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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
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2話 村の様子と宴会準備

 日が登り、朝食を取ってからダークエルフの島に向かう。夜中の内に自動操縦で近づいていたので直ぐに到着だ。


 シーカー号を停泊させると既に村の人達が集まっている。挨拶もそこそこに買っておいた荷物をドンドン降ろして行く。一通り荷物を降ろしてから、改めて村長さんと副村長さんに挨拶をする。10人ほどの村の人達には荷物を村まで運んでもらう。


「改めまして、おはようございます、村長さん、副村長さん」


「「おはようございます」」


「どうですか? 村は順調ですか?」


「ええ、ワタルさんのおかげで、人も物資も増え、みな生き生きしております。副村長の協力で、2つの村も問題無く1つになれそうです」


「いえいえ、私は何もしていませんよ。新しい自由な環境。戸惑いが無くなれば後は希望と喜びが溢れていました。村長も気を使って下さったので、口論すら起こっていません」


 村長と副村長もお互い気を使いながらも仲が良さそうだ。村でも口論すら起こってないらしい。なんか異常だと思う僕は変なのかな? 1つの集団に、別の集団が加われば少なからず軋轢は起こると思ってたよ。


「そうですか。問題が無いのなら良かったです。じゃあ、村に行きましょうか」


 村長さん、副村長さんと話しながら村に向かう。人数が増えた事で、村が更に発展していってるそうだ。2つの村が合わさってもまだまだ少ない。それでも人数が倍近くに増えたのならやれる事も増えるんだろう。


 家作りで協力し合う事で、連帯感も生まれ、わずか1ヶ月程なのに1つの村と言えるほどに馴染んでいるそうだ。


 村に到着すると、広くなった村に新たな家が建てられている。トントンカンカンとの響きに混じり歌声が聞こえる。ダークエルフの歌って綺麗な歌が多いのか、大工の現場には違和感を感じるな。


「まだ朝も早いのに、賑やかですね」


「そうですか? 普通だと思いますが」


 村長さんが不思議そうな顔をしている。……そう言えば魔法の光があるとはいえ、あまり夜更かしはしないんだったな。日が昇る頃に起き出すのなら、今は作業の時間か……


「ああ、いえ、すみません。僕が起きるのが遅いのでそう感じただけでした。あっ子供達も仲良くしてるんですね」


 無意味に恥をかいた気がする。話をそらそう。


「ええ、直ぐに仲良くなって今では8人で村中を走り回っていますな」


 村長も副村長も優しい微笑みで子供達を見ている。完全に話をそらせたな。何時もの通りフェリシアにはセシリアさんのところにお手伝いに行かせ、話を聞きながら村を見て回る。


 1ヶ月しか経っていないのに家が増えている気がする。


「村長さん、前みたいに家は外側だけ作って内装の細かい部分は後からですか?」


「ええ、その通りです。みんな慣れたものでかなり早く出来上がってますな。簡単な物は自分で作ってしまうので、村の大工を担当していた者も、家を建て終わったら仕事が無くなりそうだと笑っています」


 大工仕事が得意なダークエルフの集団か……ファンタジー的には間違ってるな。村を案内してもらい、それぞれが出来そうな仕事を見つけて手伝う。


 僕はイネスと一緒に、材木を運んだり、材木を運んだり、材木を運んだりで頑張った。昼食後は何故か仕事が無くなっていたので子供達と遊んでいるリムとふうちゃんと合流する。


 お話を聞かせてとせがまれたが、よく考えなくても冒険らしい冒険をしていない。しょうがないので道具を使わずに遊べる、ケイドロ、だるまさんが転んだを教えて遊んでみた。


 鬼ごっこ、かくれんぼは既に似たような遊びがあった。ケイドロは兵士と犯罪者で何とかなった。だがだるまさんがころんだは、何の言葉に置き換えたら良いのか分からなかったので、そのままだるまさんがころんだで遊んだ。


 意外とだるまさんがころんだが白熱したのが面白い。初めは鬼になっても適当なフェイントで面白いように子供達を騙せていたが、直ぐに慣れてしまって何度か負けてしまった。子供相手に本気で勝ちに行って負けると、驚くほど切ない。


 悔しかったのでマルバツゲームを教えて全勝してみた。子供達の「ワタルにーちゃんつよいー」っという言葉と尊敬の眼差しが心に突き刺さる。勝っても負けても心が痛いな。勝てるけど負けてあげるというのが一番良い。


 夕方まで子供達と遊びシーカー号に戻る。なんだか釈然としない1日だったな。夕食を終えて、疲れたので早めにお風呂に入る。


「ご主人様、良い雰囲気の村になってたわね。張り切り過ぎて心配な位だったわ」


 そう言えばそうだな。休憩もそこそこで走り回ってる人が沢山居た。


「あー、そうだったね。みんな、楽しそうだったから良いんだろうけど……ねぇフェリシア、セシリアさん達は何か言ってなかった?」


「母が言うには、みんな元気過ぎるそうですよ。仕事が終わってからもリバーシやジェ〇ガ、歌を歌ったりお酒を仕込んだりと、なかなか寝ないそうです」


 あれ? 日が暮れたら早く寝る生活じゃないの? 前の村の時はそんな感じだったよね? リバーシ、ジェ〇ガ、歌……僕がきっかけな事が多いな。


「かなり忙しそうに働いてるよね? そのうえで夜は遊んでるのなら倒れちゃうよ」


「ええ、母も心配していました。元の村の人達は、新しい仲間が増えて張り切っていて、湖上の村の人達も自由な生活と娯楽で元気いっぱいだそうです」


 ……それってハイテンションが継続して、疲れに気付いていないだけなんじゃ? テンションが切れたら一気に寝込みそうだ……


「それは、あれだね。お休みが必要だよね。気力を疲れが上回った時にみんな倒れちゃうよ」


「村の女性達も気が付いてはいるんですが、なかなか上手く制御出来ないそうです」


 ……お酒でも差し入れして宴会でもするかと思っていたんだけど、逆効果になるか? ……ひたすら飲ませておけば翌日は寝込むか。早めに糸を切って寝かしつけておこう。体力の限界で倒れるよりマシだろう。


「じゃあ、明日は宴会にしよう。早めに仕事を終わらせて、お酒を飲ませれば体の休憩にはなると思うよ」


 二日酔いは辛いけど寝ていれば体の休憩にはなる……よね? 何か自信が無くなって来た。二日酔いの後は妙に疲れているから体力を消耗している可能性もある。ネットで調べたい。まあ、一度寝込めばテンションも下がるだろう。


「宴会ですか? みんな喜ぶと思いますけど、騒ぎで疲れてしまいませんか?」


「うん、お酒を飲んで騒いで、二日酔いにでもなればテンションが下がって落ち着くと思うよ」


 二日酔いの間は飲み過ぎた事を後悔するからな。ハイテンションではいられない。


「分かりました。ありがとうございます。では、明日、母に話してみます」


「うん、お酒は僕が放出するから料理を作って貰えるように頼んでおいて」


「はい、ご主人様、何時もありがとうございます。少しでも恩返しが出来るように頑張りますので、よろしくお願いします」


 おうふ、いきなり頭を下げられるとビビる。


「フェリシア、気にしないで、僕も村が出来上がるのを楽しんでいるんだから」


 言ったら怒られそうだから言わないけど、村作りの携帯ゲームをしている気分だから、楽しいんだよな。まあ、家の配置とかは口出しできないんだけどね。


 明日は宴会だし、今日は大人しく寝よう。



 朝、リビングに集まり朝食を取る。ジラソーレに宴会の話をすると乗り気だ。そうだよねお酒が大好きだもんね。


 ダークエルフの村の人達も大丈夫だろう、お祭りの時もノリは良かったし。……いきなり今日の夜に宴会やりません? って言うのか……よく考えなくても迷惑な気がする。まあ、駄目そうなら明日に延期しよう。


 村に到着してさっそく村長を探し話しかける。


「村長さん、おはようございます。ちょっと良いですか?」


「ワタルさん、みなさん、おはようございます。もちろん構いません、どうかしましたか?」


 テンションがおかしい事を聞いて村長さんを見ると、確かに目が少し血走っている……よく知っている訳じゃないから微妙だけど、動作も大きくなった気がする、テンションが高くなっているのは間違いなさそうだ。


「ええ、話を聞くと、皆さん休み無しで頑張っているそうなので、今晩、ちょっとした息抜きに宴会をしませんか? お酒は僕の方から提供しますよ」


「宴会ですか? 確かに最近村の者達も頑張っていましたから、それは良いですな。村でもお酒を仕込んでいますから、楽しみです」


 村長さんの目がランランとしているように見える。テンションが更に上がったな。少し話し合って夕方からの宴会が決まった。村長さんは村中、森に伝達すると走り去っていった。


 ……村長が活力に満ち溢れているのは良い事だと思うんだけど、行き過ぎは駄目だよね。あの人も絶対に飲みまくるだろうから、二日酔いで少しは落ち着くだろう。


 僕達も昨日と同様に村のお手伝いに回る。ジラソーレも意外と村のお手伝いが楽しいらしく、笑いながら家作りのお手伝いに参加してくれている。


 村の女性陣にはフェリシアがセシリアさんを通して広めてくれるそうだ。午前中は昨日と同様に木材を運ぶ。宴会の話が広まって来たのか、そこら中で喜びの声が上がる。


 湖上の村の人達は、よく分かっていないのか、きょとんとしている。周りの人が説明しているがテンションの上昇に付いて行けてない。まあ突然「祭りだー」とか叫び出されたら分からないよね。祭りじゃなくて宴会だし。


 ファンタジーであるべきイメージのダークエルフからドンドン離れて行ってる。大工仕事が得意なお酒好きのダークエルフか……違うな。それはドワーフの役割なはずだ。


 ダークエルフって陰があって闇に生きるのがイメージだよね。間違っても「祭りだー」とか叫び出す事は無いはずだ。……僕のせいなのか? 家作りが終わったら落ち着いてくれると良いな。


 

 昼食を頂き、昨日と同様に子供達と遊ぶ。何となく子供達と遊ぶのが当然な流れに疑問を覚えるが、目の前ではしゃぐ子供達にそれは言えない。大人しく一緒に遊ぼう。


「ワタルにーちゃん。きょうっておまつりだよねー」


 お祭りではなくて宴会です。


「ごちそうたのしみ」 


「おなかすいたー」  


 お昼ご飯は先ほど食べました。 


「たのしみたのしみ」


 誤解は解くべきだよね? はしゃぐ子供達を見ながら考える。


「あのね、今日はお祭りじゃなくて宴会だよ」


「どうちがうの?」


「……お祭りは神様に感謝する事で、宴会はお酒を飲んで騒ぐ事かな?」


 たぶん間違っていないはず。


「ごちそうは?」


「あるよ」


「よかったー、じゃあえんかいでいいよ」


 ご馳走があれば問題無いのか。気持ちは分かるから何も言えない。僕も日本にいた頃は、出店にしか興味が無かったからな。今は創造神様に会っちゃったから真剣にお祈りしている。


 昨日と同様に子供達と遊びながら夕食までの時間を潰す。夜の宴会を目標に沢山遊んでお腹を空かすと言い出したので、疲れると直ぐに眠くなってご馳走を食べ損ねると説得した。


 子供の全力は怖い。ハイテンションで遊びまくる子供達と一緒に遊ぶのはキツイからな。夕方になり子供達と別れ、荷運び要員の村の人達を連れて、シーカー号に戻りお酒を降ろす。


 うーん、ワインとエールは問題無いけど、蒸留酒は残り少なくなったな。また仕入れに行くのも面倒だしどうしようかな。


 お酒を運び村に到着すると、広場に人が集まっている。もう準備しているみたいだな。いい匂いが漂う中を進むと、キャンプファイヤーが作られている……


「村長さん、キャンプファイヤーを作ったんですね。良いんですか? 家を作るのに木材は必要ですよね?」


「ああ、ワタルさん。お酒をありがとうございます。木材は必要なのですが、新しい住人にもあの光景を見て欲しいので、作ったんですよ。木材は後で補充すれば何とかなりますからね」


 キャンプファイヤーは僕が作った時に手伝ってくれた人が覚えていたらしい。まあ、宴会が派手になるのなら問題無いか。派手な方がお酒が進むからな。明日はこの前みたいな静かな村になるんだろうな。


 料理も僕が教えた料理や、それをアレンジしたと思われる料理が沢山並んでいる。お酒は、あの知らない樽がこの村で作られたお酒かな? 興味があるような、怖いような……飲むべきなのかな?


「ワタルさん、この雰囲気は良いわね。沢山の料理、沢山のお酒! みんな今か今かと宴会が始まるのを待っているわよ」


 満面の笑顔のアレシアさん……お酒に特別なアクセントが付いていたのは気のせいじゃないんだろう。確実にお酒にターゲットを絞っているな。


 準備が終わり、完全に日が落ちる少し前に宴会を開始する。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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