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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
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13話 テイムと鉱脈

 紅色のスライムをゴムボート内に招き入れる。ぷるぷるもちもちでとても可愛い。この子がテイム出来たら、リムとふうちゃんとこの子と戯れる事が出来るのか……みなぎってきた。


「リム、スライムは何て言ってるのかな?」


 僕が話しかけるより、リムを間に挟んだ方が良さそうだよね。


『そと、みるの』


「そと? ……洞窟の外が見たいのかな?」


『うん』


 外が見たいのか。洞窟から出た事が無いのかもしれないな。リムが外の話をして興味を持ったんだろう。


「一緒に来てくれるのは大歓迎なんだけど、ここには中々戻って来れない事を伝えてくれる?」


『つたえる』


『……へいき……』


 おお、直接僕に返事をくれた。嬉しいな。後は、温度が下がっても大丈夫なのか確認しておかないと。マグマ周辺で生活していたなら外は寒い可能性がある。


「ねえ、外はこの場所に比べると寒いんだけど大丈夫かな?」


『……? ……』


 分からないか、外を知らないのなら難しいよね。でも、何と説明すれば分かって貰えるんだろう? 


「えーっとね、この船に乗っていて平気? 寒くない?」


『……へいき……』


 熱遮断しているゴムボート内が平気なら問題無いか? これ以上、僕の説明能力では無理だから、様子を見ながらだな。あとは触っても火傷をしないのか確認して、ドロテアさんに任せよう。


「触っても平気かな? 火傷したりしない?」


 熱遮断もしているし、船内の温度も上がっていないんだから大丈夫だと思うんだけど、用心は必要だよね。


『……? ……』


 よく分かっていないようだ。


「少しだけ触っても良い?」


 リムの方に近づき何か会話をしているようだ。


『……ん……』


 リムに説得されて触るのを許可してくれた。ちょっと不安そうなのが申し訳ない。手を少しずつ近づける。触れるか触れないかまでの距離でも熱さは感じない。とりあえず指の先で突いてみる。


 熱さは感じずスライム特有のプルプル、スベスベだ。不安がっているので、直ぐに触るのを止める。大丈夫そうだな。


「ドロテアさん、今からお話して、契約を申し出てください。ただし不安がっていますので、焦ったり、大きな声を出したりしないように、落ち着いて、優しく会話してくださいね」


 紅のスライムを持ち上げ、ドロテアさんの前にそっと置く。ドロテアさんの目が釘付けだ。怖がらせないと良いんだけど。


「リム、不安がっているみたいだから、あの子の隣に居てくれる?」


『うん』


 ポヨンポヨンと移動して、ピトっと紅のスライムの横に引っ付く。可愛い。ドロテアさんの目が危ない領域に……逆効果だったかも。


「ドロテアさん、何度も言いますが落ち着いてくださいね」


「ええ、大丈夫。大丈夫よ」


 そう言って大きく深呼吸するドロテアさん。ここからが本番なんだから上手くやって欲しい。


「私はドロテアと言うの。あなたには名前はあるの?」


 少し緊張しているみたいだが、怖がらせないように慎重に話している。


「そう、無いのね。ワタルさんがあなたの綺麗な色を、くれない色、べに色と言ってたから、あなたの事をべにちゃんって呼んでも良い?」


 えっ? そこから取るの? くれないの方がなんかカッコいいよ? 仮の名前だよね?


「ふふ、そうよ。私はドロテア、あなたはべにちゃんね」


 べにちゃんが本決定っぽい。そんなんで良いのか?


「ええ、お外に行くわよ。色んな所に行くからとっても楽しいと思うわ」


 ドロテアさんとべにちゃんが楽しそうに話していると思う。べにちゃんの思念はこっちに届いていないから、想像だけど。


 ドロテアさんも落ち着いたのか、愛おしそうにべにちゃんを撫でている。問題無さそうなのでリムを呼び戻し僕もリムを愛でながら待つ。偶に笑っているから大丈夫だと思う。


 暫くリムと戯れながら見ていると、ドロテアさんが集中しだして、べにちゃんの前に魔法陣が浮かび上がった。いよいよだ。


 ドキドキしながら見守っていると、べにちゃんが魔法陣を受け入れ、体の中に吸い込まれて行く。テイム成功だ。感極まったのか、べにちゃんを抱きしめるドロテアさん。良い物が見れたな。


「ドロテアさん、おめでとうございます。べにちゃんもよろしくね」


「ありがとうございます。ワタルさんのおかげです」


『……うん……』


 リムもべにちゃんに近づき何かを話している。お祝いを言ってるのかな?


「ドロテアさん、べにちゃんは何と言うスライムでしたか?」


 ハッとした表情でステータスを確認するドロテアさん。嬉しくて忘れていたな。その気持ちは良く分かる。


「べにちゃんはブレイズスライムでした」 


 ブレイズスライム……確か灼熱って意味があったよね。僕の予想ではファイヤースライムって思ってたけど、火どころか、炎を超えて灼熱だったよ。灼熱スライム……カッコいい。


「強そうですね。……一緒に冒険にも出れそうですから楽しみですね」


「はい!」


 凄く嬉しそうだ。待ちに待ってたからな。


「じゃあ戻りましょうか」


「はい」


 オールを漕ぎながら降りて来た穴の下に移動する。移動している間もドロテアさんはべにちゃんにデレデレだ。これはこれで良いな。


 穴の下に到着すると、上から4本のロープが垂らされる。素早く確保して、四隅に結び付ける。上に向かって合図を出すと、ゆっくりとロープが引っ張り上げられ、ゴムボートが浮き上がる。


 オールで崖にぶつからないように支えながら上がる。降りるのも怖かったけど、上がるのも怖い。結局両方怖いのか。


 平静を装いながら無事に穴まで到着し、残っていたメンバーに出迎えられる。僕はイネスとフェリシアに問題が無い事を伝え、ドロテアさんは嬉しそうにべにちゃんをテイムした事を報告している。


「ご主人様、あのマグマはどうだったの?」


 イネスが興味津々で聞いて来る。


「うーん、正直言うとイネスが楽しめる要素は全くなかったよ。結界の外には出れないんだから、水の上より粘ついてゴムボートが進み辛いのと、景色が綺麗なこと以外は普段と変わらなかったね」


「そうなの?」


「うん、普段と変わらない状況にしないと死んじゃうからね」


「……そう言えばそうよね」


 目に見えてイネスのテンションが下がったな。次は私も、とか考えてたんだろうけど、その気はなくなったみたいだ。元は冒険者なんだから珍しい事が好きなんだろう。


「とりあえず此処で話していてもしょうがないから、ハイダウェイ号で話そうか。アレシアさん達も行きましょう」


 ハイダウェイ号の中に入り、冷たいジュースを飲みながら休憩する。僕の目を楽しませてくれるのは、リム、ふうちゃん、べにちゃんだ。


 さっそく仲良くなったのか、ハイダウェイ号の案内をしてあげているのか、船の中をポヨンポヨンと移動しては、集まってプルプルしている。


 僕の想像では、ここはご飯を食べる所、これは押すと明かりがつくんだ、とか一つ一つをべにちゃんに教えているんだと思う。可愛い。


 ふと気づくと僕の両隣にはドロテアさんとマリーナさんがいる。2人ともリム達に目が釘付けだ。同志がいると気持ちが共有できて幸せだよね。おっ、リム達がこっちにポヨンポヨンと近づいて来た。 


『わたる、てんし』


 リムが僕の事を天使だと……分かってるよ変化したいんだよね。さすがに脳内変換しようとしても無理だった。 


「天使になりたいの?」


『うん、みせる』


『……みる……』


『……みる……』


 どうやら話の流れで天使の話題が出たようだ。


「いいよ、頑張ってね」


『うん』


 そういうとリムが光を発し天使に変化する。天使に変化して僕の胸元辺りまで飛ぶ。ふうちゃん、べにちゃんは興奮してリムの周りを飛び跳ねている。


 満足したのか、リムが変化を解くと、ふうちゃんとべにちゃんがマリーナさんとドロテアさんに飛び付いた。


「えっ? レベル上げ、進化? ふうちゃんは頑張ってるから大丈夫よ。焦らないで頑張りましょう」


 ふうちゃんが、マリーナさんにレベル上げを再度頼んでいるんだな。そうなると……


「えっ、うん、そうね。べにちゃんもレベル上げは出来るわよ。うん、石投げ? ああ、石投げの練習がしたいのね」


 どうやら、リムとふうちゃんは、べにちゃんにレベルアップの必要性と方法を教えていたみたいだ。リムが変化したがったのは、進化したらこうなるよって見せたかったんだね。僕が想像していたお部屋の案内は違ったようだ。


 その結果、ふうちゃん、べにちゃんのやる気に火をつけたらしい。ふうちゃんは元々知ってたはずなんだけど、つられてやる気がアップしたのか?


 リム達にお願いされて、急遽、べにちゃんの石投げ教室が開催された。ふうちゃんの時もやった事だけど、あのころと違うのはふうちゃんの飛ばす石が凄い威力になった事だ。


 今はべにちゃんもポヨンとしか飛ばせないけど、いずれは凄い勢いで飛ばせるようになるよね。石投げ教室が終わり、夕食を取る。


 べにちゃんは食べた事のない料理に大興奮だ。それにつられてドロテアさんも大興奮だ。これも美味しいとか私はこれが好きとか言いながら、べにちゃんに料理を食べさせている。


 べにちゃんと契約してから、今まで見れなかったドロテアさんのレアな表情が大盤振る舞いされているな。


 しっかりとお裾分け行脚までべにちゃんも参加して、夕食は終了した。女性陣もリムもふうちゃんも、結構地球の料理を食べ慣れたから、べにちゃんのリアクションは嬉しいな。


 女性陣も美味しいと食べてくれるけど、慣れてしまうと感動は失われてしまうから、しょうがないよね。何か驚く料理が無いか探しておこう。


 リム、ふうちゃん、べにちゃん、増えるほど魅力が上がっている気がするな。召喚枠が無ければ、スライム船を作るんだけどなー。ダークエルフの島にスライム牧場を作れないかな?


 流石にダークエルフの島で自分の趣味に突っ走るのは問題か……温泉は趣味だけど、みんなの役に立つから問題は無いはずだ。スライム牧場は皆を癒すから大丈夫か? ダークエルフの人達に余裕が出来たら頼んでみようかな?


 みんなで雑談して、部屋に戻る。温泉に入りたいなー。お風呂船に温泉を溜めて送還しておけば良かったな。


 そうだ! 温泉から離れる時は余っているゴムボートにそのまま温泉を注いでおこうか。胡椒を積んでいたゴムボートが200艘ぐらいあるから、何回も温泉に入れるな。


 お風呂に入り、リムから友達がふえた喜びを聞き、今日は疲れたから軽くイチャイチャしながら眠りにつく。



 ………………



「えーっと、今日は鉱脈を探しながら、洞窟を出るんですよね?」


 朝食を食べながら、今日の予定を確認する。


「ええ、部屋が沢山あるから頑張って探しましょうね」


 せっかくここまで来たんだから、何かが見つかれば良いな。希少金属や宝石でも見つかればウハウハだよね。


「ええ、頑張って探します!」


 なんか洞窟とか嫌だなって思ってたけど、魔物も少なくなったし、宝探しとなると燃えて来るよね。朝食を終えて、装備を整えてから出発する。


 やる事は単純で岩盤が出ている場所で、鉱脈筋を探す。まだ現物を見た事がないから全てが怪しく見えるな。


 通路でも岩盤がある所はしっかり確認して進む。部屋でも確認するが、微妙に燃え残りがあるのが気持ち悪い。嫌な物は視界から反らしながら岩盤部分を探していく。探し終わった部屋はもう一度火をつけておく。


「なかなか見つかりませんね」


「まだ4部屋よ。一つ見つければ、鉱脈によっては大儲けなんだから、頑張りましょう」


 アレシアさんは元気だな。僕も生焼けのアントの卵にダメージを受けている場合じゃないな。テンションを上げて頑張ろう。


 更に探索をすると、マリーナさんが声をあげた。


「鉱脈があったわ」


 急いで確認に向かう……ん? これが鉱脈なのか。白い石のような筋が下から上に枝分かれしている。


「この白い石が鉱脈なんですね。何の鉱脈なんですか?」


「鉱脈は、色々な金属が混じり合っている事が多いから、何の鉱脈かは分かり辛いの。この鉱脈も上手く行けば何種類かの金属が取れる可能性があるわ。でもここをよく見て」 


 マリーナさんが指さす場所を注意深く確認すると、小さな金色の粒が見える。


「これって金ですか? 金の鉱脈なら凄いですよね!」


 興奮して声が大きくなる。


「ワタルさん、焦らないで。金かもしれないんだけど、金じゃないかもしれないの。似た金属があるから土魔法が使える人にしっかり確認してもらいましょう」


 うーん、金じゃない可能性があるのか。でも鉱脈が分かったから探しやすくなったな。沢山見つければ価値ある鉱脈も見つかるだろう。この島なら鉄鉱脈も貴重なお宝だしね。


 そう言えば、銅から金を取り出すとか聞いた事あるな。外国の人達が戦国時代に銅塊を買い漁っていたとラノベで読んだ事がある。楽しくなって来た。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヒロインたちよりスライムたちの方が魅力的な小説
[一言] 紅 くれないって名前にしたら他のひとがきいたら物をくれないのかとかたかり?とかの分類になりそうだや
[気になる点] 銅から金? 銅銭を鋳造し直して取り出したの間違いでは? 『戦国時代に宇宙船でやってきた』 にその様なくだりがありましたね。
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