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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第八章
153/568

1話 輝くリムと進化したリム

 シーカー号のソファーで光り輝くリムを見つめる。話しかけても聞こえていないのか反応が無い、寂しい。


「クラレッタさん、進化って言ってましたけど、大丈夫なんでしょうか?」


 心配でたまらない。どうなっちゃうの?


「すみません。本で読んだだけなので、確実とはいえないです。ゴブリン等の下級の魔物はこのような現象は起きず、進化する場合は巣に籠り時間を掛けるらしいです。


 このように光り輝くのは特殊な魔物に起こる現象だそうです。しかし目撃例すら少なく殆ど何も分かっていないと書かれていました。リムちゃんは特殊なホーリースライムですからこのような現象が起きているのだと思います」


 殆ど何も分かっていないけど、特殊な魔物は進化の時に光り輝くらしい。状況は当てはまっているんだけど、不安はぬぐえない。


「そもそも、進化ってどの位で終わるのか分かりますか?」


「すみません。分からないです」


 そりゃそうだよね。何も分からないって聞いてたのに、テンパってるな。こんな場合だからこそ落ち着かないと。


「いえ、クラレッタさんが謝る事じゃないですよ。何も分からないって言っていたのに、こちらこそ申し訳ないです」


「いえ、謝る必要なんてないですよ。リムちゃんが心配ですから、焦ってしまいますよね」


「ありがとうございます」


「ワタルさん、ふうちゃんが大丈夫って言ってるわよ」


「本当ですかマリーナさん!」


「本当だから落ち着いて、ワタルさんならふうちゃんと話せるでしょ?」


 ああ、そうだった。落ち着こうと思っているのに全然落ち着けてないな。気を静めてふうちゃんに質問する。


「ふうちゃん、リムは大丈夫なの?」


『……うん……』


 取り合えず、安心しても良いよね? 同じスライムなんだし、問題無い事は分かっているみたいだ。


「リムに何が起きているのか分かるかな?」


『……すごくなる……』


 凄くなる? 進化って事で良いんだろうな。


「そうなんだ。凄くなるんだね。いつ頃、終わるのか分かるかな?」


『……わかんない……』


 分かんないか。終わりが見えないのは辛いな。いきなり進化が始まったけど他でもそうなのかな? 進化中に襲われたら危険過ぎると思うんだが……そう考えるとそこまで時間は掛からないのか?


「このまま見ているだけで良いのかな? 何か手伝う事は無いのかな?」


『……ない……』


 無いのか。見ているだけなのは辛いな。


「そうなんだ、ふうちゃん、ありがとうね」


『……ん……』


「ワタルさん、何か分かりましたか?」


 心配そうにクラレッタさんが聞いて来る。良い人だよねクラレッタさん。


「ええ、と言っても詳しくは分からないのですが、リムは大丈夫で、凄くなるそうです。あといつ終わるのかは分からず、手伝う事も無いそうです」


「そうですか。問題が無いのなら良かったです。でもただ待つだけなのは辛いですね」


「まあ、待つだけですから、頑張りますよ」


 嬉しい事に女性陣も一緒に見守ってくれるそうだ。リム、愛されてるね。


 リムが進化するのか……嬉しいような、心配なような……可愛いままでいてくれたら嬉しいんだけど。どうなるんだ? 反抗期とか始まったら泣く自信があるぞ。


 リムを見守りながら待機していると、2時間程経った頃、リムの光が弱まって来た。……そろそろ終わるのかな?


 全員で固唾を呑んで見守る中、光が収まりぷるんと艶やかなリムが現れた……


「リム、大丈夫? 痛い所とか無い?」


『……へいき』


 取り敢えず平気らしい良かったな。でも進化って言ってたけど、白金色の光が少し強くなったぐらいで変化が分からないな……


「リム、進化したんだよね?」


『うん』


「どう変わったのか分かる?」


『……ん?』


 よく分かっていないらしい。どうしたものか。


「ワタルさん、どうしたの?」


 少し心配そうにアレシアさんが聞いて来る。説明しておかないとね。みんな心配して見守ってくれてたんだから。


「リムは大丈夫だそうです。皆さんご心配をおかけしました」


「そうなの、良かったわ。リムちゃんおめでとう」


 そう言って優しくリムを撫でるアレシアさん。良い光景だよね。他の女性陣もリムを祝福して優しく撫でてくれる。プニプニモニュモニュしないのは進化後のリムを気遣ってくれてるんだろうな。有難い。


 ふうちゃんもリムと寄り添いプルプルと何か会話をしているみたいだ。どんな話をしているのか少し気になるな。


「それでワタルさん、聞いても良いのか分からないけど、少し困った顔をしていたわよね? どうかしたの?」 


「ああ、それはリムがどう変わったのか聞いてみたんですが、リムもよく分かっていないみたいで、どうしたものかと思ったんですよ」


「ああ、そうだったの。ステータスをみれば分かるわよ。私達も気になるから確認してみて」


 ……そう言えばステータスって便利な物があったな。全然開かないから忘れてたよ。



 名前  リム

 種族  エンジェルスライム

 年齢  2

 職業  ワタルの従魔 

 レベル 300


 体力  6000

 魔力  648

 力   601

 知力  613

 器用  605

 運   30


 スキル 聖属性魔法 レベル3

     回復魔法  レベル1

     消化・吸収

     物理耐性

     天使    レベル1 (ユニーク)(NEW)


「えーっと、種族がエンジェルスライムになっていて、レベルが300、天使っていうユニークスキルが増えています」


 リムの年齢が2歳になっている。ステータスをしっかり確認していればリムの誕生日が分かったんだな。ステータス、特に気にしていないから見るのを忘れちゃうんだよな。


 しかしステータスの数値が高いな。どの位の強さなんだろう? でもリムの思念は単語なんだよな……年齢か?


 おそらくレベル300になったから進化したんだな……進化したらレベル1になると思ってたんだけど残念だ。戻ったらもっと凄い事になるんだけどね。


「なんか凄いわね。……エンジェルスライムにレベル300……レベル300のスライムって正直違和感しかないわ。その上でユニークスキル……どうなってるの?」


 確かにアレシアさんの言う通り、スライムがレベル300って凄いよね。もしかしてエンジェルスライムになったのってリムが初めてだったりして。しかもユニークスキル。


 ただ、ホーリーって神聖なって意味だったと思うんだよね。神聖なスライムと天使なスライム……なんだか神聖な方が凄そうに思えるのは僕だけなのかな?


「はは、確かにそうですね。船召喚があるからここまで上がりましたけど、普通の状況だと難しそうですね」


「ええ、そうよね。それで天使ってユニークスキルはどうなの?」


 あっ、表面だけで満足していたな。


「まだ詳しく確認していませんでした。今から見てみます」


 えーっと、天使の部分を強く念じる。


 天使

 天使形体に変化する事が出来る。天使形体に変化すると全ステータスが1.5倍になる。スキルレベルが上がると上げ幅が上昇する。


 天使形体? もしかしてリムが人化するの? どうなんだろう? 強さはそこまでこだわらないけど、リムの姿が変わるのは嫌だな……


「えーっと天使はリムが天使形体に変化するそうです。なんか不安です」


「想像が出来ないわ」


 ……そうだよね。変化を見るのは怖いけど、見ないと気になってしょうがない。……試してもらうか。


「リム、天使ってスキルは使えるかな? 使えるのなら試してみて」


『できる』


 出来るらしい。なんか怖くなって来た。


「じゃあ、お願いね」


『うん』


 ……ドキドキしながら見守るなか。リムが再び輝きだした。強まった光が変化する。光の輪が出来上がり、リムの頭上に浮かぶ。光が羽の形になりリムの両サイドに引っ付く。


 こ、これはこれで有りだな。可愛過ぎる。モチモチプルプルのフォルムを維持したまま、リムに輝く天使の輪と小さな羽……激プリティーだ。


 しかし予想外だな。スライムに白金に光る天使の輪と、白金に光る小さな羽がつくとこんなに可愛いなんて。


「リム、凄く可愛いよ。凄いねリム」


『ほんと?』


「うん、もちろん本当だよ。リムはその羽で飛べるようになったのかな?」


『……とぶ?』


 あれ? 羽が生えたら飛べそうだよね? 違うのかな? 大きさ的にはとてもリムの体を持ち上げられる大きさじゃないけど、元が光なんだから魔法的な何かで浮きそうに見えるんだけど。


『とぶ』


 そう言うと、小さな羽を一生懸命に動かしだした。マジ可愛い。あっ、ちょっと浮いた。羽のスピードはそんなに早くないんだけど……やっぱり魔法的な何かなのかな?


 僕の膝ぐらいまで飛んだ後、ふらふらと体勢を崩し、ポテンと床に落ちてしまった。落ちるのと同時に天使の輪と羽が光に戻り消えていく。


「リム、大丈夫?」


『むずかしい』


「飛ぶのは難しかったんだね。でも初めて飛べたんだから、リムはとっても凄いよ」


『ほんと?』


「本当だよ。リムはとっても凄いよ」


 我慢しきれずリムを抱きしめ、もっちもっちする。リム、可愛すぎるよ。


「あはは、ワタルさんの側に居ると本当に面白いわね。リムちゃんも凄いし、どうなってるのかしら?」


 今回の出来事がアレシアさんのツボに入ったらしく、大笑いしている。神秘的な光景だったと思うんだけど、何処にツボがあるんだろう?


「ワタルさん、アレシアがすみません。リムちゃん、神々しい雰囲気で、とっても凄かったですよ」


「クラレッタさん、問題ありませんよ。ありがとうございます」


 リムも褒められて、嬉しそうにクラレッタさんに飛び付く。ニコニコと優しくリムを撫でるクラレッタさん。なんか美しい光景だよね。


「ふうちゃんは進化したらどうなるの?」


 マリーナさんがふうちゃんに質問している。たぶん聞いても分からないと思うんだけど。ふうちゃんはウインドスライムだから、風に関連した進化をしそうだよね。楽しみだ。


 暫く会話をしていたマリーナさんがふうちゃんを抱きしめて立ち上がった。……分かったのか? なんかやる気に満ち溢れているように見えるんだけど。


「マリーナさん、ふうちゃんがどんな進化をするのか分かったんですか?」


「いいえ、分からなかったわ。だから頑張ってレベル上げをするの」


 ああ、だからやる気満々なのか。スライムに関係するとマリーナさんは分かりやすいよね。積極的に魔物を討伐してくれるだろうから、こちらとしては助かるな。


 リムの進化が終わり、僕も皆も安心したので、落ち着いて夕食を取る事が出来るな。本当ならダークエルフの村に到着していただろうけど、まあ、しょうがないか。


 今から行くと夜中の到着になるから、騒ぎになると不味い。ダークエルフの島が見えない位置までは進んでそこで待機だな。


 リムの進化を皆で祝ってくれたので楽しい夕食になった。リムとふうちゃんがお裾分け行脚に出ると、全員がおめでとうと言って食べ物をあげている。


 その度にポヨンポヨンと体で喜びを表現してから貰った食べ物を食べる。面白いのが、ふうちゃんもおめでとうと言われて、感謝を表しているところだ。何故おめでとうと言われているのか分かっているのかな?


 夕食を終えて部屋に戻る。今日は突然の進化に焦る事もあったけど、良い1日だったな。


「ご主人様、明日の朝には、ダークエルフの島よね。直ぐに探索にでるの?」


「うーん、村の様子を見てからだね。上手く行っていたら2~3日で探索に出よう」


 陸地でもハイダウェイ号が活用出来る事が分かったから、前よりは全然気楽に探索に出れるな。特殊船も解放されたし、色々と試してみよう。何を買おうかな?


「村が合流して1ヶ月、両方の村も協力的で喜んでいたから、大丈夫だと思うわ」


 確かにイネスの言う通りだな。昔に比べると格段に自由が増えたんだ。個人的な喧嘩でもしない限り上手く行ってるだろう。2つの村が合流しても、まだまだ人数が少ないからな。


「フェリシア、そんな感じで、問題無かったら2~3日で村を出るけど構わないかな?」


「はい、まったく問題ありません。この前会ったばかりですから、直ぐに出発しても問題無いぐらいです」


 ……1ヶ月、うん、この前って感じだね。そこまで気にしないで良いか。村長さんは悲しみそうだけどね。


 夕食後ののんびりした時間を、まったりと過ごす。リムは天使に変化するのが楽しいらしく、気が向いたら僕の前に来て『みて』っと言って変化して飛ぶ姿を見せてくれる。


 今はまだ膝ぐらいまでが限界だけど、いずれは自由に飛び回るのかな? それも楽しそうなんだけど、もっちもっちぽよんぽよんと移動するリムも可愛いんだよな。……悩みどころだ。


 僕の前で飛ぶ姿を見せた後『えらい?』 っと聞いて来るリム。全力で褒める僕。何度も繰り返したが何度でも楽しい。


でも人目がある所で変化しないように注意しておかないと。ただでさえ可愛いのに、これだけ目立つと攫われかねない。


「ふふ、ご主人様、リムちゃん、そろそろ寝ないと、明日が大変ですよ」


 おお、リムに夢中になって結構な時間が経ってしまった。お風呂に入って寝よう。お風呂に入り、リムが寝た後はイネスとフェリシアに突撃する。相手が二人になると楽しいけれど、まったく勝ち目がない。

 

 でも、挑み続けていればいつか心強いスキルが手に入ると信じている。……お休みなさい。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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[気になる点] 進化だって分かってるのに慌てたり アホほど心配する理由が解りません。 アニメ好きなら間違いなく進化が どういうもんか理解してるはず。
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