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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第七章
135/570

6話 魔の森からの帰還と新しい船

 お風呂とイチャイチャでしっかり英気を養い、ルト号とハイダウェイ号を外観も内装もこの世界で違和感が無いように船偽装をする。これで大丈夫だな。


 和船に乗り換えダークエルフの村に向かう。色々準備もあるだろうし荷物の積み込みもある。25人分のチケットを発行しておこう、森を抜けるまでだし、余裕をもって期間は3ヶ月で良いな。


 細々した事を済ませながら進むと、直ぐにダークエルフの村に到着する。迎えに来たガエルさんに尋ねると僕達を信じると決めたので、そのまま村に船をつけて良いそうだ。


 もう既に全員が集まっているようで、二つ繋げた筏の上に人が集まっている。沈んだりしそうで怖いな。美男美女がたくさん並んでいるのを見ると、異世界の理不尽さを感じるな。子供は2人かな? あんまり人数を増やせないと言ってたからな。


 エルフとかダークエルフとかが顔面偏差値を上げるんだよね。美人は嬉しいんだけど美男には嫉妬しか覚えないよね。


 村長に挨拶をして、チケットを渡してこれからみる事は秘密にする事を約束してもらう。全員の前でハイダウェイ号を呼び出し、光の魔法陣に飛び乗る所を見せて、何度か村の人達にも体験してもらう。


 チケットを持たないと入れない事の確認や、魔法や攻撃を打ち込んで貰い安全性を確認してもらう。村の人達も初めは恐る恐るだったが、次第に慣れてスムーズに行動出来るようになった。


 僕が思ったのは村の人達が殆ど大声を出さない事だ。ハイダウェイ号を召喚した時も、光の魔法陣に飛び乗った時も、小さな声を出す事はあるが、子供達ですら大声を出さない……この村の厳しさを垣間見た気分だ。


 しかし船召喚もついにバラしちゃったな。ダークエルフの島が他の人にバレたらうっかり僕の名前とか出されそうで不安だ。契約の魔法陣ってどうやって手に入れるんだろう? 設置に専門家が必要なら島に連れて行く訳にも行かないから難しいか。


 船内でのルールを教え一通りの訓練を済ませてから、ハイダウェイ号のデッキに移住の荷物を積み込むように言っておく。


「村長さん、出発は予定通りで大丈夫ですか? 厳しければ延ばしても大丈夫ですよ?」


「ワタルさん、大丈夫です。元々の荷物が少ないので余裕をもって準備が終わります。ワタルさんの力のおかげで運べないと諦めていた物も運べて本当に助かります」


「いえ、ですが森を抜ける間はあの船が宿になります。部屋が足りないので、毛布等は準備しておいてくださいね」


「ええ、伝えておきます。しかし、方法を明かせないと言われて随分不安に思ったのですが、これほどの力ならしょうがないですな」


「はは、まあ、バレると面倒事が起こるので、秘密にするようにお願いします」


「はい、その事も伝えておきます」


 移住を決断して吹っ切れたのか村長さんもだいぶ明るくなった。良い事なんだよね? それからも特に問題も起こらず出発前日には全ての荷造りが完了した。


 何となく旅立ちなんだからと宴会を開いてみた。美味しい物とお酒を出して、デッキで騒ぐ。まあ魔の森の中なのでみんな大声を出す事は無かったが、村には調味料も少なかったらしく、色々な味に驚き夢中で食べていた。


 なんか、作った物を美味しそうに食べて貰えると、テンションが上がるよね。クラレッタさんも同じ気持ちなのか、2人でニコニコしてしまった。まあ一番食べていたのはカーラさんだったけど。


 リムとふうちゃんは、ダークエルフの2人の子供達に抱っこされご飯を与えられながら、ムニュムニュされている。スライムの可愛さが分かるとは見どころのある子供達だ。


 宴会も終わり、みんな結構楽しんでくれたみたいで、雑魚寝で毛布を被って転がっている。美男美女がお酒を飲んで転がっている。凄い違和感だな。


 まあ明日からは魔の森の中だ、今日ぐらい楽しんでも罰は当たらないよね。二日酔いになる程飲んでたら別だけど……さて明日から森歩きだ。皆が居るからはしゃげないけど、イネスとフェリシアと静かにイチャイチャして寝よう。



 ………………



 木々の間から海が見える……何だか凄く落ち着くな。人数が多く、移動に時間も掛かり、海に辿り着くまでに3ヶ月近くかかってしまった。大人数での移動を舐めていたな。


 最初の頃は大変だった。元々村の女性陣は危険な森に出る事も無く、レベルも体力も足りていなかった。その上子供達もいたのでどうしても足が遅くなる。


 僕達とダークエルフの村人をジラソーレで囲み、2人の子供は体力のある男達が交代でおんぶし、慎重に森の中を進む。


 初めて魔物にスイッチが入った時は少しごたついたが、何とか全員ハイダウェイ号に乗りこみ無事に乗り切った。足が遅くなるという事は魔の森の滞在時間が長くなるわけで、更に魔物にスイッチが入る。見事な悪循環だったな。


 34人が船内に居るのは少し居心地が悪かったが、村の人達は岩をくり抜いた狭いスペースでじっとしているのに比べたら天国だそうだ。どんだけ厳しい環境だったのか、想像したくないな。


 厳しい環境に耐えて来たからか、魔物が襲って来ても大丈夫だと分かってからは、船内でも騒がず落ち着いて過ごし、避難の時も冷静に行動してくれる。


 魔物の討伐もスイッチが入らなければ村の男性陣で処理出来るので、問題は殆どなかった。村の近くで狩りをすると、スイッチが入ったら避難が間に合わない事があるので、魔の森に出る時は結構な広範囲で活動していたらしい。それは人数も減っちゃうよね。


 食事に関しては、村の時より格段に良くなったらしく、慣れない魔の森の中での行動でも、食事の時間になると疲れも忘れてご飯を食べるので、ストレス発散になるのか、海に到着するまでいい雰囲気のまま進む事が出来た。食事って大事だよね。


 魔の森にいる間、最も悩んだのは船の購入だ。ルト号でハイダウェイ号を引っ張れば移動も出来るのだが速度が遅い、ただでさえ予定より何ヶ月もオーバーしているのに、更に遅くなるのは厳しい。


 フェリーで外海を進み、ダークエルフの島近くからルト号でハイダウェイ号を引っ張るのも考えたが、フェリーだと情報が漏れた時に魔導士と直結しそうだ。


 まあ船召喚を見せている時点で今更だと思うが、フェリーは世間にインパクトを与えているので避けたい。


 色々な船を探した。特に遊覧船は魅力的な船がいっぱいだった。お城の形をしたり、白鳥の形だったり、船底に窓がついていたり、海賊船っぽかったりとワクワクする。目立つので船偽装しないと駄目だから意味が無いんだけど。


 サ〇シーカー155ヨットが見つけた中で一番欲しい。でも25白金貨もする……少しでも早く豪華客船が欲しいので悩みどころだ。でもカッコいいし豪華だし、欲しいよね……


 貨物船も見たがこれを買えば胡椒を大量に運んでも問題無さそうで、魔導士との緊密さをアピールしても構わないのなら欲しいが……人を運ぶのに向かなそうなので今回は保留だな。


 色々悩んだ結果、サ〇シーカー155ヨットを購入する事に決めた。大きさも中型船と変わらないし、25白金貨は痛いが、欲しい船を買うのが一番だと思う。言い訳だけど……


 でも4層に分かれていて、一番上にジャグジーが付いていてカッコいいんだもん。船の一番上にレーダーのようなくるくる回る物が付いている。使えるのか、何の為の物なのかすら分からないけど良い物だと思う。


 陸上ではハイダウェイ号、海ではサ〇シーカー155ヨット、両方にちゃんと使い道があるし、無駄じゃない、無駄じゃないはずだ。


 中型船規模になったから、魔導士関連を諦めれば胡椒を沢山卸す事も出来るし無駄じゃない。……なんかダイエット中なのに、ついつい甘い物に手を出してしまったような罪悪感があるな。 


 買った後でもこれでよかったのかと疑問に思うが、もう買ってしまったので考えないようにしよう。ちなみにこの船を買っても船召喚のレベルは上がらなかった。やっぱり豪華客船を買わないと上がらないのかな。


 後は船の名前を考えないとな……温かい場所に行くみたいな意味だから……思いつかない。外観から考えるにしても実物を見ないとイメージが湧かないし……シーカー号で良いか。探し求める人って意味だから異世界的にピッタリだよね。ダークエルフは見つけた後だけど。


 3ヶ月を思い出しながら歩いていると、木々の間に見えていた海がもう目の前だ。やっと魔の森を抜ける。今ここで魔物にスイッチが入ったら面倒この上ないので、静かに森を抜ける。


 何世代あの場所に住んで居たのか分からないが、海を見た事が無かったようで、ダークエルフの人達は海を眺めて驚いている。こういう時でも声は出さないんだよな。


 取り合えず、僕とイネス、フェリシアでライダー号に乗りこみ陸から離れる。誰にも見られていないと確認してからシーカー号を召喚する。


「おお、カッコいい。そう思わない?」


「ふふ、そうね。大きさ的には中型船ぐらいだけど、ご主人様の世界の船って不思議な魅力があるわよね」


「ええ、とても素敵です。サイズ的にも利用しやすそうですね。ご主人様この船は港に乗り入れるんですか?」


 イネスとフェリシアも気に入ってくれたみたいだ。


「港に乗り入れるかはまだ考え中なんだ。ポンポン魔導士製の船を買った事にしたら面倒事が増えるからね」


「確かにそうですね」


「船の中もじっくり探索したいんだけど、ジラソーレやダークエルフの皆に見られたら面倒事になるから、今回は直ぐに船偽装して戻るよ」


「「はい」」 


 船内に乗り込み、外観と内装をこの世界の標準に合わせてチケットを作りながら陸地に戻る。臨検されると面倒なので、説明は後にしてさっさと乗り込んで貰って外海に向かう。


 外観はちょっとずんぐりしているが普通の中型船に見えるようになった。内部は4層に分れているので不思議な感じだな。この世界の中型船は4層に分かれてたりするんだろうか?


 無事に外海に出てから、目的地をダークエルフの島にセットしてリビングに集まり一息つく。


「村長さん、ここまでくれば大丈夫です。船に乗っているだけで目的地に到着します。船室は足りないですが分配はハイダウェイ号と同様に、村長さんの方で決めてください。僕達とジラソーレの部屋は後でお教えしますね」


 ん? 村長さんがビックリしてるな。どうしたんだ?


「………………」


 あれ? 返事が無いな。


「村長さん、どうしたんですか?」


「えっ? いえ、分配の方は大丈夫ですが、このまま船に乗っていればダークエルフの安住の地に到着するのですか?」


「ええ、着きますよ。何か問題がありますか」


 何故か顔が曇っていく村長さん。


「島だとは聞いていたのですが、安住の地ですので、これからも大変な事があると思っていましたので、大丈夫なのでしょうか?」


 あー、そういう事か。危険な場所じゃないのなら直ぐに人が来る可能性があるから不安になったんだな。


「大丈夫です。普通の魔導船でも5日は掛かる距離です。安住の地に向かう航路もありませんし、海の魔物はかなり危険ですから命がけです。島に着くまでに何度も襲われると思いますから確認出来ますよ」


「そうでしたか。分かりました」


 あれだな、危険な場所を通らないと不安になるとか、精神的にヤバいよね。安住の地で島としか説明してなかったから、よく移住に納得したよね。


「ワタルさん私達は如何すれば良いのかしら?」


 おっと、話す前にみんなを案内しないと駄目だったな。 


「ああそうでしたね。一階に部屋がありますからまずはそこに行きましょう。村長さんもお願いします」


 みんなを引き連れて、部屋の前に移動する。


「2人部屋が4部屋、1人部屋が5部屋ありますから、そうですね……2人部屋はジラソーレの皆さんで3部屋を使う事にして、2人部屋1部屋と1人部屋は村長さんの方で分配してもらえますか? 申し訳ないですが、後は空いている場所で休んで貰ってください」


 3階にも部屋があるんだけど、操船室と繋がっているから、一応進入禁止にしておこう。


「ワタルさん、私達も部屋じゃなくても大丈夫よ? 冒険者なんだから屋根があるだけで十分よ」


「いえ、私達は大部屋での生活に慣れていますので、5部屋も個室を使わせて頂けるだけで十分です。ジラソーレの皆さんにお部屋を使って頂く方が、助かります」


「あー、そうですねジラソーレの皆さんが部屋を使った方が、ダークエルフの皆さんも雑魚寝で一緒になって気を使うより楽かもしれませんね」


「そう言われればそうね。じゃあ私達が使わせてもらうわ。ワタルさんはどの部屋に泊まるの?」


「僕は2階に部屋がありますから其処を使います」


 部屋割りも決まり、村長さんは村の人達と部屋割りを話す為にリビングに戻る。


「皆さん2階の部屋でお茶でもどうですか? 偽装を外しますから、この船の良さが少しは分かりますよ」


「ふふ、それは楽しみね」


 部屋に行って、豪華な部屋を自慢しながらお茶を飲む。高級なヨットだけあってゴージャスだ。ダークエルフの皆を下ろしたら内装を全部戻してこの船を楽しもう。 


 資金 手持ち 50金貨 21銀貨 38銅貨 ギルド口座 0白金貨 70金貨 貯金船 920白金貨 胡椒船 425艘

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかネットで調べてみたら船って言うよりマンションって感じだったwww 30億くらいするのか(´・ω・`)高ぇ
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