13話 船召喚の能力とオア〇ス・オブ・ザ・シーズ
手配された荷物を全て受け取り、孤児院からクラレッタさんが戻って来たので、ルト号で外海に向かって出航する。
「ワタルさん、もう船は購入したの?」
アレシアさんが聞いて来た。どんな船を買うのか興味を持ってくれてるみたいだ。
「いえ、まだです。なかなか踏ん切りがつかなくて迷ってます」
「あら、そうなの? 決まりそう?」
「うーん、このままだといつまで経っても決まりそうにないですから、本命を購入する事にします。本命の船が素晴らしい事は間違いないですしね」
優柔不断過ぎる所を見せるのは良くないだろう……かなりヘタレな部分を見せてるから、もう遅い気もするけど。他の気になる豪華客船は、また買えば良い。大陸中が胡椒で溢れる事にでもならない限り、お金は稼げるだろう。
決めたのならさっさと買っちゃうか。後回しにしてたら、またウジウジ悩みだしそうだ。
「じゃあ購入しますね」
貯金船を召喚して、船召喚画面のコイン投入口に白金貨を投入する。1255枚……投入するのも大変だな、自販機だったら時間制限でお金が戻って来そうだ。
白金貨が1枚1億円という事も忘れ、ただコインを無心で投入する。やっと200枚。あと1055枚……めんどい。
「ワタルさんが相当なお金を稼いでいるのは見てたから知ってるんだけど、目の前にこれだけ白金貨があると驚きよね。しかもドンドン投入されて消えていってるし、白金貨は不足しないのかしら?」
「アレシア、大丈夫に決まっています。ワタルさんのユニークスキルは創造神様から与えられたんです。問題があるわけ無いでしょ」
クラレッタさん自信満々に言ってますけど、創造神様って光の神様に正座をさせられて怒られてましたよ?
「そうね。創造神様が与えたスキルだったわね。心配するだけ無駄ね」
そんな事無いですよアレシアさん。カッコいいからと言う理由で、大聖堂にある自分の像を盛りに盛ってました。完璧と信じるには疑問が残ります。
「ですよね、ワタルさん」
「え、ええ、創造神様ですからね。クラレッタさんの言う通りです」
ムフーと気合十分のクラレッタさんに疑問があるなんてとても言えないよ。
1255枚の白金貨を投入し終え、購入ボタンをポチる……あっけなさ過ぎて1255億の買い物をした感覚がまったく無いな。さて画面を確認するか。おっ船召喚のレベルが上がってるな。
「船の購入は終わりました。船召喚のレベルが上がって、能力が増えたので、先に確認しますね」
「分かったわ。ふふ、ドキドキするわね」
アレシアさんも他の女性陣も、どんな船か想像を膨らまして、話し合っている。イネスは奴隷契約の時に画面を見てある程度知っているので、ニマニマしながら見守っている。でもイネスも驚くと思うな。前に見せたのより、大きいし……
でもなー、女性陣の想像が大きくなっているのが困る。白金貨の大量投入で想像力が刺激されたのか、山のような大きさだとか、光り輝く船だとか、買った船より凄そうな想像をしている。
物凄く驚かせないと、物凄く褒めて貰えないんだから困るんですけど。早く能力を調べて召喚しよう。時間が掛かると空を飛ぶとか言い出しかねない。
船召喚 レベル 5 (NEW)
購入した船を召喚することができる。+4 (NEW)
購入した船に限り最善の状態に保ち、自由に操船することができる。
購入画面から新しく船を購入することができる。
自動操縦
地図作成と連動していて、地図が出来ている場所なら、水上限定だが目的地を設定すれば自動で到達できる。
地図作成
自分が行った事の有る場所がオートマッピングされる。
船偽装
性能を変えずに船の姿を質感も再現して思った通りに変更できる。
乗船チケット発行
所有している船を選択し、期限を決めてチケット発行できる。期限内であれば何度でも乗船可能になる。発行者が任意で取り消し可能。人物指定をした場合その人しか使用できない。また、部屋を指定した場合は共有スペース以外はその部屋しか使用できなくなる。
スタッフ任命
スタッフを任命すると、任命した場所の仕事を熟せるようになる。
サポートスタッフ召喚 (NEW)
召喚した船の持ち場にサポートスタッフを召喚できる。サポートスタッフは持ち場の中で最低限の仕事しか出来ない。スタッフ任命で人員が間に合わない場合の補助要員。(航君が好きなのに変更しておいたよ by創造神)
料金設定
部屋代を設定する事が出来る。船内の施設の基本料金に船主が料金を上乗せ出来る。部屋代とその上乗せ分は船主の物になる。
特殊船解放 (NEW)
特殊な船を購入できるようになる。豪華客船を購入した事で解放される能力。
初期 手漕ぎボート(木製) 定員2
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 ゴムボート 人数制限2
(お風呂船)×1 (食糧庫船)×12 (貿易品倉庫船)×515 (龍素材)×1
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 ビッグ フィッシング ゴム ボート 定員4~5
(小屋船)×3 (倉庫船)×1
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 和船 定員12
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 イ〇ザルト45 (ルト号) 定員15
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 オル〇ス (ハイダウェイ号)
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 フェリー (フォートレス号)定員632
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 フェリー (ストロングホールド号)定員777
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 サ〇シーカー155ヨット (シーカー号)
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入 オア〇ス・オブ・ザ・シーズ 定員5400
特性 不沈・不壊 乗船拒否
購入画面には載ってるな。さすがに1255白金貨を払って購入出来ていなかったら洒落にならないよね。増えた能力は……ん? 画面の右下がピコピコ点滅している……前は確か創造神様のメッセージが来てたんだよな。今度もそうなのか?
点滅しているメッセージに視線を合わせ強く念じると、メッセージが開いた。
『航君 元気ですか? 僕は元気です。
航君も慣れない異世界生活大変だったでしょう。
でも僕も凄く大変なんだ。
航君をバルレッタの大聖堂で神界に呼び出した時、ちょっとうっかり情報を喋っちゃっただけなのに、無理解な部下が創造神を正座させて説教とかするんだよ。信じられないよね。
あの後、数える事も出来ないぐらい、下界に干渉してはいけない理由を復唱させられて、精神に異常をきたしちゃったよ。光の神って怖いよね。
その後も、戦神やら魔神やらが僕に逆らって攻撃してくるし、それに何故か他の神達も参戦してくるし最悪だよね。創造神に逆らうとか。
でも大丈夫、心配しないで。ちゃんと逆らった神々は徹底的にボコボコにして、首謀者の戦神と魔神にいたっては回復を阻害して入院させてあるから。たぶん反省してると思うよ。
使えない部下って本当に迷惑だよね。僕は慈悲深い創造神だからボコボコにするだけで許してあげたけど、本来なら消滅ものだよ。
僕が優し過ぎるのがいけないのかな? 頑張っている創造神をしりめに無駄飯ぐらいの神達が文句ばっかり言ってくる。上司として厳しく接するべきか悩んでいます。
優しい僕としては厳しくするのは辛いのです。でも部下の為を思うと僕が厳しく彼らを導いてあげるべきだとも思います。難しいですね。
創造神でも悩みは尽きない物です。それではまた会える事を願っています。航君も頑張ってね。
PS
豪華客船の購入おめでとう。特殊な船を解放しておいたから、上手に使ってね』
……これはどうなんだ? ほぼ創造神様の愚痴だし、下界に干渉してはいけないのにメッセージを送って来てるし、おそらく本題だと思われる項目がPSで一行で終わっている。
なんか精神に異常をきたしたとか、神様達の反乱とか、返り討ちでボコボコにしたとか、僕に愚痴っても良いのか?
……深く考えるのは止めよう。駄目だったら光の神様が何とかするだろう。
えーっと、船購入画面を見てみると……
ゴムボート 50銅貨~
スワンボート 30銀貨~
モーターボート 40銀貨~
漁船 4金貨~
クルーザー 20金貨~
フェリー・貨物船 100白金貨~
豪華客船 500白金貨~
特殊船 4金貨~
特殊船、これだな。っていうかこの項目も増えるんだな。それなら、時間が経って新しい船が開発されたら、船のカタログも更新されるのか?
まあ良い、特殊船の内容を見てみよう。えーっと……なるほど特殊船だな。ワクワクする船が沢山解放されている。最初からこの項目が欲しかったな。
水陸両用車、水陸両用バス、ホバークラフト、ジェッ〇フォイル、グラスボート、潜水艇、流氷観光船……沢山あるな。良く分からない船も沢山ある。移動が楽になるのは確実なんだけど、この世界で上手に使えるのか?
もしかして? と思って飛空艇を探してみたが見つからない……さすがに空は無理なのか? 潜水艇があるんなら飛空艇があっても良さそうなんだけどな。
水陸両用車が気になる。まず、これは船なのか? 車じゃなくて? ……あっ、船舶免許が必要だって聞いた事があるな。船扱いなのか。
クアッ〇スキーとギ〇ス・アクアダ、が欲しいな。クアッ〇スキーはバギーみたいに森の中とか走り回れそうで便利だ。2人乗りなら5台? 5艘? で召喚して全員で移動できるな。
ギ〇ス・アクアダはテレビでみて憧れた水陸両用車だ、物凄く欲しいんだけど、異世界ならジープみたいな水陸両用車の方が便利だろうな。でも欲しい。
水陸両用バスはどうなんだろう? 全員乗れるし便利だろうけど、異世界の厳しい陸地は走り辛そうだ。壊れないなら、我慢すれば平気か? ……保留だな。
……いかん、今は豪華客船の確認を優先しないと。今日中にイネスと出来なくなる。特殊船は後でゆっくり考えよう。
えーっと、船召喚のレベルが上がって、船の召喚枠は1つ増えたんだよな。後は増えた能力は……サポートスタッフ? 最低限の仕事ってどの位なんだろう?
そもそもサポートスタッフって必要なの? フェリーでも警備員に任命しただけで、他は全く必要なかったんだけど豪華客船だと必要なのかな? それならスタッフも必要になる可能性があるな。
あと、僕が好きなのに変更? サポートスタッフを僕が好きなのに変更してくれたんだ。なんだろう? 巨乳美女かな? スライムかな? 巨乳美女が召喚出来るのなら最高だよね。いたる所に可愛いスライムがポヨンポヨンと跳ねていたら。可愛いよね。楽しみになってきた。
しかし豪華客船を買ったら、創造神様がいきなり、干渉しだしたな。何か理由があるのか? ……何となくとか言いそうだな。考えるのは止めておこう。駄目だったら光の神様にまた怒られるだけだよね。
それと特殊船の解放か、今回増えたのはこの2つか……そう言えば船召喚ってレベル6に上がるのか? 今回買った豪華客船以上の船とかそうないはずなんだけど……まあレベル6があるのなら船を買っていればいずれ上がるだろう。
取り敢えず、確認はこれで終わりかな? 他に調べておくことは……無いな。外海にも出たし、召喚するか?
でもかなり大きな船だから、外海に出て直ぐだと遠目で見えそうだな。見られたからって何も出来ないだろうけど、用心できるならしておこう。
「ふぅ、確認が終わりました。あと1時間ぐらい進んだら召喚しますね」
「1時間も進むの? いつもなら外海に入って少し経てば召喚してるのにどうして?」
アレシアさんが不思議そうに聞いて来る。
「はは、秘密です。まあ楽しみにしていてください」
「あら、焦らすのね? 焦らされると評価が厳しくなっちゃうわよ?」
厳しくなっちゃうと困るけど、まあ大丈夫だろう。褒められる準備は万端だ。
「大丈夫です。アレシアさん達は、僕を物凄く褒める準備をしておいてくださいね」
「ふふ、分かったわ。話し合ってワタルさんが物凄く喜ぶ方法をイルマが考案したのよ。私達も恥ずかしいから評価は厳しめよ」
「イルマさんのアイデアで、皆さんが恥ずかしい事ですか? ……とても期待してますね」
ドキドキする、イルマさんならエロい要素を必ず入れてくれるはずだ。アレシアさん達が納得しているならソフトなエロだろうけど、期待しちゃうよね。
しばらく雑談をして十分に外海に出たのでいよいよ豪華客船を召喚する。
「じゃあ、召喚しますので、前方デッキに出ましょうか」
女性陣も楽しみなのかキャッキャとはしゃぎながら前方デッキに集まる。リムとふうちゃんもポヨンポヨンと楽しそうに弾んでついて行く。可愛い。
「召喚!」
前方デッキの先頭に立ち、ちょっとカッコつけながら召喚してみる。僕の言葉と同時に海上に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
フェリーでも随分驚いたけど、それよりも更に大きい光の魔法陣が現れる。
魔法陣から現れた豪華客船……これは……大きいな。全長も全幅も全高も、圧倒的だ。女性陣もただただ呆然と目の前の豪華客船を見つめている。
オア〇ス・オブ・ザ・シーズ。購入画面で世界最大級の豪華客船って知ってたけど、現物を見ると此処まで迫力があるとは……22万トンは伊達じゃない。
そうだよな、お客と従業員を含めると、8000人以上が余裕をもって乗れるんだ。この世界では都市の人口と変わらない。それだけの人数が乗れる船なんだから、大きいのも当たり前だよね。
オア〇ス・オブ・ザ・シーズを見ながら、纏まらない頭で何故か必死にこの船の名前を考える……
資金 手持ち 47金貨 12銀貨 32銅貨 ギルド口座 0白金貨 70金貨 貯金船 190白金貨 胡椒船 285艘
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。