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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第七章
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7話 到着と移住の準備

 ダークエルフの島に向かっての船旅……ダークエルフの人達はこの船での生活を気に入ってくれている。ハイダウェイ号よりも広いし、魔の森ではないのでデッキに出る事も出来るので、快適だそうだ。


 航海中の魔物の襲撃も、ハイダウェイ号と同じ結界だと説明しておいたので、落ち着いていた。強い魔物が出る事で、逆に島が安全になると喜んでいるからたくましい。まあ強い魔物がいればいるほど安全が増すから、不思議な話だよね。


 前回のダークエルフの村の移住の時は、船内が阿鼻叫喚になったから随分と楽に感じる。普段生活していた場所が度々魔物に囲まれていた事を考えると、人って慣れる生き物なんだと妙に納得してしまった。


 操船大好き組に逃走ゲームをリクエストされたが、今回は我慢してもらった。別に安全の面とかでは問題は無い。


 でも外の世界を殆ど知らないダークエルフの人達に、魔物と追いかけっこする姿を見せるのはどうなんだろうと説明したら、意外と素直に納得してくれた。


 内装も自分の部屋以外はこの世界の船に似せて偽装しているので、新しい船を買った喜びはあまり感じない。ただ自動操縦に任せて何の波乱も起きずにダークエルフの島が見える所まで到着した。


「村長さん、あの島が安住の地ですよ。向こうの村に先に知らせに行ってきますから。その間に下船の準備をしておいてください」


 自慢気に島を指さし説明する。


「あの島ですか。想像していたよりずっと大きいですね……。分かりました、下船の準備をしておきます」


 村長さんの顔は明るく、島を見て喜びに満ち溢れているのは何となく分かるんだけど……リアクションが淡泊過ぎて辛い。もう少し派手なリアクションがあっても良いと思うのだけど……


 イネス、フェリシア、リムを連れて、ルト号でダークエルフの島に向かう。ダークエルフの人達はともかく、ジラソーレの入島許可は取っておいた方が良いよね。


 島に到着すると、既に村長さんが待っている。見張りはきちんと機能しているんだね。あれ? この島の村長さんと移住して来た村の村長さん……ややこしいな。


 まあ、お互い話し合って何とかするだろう。僕の役目は連れて来るので終わりだ。


「村長さん、お久しぶりです」


「お久しぶりですワタルさん。あの船は?」


 いきなりか、まあ、シーカー号を見つけてここに来たんだろうから気になるのは当然か。


「ええ、その説明の為に来たんですよ。あの船に新たなダークエルフの移住者と、護衛に雇った人族と、獣人族が乗っていますから、入島の許可を貰った方が良いかと思いまして」


 此方もいきなりだけどしょうがないよね? ダークエルフが見つかるか分からなかったんだし……ジラソーレの方は先に話を通しておくべきだった気もするけど。


「おお、新しい住人ですか、村が賑やかになりますな。護衛の方もワタルさんが連れて来たなら問題ありません。一応、先に村人に伝えておきますので安心してください」


 村長さんはそう言って、若い? ……若く見えるダークエルフに合図を送ると、若く見えるダークエルフは村に走って行った。よく教育されてるな。


「ありがとうございます。ダークエルフが25人、護衛が6人です。今から戻って連れて来ますね」


「はい、準備しておきます」


 フェリシアを細かい説明の為に残して、僕とイネスでルト号に乗り込む。そう言えば中型船クラスで島に入るのは初めてなんだけど、座礁したらどうしよう……新たな生活の門出に座礁は駄目だよね。


 えーっとシーカー号は最大重量で2メートル70あれば大丈夫なんだから……ルト号とあまり変わらないな……大きさがだいぶ違うのになんでだ? まあ、ルト号でかなり余裕があるからシーカー号も大丈夫だな。


 シーカー号に戻り、皆も下船の準備が終わっていたので、ダークエルフの島に船を寄せ、停泊させる。シーカー号から全員で下船すると、ダークエルフの村の人達も歓迎の為に出迎えてくれた。


 フェデリコ村長 (フェリシアのお父さん)の号令と共に、大きな声で歓迎の言葉を貰う。声を掛けられた湖のダークエルフの村人達も戸惑いながらも笑顔を返す。


 お互いぎこちないが何とか良い関係を築こうとしている。初々しい付き合いたてのカップルを見るようで何となく見ていて恥ずかしい。


 そんな中、6人の子供達が新たに仲間になるであろう2人を見つけて突撃する。戸惑う2人にもお構いなしでグイグイ話しかけている。何がどうなったのか分からないが、2人を引き連れて丘の上に走っていった。


 直ぐに仲良くなって良かった……のか? 大人が1人追いかけて行ったから大丈夫だろう。


 ガヤガヤと話し合っていたが、何時までもここで話し合ってもという事で丘の上の村に移動する。


「ワタルさん、凄いわね。こんな島があったなんて、話で聞いてはいたけど想像より全然凄いわ。ここなら本当にダークエルフの安住の地になるわね。驚きよ。もう島の中は探索したの?」


 アレシアさんが興奮している。新たな冒険の予感がしているようだ。ジラソーレに探索してもらえれば安全度は増すだろうけど、頼むべきか? ……頼まないでも探索に出そうな気もするけどね。


「森の中はある程度探索してると思いますが、まだこの島に住んで1年位ですから全部は探索してないと思いますよ。強い魔物は居ないみたいですが、後で村長さんに聞いてみますね」


「ええ、お願いね」


 他のジラソーレのメンバーも興味津々だし、魔の森の探索が終わってそんなに経っていないのに元気だな。でも探索に出て貰うとしても南方都市に戻った後だよね。胡椒を卸さないといけないし、この村で必要な物も買って来ないといけない。結構忙しいんだよね。


 約6ヶ月振りのダークエルフの村は更に発展しており、村の人達の家は完成したはずなのに家が増えている。よく見たら完成した家にも手を入れているのか、装飾が増えている気がする。


 余裕があるみたいだし、新しい村の人達の家も直ぐに完成しそうだな。取り敢えず家が完成するまではテントで生活する事になるので、さっそくテントを準備しだした。


 今の所、軋轢も無くお互いを尊重しながら仲良く話している。話す内容が、前の場所に住んでいた頃の苦労話なのが嫌だな。これからの生活について前向きに話せば良いのに何で苦労話なんだ?


 よく分からないがお互い慰め合っているので放っておこう。村の人達が作業をしながら歌を歌い出すと、新しく移住して来た人達がビックリしている。カルチャーショックだね。


 そんなアニメがあったな……あれは種族が違っていたけど。同じダークエルフ同士だと何か効果はあるのかな? 近くにいたセシリアさんに話しかける。


「セシリアさん、作業している皆さんが歌っていますね。僕達が居た時も歌の練習をしていましたが、あれから変わらずですか?」


「ふふ、変わらないどころか、更に熱が入っているわ。忘れてしまった歌も、皆が覚えている部分を繋ぎ合わせたり、時間があれば歌っているわね」


 ……音楽ブームが到来してた。この世界の楽器とかも探して買って来るのも良いかもね。


「そうだったんですか。では、移住して来た人達の村にも歌はあるでしょうし、楽しみが増えますね」


「あら、そうね、そうよね。どんな歌があるのかしら? とても楽しみだわ。……さすがに今、歌の事を聞くのは迷惑かしら?」


「今は忙しいですね。でもこれから同じ村に住むんですし、機会はいくらでも有りますよ」


「ふふ、そうね。ワタルさん、この島に移住してきてから、毎日がとてもやりがいがあるの。村をどうするのかみんなで考えたり、お祭りが終わってからは、歌と踊りにジェ〇ガにリバーシ、楽しみが増えて皆が明るくなったわ。本当にありがとう」


「どう致しましてと言えば良いんでしょうか? まあ大部分はフェリシアの手柄ですので、褒めてあげてください」


 移住のお手伝いに走り回っているフェリシアを見ながら言うと、セシリアさんは嬉しそうに頷いた。 


 みんなでテントを張り、食材を提供して全員で食べれるように大量にご飯を作る。そう言えばジェ〇ガとリバーシを渡すのを忘れてたな。今は忙しいから後で良いか。


「ワタルさん、食材の提供ありがとうございます」


 おっ、村長さん(フェリシアのお父さん)、忙しそうだけど機嫌が良さそうだね。


「いえいえ、いきなり人数が増えたんです、当然の事ですよ。また南方都市から買い物をしてくるので、全員で話し合って必要な物を纏めておいてください。明後日には出発しようかと考えています」


「分かりました。頼ってばかりで申し訳ないのですが、よろしくお願いします」


「はは、僕が連れて来たんですし、この村が発展していくのを見るのは楽しいので気にしないでください」


「ありがとうございます」


 少し村長さんと雑談して作業に戻る。今日の夕食の後にさっそく会議をして色々話し合うそうだ。僕の参加も要請されたが断った。祭りの企画ならともかく、村の会議は遠慮したい。


 準備の間も8人の子供達は走り回っている。もう馴染んだみたいだ、子供の適応能力は凄いな。


 食事の準備もテント張りも終わり、夕食は宴会のように全員で集まって騒がしく食べる。食後の会議が無ければお酒も提供するんだけどね。


 食事を済ませ村の人達は会議をするので僕達はシーカー号に歩いて戻る。


「ワタルさん、揉め事も無く、皆仲良く出来そうで良かったわね」


 アレシアさんも仲良くやれるの心配してくれてたんだな。僕の護衛だから、ダークエルフの村自体には関係ないんだけど、色々手伝ってくれて有難いな。


「ええ、仲良く出来れば更に村が発展するでしょうし楽しみです」


「ふふ、そうね」


「もう夜ですけど、シーカー号の内装を戻します。上にハイダウェイ号と同じ種類のお風呂があるので入りましょうか」


「あら、良いわね。偶にシャワーを使わしてもらっていたけど、お風呂は久しぶり。楽しみだわ」


 全員での久々のお風呂タイム、湯着を着てるとは言え楽しみだ。シーカー号に到着して外から見える部分以外の偽装を解く。


「……凄いわね。雰囲気が全然違うわ。ワタルさん、見て回っても良いかしら?」


「ええ、一番上にお風呂がありますから、湯着に着替えて下から順に見て回りましょう。……まずは皆さんが使っていた部屋からですね」


「ええ、分かったわ。楽しみね」


 偽装を解いた豪華な船内を全員で見て回る。洗練されたカッコいい家具が配置された部屋とリビング、キャイキャイ言いながら見て回る。


 ……ハイダウェイ号でも思ったんだけど、どうして豪華な船にはそこかしこにソファーが配置されているんだろうか? 庶民の僕には分からない理由があるんだろうけど、多すぎるよね。


 リビングやデッキ、広い船内の何処を歩いても必ず近くにソファーがある。謎だ。


 あと狙ってやったんだけど、湯着に着替えて貰ったから船内の設備の方より、移動する度にプルンプルンする方に目が奪われてしまう。


 何となくリムを抱きしめてモニュモニュしてしまうのはしょうがない事だと思う。リムも喜んでいるから問題は無いはずだ。


 右を見てモニュモニュ。左を見てモニュモニュ。日本だったら訴えられるような気もするが、異世界にはセクハラは無いだろう。怒らせたら斬られるかもしれないけど、船の中なら問題は無い。


 自分で思うけど小さくてしょうもない男だな……でも幸せだから良いんだ。お風呂に入ればもっと幸せになる。小さくても、小狡くても、巨乳美女とお風呂に入れるのなら満足だ。


 ……いや、やっぱり満足してない。出来る事ならもっと先まで、湯着が無かったり、タッチが出来たり、あわよくば……


「ワタルさん、どうしたんですか?」


 えっ? 話しかけられて目の前を見ると2つの大きな膨らみが……あれ? 僕は先頭で案内していたはずなんだけど、妄想している間に追い抜かされてしまったらしい。


「いえ、少し考え事をしていただけでです。進みましょうか」


「はい」


 しかしクラレッタさんのお胸様は破壊力が素晴らしいな。タプンでブルンだ目線を逸らすのにかなりの精神力が持って行かれるな。 


 またもや妄想の世界に沈みそうになるが、心を強く持って船内の探索を続け、お風呂に辿り着く。ハイダウェイ号のお風呂より少し小さいが、問題は無い。


 久しぶりのお風呂にテンションが上がった女性陣、とても素晴らしく楽しかったです。

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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