8話 恋愛?と地道な作戦
サンシーカー155の値段がおかしいのではとのご指摘を頂きました。唯一見つける事が出来た値段が24,306,750米ドルでしたがもしかしたら中古の値段かもしれません。ハッキリした値段が分かりしだい修正します。紛らわしくて申し訳ありません。
ダークエルフの島を出て南方都市にストロングホールド号で向かう船内。僕は今重大な悩みを抱えている。
ダークエルフの島では何も問題は無かった。ダークエルフ達全員での会議で、フェデリコ村長が村長を継続、湖の村の村長が副村長に収まり、徐々に一つになろうと決定したそうだ。
村で必要な物も話し合われ、色々なリクエストがあったが、カミーユさんに丸投げして船に運んでもらえば良い、簡単なお仕事だ。
軋轢も無くダークエルフの移住もほぼ終わり、気が抜けてベッドでだらけている僕に先ほどイネスが言った一言が、僕に重大な悩みをもたらした。
「ご主人様、難しい顔してどうしたの? 私、そんなに変な事言った?」
「ん? いや、まあ、考えてもみなかった事だから、戸惑っちゃって。そもそも何でそんな話になったの?」
「特に理由がある訳じゃないわ。ただ、あれだけ秘密を話したり仲良くしてるんだから、ジラソーレの皆と結婚を考えてると思ったから聞いただけよ?」
結婚? そもそもそんな言葉すら忘れていたよ。
「ねえ、イネス、そもそも複数の人達と結婚できるの?」
いや、異世界ものでは定番だし、王侯貴族もいるんだから有り得るとは思うんだけど。結婚自体、考えてなかったから、気にもしてなかった。
「出来るわよ。ご主人様の世界では違ったの?」
「うん、僕の国では結婚出来る相手は1人だけだったよ」
でも合法的にハーレムが作れると聞いてワクワクしてます。あれ? でもジラソーレに拘らないでも奴隷を沢山買えば良いだけなんじゃ? いや無いなあのお胸様達は譲れない。
「へー、そうなの。でも結婚とかを考えてなかったのなら、なんであんなに仲良くしようとしてたの?」
……確か、途中までは誰かと恋愛関係になれたら良いな、とか思って恋愛考察とかしてた気がする。……でもいつの間にか体しか見てなかったような気もする。
もちろん彼女達の良い所も悪い所も知っていると思う。だけど、彼女達の事を思い出すと脳裏で浮かぶのは彼女達のサービスショットばかりだ。特に酔っぱらったイルマさんに抱きしめられた生乳の感触は脳裏に焼き付いている。
よく考えてみるに僕は彼女達の事をお胸様としか見ていなかったのではなかろうか? いつの間にか彼女達の事を、恋愛とか、結婚とかではなくただ少しでもHな姿が見たい、あわよくば肉体関係にとしか考えていなかった。そうなると何で彼女達と仲良くしようとしてたのか……
「巨乳美女だから?」
「……ご主人様、奴隷の私が言う事じゃないかもしれないけど、それは駄目だと思うわ」
ごもっともです。でも平凡な大学生で、日本で特にモテた事がある訳でもなく、出来ちゃったと言われた事もない僕に、結婚の事を考える事が無くてもしょうがないと分かって欲しい。
まあ、日本の事を知らないんだから、僕の年齢でも学生で、世間に出ていないって言っても理解出来ないだろうな。
いや、そもそも恋愛とかを忘れていたのが問題なのか。肉欲しか考えていないから、こんな何気ない質問で驚くんだ。好感度とか恋愛ゲームのような現実感の無い考え方しかしてないからな。
特に僕は異世界に来てからは恋愛とか結婚とかの正式な手順以前に、性欲が脳に直結してしまった気がするんだよな。世間体とか学生とはいえ持っていた柵が無くなったからか?
……ありえるな。特にお金が稼げるようになってから、傲慢になっているのかもしれない。日本にいた頃のあの子が可愛いとか、仲良くなりたいなーとかじゃなくて、直でエロに向かっている。
「ご主人様、私とイネスはご主人様の奴隷です。何があろうがお側に居ます。ですがジラソーレの皆さんは違います。信頼できる方達ですが、きちんと考えて関わらないと問題になりますよ」
「……はい」
フェリシアの言う事もごもっともです。でもなーイネスとフェリシアは奴隷だから、側に居てくれるのも納得出来るんだけど……ジラソーレみたいな巨乳美女の集まりとの関係って、想像が出来ないんだよな。
ジラソーレも結構好意的に思ってくれてはいるはずだ。嫌いな人と一緒に船旅もしないだろうし、お風呂にも入ってくれないはずだ。船召喚の能力目的とかルッカを救った恩返しの可能性もあるが、希望は持てる。
うーん、正直言って能力目的でも恩返しでもハーレムに入ってくれるのなら僕は構わない。そう考えると欲が出て来た。上手い事行けば全員が僕のお嫁さんに……
「ねえ、イネス、フェリシア、僕がジラソーレの皆と結婚したいって頑張ったら出来そうかな?」
「そうね、どうかしら? 私から見ると好意は持たれてると思うけど、恋とか愛とかまでは行っていないように感じるわ。でもご主人様、奴隷の私達に恋愛相談はアリなのかしら?」
「……駄目な気もするんだけど、相談できるのってイネスとフェリシアしかいないんだよね」
『りむも』
頭の上でリムが弾みながらアピールしてくる。……リムの事は大好きだけど恋愛相談は厳しいと思う。お金で買った女性に恋愛相談もどうかと思うけどイネスとフェリシアの事が大好きだから良いはずだ。スライムに恋愛相談は切なすぎる。
「リムは応援してくれると嬉しいな」
『おうえん?』
「うん、リムに頑張れって言って貰えると、凄く元気になるんだ」
『おうえん』
おお、やる気になったリムの気持ちが伝わって来る。
『わたる、がんばる』
「うん、頑張るよ。リムありがとう」
リムを抱きしめて撫で繰り回す。リムは最高だよね。たぶん何の応援かは分かっていないだろうけど。
「それで、話を戻すけど、私たち以外に相談できる人が居ないの?」
「いないんだよね」
「そう言えばご主人様のご友人にお会いした事がありませんね」
「いないからね」
異世界に来てだいぶ経つんだけど友達と呼べる人間が1人も出来ていない。もう開き直ったよ。
「しいて言うならジラソーレの皆が一番仲が良いかな?」
「……ご主人様、もう少し人と関りを持った方が良いわよ」
「イネスと同じ事を創造神様にも言われたんだよね。これからですよ、見ていてくださいって答えたんだ。結果は御覧の通りなんだ怒られるかな?」
創造神様から言われてから、だいぶ人間関係は広がったから大丈夫だとは思うんだけど。
「……何と言って良いのか分からないんだけど、ジラソーレとの恋愛とかを考える前に、友達を作る方を頑張った方が良いと思うわ。あと創造神様の事は聞こえなかったわ」
「私もそう思います。あと私も創造神様の事は聞こえませんでした」
「……あのね、創造神様が「「お友達を作る方法を考えましょう」」ね……」
創造神様の事は聞かなかった事にするらしい。でも今更友達を作るより、ジラソーレとのハーレムの方が重要だよね。
「でも、友達と言っても、仲良くない人は理由が無い限り船には乗せたくないんだよ。それだと、殆ど海にいるんだから仲良くなる時間が無いよね」
そもそも移住以外に船に乗せたのは実験の時のギルドマスター達位だな。
「……ご主人様は男性に秘密を話すつもりは無いんですか?」
フェリシア、そんなに困った顔をしないで欲しい。
「うーん、別に信頼できるのなら話しても良いんだけど。信頼出来るまで仲良くなるのが難しいよね」
「ジラソーレの方達には、すんなり話してましたけど……美人だからですよね」
「うん、まあフェリシアの言う通りだね」
ジラソーレは好みのど真ん中だったからリスクを取ったけど、たいして仲の良くない男に、リスクを取って秘密を話すのは正直有り得ない。
「あっ、でも、今なら魔導士から買った船って事で、船に乗せても全部魔導士のおかげで通せるね」
「そうしたら、船召喚が殆ど使えなくなりますね」
無いな、船召喚を使えないのは不便過ぎる。船内を偽装しないといけないのも嫌だ。
「……止めておこう。まあ、友達なんて、無理して作るんじゃなくて自然に出来るんだよ。たぶん」
「ご主人様、そんな事言ってると結局友達が出来ないわよ」
イネスもそんなに呆れた顔をしないで欲しい。
「まあ、仲良くなれそうな人がいたら、飲みにでも誘う事にするよ」
友達もいないよりいた方が良いのは間違いないんだから、チャンスがあったら頑張ってみよう。男友達とバカ騒ぎするのは楽しいからね。
「そうね。それが良いわ。でもご主人様は注目されてるんだから相手は選ばないと駄目よ」
「……イネス、やる気を奪うような事を言わないでよ」
僕に人の見極めとか出来ないよ。好きか嫌いかぐらいでしか判断は出来ない。
「ごめんなさい。でも、何となくだけど、美人を紹介するって言われたら、怪しい人にでもついて行きそうな気がしたの。魔導士の事を探りたい人は幾らでもいるのよ。美人局はそう言う人の常套手段だから気を付けてね」
凄い信用の無さだな。まあ自分でも絶対に大丈夫だとは言えないのが情けない。美人局……イルマさんみたいな人が来たら僕はフラフラと付いて行く自信がある。そう言えばエンリコさんにも怒られたな。
「はは、僕は1人で行動しないから大丈夫だよ。イネスとフェリシアが止めてくれるよね?」
「私達も止めるけど、ご主人様にコッソリ動かれたらどうしようも無いの。少し仲良くなった人に2人でHなお店に行こうって誘われたら、私達にお休みを与えてコッソリ行ったりしない?」
……イネスに性格を把握されている気がする。さすがに異世界では怖くてそんな事は出来ないが、日本にいた頃はコッソリそんなお店に行ってました。楽しかったです。お得な時間を調べて盛り上がったりしてました。
異世界のHなお店……どんなお店があるのかな? 沢山の種族がいるし、夢が広がるよね。そう言えばサキュバスっているのかな?
「まあ、狙われてるのは分かっているから大丈夫だよ。僕が度胸が無いのも知ってるでしょ?」
イネスとフェリシアに即座に頷かれてしまった。ヘタレの自覚はあるんだけど、直ぐに納得されると悲しい。
結局、ジラソーレに対しては僕の頑張り次第。友人に関しても僕の頑張り次第。まあ自分で頑張れと言う結論に落ち着いた。当然の事なんだけど、援護位は欲しい。
ジラソーレとの関係はもう積み重ねるしか無いよね。恋愛に発展しなかったら物で釣ろう。美味しいお酒に、美味しいご飯、大きなお風呂、楽しい娯楽、快適な生活空間、未開の地に辿り着く船。
一度グレードが上がった生活を下げるのは苦労するらしいし、ドンドン貢げば僕からと言うより船召喚から離れられない体に……ゲスな考えが過ぎるかな?
でもなー、あれだけの美女達が他の男のものになるなど考えたくもない。嫉妬で狂う自信がある。たとえゲスかろうがやれる事はやっておこう。
自然な形で恋愛関係に持っていければ一番良いんだけど。美人過ぎて1人と恋愛関係に持っていく事すら想像がつかない。ましてや全員を自分のものにしたいとなれば……難問過ぎる。
1人だけなら根性入れて好きですアピールすれば、成功するかはともかくとして意識はして貰えるだろうけど……その人に振られたら他のメンバーも含めて厳しくなる。
ラノベの主人公ならいつの間にかジラソーレに好かれて、モーレツに迫られて、僕は日本人で大人数と結婚するなんて、そんなの駄目だよねって悩んでるはずなのに。
あとエロゲーとかだったら移住に協力したから、ダークエルフの美女が何人も迫って来るはずなのに、そんな事も微塵も起こらない。
やっぱりルッカの時に契約で肉体関係を要求するべきだったんだよな。あそこでヘタレていなければ今頃は……やり直したい。
友達に関しては、欲しいけど、男を船に乗せてジラソーレが持って行かれたら困るから。船に乗せないで仲良くなれる友達を探そう。そんな友人関係があっても良いはずだ。
………………
南方都市に近い外海に辿り着いた。あの話し合い以降、せっせとジラソーレに美味しい物を食べさせて、映画やアニメを布教して地道に快適で楽しい生活を演出した。
取り合えず恋愛方面はどうしたら良いのか分からないので、船召喚に依存させる作戦だけは進めておいた。効果は分からない。全体的にはお酒が評判が良い。後は個別に好みの物を貢いでいこう。
でも、積極的に話しかけたり面白い物を進めてたりしてたら、関係が深まった気がする。前に言われてた敬語を止める事も再び言われたしね。……でも敬語を止めるのは難しい。普通に照れくさいんだよね。
まあ、仲が深まって来たし、今はこの方法で頑張ろう。何故かイルマさんにやっとその気になったのねって褒められたし。
イルマさんは味方なのか? 舞い上がったら梯子を外されそうな恐怖を感じるんだけど……
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。