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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
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8話 岩風呂の完成と洞窟情報

 今日は岩風呂を何とか作り上げたいな。ダークエルフの人達に頼めば、大きな木の湯船を作ってくれそうだけど、岩風呂も憧れるよね。


「それで、ワタルさん。何をすればいいの?」


 アレシアさんの質問に今日の予定を考える……1日で終わるかな? まあ、相当な体力と力の持ち主が8人と僕も居るから、いけるだろう。


「そうですね。まずはいくつか杭を打ち込んでから、源泉の所を整地して平らに均します。その後、槌で地面を叩き固めます。それが終わったら昨日作った岩風呂を運んで、更にもう一つ岩風呂を作って運んで来ます」


「結構大変そうね。時間も掛かりそうだから、さっそく始めましょうか」


 でも、これで良いのかな? 家を建てる時には地面に杭を打ち込んでいたと思うんだけど……生木しかないのが問題だ……生木でも打ち込まないよりはマシ……だよね?


「ええ、お願いします」


 取り合えず簡単なトイを作って温泉を別の場所に流す。フェリシアに選んで貰った硬くて丈夫な木を切り倒し、先を尖らせる。適当な感じが不安になるな。ダークエルフの村の大工さんに聞いてからの方が良かったか?


 アレシアさんが剣で木をスパっと斬り倒して、スパスパスパって剣を振ると杭の形になっている。ファンタジーだ。表面を焦がした方が腐りにくいってテレビで見たので、一応イネスに炎魔法で表面を焦がしてもらう。


 だいたいの位置に出来上がった杭を4本ずつ打ち込む。これで何とかなる……のか? テレビ知識だと不安でいっぱいだな。まあ、家を建てる訳じゃないんだから、大丈夫だと信じよう。


「それでは、出来るだけ平らに均す事と、2つめの岩風呂を置く位置は50センチぐらい低くしたいので、掘り下げるようにお願いします」


 僕の簡単な説明に、女性陣がさっそく動き出す。盛り上がっている部分を削り、低い部分に土を埋める。ある程度均せたら、大きな木の槌で地面を叩き固めて行く。


 地面を叩き固めた後、へこんだ部分に土を乗せ、再び叩き固める。全員有り得ない程の力持ちなので、ドンドン地面が均されて行く。特にカーラさんの働きが凄まじい。


 カーラさんは不思議だよね。長身のスラリとした巨乳美女。ちょっと矛盾した存在なのに大食いで、食べ物の事になると子供っぽい怪力……属性が多すぎる。しかも色気方面の属性が欠落しているのがもったいないよね。


 くだらない事を考えながら働いていると、午前中に地面の均し作業は終わった。力と体力が飛びぬけているだけでも凄い効果がある。


「皆さんありがとうございます。そろそろ昼食にしましょう」


「ふー、お昼ね。こういう作業をするとお腹が空くわ」


「あはは、アレシアさん、ありがとうございます。いつもと変わらなくて申し訳ないですが、沢山食べてください」


「沢山! ワタルさん、私も沢山食べていい?」


 カーラさんは何時も沢山食べてると思うんだけど、抑えていたのか?


「ええ、お腹いっぱい食べてください」


 喜ぶカーラさんにちょっとだけ不安になったのは秘密だ。


 手と顔を洗い、ハイダウェイ号のデッキで昼食にする。いつも通りに食糧庫船を召喚して各々で好きな料理を取り出す。僕は何を食べようかな?


 ……午後からも肉体労働だから……肉だな。ご飯も食べたいから、単純にステーキ丼にしよう。リムも同じで良いそうなので、2枚の熱々のサーロインを切り分け、肉汁ごとご飯の上に掛ける。


 タレは……ステーキに備え付けられているグレービーソースをかけよう。一瞬ステーキ丼の上にカレーをかけたくなったけど、やり過ぎだよね。……でもサーロインカレー丼も美味しそうだ。今度1人の時に試してみよう。


 思い思いに料理を取り、食べ始める。沢山食べる宣言のカーラさんはロケットスタートだ。食べれるだけ食べる気だな。豪華客船とフェリーで、料理、デザートともに充実して来たから嬉しい。


 クラレッタさんともいくつか料理本のレシピに挑戦している。料理のレパートリーも増えたし。仲が深まった気もするけど、友人関係が深まっただけなのが悲しい。


 大食いトリオ以外は食べ終わり、お茶を飲みながらのんびりする。いつの間にかリムとふうちゃんがカーラさんの隣に陣取って、料理を確保しているのが面白い。でも、カーラさん、お腹いっぱいで動けないとか言うのは止めて欲しいんだけど、大丈夫だよね?


 カーラさん、リム、ふうちゃんが満足して、少し食休みをした後に岩風呂を運ぶ為に移動する。





「……ワタルさん、大きすぎると思うのだけど?」


 アレシアさんが、常識って大事なのよ? って目で見て来る。ファンタジー世界の人に常識を疑われるのは納得が出来ない。


「お風呂で使う部分をイネスに斬ってもらうので、全部一気に運ぶ訳ではありませんよ。横幅はあまり変わらないですが。高さは1メートルもありません」


 岩風呂を縦にすれば問題無く運べるはずだ。壊れなければ。


「……それでも十分な大きさよ?」


 ごもっともです。 


「ねえ、ワタルさん、あの高さなら、下ろすのも大変だしハイダウェイ号のデッキに運んだ方が楽じゃないかしら? 隣にハイダウェイ号を召喚すれば、横にずらすだけで運べるわよね?」


 天才が居る。さすがAランクパーティーのリーダーだよね。


「なるほど……そっちの方が断然楽ですね。岩の隣を簡単に整地しましょうか」


「分かったわ」  


 あっさり魔法で、植物や地面を吹き飛ばして平らにする。森の女神様に怒られなければ良いんだけど。ダークエルフが信仰しているから、いるんだよね? 創造神様に呼ばれる事があったら、伝言をお願いしよう。


「じゃあ召喚しますね」


 温泉の近くのハイダウェイ号を送還して、大岩の隣に召喚する。高さ的には丁度良いな。岩風呂を片方から押してハイダウェイ号に運ぶ。


 岩風呂が割れる恐れもあるので、慎重に動かす。何百キロ、何トンあるのか分からないが、巨大な岩の塊が8人の美女の手で運ばれる。身体強化、まさにファンタジーだ。一応僕も参加しているけど、あんまり役に立っている気がしないな。


 慎重にデッキに岩風呂を下ろす。下ろした後に岩風呂を確認するが何処にもヒビは入っていない。なんとか大丈夫みたいだな。


 ハイダウェイ号を送還して、源泉の所まで戻る。2メートルの場所から下ろすのは更に大変で、木を伐って来てハイダウェイ号に斜めに立てかけて慎重に滑らせて下ろす。


 アレシアさんが言うには、壊れる事を恐れなければ、もう少し楽だと言っていた。壊れたら困るから慎重にやって欲しい。


 なんとか源泉の根元に岩風呂を設置する。ただ温泉と言えば岩風呂だよねって……ただそれだけの事が大袈裟な事になってしまった。もう一回岩風呂を運ばないと駄目だから心が折れそうだ。


 岩場に戻って、昨日と同じようにイネスが岩を斬り、他は斬られた岩を運び出す。9人いると早いよね。でっぱりも9人でサクサクと平らに均して岩風呂の完成だ。


 ロープで結び、たてかけた木に滑らせながらハイダウェイ号に引っ張り上げる。源泉の場所に戻り、1つ目の岩風呂の手前に設置する。段々畑みたいな感じだな。後は、2つ目の岩風呂に溜まったお湯が流れるように窪みをつけて完成だ。


「ふー、終わりました。皆さんありがとうございます」


「ふふ、思った以上に大変だったわ。でも完成すると良い雰囲気ね。これにお湯が入るのよね?」


 アレシアさんが言う通り、大きな一枚岩のお風呂が2つも並んでいると雰囲気がある。一つ目の岩風呂にお湯がたまり、溢れたお湯が2つ目の岩風呂に溜まれば少しは冷めているはずだ。


 基本的に2つ目のお風呂に入る予定だけど、1つ目の岩風呂も加水すれば入れるよね。見た感じはアレシアさんだけでなく、他の女性陣にも好評だ。


「その前に水で洗ってからですね。細かい岩の破片なんかがありますから」


「ああ、それもそうね。急いで洗っちゃいましょう。はやく入りたいわ」


「分かりました。素早く洗っちゃいましょう」


 女性陣も張り切って洗ったので、素早く綺麗になった。温泉の流れを変えていたトイを外して、岩風呂に温泉を注ぎ込む。なんかちょっと感動する。自分で温泉を作るとか考えてなかったからね。


「ちょっと時間が掛かりますから、ハイダウェイ号で休憩しましょう。湯着にも着替えないと駄目ですからね」


 お湯が溜まるのをじっと見つめていた女性陣に声を掛ける。


「そうね。休憩しましょうか」


 ハイダウェイ号に戻りコーヒーを飲みながら温泉が溜まるのを待つ。


「ねえワタルさん、ずーっとお湯を流し続けるのなら、いつでもお風呂に入れるって事になるのよね?」


「ええ、アレシアさんの言う通りです。お風呂を洗う時以外は常にお湯が張られている形になると思います」


 これって源泉掛け流しになるんだよね? なにげに贅沢な気分だ。


「そう考えると温泉って凄いわね。ここに村を作れば、村の人達は毎日好きな時にお風呂に入れるようになるのね……ルッカの近くには無いのかしら?」


 どうなんだろう? 穴を掘りまくれば出て来る可能性はゼロではないだろうけど。現状だと最初から出ている場所を探さないと無理なんじゃないかな?


 魔法があれば地中深く穴は掘れるのかな? 確か千メートルとか掘らないといけなかったけど……大魔法で一発もありえるか?


「山とかに多いと思うので探してみるしか無いですね。危険なガスが出ている可能性がありますから、確かめるのが大変ですけど」


「確かめるのは大丈夫だけど、山の中だと魔物が大変よね」


 魔物が居たな。この島は弱い魔物しか見つかっていないから、今の所問題は無いけど……


「そう言えば洞窟の魔物は大丈夫でしょうか? 此処から近いんですよね?」


「……洞窟にいる魔物のランクは低いから大丈夫だと思うわ。でも、ジャイアントアントが群れで出て来ると危険かもしれないわね。私達が探索するから間引きは出来ると思うけど、村の人達でも偶には間引きを考えるべきね」


「そうですか、村長さんにも伝えておいた方が良いですね」


 強くはない魔物なら、群れで出てこないように出来れば大丈夫そうだ。間引きか……面倒だからここに村を作るのは難しいかな? 頑張って作った岩風呂が、無駄になるかも……


「ワタルさん、温泉がいっぱいになった」


 温泉の様子を見ていたカーラさんが教えに来てくれた。自分が作った温泉が嬉しいのか頻繁に様子を見に行っていた。


「カーラさん、ありがとうございます。ではみなさん、湯着に着替えて温泉に行きましょうか」


 部屋に戻り湯着に着替える。


「フェリシア、ダークエルフの村の人達でジャイアントアントの間引きは出来るのかな?」


「大きな群れになっていなければ、対処は出来ると思います。ご主人様、洞窟の中を確認したいので、ジラソーレの皆さんの探索に付いて行きたいのですが、良いですか?」


 どうしよう? フェリシアだけ付いて行かせるのはありなのか? ……無いな。でも、洞窟の内部を確かめるのは大切だよね。……大きな蟻がウジャウジャいる洞窟か、出来れば避けたいんだけど。


 どっちにしろジャイアントアントがあふれ出したらこの島も危険になる。そうなると、ダークエルフをこの島に連れて来た僕の責任は重大な気がする。


 今までもジャイアントアントは洞窟の外に出て来なかった。だけど、これからも洞窟の外に出てこないと言い切れないのが辛いな。……嫌だけど、僕も洞窟の探索に付いて行くか。嫌だけど。


「分かったよ。僕も行くからジラソーレに頼んでみよう。取り敢えず、今は温泉に入ろうか」


「はい、ありがとうございます、ご主人様」


 フェリシアもホッとしている。やっぱり気になるよね。湯着に着替えて外に出る。少し話したから遅れてしまった。


「すみません、遅くなりました」


「いいのよ、さっそく行きましょう」


 アレシアさんもはやる気持ちが抑えられていないようだ。手に持っているお風呂セットもカタカタ鳴ってるし、待ちきれないのか? 温泉は昨日も入ったのにね。……昨日は実験みたいなものだったから満足出来なかったのか。


 見てみると化粧品店やスパで色々なシャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔、化粧品を入手しているみたいで、持っている品物がみんな微妙に違う。自分に合った物を選んでいるんだな。僕にはさっぱりだよ。


 イネス、フェリシアもお小遣いで買った商品の評価を楽しそうに言い合ってた。ジラソーレとも情報交換をしているみたいで、興味が強すぎてちょっと怖い。


「分かりました。行きましょうか」


 岩風呂かー、今更だけど、岩風呂と木のお風呂ってどっちが良いんだろう? イメージ先行で作っちゃったからな。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。


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