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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第七章
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12話 貯まったお金と褒めて貰う為のアピール

 ダークエルフの島を出て、南方都市に戻って来た。常々思うんだけど、訓練と襲って来た魔物を倒す以外は航海中って休日みたいなものだよね。


 港にルト号を停泊させ、女性陣に囲まれながら商業ギルドに向かう。いよいよ目標だった豪華客船を買えるお金が貯まる。


 いよいよ……2年位か? 冷静に考えると2年で豪華客船が買えるって有り得ないよね。チートって本当にチートだ。創造神様ありがとうございます。


 異世界に来てからの苦労を思い出しながら……正直、異世界に落ちて来て、西方都市に辿り着くのが最大の苦労で、誘拐や命の危険もあったけど他は余り苦労したって感覚がないな。


 いや、大部屋で雑魚寝をしながら、毎日角兎を狩って、小屋船を作ったりと努力はしたはずだ。戦争に巻き込まれたのだって、大変な事なんだし頑張ったんだと胸を張ろう。


 僕は異世界でとても頑張って、数々の苦難を乗り越えて念願の豪華客船を手に入れる。そう思い込んだ方が感動できるしね。数々の大冒険と苦労を頭の中で捏造しておこう。


 くだらない事を考えながら商業ギルドに入り、カミーユさんに声を掛ける。


「こんにちは、カミーユさん」


「こんにちは、お待ちしてました。奥にご案内しますね」


 カミーユさんに奥の部屋に案内されて、お茶がだされる。


「ワタルさん、こちらが胡椒の代金の白金貨450枚です。お確かめください」


 カミーユさん仕事が早いな。白金貨を受け取って確認しながらカミーユさんと会話を続ける。


「ワタルさん、また胡椒貿易を考えていますか?」


「うーん、今のところ考えていません。大金を稼がせて頂けましたし、暫くのんびりするつもりです」


 豪華客船を買うんだ。イネスとも最後まで……それに温泉にも手を出したい。南方都市には当分戻らないんだから予定を入れておくのは止めておこう。胡椒を卸しに来るだけだから、たいした手間ではないんだけど、期限があると落ち着かないからな。


「そうですか……胡椒を卸して頂けると大変助かりますので、機会があればよろしくお願いします」


「はい、間は空くと思いますが、また卸しに来ると思います。その時はよろしくお願いします」


「ありがとうございます」


 白金貨の確認も終わり、カミーユさんと挨拶をして別れる。ついに豪華客船か……感慨深い。


 ルト号に戻りジラソーレと今後の事も話し合わないとな。いつまでも拘束は出来ないし、でも一緒に居て欲しい。豪華客船を前面に押し出して誘惑しよう。好奇心が強い人達だし、ダークエルフの島の冒険も残っている。何とかなるはずだ。


「皆さん、この後の予定を話し合いたいのですが、大丈夫ですか?」 


「ええ、大丈夫よ。何かあるの?」


「ええ、今回の取引で前に言っていた欲しい船が買えるお金が貯まりました。その船を納得いくまで満喫するのに僕の予想では1ヶ月は掛かると思うんですよ。


 その後にダークエルフの島でやりたい事もありますから、南方都市にいつ戻るのかも分からないんです。皆さんはどうしますか?」


 興味を持ちそうな言葉を散りばめてみた。上手く興味を引ければ良いんだけど。護衛として付いて来て貰う事も考えたけど、出来れば何の縛りも無い状況で付いて来てくれれば、関係が深まる気がする。


「そう言えば、パレルモから戻る時に言ってたわね。その後、ストロングホールド号やシーカー号を買ってたけど違う船なの?」


「ええ、違います。今度の船はもっと凄いですね」


「……船を満喫するのに1ヶ月掛かるの? 面白そうね。私達も連れて行ってくれるの?」


「ええ、来て貰えるのなら大歓迎ですよ」


「ふふ、凄く魅力的なお話ね。少し時間を貰えるかしら?」


「ええ、大丈夫です。それと申し訳ないですが、ジラソーレの皆さんに買い物をお願いしたいのですが、良いですか?」


「ありがとう、皆で話し合ってみるわね。買い物は直ぐに行って来るわ。何が必要なの?」


「日持ちのする食料と大工道具、あと土木に必要そうな道具があれば、手に入れて来て欲しいんですが大丈夫ですか?」


「土木? 何をするの?」


「ダークエルフの島で異臭がする場所があるって言ってましたよね? そこが僕が思っている物があるのなら、土木工事が必要なんです」


「? 良い物なの?」


「ええ、温泉と言って、お風呂みたいな感じですが、僕の世界では大人気のスポットです。ただ、この世界でもそうなのか、効能は如何なのか、試してみないとまったく分からないんですよね。まったく予想と違う、ただ臭いだけの場所かもしれないんですが……」


「温泉? お風呂みたいな物なら船で入れるわよね? 効能が関係してるの?」


「ええ、僕の世界では、病に効くとか、美肌になるとか、お湯によって色々変わるんです」


「美肌って凄く興味深いわね」


 僕の中で女性陣は物凄く美人で、シャンプー、リンス、ボディソープ、を使っているから、輝いてるんだけどな……この世界でも美の追求には終わりが無いのか?


 そもそも冒険者で、野宿しながら森で数日過ごすのに肌がきれいな時点で、日本人と違うと思う。効能とか効果があるのか? 期待されると怖い、ハードルを上げないようにしよう。


「まず温泉かどうかも分からないので、効能はその後ですね」


「そうなの。でも面白そうね。あっ、先に買い物をしてくるわ」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 取り敢えず1金貨を渡して手配をお願いした。しかし、一緒に来てくれるかな? みんな興味がありそうだから食い付きは良いはずだけど……問題は仕事とか金銭問題だな。ルッカの件でほぼ全財産を貰ったからお金も厳しそうだ。それなのに僕の護衛を10金貨で受けてくれたし……ヤバいかな?


「ご主人様、豪華客船を買うのよね?」


「うんそうするつもり。さすがに高い買い物だから、買おうかなって思っている豪華客船と、別の豪華客船をもう一度見比べてみるつもりだから、買うのは明日かな?」


「そうなの? うふふ、ドキドキして来たわ。私もう直ぐ抱かれちゃうのよね?」


「そうだね。僕もドキドキして来たよ。イネスには悪いけど、我慢は無理だよ」


 目の前の巨乳美女との関係が目前に迫ると、もう今から豪華客船を買ってしまいたい。そして一番良い部屋に引き籠りたい。


「ふふ、私は問題無いわよ。元々契約の時からそのつもりだったんだから。それにフェリシアもイキイキしてるのよね。私も興味があるわ。豪華客船も夜も沢山楽しみましょうね」


 ……いや、まあ、全力で楽しむつもりなんだけど、こうもあけっぴろげだと……イネスは強がってたりしてないかな? 強がってても諦めるつもりは無いんだけど。


「うん、そうだね」


 イネスの様子を見てみると……フェリシアとカジノって楽しそうよねとか。美味しいお酒はあるのかしら? とか話し合っている。……さっぱり分からないな。どっちにしろ我慢は無理なんだ、気にするのは止めよう。


 雑談を終わらせ缶コーヒーを飲みながら、豪華客船を見比べる。どの船もワクワクする設備が沢山ある。見れば見るほど迷いが生まれる。


 どの豪華客船も大金を掛けて、全力で作っているんだ。好みが合う合わないはあるけど、どの船も良い物には違いない。だいたい、こんな高額な買い物をネットショッピングみたいに、ボタンをポチるだけとか間違ってると思う。


 結局決められずにダラダラと画面を覗いていると、ジラソーレが戻って来た。気が付いたら結構な時間が経っていた。


「お帰りなさい。どうでしたか?」


「ええ、問題無いわ。大工道具も土木の道具も手に入ったわ。残りは日持ちする食料を注文したから、明日の朝には配達してくれるそうよ」


「ありがとうございます」


 ジラソーレは今からどうするのか話し合うと言ってゲストルームに入って行った。夕食までには結論をだすそうだ。どうなるのかな?


 ……よく考えたら初めてイネスと関係を持とうとしているのに、その船に女性の気を引いて誘うとか……呆れるほどの無神経さだな。


 ……うーん、気が付かなかった事にしよう。再び豪華客船を見比べながら欲しい船を探す。最終的に分かった事は、見比べても結論が出ない事だ。買うギリギリまで見比べて最終的にはその時のフィーリングで決定しよう。


夕食の時間、ジラソーレがゲストルームから出て来たので一緒に食べる。


「ワタルさん、クラレッタが孤児院に行く以外は用事は無いから、明日の午後まで待ってくれる?」


 ん? アレシアさんが言う待つは出航の事か? 待てば一緒に行くって事だよね?


「ええ、大丈夫ですよ。元々明日の夜ぐらいに出発するつもりでしたから、なんの問題もありません」


「じゃあご一緒させてね。ワタルさんの新しい船ですもの、見逃すのはもったいないわよね」


 おお、なんか作戦が上手く行ってる気がする。新たな才能に目覚めたか? このまま精進していけば主人公特有のハーレム体質になれるかも。


 ……なんか悲しくなってきた。ハーレム体質かー……そんなスキルないかなー体質だからスキルじゃないか。


 創造神様の気まぐれが船召喚じゃなくて、魅了とか、誘惑とか18禁的なスキルだったらどうなってたんだろう? 全種族の巨乳美女でハーレムを作るのとか目標にしてそうだな。


 変な妄想をしていないで、アレシアさん達に返事をしないと。


「期待してもらっても大丈夫ですよ。凄いですから。驚いたら物凄く褒めてくださいね」


 まだ買う豪華客船が決まってないけどどれを買っても驚くよね?


「ふふ、自信があるのね。分かったわ。パーティー全員で物凄く褒めるわ。でもみんなを物凄く驚かせてくれないと駄目よ。普通に驚くぐらいだと普通に褒めるだけね」


 ……驚くと物凄く驚くの境界線は何処なんだろう? でもジラソーレ全員に物凄く褒められるのか。胸が高鳴るな。カミーユさんに褒めて貰うはずだったのに商売の話になって、忘れられたからな、今度こそ褒められたい。


 褒められるよりチヤホヤしてくれるように頼むべきだったかな? 今更か……


「物凄く驚く事になりますから、物凄く褒める方法を考えておいてくださいね」


「ええ、期待しててね。物凄く考えておくから」


 物凄くを使い過ぎだな。話していて違和感が物凄い。物凄くに変わる言葉は……とても、かなり、有り得ない程の、とかか? 美人と洗練された会話ができる男になりたい。


「物凄く期待してます」


 いや、分かってるよ。物凄くって言わなくても、とても期待しています。で良いのは分かっている。でも恐らくだけど、僕が物凄くを多用したから、アレシアさんが合わせて物凄くを使ってくれたのに、ここで別の言葉を使う選択肢がなかったんだ。


 相手の心遣いを有難く受け取る事も、洗練された大人の会話だと思う。たぶん。



 ………………



 朝、目が覚めてイネスとフェリシアとキスをする。ボーっとしている頭が覚醒していくと同時にテンションが上がっていく。今日は記念すべき日になるはずだ。


 ウキウキしながらサロンに向かい、朝食を取る。手配してもらった荷物を受け取って、孤児院に行ったクラレッタさんが戻って来るまで、豪華客船を見比べてクラレッタさんが戻って来たら外海に向けて出航しよう。


 ワクワクしてしょうがない。運ばれて来た荷物を倉庫船、食糧庫船に送還しながら豪華客船の確認を続ける。


「ワタルさん、大丈夫なの? ニコニコしたり、難しい顔をしたり、遠くを見つめたり、ニタニタしたり、忙しそうだけど」


 そんなに表情が変わってるのか? ニコニコは豪華客船の設備の凄さに楽しみになってる時だな。難しい顔は他の豪華客船と悩んでいる時。遠くを見つめたのは色々あり過ぎて逃避した時で、ニタニタしている時はエロい妄想をしていただろう。


 ニコニコとニタニタをわざわざ分けるって事は、ニタニタの時は欲望がまるだしなんだろうな。恥ずかしい。


「ええ、大丈夫ですよアレシアさん。そんなに表情が変わってましたか?」


「ええ、とても」


 アレシアさんはそう言って、他の女性陣を見渡す。僕もつられて女性陣の顔を見ると、みんな頷いている。そうか……内心が顔に出やすいって商人としては最悪だな。


「そうですか……まあ、本命の船は決まっているんですが、他の船にも目移りして、感情が揺れていましたから、表情に出ちゃったんですね」


「どんな船なのかしら? 少しだけ教えてくれない?」


「駄目ですよ。アレシアさん達には物凄く驚いて、物凄く褒めて貰わないと駄目なんですから。僕は自信があるんですから、ちゃんと物凄く褒める方法を考えておいてくださいね」


「ふふ、分かったわ。クラレッタは居ないけど、みんなでゲストルームで話し合って来るわね。覗いちゃ駄目よ?」


「知らない方が楽しみは増しますからね、覗きませんよ。期待しています」


 アレシアさん達は苦笑いしながら、ゲストルームに入って行った。チョットしつこかったかな? でもこれだけアピールしておけば、盛大に褒めて貰えるはずだ。今日は楽しみがいっぱいだな。


 資金 手持ち 47金貨 12銀貨 32銅貨 ギルド口座 0白金貨 70金貨 貯金船 1445白金貨 胡椒船 285艘

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。


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