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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第六章
122/568

13話 313枚の白金貨と実験開始

 ジラソーレから渡された白金貨、何枚入っているのかが気になるな。


「それで、先ほども聞いたのですがいくら位入っているんですか? なんかいっぱいありすぎて落ち着かないんです」


「そうでしたね、全部で白金貨313枚入っています。ギルド口座でお金を移すより現金の方が良いと思い下ろしておきました」


 313枚……313億円……バブリーだな。あれ? 僕の口座にも龍の鱗の代金が入ってるんだよね? 確実に豪華客船に手が届くんじゃ?


「確かに現金の方が有難いんですが……アレシアさん、僕が思うに、この依頼料は有り得ないと思うんですが。王太子様や侯爵様から頂いた報酬も僕が貰っていますから、全部で350白金貨以上の報酬を頂いた事になるんですけど……」


「いえ、私達が実際に出したお金は56白金貨だけで、他の、戦争での報奨金も龍の鱗もワタルさんが居なければ手に入らなかったものばかりです。


 それに龍の素材をワタルさんがお受け取りになって下さらない場合は、資産的には増えてしまいます。やはり龍の素材もワタルさんの物にするのが妥当だと思います」


 いやいやいや、56白金貨だけって。56億だよ? Aランクパーティーってどんだけ儲かるの? 取り合えずジラソーレが生活苦に陥る事は無さそうだから、現金だけはありがたく貰っておこう。


「いえ、この現金だけで十分です。龍の素材は皆さんで活用してください。これで依頼は完全に完了です。後は依頼前の通りに気楽にお付き合い頂けると嬉しいです。アレシアさん達に敬語を使われると何だか悲しいのでお願いしますね」


「ふふ、分かりました。いえ、分かったわ、感謝してるのは本当だけど、ワタルさんがこっちの方が良いのなら、こっちにするわね」


「ええ、お願いします」


「ワタルさん、敬語を止めて普通に話して貰えるかしら?」


「僕がアレシアさん達にですか……なんだか想像が出来ないですね」


「そう? まあ、クラレッタも敬語が抜けない話し方だから、分かるんだけど、少しは崩して気楽に話しかけて貰えると嬉しいわ」


「あはは、徐々にですが挑戦してみます」


「ふふ、少しずつだと難しいわよ?」


「そ、そう、頑張るよ」


「ええ」


 なんだ? なにがあった? 急に今まで以上にフレンドリーになったぞ。離れている間に何かあったのか?


 距離が縮まるのは嬉しい事のはずなのに、予想外で不安が押し寄せて来る。どう反応したら良いのか分からなくなって口籠っていると、天の助けが現れた。


「ご主人様。商業ギルドの使いの方が来たわ」


「ありがとう、イネス。出迎えようか、ちょっと失礼しますね」


「ええ」


 イネスとフェリシアと外に出て、商業ギルドの職員さんに会う。


「ギルドマスターからの伝言をお伝えします。午後1時にこの船まで向かうそうです。そこから、ギルドマスター達は別の魔導船で先導するので付いて来るようにとの事です。何か質問や要請はありませんか?」


「特に準備を必要としなければ問題ありません。何か必要な物とかは無いのですよね?」


「はい、聞いておりませんので大丈夫かと思います」


「分かりました。1時にお待ちしておりますとお伝えください。ありがとうございました」


「いえ、では失礼します」


 んー1時か……どんな人達が来るのか聞いておけば良かったな。こういう迂闊な所が駄目なんだろうな。


 サロンに戻り、1時に商業ギルドマスター達が来る事を伝える。


「ねえ、ワタルさん、私達も一緒に居ても良い? 実力者を連れて来るのなら、護衛が2人だけでは少ないわ」


「うーん、どうなんでしょう? 何かあった場合、ジラソーレが南方伯様、商業ギルド、冒険者ギルドと揉める事になりますよ?」


「冒険者ギルドマスターはよく知ってるわ。ギルドの長だけあっていざという時は冷徹な判断を下す事もあるけど、基本的には善人よ。おそらく大丈夫だと思うわ。でももしもの時があったらワタルさんの船に御厄介にならせてね」


「え、ええ。ありがとうございます」


 なんだ? 本当になにがあった? 明らかにジラソーレからの好意が一段階上がってるよね。ルッカを助けたからか? でもその後も普通だった気がするし訳が分からない。うん考えないようにしよう。先送りだ。


 微妙に緊張しながら早めに昼食を取り、商業ギルドマスター達を待つ。リムとふうちゃんはご飯が終わってから、船内をポヨンポヨンもっちもっちとなんだかルールがありそうな追いかけっこをしている。可愛い。


「そろそろ時間ですね。外で待ちましょうか」


「ええ、わかったわ。でもワタルさん、やっぱり敬語が抜けないわね」


「はは、まあ、癖になっていますから、ゆっくりでお願いします」


「ふふ、分かったわ」


 港で雑談していると、商業ギルドのマスターとカミーユさんが知らない人を2人連れてやって来た。


「おお、ワタル、待たせたな。こちらが、南方伯様より使わされた騎士のマルコ様だ。そしてこのごついのが冒険者ギルドのマスターだな。後1人おるのだが、それは向こうでのお楽しみじゃ」


「お初にお目にかかります。ワタルと申します。騎士様、冒険者ギルドマスター、よろしくお願い致します」


「ええ、こちらこそよろしく」


「おう、よろしくな。でもなんでジラソーレがいるんだ? 仲が良いのか?」


「……お前の所にもワタルとジラソーレの関係は報告で上がってるはずだぞ。読んでおらんのか?」


「ん? ああ、そうだったな。そう言えばそんな報告もあったな。忘れてたぜ。じーさんありがとな」


「ふん、忘れっぽい癖に肝心の事は覚えておるからお主は使い辛いんじゃ、忘れるなら全部忘れれば良いものを……」


「ひでぇなじーさん。結構気軽に使われてる気がするのは気のせいなのかよ?」


「お2人とも、騎士様とワタルさんの前ですよ」


「ん? そうじゃった。騎士様、申し訳ない」


「いえ、問題ありません」


「では行くかの。ワタル、あの小型魔導船がワシらが乗る船じゃ。後ろをついて来いよ」


「はい分かりました」


 ルト号に戻り取り合えず出航した小型の魔導船の後ろを付いて行く。何処に向かうのかな? 港を出て東に1時間程走った所で、魔導船が陸地に寄せて停泊した。


 魔導船の後ろに付けてルト号を停泊してサロンを出ると、ジラソーレのメンバーが騒ぎ出した。


「ワタルさん、船から絶対に出ちゃ駄目よ」


「どうしたんですか? アレシアさん」


「私達が束になっても敵わない人が向こうに居るの。出来れば外に出ないで済ませたいわね」


 そう言ってアレシアさんが陸地に降りて話している集団に呼びかける。なんか凄い緊張感なんですけど。


「ドロテアさん、どういう事なんですか?」


「向こうにいる槍を持っている人が分かりますか?」


「はい、分かります」


 なんか雰囲気がある人だな。しかも渋めの美形だ……気に食わない。


「あの人は槍のパリス、Sランクの冒険者です。ワタルさんが船から降りて、襲われたら確実に守り切れません」


「……えー、ギルドマスター、実力者を用意するって言ってたけど、そんな人を連れて来たんだ……」


 何でそんな人を連れて来るんだよ。実力者にしても程があるな。アレシアさんの呼びかけに、ギルドマスター達が近づいてくる。


「どうしたんじゃ? さっさと降りてこい。実験を始めるぞ」


「その前に聞きたい事があるのだけど良いかしら?」


「なんじゃ?」


「どうして槍のパリスさんが居るの?」


「ん? おう丁度来ていたのを商業ギルドのじーさんに嗅ぎつけられてな。極秘だぞ」


 冒険者ギルドのマスター、微妙に軽いな。しかも大声で極秘だぞっとか言ってるし、良いのか?


「そんな簡単に、Sランクを連れて来ないで欲しいんですが」


「それで、なんでお前達は降りて来ないんだ?」


「一応、ワタルさんの護衛ですからね。皆さんもワタルさんの立場を分かってらっしゃいますよね? 絶対に敵わない人が居る中にのこのこ降ろせませんよ。私達では時間稼ぎも出来るかどうかですからね」


「立派な考えだが、仮にも冒険者ギルドのマスターである俺がいるのに、信用できないのか?」


「マスターの事は、ギルドの為なら冷徹な判断を下せる人だと信用してます」


「ん? 褒められたのか?」


「微妙に褒められてはおるな。組織のトップとしては信頼されておるって事じゃ。人間としてはどうかと思うがの」


「うるせーよ。それでどうするんだよ、じーさん」


「うーむ、おいワタル。お前達がおっては実験出来ん、降りて来んか」


「そう言われましても、怖い人が居るんですよね? 捕まりたくはないんですが」


「じゃから実力者を連れて来ると言っておいたじゃろ。捕まえるのならパリスを隠しておくわい」


「そんな気もするんですけど、どうなんでしょう? アレシアさん」


「元々、裏切られる可能性は低いのだけど、あの人達がその気になった時に絶対に防げないのが問題なのよね」


「だそうです」


「いや、聞こえておるが、少しは自分で考えんか」


「うーむ、この件に関しては絶対に裏切らんと契約でもしてくるべきだったか?」


「失礼。アレシア、久しぶりだね。聞いても良いかな?」


「パリスさん、お久しぶりです。なんでしょうか?」


「うん、アレシアは私の実力は知っているよね? それでも、もしもの時にその魔導船に乗っていれば逃げ切れると思っているのかな?」


「はい、この魔導船に乗っていれば逃げ切れると考えています」 


「あはははは、凄く楽しみだね。私も槍には自信があるんだけど、私の実力を知っているアレシアが逃げられると判断する結界か。どんなのだろう? 早く試してみたいな。手を出さないと約束するから降りて来てくれないかな?」 


「えーっと、ドロテアさん、あのパリスって人、雰囲気が危なくなってませんか?」


「ええ、普段は理知的で紳士的な方なのですが、強い相手とか、槍で貫く事が出来ない物とか言われると、非常にテンションが上がる方なんです。


 魔導士様の結界はユニークスキルを弾き返していますから、試したくてワクワクしていらっしゃるのだと思います」


「……迷惑な人ですね」


「ええ」


「まったく、面倒じゃの。ワシらは裏切るつもりは無いわい。証拠として、そこの筋肉を差し出そう。後ろ手で縛り上げておくから剣を突き付けておけ。それなら問題無かろう。冒険者ギルドのマスターが人質なのじゃからな」


「おい、じーさん、勝手に決めるなよ。人質ならじーさんがなれよ」


「ワシは嫌じゃ、老人をいたわれ馬鹿者が」


 その後、パリスさんには離れて貰い、本当に冒険者ギルドのマスターを後ろ手に縛り跪かせ、アレシアさんとイネスが両サイドから首に剣を当てている。まるで処刑直前の光景になってるんだけど。いいのか?


「どうなれば冒険者ギルドのマスターが、冒険者に首をはねられそうになるんだろうな?」


「申し訳ありません、マスター」


「いや、思う所もあるが、お前達の考えも分かる。Sランクは本物の化け物だからな……問題はあのじじいだ。あっさり俺を売りやがった」


「私には何とも言えませんね」


「しかし、アレシアよ、あの貧弱そうなにーちゃんに、なんでそこまで肩入れするんだ?」


「今の状況は私達が魔導士様を紹介してもらったから起きた事ですからね。家族と故郷を救って貰ったんです。全力を尽くしますよ」


「そういう事ならしょうがねえな。少しの間我慢してやるよ」


「ありがとうございます」


 いつでもボートを召喚出来るようにと言われて、僕はアレシアさんとイネス以外の女性陣に囲まれている。物凄いVIP待遇だな。


 小型魔導船をルト号から離して実験を開始する。


「よし、もうよいな。パリス、始めて良いぞ」


 商業ギルドのマスターが言った瞬間、パリスさんの姿が消え、ドーンと言う衝撃音の後にルト号に槍を打ち込んでいるパリスさんが現れた。瞬間移動?


 人質なんて一瞬で取り返されるんじゃ……アレシアさん達なら反応できるのかな? しかしSランクか、攻撃力は神をも超えるとかは止めて欲しいな。


 ラノベでも神殺しとかいるし……この世界にはいない事を願おう。


 資金 手持ち 62金貨 58銀貨 72銅貨 ギルド口座 33白金貨 70金貨 貯金船 478白金貨 胡椒船 485艘

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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