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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第七章
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15話 サポラビとロイヤルプロムナード2

 サポートスタッフをモフるアレシアさんとクラレッタさんを見ながら見学コースを考えていたが、2人のモフりは終わりが見えない。そろそろ声を掛けて次に行くか。


 サポートスタッフは……そのままで良いか。別に魔力が減る訳でもないみたいだし。……沢山召喚したらどこかのパニックムービーみたいに集団で暴走しだしたりしないよね? 創造神様が変なギミックを仕込んでそうでちょっと怖いな。


「アレシアさんクラレッタさんそろそろ行きますよ」


 僕の声にハッとした表情で2人が正気に戻る。状況を把握すると少し恥ずかしそうに謝って来た。


「ワタルさん、この子の名前は何て言うのですか?」


 クラレッタさんが突然訪ねて来た。 


「え? 名前ですか? 画面を確認しても何も書いてないですし……名前は無いみたいですね」


「そうなんですか? でも呼び名が無いと可哀想ですよ?」


 あー、そう言えば、ユー〇ォ―キャッチャーで取ったぬいぐるみにも名前を付けているって聞いたな。ちょっと引いてしまったのは内緒だ。


「ですが、他のお店にも召喚する事になると思いますから、いちいち名前を付けるのは難しいですね」


 買った船の名前だって、悩んで決めてるのに、同系統のサポートスタッフが召喚されるのなら名前とか難題過ぎる。


「そうですか……では種族名と言いますか、この子達の全体の呼び方を決めてくれませんか? 角兎って呼ぶのも可哀想ですから」


 全体の名前ならあった方が便利だよね。角兎……サポートスタッフ……サポラビで良いか、分かりやすいし。


「では、角兎全体の呼び方はサポラビにしましょうか。あっ、ちなみにこの豪華客船の名前はキャッスル号にしました」


「サポラビにキャッスル号……ワタルさんって名前を考えるのが苦手なの?」


 アレシアさん、間接的に僕の名付けセンスをディスってませんか? まあ、自覚はあるけど。


「得意ではないですね。難しいですし」  


「ふふ、確かに難しいわよね。サポラビ、キャッスル号ね。ちゃんと覚えたわ」


 まあ納得してくれたのなら良いのか? 深く名前について突っ込むと危険な気もするしな。


「じゃあ、そろそろ次に行きますね」


 店から出て、大きなガラスドームから差し込む光の中、ロイヤルプロムナードを歩く。


「ご主人様、あれってピザよね?」


「ん? ああ、そうだよ。僕がシエーナ村で作ったピザのちゃんとしたお店だね。今日はメインダイニングで食事をする予定だから、今度食べに来よう。まあ船内のお店は全部食べて回る予定だけどね」


「ふふ、楽しみ」


「ワタルさん、そんなにお店があるの? 美味しい?」


 カーラさんが食い付いて来た。目がキラキラしている。よだれが垂れているように見えなくもない……期待度マックスだな。


「ええ、沢山ありますよ。1日では食べきれませんね。1ヶ月はキャッスル号を楽しむつもりです。全部のお店を食べた上で、気に入ったお店に何度も行けますから、楽しみにしていてください」


「うん、楽しみ」


 嬉しそうなカーラさんに頭の上で話を聞いていたリムが飛び付く。


「ワタルさん、リムちゃんどうしたの?」


「……カーラさんがご飯を食べに行く時、付いて行くそうです」


 リム……確かにカーラさんに付いて行けば沢山食べられるだろうけど……ちょっとだけ悲しく思っていると、ふうちゃんもカーラさんに飛び付く。理由は同じらしい。


「ふふ、リムちゃん、ふうちゃん、一緒に沢山食べようね」


 思わぬところで大食いトリオが完成したな。船内の食費が全て有料だったら食費の心配が凄い事になりそうだ。


「ワタルさん、これは映画に出て来る魔導車ですよね?」


 マリーナさんが聞いて来たのは……車だ。船内に街があって、車が展示されている船……意味が分かんないよね。


 水陸両用車が買えなかったら、何とかしてこの車を利用しようとしていただろうな。不壊の効果が影響してるだろうから難しそうだけど。


 そう言えば映画でも車の事は聞かれなかったな。魔導車? として理解していたのか。


「僕の世界の車という乗り物ですね」


 カッコいいな。旧車なんだろうけど、独特の雰囲気がある。豪華客船に乗せられているんだから凄い車なのかな? 車に詳しかったら大喜びしてたのかも。


「凄いです。とても貴重な物ですよ!」


 マリーナさんのテンションが急上昇した。魔導車って乗り物があるらしい。それなら水陸両用車はあまり目立たないのかも? いや貴重って言ってたな、どの程度貴重なんだ?


「魔導車って見た事が無いのですが、魔導船と同じ位に貴重なんですか?」


「そうですね……大型魔導船よりも発見されにくいです。所持していない国もあるそうです」


 それって乗ってたら大騒ぎになるレベルだよね。なんでだ? 車の方が数はありそうなんだけど。


「僕の世界では、映画で観た通り魔導船より魔導車の方が多かったんですが、こちらの世界では違うのですか?」


 マリーナさんは少し悩んだあと、答えてくれた。


「魔導車は数多く発見されてはいます。ですがほぼ全て壊れていて、研究はされていますが、魔導船と同じく解明されていません」


 ……魔導車は魔導船よりお手軽な物だから保護の魔法が掛かっていなかったって事か? 水陸両用車の使い道が限定されそうだ。


「魔導車と似たような物が召喚出来るようになったんですが、問題になりますよね?」


「……見つかったら大問題ですね」


 マリーナさんだけではなく、他の女性陣も頷いている。


「ワタルさんの能力は異常ね。創造神様が与えた能力だから当然なのかもしれないけど……ただでさえ大注目なのに陸でも凄いのなら、リスク覚悟で勧誘に来る可能性が高まるわよ」


 アレシアさん深刻な顔して言わないでください。ビビります。確かに魔導車とか見た事すら無いもんな……船偽装で何とかならないかな? 馬車っぽく偽装して、前には馬の形を偽装すれば遠目にはなんとかなるか? ……これも色々試してみないと無理だな。


「あー、よく考えておきます。今は船内を見学しましょうか」


 問題は先送りしよう。陸地での活動にそこまで執着してないし。豪華客船に引き籠れば陸地は関係ない。人が居ない所で乗り回すだけでも楽しそうだしね。


 食べ物屋やバー等を覗きながら見学する。


「ワタルさんここは何のお店なの?」


「……ここはお酒が売っているお店ですね」


 アレシアさんに答えると、アレシアさん達、お酒大好き組の目がキラリと光る。バーにも入りたそうにしていたからな、ここは止められないだろう。


 中に入ると、見た事も飲んだ事も無いけど、名前は聞いた事があるような高級酒が並んでいる。一応買えるだけのお金は稼いでいるんだけど、僕はお酒の味が分からないからな。飲む意味があるのか? 飲みなれると味が分かる事になるのかな?


「この綺麗な器にお酒が入っているのね。……ねえワタルさん、お酒の値段が銅貨数十枚から銀貨数十枚なんだけど間違ってないかしら? この小さな器よね? 樽で売っている訳じゃないのよね?」


「僕も飲んだ事が無いので分からないですが、ここにあるのは僕の世界でも高級なお酒が集められていますね」


 僕の言葉に、お酒大好き組の目が欲望に染まる。


「そう、ワタルさんの世界の高級なお酒なのね」


 アレシアさんが言うとマリーナさん、イルマさん、イネスが集まり相談しだす。


「飲んでみたいわね」「買う」「問題はどのランクから試してみるかよね」「ご主人様から貰ったお小遣い、貯めておいて良かったわ」


 買う気満々だな。相談にイネスが当然のように参加している。貯めていたお小遣いってカジノで使う為じゃないの? 


「皆さん、いきなりここで買うより、バーが沢山あるんですから、そこで色々飲んで気に入ったお酒を買った方が良いですよ」


 僕の言葉にお酒大好き組は納得してくれたが、バーを確認する目が更に怪しくなった。取り敢えず店を出て次のお店をのぞく。


「ここは……化粧品を扱っているお店ですね」


「化粧品?」「美容関係なの?」「どんなのがあるの?」


 女性陣の食い付きが凄まじい。


「え、ええ、そうですけど、僕には化粧品は分かりませんよ。そうだサポラビを召喚してみますね」


 取り合えずサポラビを召喚すると、女性店員風の制服を着たサポラビが現れた。雄と雌があるのか? 服以外の違いが分からないけど。


「サポラビ、化粧品の説明をお願い」


「…………」


 あれ? 最低限の仕事に化粧品の説明は含まれてないのか? そもそも喋れるの?


「えーっと、サポラビって喋れるの?」


 コクリと頷いた後、横に首を振る……どっちなんだ?


「喋れる場合と、喋れない場合があるの? そしてこの仕事は喋れないのかな?」


 再びコクリと頷く。声を発する仕事、例えば舞台とかだと喋れるのかな? お店の店員とかでも商品説明で喋る事が出来ても良いと思うんだけど……最低限の仕事に商品説明は含まれてないのか? 雑用オンリー?


「商品の説明は無理のようです。どうしましょう? 適当に試してみますか?」


「まって、ワタルさん、私をこのお店のスタッフに任命してくれない?」


 おお、イルマさん頭が良いな。そうしたら商品の使用方法が分かりそうだ。


「分かりました。イルマさんをスタッフに任命しますね」


 スタッフに任命すると光の魔法陣がイルマさんに吸い込まれる。


「凄い、凄いわね。ワタルさんの世界ってこんなに美容に拘っているなんて。凄いわ」


 興奮しているイルマさんの色気の方が凄いです。妖艶な色気が振り撒かれています。エロいです。そんなエロいイルマさんに女性陣が群がった。


 女性陣で呪文のような言葉が交わされ出した。……全員をこのお店のスタッフに任命すれば早いんだけど……僕の言葉は届かない。


 女性陣の美への探求心は並じゃないな。聞こえていないだろうが一応声だけかけて店を出る。女性陣には声は届かなかったがふうちゃんには届いたようで飛び付いて来た。


 コーヒーを買い、カップケーキを幾つか貰って来てベンチに座る。リムとふうちゃんにカップケーキを与えながら戯れる。


 しばらく時間が掛かりそうだからのんびりするか。皆が更に美人になる可能性があるな。僕には想像も出来ないけど、欲望が抑えられるかな?


 のんびり戯れていると女性陣が出て来た。


「ごめんなさい、ワタルさん。夢中になっちゃって」


 アレシアさんが申し訳なさそうに謝って来る。他の女性陣も頭を下げて来る。でもみんなしっかり商品を購入しているみたいだ。


「はは、僕もリムとふうちゃんと遊べて楽しかったですし、構いませんよ。次を見ましょうか」


 続きを見て回ると……あれ? これ、いいの? 手に入っちゃって良いの? 目の前のお店にはビデオカメラ、デジカメが並んでいる。


 ずっと欲しかったものが目の前にある。そうなればネットには繋がらないんだけどパソコンやタブレットが手に入る可能性もある……ネットが繋がらないとあまり使えないかな? まあ良い。今はデジカメだ。


 これがあれば素晴らしい光景を画像や動画で残せる。……でも、自分達の姿をまじまじと確認したらノーブラTシャツとか湯着とかHな格好をしてくれなくなるかもしれない。


「ワタルさんどうしたの? あれは何?」


 いかん、呆然と見ていたら興味を持たれてしまった。誤魔化すか、正直に言うか。……ちょっとHな格好の写真と動画は隠そう。特に気にしないかもしれないし。堂々と録画したいしな。


「あれはカメラって言うんです。自分の姿を残せる道具ですね。一つ買ってみますから、試してみましょう」


 店に入ってどれを買うのか悩む。カメラとか全然詳しくないよ。安いデジカメかスマホのカメラしか使った事がない。おっ、ソ〇ー製品がある。良く分からないけど、日本メーカーの方が使いやすいかな?


 ビデオカメラか普通のデジカメか……見てから決めるか。説明文を読みながら見て行くと、H〇RーPJ680というビデオカメラが目に留まる。最新機種らしい。


 説明文をみると光学30倍とか書いてあるが正直、よく分からない。でもプロジェクター機能が付いている……これは……録画した動画を投影出来るらしい……すごく良い。7銀貨か……これにしよう。


 商品を選ぶとコイン投入口が現れたので購入する。店から外に出て、さっそく箱を開けてデジカメを準備する。


 最初はあまり胸揺れとかが写らない方が良いよね。女性陣に横一列に並んでもらい、自己紹介をして貰う事にする。


 全員に自己紹介をして貰い、その動画を、皆で見てみる。僕がカメラを持っているので、女性陣に囲まれながらみんなで見る。……いい匂いだ。あっ、やわらかい……


 自分が映っている事に騒ぎ、自己紹介で自分の声に違和感を覚えたりとキャイキャイ楽しそうに騒ぐ。良かった魂が取られるとか言い出さなくて。


 カメラを欲しがると思ったが、元々思い出を画像で残すという文化が無いからか、自分で使うという感覚が無さそうだ。まあ、僕が沢山録画していれば、直ぐに欲しくなるだろう。

テンポが遅くて申し訳ありません。今回でもロイヤルプロムナードを抜ける事が出来ませんでした。明日の更新では、別の場所に移動できると思います。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。


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