表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第一章 手漕ぎボートの上手な活用方法!!
16/576

13話 ゴブリンとスライムとテイムスキルと旅の準備

 森に着いた。いつも角兎の狩場から見てはいたが、中に入ると思うと何だか不気味にみえる。大丈夫だろうか……。


「よし、森に入るか。ワタルはとりあえず俺達の真ん中な。ゴブリンが出たら1匹だけ残すから戦ってみろよ」


「わ、分かりました」


「落ち着けって。ゴブリン1匹なら素早い角兎の方が戦いにくいぞ。ワタルなら大丈夫だ」


「ひっ」……なんだ枝を踏んだ音か……恥ずかしい。


「……まあ、先に進むか」


 流してくれた。みんな優しいな……。


 管理されてない森の中ってこんなに歩きにくいんだな。ところどころ根が出てたり、穴や石、障害物が沢山だ。歩いていると前方からギャギャと言う声と、ガサガサと茂みが揺れる音がする。


「ゴブリンだな。とりあえず1匹まで数を減らすから、ワタルは落ち着いて槍を構えてろ」


「はい」


 ゴブリンがこちらを見つけると、ギャギャっと言いながら突撃してきた……。アルドさん達はあっさりゴブリンを倒してしまう。あっさり倒し過ぎて何の参考にもならないな。


「ワタル、いけ」


「はい、ていっ」


 槍で突くとあっさりゴブリンの顔に槍が刺さった……グロい。


「簡単だろ?」


「ええ、1匹なら何とかなるみたいです。でも、ゴブリンっていつもあんななんですか? 音たてて、見境なく突っ込んできましたよ?」


「まあ、大抵あんなだな。でも、油断はするなよ。ゴブリンリーダーがいると、少しは頭を使うようになる。待ち伏せとかな。それよりも話してないで、魔石と右耳の回収だ」


「は、はい」


 グロいがゴブリンの心臓辺りを切り裂き、小さな石を取り出す。次に右耳を切り取る。自分で殺しておいてなんだが、この行為は苦手だ。


「残った死体はどうするんですか?」


「この森ならそのままでいいぞ。スライムもいるし、瘴気も薄いからな。ゾンビやスケルトンになる前に綺麗に消化される」


「この森は瘴気が薄いんですか? 他の場所なら燃やしたりしないと駄目なんでしょうか?」


「おう、そうだな。だからこの森は初心者から中級者までなんだ。瘴気が濃い場所なら穴を掘って埋めたり、燃やしたりだな。よし、次にいくぞ」


「はい」


「お、スライムだ、ワタルは見た事があるか?」


「スライムを見たの初めてです。可愛いですね」


 形はお餅みたいで、青色でプルプルしている。動きはゆっくりで体を伸ばして戻して進んでいる。もっちもっちと動いている姿が、可愛い、触りたい、撫で繰り回したい。


「可愛いのか?」


「可愛いです。触っても大丈夫ですか?」


「長く触っていると、内部に取り込まれて溶かされるぞ?」


「少しなら大丈夫なんですね。うわー、プルンプルンだー。撫でるとスベスベ。この子連れてく、飼っていいよね」


「落ち着け、テイムのスキルがあるのか? ないならスライムといえど魔物だ。街に入れる事はできないぞ」


「どうやったらテイムスキルが手に入るの?」


「だから落ち着け。スキルがそんなに簡単に手に入る訳ないだろ」


「もっちもっちふぉーーー」


「なんだこいつ。何でスライムでこうなるんだ?」


「もっちもっちふぉーーー」


「……落ち着いたか?」


「すいません、少し取り乱しました」


「少しじゃないけどな。そろそろいくぞ」


 呆れられてしまったが、あの感触はたまらん。1人だったら戻ってこられなかったかもしれん。


「まあ、スライムはそんなに危険じゃないし、森を綺麗にしてくれるから、なにか理由がない限り、狩らない方がいいぞ。あとは、毒を持ってたり大きかったり、魔法を使うスライムもいるらしいぞ」


「見てみたいですね」


 沢山のスライム。モチモチパラダイスだな。飛び込みたい。


「おっ、ゴブリンがきたぞ。気を引き締めろよ」


「了解です」


 スライムの誘惑に耐えながら、次々とゴブリンを狩っていく。アルドさん達の連携はきちんと考えられていて剣、槍、弓がちゃんと機能している。できるだけアルドさん達の戦いを観察しながら、森での戦いを勉強する。


「日も暮れるし、そろそろ戻るぞ」


「はい」


 緊張したが、ゴブリン1匹なら問題ない。船召喚ありなら何匹いても大丈夫だ。


 でも、スライムはほしいな、テイムスキルか。動物や魔物と仲良くなれれば取れるのか? 資料室で調べてみよう。


 ギルドに戻って討伐報酬を受け取る。連れていってもらっただけで十分だと遠慮したが、みんなで山分けが基本なんだぞと言って、50銅貨くれた。迷惑も掛けたし足も引っ張ったのに、アルドさん達には、感謝しないとな。


「さて、宿に戻って晩飯食うか。ワタルも一緒に食うだろ?」


「そうですね。ご一緒させてもらいます」


 宿に戻って、それぞれ荷物を部屋に置いて食堂に集まる。


「それじゃあ、今日も無事に戻ってこれた事と、ワタルの初ゴブリン討伐に乾杯」


「「「「「乾杯」」」」」」


「ふー、仕事終わりのこの一杯はたまらないよな。ワタル、今日はどうだった?」


「そうですね。ゴブリンは倒せましたけど、集団でかかってこられたら無傷は無理って分かったのが収穫ですね。旅に出るとしたら、もっと鍛えるか、護衛を雇うかですね」


「そうだな、ゴブリンと言えども、数がそろうと面倒だ。まあ偶になら連れていってやるから、色々と試してみればいい」


「ありがたいですが、そんなに迷惑かけられませんよ」


「ははは、そんな事気にするな。お前に角兎の事を聞いてから報酬が増えてな。もともと買おうと思ってた装備よりワンランク上の装備を買うことにしたんだ。それでも元々の予定よりも、よっぽど早く買えそうなんだぞ。みんな感謝してるんだから、森に連れてくぐらい気にするな」


 やっぱり角兎って効率がいいんだな。まあ、それも西方都市っていう、大きな都市だからこそだろう。小さな村だったりしたら俺一人での狩りで肉が余りそうだ。


「それなら、お言葉に甘えさせてもらいます」


「おう、甘えろ甘えろ」


 楽しく飲み食いをして部屋に戻る。お酒を飲んだにしても、30銅貨は使いすぎたか? お酒も飲んだし今日の練習はさぼっちゃおう。ステータスチェックだけしてもう寝るか。


 ……レベルが1つ上がっている。角兎よりゴブリンの方が経験値がよさそうだもんね。そういえばアルドさん達のレベルはどのくらいなんだろう? 機会があれば聞いてみるか。お休みなさい。


 ***


 朝だ。今日も元気に角兎を狩るか。いや、今日は先に資料室によってテイムスキルを調べよう。なんとかスライムをテイムするんだ。


 朝食を食べて、お弁当を持ってギルドの資料室に向かう。


「おはようございます。資料を見させてもらいにきました」


「おはよう。汚さない様にね」


 さて、どの本に載ってるかな? テイマーの本は……ない。こっちのスキル事典に載っているといいんだけど……。


 ……テイムの習得条件は載ってない。動物なんかを飼っている人達が、比較的に覚えやすいみたいだけど、絶対じゃないみたいだし、動物を飼うには拠点が必要だよな。


 今のところ、スライム以外に飼いたい動物はいない。でも、スライムは諦めたくない。テイマーの人に詳しく聞くか、もっといい本を探すかだな。とりあえずギルドの講師にテイマーがいないか聞いてみよう。


「おはようございます。この依頼をお願いします」


「はい、受理しました」


 キツネミミの綺麗なお姉さん、相変わらず綺麗だな。でも、まだ名前すら知らないんだよな。なんか今更聞くのも恥ずかしい。


「あのー、ギルドの講師にテイムについて教えてくれる方はいらっしゃいますか?」


「テイムですか……申し訳ありません。テイムスキルは習得条件が確定しておりませんので、ご紹介できません」


 習得条件が確定してないのか。スキル辞典にも載ってなかったし、予想はできたがやっぱり少しショックだ。自力でなんとかするしかないな。僕はスライムをあきらめるつもりはない。


「そうなんですか、ありがとうございました。では、頑張ってきます」


「いってらっしゃい、お気をつけて」


 初めてキツネミミの綺麗なお姉さんにいってらっしゃいって言われたな。ビックリするぐらい嬉しい。名前聞いちゃおうかな? グズグズしていたら次の冒険者が……仕事に戻ったキツネミミのお姉さんに話しかけるのは迷惑か。お仕事頑張ろう。


 ***


 角兎の狩りで3銀貨を稼ぎ、訓練を終えて宿に戻り食事をする。しかし、このままの生活をいつまでも続けるわけにもいかないんだよな。


 これからどうするか、そうだな区切りをつけよう。今日から1ヶ月後に南方都市に出発する。角兎狩りと訓練をしながら、南方都市への行き方と旅の準備をしよう。


 旅するなら食料が必要になる。幸い船に積めば送還中は時間が過ぎないらしいし、女将さんに言って毎日のお弁当を2つにしてもらって、1つは倉庫船に溜めておこう。


 あとは少しずつ屋台の串焼きや、果物を買いだめすれば食料は大丈夫だろう。きちんと準備さえすればとりあえず飢える事はないだろう。


 1ヶ月の区切りを設けてから毎日、角兎狩りに訓練、食料補給、偶にアルドさん達と森に行った。

 

 後半には何度かこっそり1人で森にいってみた。船召喚をすればゴブリンなら何匹いても大丈夫だったし、ボートに向かってくるゴブリンを槍や弓で倒していくと、槍と弓のスキルが取れた。実戦経験って大事だよね。


 テイムスキルを狙ってスライムを撫でたり抱きしめたり。もっちもっちして、倒したゴブリンをあげてみたがテイムスキルは入手できなかった……。


 南方都市への行き方は、ギルドのキツネミミの綺麗なお姉さんに聞いてみた。お姉さんによると、一般的な方法は王都に向かい、王都から南に街道を進むか、王都の側を通る川を船で下るらしい。


 川は王都と南方都市を結ぶ重要なルートらしく、沢山の船が行き交っているらしい。船召喚で下るのも考えたが、1人でボートで下るのは目立ちそうなのでやめておく。


 でも、西方都市と王都の中間ぐらいにも川があって、その川も南方都市まで流れているらしい。この川は高低差があり、川幅も狭いところがあって整備しようとする計画はあがるが、毎回没になるらしい。


 こっちの川なら目立たずに南方都市までたどり付けそうなので、この川を下っていく予定だ。王都から南方都市まで船で4日だそうだが、整備されてない川をボートで下ることを考えても10日あれば着くと思う。


 嬉しかったのはキツネミミの綺麗なお姉さんにお礼を言われた事だ。僕のおかげで角兎を狩る冒険者が増えて、角兎依頼が消化される様になった事。


 角兎が意外と稼げるので、新人の冒険者がそこで経験を積み、少し良い装備を整えてゴブリンに挑む好循環ができて、負傷者が減ってきている事で、お礼を言われた。


 失敗したのが、南方都市まで護衛依頼とかがないのかと聞いたら、護衛依頼は最低でもEランクのパーティかソロならDランクはないと受けられないらしい。


 あとどのくらい依頼を受ければ、Dランクに上がれるのか聞いたら、最低でもゴブリン討伐依頼を30回熟すのが条件らしい。ゴブリン討伐依頼はアルドさん達と5回くらいしか受けてない。


 街道を行くのに1人は不安なので方法はないのか聞いたら、報酬はないが有事の際に協力する事を条件に、商隊に同行する方法を教えてもらえた。食事等も自己負担だ。商隊に川沿いの町まで同行して、そこから川下りだな。レベルも4つ上がったし、スキルも取れた。なんとか南方都市まではたどり着けるだろう。


 いよいよ明日は南方都市への旅立ちだ。今晩はアルドさん達がご飯を奢ってくれるそうなので、角兎狩りにいって兎の丸焼きを2つ作ってもらおう。


 名前  豊海 航 とようみ わたる

 年齢  20

 種族  人間

 職業  船長 

 レベル 20


 体力  480

 魔力  46

 力   50 

 知力  60

 器用  56

 運   15


 スキル 言語理解    (ユニーク)

     船召喚レベル1 (ユニーク)

     槍術レベル1

     弓術レベル1


 残高 3金貨 63銀貨 85銅貨

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ