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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第一章 手漕ぎボートの上手な活用方法!!
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12話 武器選びと訓練と初めての森

 朝だ……朝食を食べて、お昼のお弁当を受け取ると女将さんが声をかけてきた。


「今日は角兎を狩りに行きますか? できましたら角兎を5羽ほど卸してほしいんですが」


「ええ、狩りに行きますから、帰りに持ってきますね」


 はじめてこの宿屋に泊まって角兎を卸してから、偶に直接頼まれるようになった。ギルドの依頼料と同じ金額で買い取ってくれるし、おかずをオマケしてくれるので少し得した気分になれる。


 ギルドで今日も角兎の依頼を1つ選んで、ギルドのキツネミミの綺麗なお姉さんの受付カウンターに向かう。


「おはようございます、この依頼をお願いします。あっ、昨日はありがとうございました。ゆっくりできましたし、この都市の事を全然知らない事に気が付きました。休日をきちんと取って、また観光に行く事にしました」


「おはようございます。それはよかったです。この都市にも楽しいところや珍しい物もありますから、楽しんでください。はい、依頼を受理しました」


 ここで、西方都市を案内してくださいって言えれば……無理だ。なんか美人過ぎると声をかけるのも度胸がいるよな。狩りに行こう。そうだ、今日から狩場にアルドさん達がくるかもしれないんだ。ギルドの売店で棍棒だけでも買っておくか。


「いらっしゃいませ、なにかお探しですか?」


 いつもの可愛い系の店員さんが出迎えてくれた。こちらもお客と店員、まったく進展がない。


「安くて、そこまで重くない長めの棍棒がほしいのですが……」


「それなら、この2本の棍棒ですね。どちらも30銅貨ですが、重さと長さに違いがあります」


「持たせてもらってもいいですか?」


「はい、いいですよ。素振りしたい場合は訓練場までお願いします」


「分かりました」


 持ってみると、長い方が感覚的にオールに近い。これなら素振りの必要はないな。


「こっちの長い方をお願いします。30銅貨ですね」


「はい、ありがとうございます」


 お金を支払い、棍棒を持って狩りに向かう。南西の草原に到着し、角兎を探す。なんか船召喚をしないで狩りをすると思うと緊張するな。


 発見した角兎が飛び掛かってくる。結界の中とは言え、今まで何百匹も狩ってきた角兎、なんとなくだが動きが分かる。棍棒を角兎に合わせて叩きつける。あれ? 外れた。慌てて身をかわす。今度こそと角兎に棍棒を叩きつけると……上手く行った。


 ふー、焦った。今までは結界に体当たりしてくる角兎に合わせて、オールを振るだけだったから。動きがだいたい分かると言っても、武器を上手に使える訳じゃないんだ。避ける事も考えて行動しないとな。一つ行動が増えるだけで結構大変だ。


 しばらく狩りをしていると、アルドさん達がやってきた。全員棍棒を持ってるので角兎狩りだろう。


「おはようございます」


「おはよう。話し合ったらやってみないと分からんって事になってな。さっそく試しにきた。お邪魔するぞ」


「あはは、別に僕の土地って訳じゃないんですから、気にしないでください」


「この狩場の先駆者はワタルだから、筋は通しておこうと思ってな」


「冒険者って縄張りとかあるんですか?」


 俺の場合はここを主軸に行動する人がいなかったから、勝手に独占していたけど、もしかして誰かに迷惑かけてた?


「いや、特にないぞ。でも、狩りの仕方を教えてもらったうえで、場所まで一緒なんだからな。一応の礼儀だ」


 よかった。俺の行動で誰かに迷惑をかけているって事も無いようだ。


「了解しました、頑張ってください」


 本当にきたな。棍棒を買っておいてよかったよ。小屋船で休憩取れないのが痛いが、これからそんな場面もいくらでもあるだろうし、慣れなきゃな。アルドさん達と場所が被らないように狩りを続ける。


 そろそろ3時くらいかな。数は……33羽か。あと2羽狩ったら戻ろう。あっさりと2羽でいる角兎を発見したのでさっくりと倒す。これで35羽だ。戻る時にアルドさん達に声をかけていくか。


「お疲れ様です。僕はもう戻るんですが、調子はどうですか?」


 丁度集まって休憩中のアルドさん達に声をかける。


「おう、叩き潰さない力加減が難しいが、なんとか15羽だ。他のメンバーも10羽以上狩ってるぞ。それにしても、いつもより早く戻るんだな。なにか俺達が迷惑をかけてしまったか?」


「いえいえ、角兎を35羽狩りましたし、この広い草原で迷惑なんてかかりませんよ。昨日言ってたように、これからは早めに切り上げて武器の訓練を、ギルドの方に付けてもらおうかと。35羽狩れば十分ですからね」


「35羽かすごいな。俺達は夕方まで狩っていくよ。また宿でな」


「はい、お先に失礼します」


 先に宿屋で角兎を5羽卸して、ギルドに向かう。いかつい顔のおっさんがいない。夕方の忙しい時間だけなのかな? 俺くらいしか利用してるの見たことないから、意味はなさそうなんだが……。


 あれ? もしそうなら、これからは完了報告も綺麗なお姉さんにしてもらえる! さっそくキツネミミの綺麗なお姉さんのカウンターに向かう。


「依頼の確認をお願いします。30羽です」


「はい、今日はお早いんですね」


「そうなんです。今日からしばらく3時頃から、武器の特訓をしようかと思いまして。ギルドで講師の方とか紹介してもらえませんか?」


「講師の紹介はしています。引退された冒険者の方が講師をしてますので、1時間で10銅貨ですね。しかし残念です、沢山の角兎の納品に、みなさん喜んでいたんですが……」


 おうふ、キツネミミのお姉さんを残念がらせてしまった。僕も罪な男だな……むなしくなるからやめよう。


「すいません、でも、大丈夫だと思いますよ。今日、アルドさん達が角兎を狩りにきてたので」


「そうなんですか?」


「はい、昨日角兎狩りの事を話したら、試してみるって言ってました。だから頻度にもよりますが供給量は増えると思います」


「そうなんですか、助かります。はい、依頼はすべて達成ですね、3銀貨です」


 うん、いかつい顔のおっさんに報酬を渡されるのと、キツネミミのお姉さんに報酬を渡されるのでは、雲泥の差だ。


「それで講師の方なんですが、ナイフと槍、弓、索敵の基本を習いたいのですが、大丈夫ですか?」


「そんなに習うんですか?」


「何に向いているのか分からないですし、基礎を習ってからどれに集中するか決めようと思ってます」


「かしこまりました、今日からお受けになりますか?」


「はい、武器を用意するので4の鐘からお願いできますか? 明日からは、4の鐘から毎日2時間、訓練を受けたいです」


「2時間集中して同じ項目を習いますか? それとも別々になさいますか?」


「同じ項目をお願いします」


「かしこまりました。今日は槍の講師の方がいらっしゃいますので、4の鐘に訓練場にお願いします。20銅貨になります」


「はい、よろしくお願いします」


 講師も見つかったし、売店にいって武器を買うか。ナイフ、槍、弓……ちょっとよくばっちゃったか?


「いらっしゃいませ、棍棒に何か不都合でもございましたか?」


「いえ、棍棒は十分満足しています。今日からギルドでナイフ、槍、弓、索敵の基礎を教えてもらうので、初心者用の武器が必要になったんです。それと索敵に必要な物とかありますか?」


「初心者用ですね。一番オーソドックスな物をお出ししますので、手に合う物をお選びください。索敵用の道具はちょっと分かりかねます。申し訳ございません」


「いえいえ、講師の方に相談するので大丈夫です。それでは武器を確認させて頂きます」


 出してもらった武器を1つずつ手に取る。初心者にはよく分からないので、何となくこれかな?と思ったものを選んでいく。


「ナイフ20銅貨、槍50銅貨、弓30銅貨と矢が10本10銅貨、合計1銀貨10銅貨になります」


「ありがとうございます」


「またのご利用お待ちしております」


 無事に武器も手に入ったな。そろそろ4の鐘だし、訓練場に向かうか。……4の鐘が鳴ると槍を持った人が入ってきたので、講師の方なのか確認してみる。


「あのー、4の鐘に槍の講習を申し込んだんですが、講師の方でしょうか?」


「そうだ、講師のアイアスと言う。槍の基礎でいいんだよな?」


「はい、ワタルと言います。よろしくお願いします」


 講習が始まった。槍の持ち方から基本の突き方、振り方、足運び、休息を挟みながら基礎を習う。


「よし、終了だな。反復練習が大事だ。毎日素振りをするように」


「はい、ありがとうございました」


 素振りか……結構きついけど、お湯を持ってきてもらう前にやるようにするか。


 講習が終わり宿に戻り食堂にいくと、アルドさんに声を掛けられた。


「よう、ワタル。晩飯なら一緒にどうだ?」


「ええ、それではご一緒させて頂きます。角兎はどうでしたか?」


「おう、力加減に失敗した奴は5銅貨になっちまったが、28羽も狩れたぞ。一番は槍を使ってたシスモンドが35羽だがな。みんな報酬が3倍くらいになってな喜んでるよ。ありがとな」


「いえいえ、では、角兎狩りをこれからもされますか? ギルドも角兎の依頼を受けてくれるのが、嬉しいみたいなんですが」


「おう、そのつもりだ。けど、確かにワタルが言ったみたいに連携や実力の低下が心配になる。装備が整うまでは、角兎と森に交互に行く予定だ。ワタルは訓練はどうだったんだ?」


「講習は基礎だけですが順調でしたよ。これからは毎日4の鐘から2時間の講習を申し込みます」


「毎日じゃなくて偶には休めよ」


 ああ、そうだった。ついつい休みを忘れて無理をしてしまう。適度な休憩は大切だから、忘れないようにしよう。


「そうですね。休息も大事ですから、適度に休みます」


 角兎や南西の森の話をしながら、食事を続ける。聞けば聞くほど、ゴブリンとかと戦いたくなくなるよな。


「ご馳走様でした、ではまた」


「おう、またな」


 食べ終わったので、まだお酒を飲んでいくアルドさんと別れる。さて、食後の休憩を取ったあとに、素振りと生活魔法の訓練だな。習い事が増える度に大変になりそうだ。

 

 残高 1金貨 33銀貨 45銅貨


 ***


 神様にあってから1ヶ月、異世界に落ちて2ヶ月が経った。


 角兎の狩りと訓練を繰り返し、休日には街に観光に出た。観光にいくついでに教会でお祈りをして、訓練をしてから森にいくのと、森に慣れたら南方都市にいく事を報告しておいた。神界に呼ばれなかったので、まあ、怒ってはいないと思う。


 南方大陸の情報は本で調べた事以上の情報は、まだ調べられていない。商人の知り合いが切実にほしい。


 奴隷については情報があった。アルドさん達が奴隷がほしいと言っていたので聞いてみた。アルドさん達も詳しくは知らないようだが、お金持ちか、ある程度実力のある冒険者が奴隷を買っているそうだ。


 この街で奴隷を見た事が無かったのは、お金持ちとは行動範囲が違った事と、あまり高ランクの冒険者が必要ない土地柄なので奴隷を持っている冒険者がこないみたいだ。


 ナイフの講習は2回で終了した……向いてないそうだ。ナイフだと間合いが近くて、ビビってしまう。間合いの遠い槍と、弓を伸ばした方がいいと言われた。


 他の講習は順調だ。才能があるとは言われないが、やめろとも言われていないので、毎日コツコツ練習している。弓は引き方を覚え、的に何とか当たる様になった。角兎には1度も当たった事はない。


 索敵は角兎の狩場まで先生が教えにきてくれた。槍も素振りと先生との打ち合いで訓練している。順調なのかな?


 戦うのは角兎だけなので、レベルは2つしか上がらなかったが、資金は金貨2枚を突破した。


 名前  豊海 航 とようみ わたる

 年齢  20

 種族  人間

 職業  船長 

 レベル 15


 体力  380

 魔力  36

 力   40 

 知力  50

 器用  46

 運   15


 スキル 言語理解    (ユニーク)

     船召喚レベル1 (ユニーク)


 残高 2金貨 13銀貨 85銅貨


 ステータスはそんなに変わってないが、訓練で少しは強くなったと信じたい。


 そして今日はついに森にいく。角兎の狩場で、ちょくちょくアルドさん達と会うようになった。そこでそろそろ、臨時パーティーを探そうと思うと話したら、アルドさんが毎回は無理だが偶になら連れていってくれると言ってくれた。


「おはよう、用意はすんだか?」


 アルドさん達が出てきた。


「はい、忘れ物はないと思います、緊張してますけど……」


「ははは、落ち着けよ。森の奥に行く訳じゃないんだ。スライムやゴブリンがせいぜいだし、俺達もいる。訓練もしたんだろ、大丈夫だよ」


「は、はい」


 それでも緊張はするんだよな。ゴブリン、勝てるとは思うがグロそうなのが嫌だ。


「言葉だけじゃ緊張は取れないか。まあ1度戦えば落ち着くだろう。さあ、出発だ」


 いよいよ森だ。頑張ろう。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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