頭の上に居る事が当たり前すぎて忘れていたけど、リムを連れて行っても良いのか? 人払いってスライムも含まれているんだろうか……何があるか分からないんだよね。リムは可愛いから、神様に連れて行かれる可能性もある。安全策を取っておくか。
「イネス、フェリシア。リムの事をお願いね」
頭の上からリムを降ろし、2人にリムを預ける。不満そうなリムの意思が送られてくるが、こればっかりはしょうがない。撫でながら何とかお留守番をお願いする。
『いっしょ』って言われると、どうしようもなく連れて行きたい。だがこれだけ可愛いリムだからこそ連れて行けない。後ろ髪を引かれながら、急いでシーカー号に乗りこむ。マジ切ない。
あんまりフェリーから離れるのも問題だけど、近すぎるのも不安だ。8時までに教会だから……30分ぐらい走ってから召喚するか。光の神様、美食神様、待っていてください。
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