表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第七章
152/568

23話 閑話 創造神様の計画と暴露

「やあ、元気かい? 創造神様だよ」


「「…………」」


「うーん、やっぱり元気がないね。そんな君達に朗報だよ。僕が航君の事を教えてあげるね」


「「…………」」


「創造神様。戦神と魔神に会いに来たのは航さんの話をする為なんですか?」


「そうだよ、他に何するの? 光の神」


「……目の前に創造神様が回復を阻害して、寝込んでいる戦神と魔神がいますよね」


「うん」


「創造神様が彼らの回復を阻害するのを止めれば彼らは直ぐに元気になりますね」


「そうだね」


「話すだけですか?」


「うん」


「治す気は無いんですね」


「うん」


「創造神様。いい加減にしてくれませんか? 戦神と魔神の負担が私にも掛かっているんですが」


「それは光の神への罰だよ。僕に反乱する神達を黙って見ていたんだよね? それに反乱した首謀者がそんなに簡単に許される訳ないじゃん」


(私も反乱に参加するべきでしたか)


「何か言った?」


「ええ、でも言っても無駄なので大丈夫です」


「そう? じゃあ航君の活躍をたっぷり話してあげるね。嬉しいでしょ戦神、魔神」


 

 ………………



「やっと帰ったか。創造神は暇なのか? 光の神」


「魔神、分かっている事で嫌みを言わないでください」


「すまんな。不愉快な声を聞き続けて苛立っているようだ。何故あいつは一切反応しない我らに、延々と話を出来るのであろうな?」


「創造神様が無視された事を気にすると魔神は思うのですか?」


「……そんな普通の神経を持っていれば私達も苦労しないな」


「そういう事です。それで戦神、魔神、まったく回復していないのですか?」


「俺の方は全くだな。休んで回復する分もきっちり阻害されてる。こういう所だけ細かいんだよな」


「私も戦神と同じだな。生かさず殺さずと言った所だ」


「そうですか、では、あなた達が謝るか、創造神様の気まぐれが起きるまで回復は無理そうですね」


「謝る事等無いな」


「おう、魔神の言う通りだ」


「あなた達、仮にも創造神様に逆らったんです。現在、あなた達が存在しているのは、紛れも無く創造神様の慈悲なんですよ」


「慈悲か……光の神は本当に慈悲だと思うか?」


「……この話は終わりにしましょう」


「そうだな。わざわざ不愉快になる必要も無い。それで、あの異世界人が大活躍したのは本当なのか? 魔の森の魔物を薙ぎ払いながらダークエルフの村人達を守り、移住を成功させたと言っていたが」


「……移住を成功させたのは本当です」


「ああ、大体わかった。もう言わなくて良い」


「魔神……ありがとうございます」


「気にするな。そう言えば暫く娯楽神が来ぬ。何かしているのか?」


「ああ、確か美食神と一緒に病人食を研究すると張り切っていましたね。神が回復できないなど、前代未聞ですからね。あなた達で実験しようと考えているのでしょう。


 まあ、今は航さんが豪華客船を買いましたから、そちらの飲食物、娯楽に夢中です。お見舞いに来るのは暫く先になると思いますよ。寂しいですか?」


「寂しい訳ではないが、娯楽神の情報は役に立つからな。料理も美食神がついているのならおかしな事にはならんだろう。それで豪華客船は実際の所どうなのだ? 迫害されている種族を保護して海洋国家を建国。いずれは国王だとかほざいておったが」


「今の所、船内の施設を確認するのに夢中ですね。中々面白い船で神々も注目しています」


「そうか。書籍はあるのか?」


「ええ、異世界の本がかなりありましたね」


「おいおい、本なんかどうでも良いだろ。光の神、新しい酒は増えたのか?」


「戦神、お前も本ぐらい読め。戦神で脳筋など悲しい未来しか無いんだぞ」


「うるせえ魔神。で、光の神、酒はどうなんだ?」


「沢山お酒を出すお店が豪華客船にはありましたね。種類も増えています」


「……そうか。美食神と酒神に期待だな」


「美食神と酒神が期待に応えても、今のままなら飲めませんよ」


「……魔神、創造神の妨害は何とか出来ねえのか?」


「出来るのならやってる」


「……そうか。あいつどうにかなんねえのかな?」


「……では、そろそろ私も失礼しますね。また来ます」


「ああ、またな」


「次は本でも持って来てくれると助かるな」


「あっ、俺は酒を頼む」


「両方とも禁止されていますよね。治癒の神の許可が出たら持って来ます」


「本を禁止する意味が分からん。こうして話せるのだ、本を読むぐらい問題無いのが分からんのか?」


「治癒の神から借りた本に興味をもって、力を使い消滅しかけた者の言葉とは思えませんね。ではまた」


「……」



 ………………



「やっと戻って来たんだ光の神。戦神と魔神は僕の話に感動してた?」


「あー、そうだったのかもしれませんね。たぶん感動で感涙していました」


「そう? なんか光の神の声が平坦なのが気になるけど……少しは僕の凄さが分かったかもね」


「そう思います。そろそろ治してあげたら良いのでは?」


「うーん、創造神への反逆をそんなに簡単に許すのは問題な気もする……まあ、もう少ししたら許してあげるのも良いかな?」


「そうですね、それが良い「光の神、大変だよ」とお」


「……娯楽神、いきなりどうしたんですか?」


「あのね、創造神様が悪い事してた!」


「ちょっと、娯楽神、いきなり来て、何を言い出すの? しかも創造神の目の前で、創造神の事を告げ口とか良い度胸だよね」


「あっ、創造神様もいたんだ。まあいいや、近くに居た方が直ぐに怒れて光の神も楽だよね」


「ちょっと待とうか娯楽神。僕は怒られるような事はしてないよ。それにまず創造神を怒るとか、おかしな言葉を言っている事に気付こうよ」


「そう? でも創造神様って結構怒られてるよね?」


「……そんな事無いよ?」


「何で疑問形なの? まあ良いや。あのね光の神、創造神さ「だから落ち着こうね、娯楽神」まが」


「娯楽神、ちょっとこっちに来て。……光の神に何を言うつもりなの?」


「何をって、そんなに言えない事があるの? 創造神様、あんまり光の神に迷惑を掛けちゃ駄目だよ」


「……迷惑を掛けない為に、娯楽神は告げ口を止めようね」


「えー、でも絶対にバレちゃうよ。早めに対策しておいたほうが光の神の怒りは小さいと思うよ?」


「良いかい、娯楽神。この世の中に絶対なんて無いんだよ。だからバレない可能性もあるはずだよね」


「……この世界を作った創造神様がそう言うのならそうなんだろうけど……なんか納得がいかないよ」


「話は終わりましたか? それで娯楽神、創造神様は何をしていたのですか?」


「あっ、光の神、それは娯楽神の勘違いだったよ。問題なんか無かった。困っちゃうよね」


「創造神様、後ろで娯楽神がふくれっ面で見ていますが、本当に勘違いなんですか?」


「えっ? ……ああ、勘違いが恥ずかしかったんじゃないかな?」


「そうですか。では、娯楽神、勘違いをしたお話を聞かせてください」


「うん、あのね、創造神様がね「ちょっと、娯楽神」」


「創造神様は黙っていてください」


「……」


「娯楽神、続きをお願いします」


「うん、あのね、創造神様が異世界人君の豪華客船にこっそり聖域を作ってたんだ。しかもまた自分の姿をカッコよく修正してたよ。僕達も異世界人君を見てるのに何でバレないと思うのかな?」


「……創造神様?」


「いや、光の神、別に隠してたんじゃないよ。航君の船は僕が与えたスキルの船なんだから、下界に直接干渉してる訳じゃないよね? だから隠してなかったでしょ?」


「……そんな言い訳が通ると思いますか?」


「言い訳じゃないよ。事実だもん。悪い事してないもん」


「創造神様、航さんが行動している大陸ではパレルモの大聖堂が唯一の聖域です。スキルとは言え、いえ、スキルだからこそ移動式の聖域が生まれた事になります。


 異常とも言える創造神様が与えたユニークスキルと、聖域という神のお墨付き、航さんが船を開放した場合とんでもない影響を与える事になりますよ。商売に便利な能力も付加されていますよね?」


「そんなの船召喚を与えた時点で影響は甚大じゃん。今更な話でしょ? それに航君が船を開放するなんて考えられないよ。豪華客船でも引き籠ってるじゃん」


「創造神様、お忘れみたいなので説明しますが、異世界人に能力を与えるのは、停滞した世界に刺激を与える為にと創造神様がゴリ押しで決定しました。


 ですが、聖域は別の問題です。航さんの行動すべてに神の許可があると、民衆は考えるでしょう。そもそも聖域を増やす事をしないと決定したのも、下界に干渉しないと決めたのも創造神様です。神の意向を全面的に出してどうするんですか?」


「大丈夫だよ。航君が無茶な事をする訳ないじゃん。石橋を叩いても渡らない性格なのに」


「航さんを見ていたら分かりますよね? 彼自身は無害な存在ですが、女性には非常に弱いです。レベルも上がり長く生きるでしょう。


 その間に混乱を望む女性に引っ掛からないと言えますか? 聖域を前面に押し出して神の船だと言い出せば大混乱ですよ」


「その時はその時だよ、聖域を回収すれば済む話でしょ?」


「そうですね。今、回収すれば良い話でした。聖域を回収するなど殆どありませんでしたから考えにありませんでしたね。創造神様、さっそく回収してください」


「……」


「何で黙っているのですか? そうすれば問題は丸く収まるんですよ?」


「……」


「創造神様、何をお考えなのですか?」


「あー! 分かった。創造神様、豪華客船で遊ぶつもりだ。ずるいよ創造神様」


「……どういう事ですか? 娯楽神、教えてください」


「あのね、前に言ってたんだ。地球には殆ど遊びに行けないし、神界に地球からの物をそのまま再現したら、地球の神に怒られるって。


 だからユニークスキルって事にしてごまかした上で、聖域をおいて豪華客船に遊びに行くつもりなんだ。ずるいよ、僕も行くからね」


「……創造神様?」


「ひっ」


「娯楽神の言った事は本当ですか? ……目を逸らさないでください。私の目を見て真剣に答えて頂けますか?」


「……怖いよ、光の神。少し落ち着こうか」


「そうですか? ……分かりました。落ち着きましたから話してください」


「そんな事しないよ?」


「創造神様、正直に仰ってください。良いですね、正直にですよ」


「……ち、違うんだよ、僕の為じゃなくて、皆の為なんだ! みんな豪華客船に興味を持ってるでしょ? だから創造神として、皆にも豪華客船で楽しむ時間をあげようかと思ってね。そう、みんなの為なんだ。福利厚生ってやつだよたぶん」


「ふぅ、創造神様。あちらでお話しましょう。下界に干渉してはいけない理由を、魂にまで刻み込んだと思っていたのですが、足りなかったようですね。体と魂の両方に刻む事にしましょうか?」


「だっ、駄目だからね。僕の体を傷つけるなんて許されない行為だよ」


「そうですか。……では、更に深く魂に刻み込みましょうか」


「駄目! 駄目だよ! 前回のでも僕、死んじゃうかと思ったんだよ。それに下界に干渉と言ったって、海のど真ん中なんだから問題なんて無いんだよ」


「問答無用です」


「あーあ、創造神様が連れて行かれちゃった。でも豪華客船に遊びに行く計画だったのか、黙っていた方が良かったかな? ……まあ、直ぐにバレちゃうか。あっ、異世界人君がお祈りに来た。タイミングが悪かったね。ごめんね創造神様、異世界人君」



 ………………



「ふー、やっと治ったな。しかし何で急に妨害を止めたんだろうな? 治すにしても、あいつなら俺達に恩着せがましくするよな? 魔神、どう思う?」


「おそらく、何かが有ったのは確実だろう。手っ取り早く光の神に聞きに行くぞ」


「そうだな」


「……いねえな。何処に居ると思う?」


「さあ? 創造神に付いて行ってるのであれば見当もつかん」


「だよな」


「あれ? 戦神に魔神、元気になったんだ。良かったね」


「おう、娯楽神。急に妨害が止まってな、直ぐに復活だ。だから妨害が止まった理由が知りたくてな、光の神を探しているんだが知らねえか?」


「あっ、そういう事か。あのね、創造神様が光の神のお説教を受けているから、妨害する余裕も無いほど追い詰められているんだと思うよ」


「ん? 説教? また何かやらかしたのか?」


「うん、………………って事があったんだ」


「ほう、豪華客船に遊びに行くのか。興味深い話だな」


「あっ、やっぱり魔神もそう思うんだ。僕もちょっとだけ告げ口したのを早まったかなって思ったよ」


「おっ、光の神が出て来たぞ」


「あら、戦神に魔神、回復したんですね。おめでとうございます」


「おう、と言っても光の神のおかげだがな。創造神はどうしてる?」


「おかしな事をつぶやいているので、休憩にしました。豪華客船の聖域はどんなに説得しても回収しないので、意地でも豪華客船に遊びに行くつもりですね」


「あはは、創造神様は楽しい事には貪欲だからね。でも聖域で干渉が防げるのなら僕も豪華客船に行きたいな。ねえ、光の神、どうにかならないかな?」


「……そうですね。創造神様に航さんを呼び出してもらい、無人の豪華客船を貸して貰えるように頼めば問題は無いかもしれませんね」


「やったー! じゃあ豪華客船で遊べるね。異世界人君は偶に教会に来てるから連絡も取れるよ。あれ? それなら創造神様は怒られ損かな?」


「いいえ、娯楽神、それは別の話です。悪い事はしっかりと注意しなければなりません」


「ああ、うん、まあ、そうだね。豪華客船は創造神様が元気になってからって事にしよう。まずは豪華客船を観察して計画を立てよう。楽しみだね」

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ