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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第六章
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7話 ルッカからの出発と久しぶりのダークエルフの島

 僕達は今、南方都市に向かって船旅をしている。アレシアさんから帝国軍の撤退に関する話を聞いて安堵したのも束の間、会いたい、頼みがある、船を売ってくれ、と大勢の人が押し掛けて来た。


 王子様を土下座させた魔導士に人が(貴族の使者・商人)集まる……違和感しか無いな。どういう事なのかアレシアさんに聞いてみると意外と魔導士、大人気らしい。


 ルッカの港を封鎖した張本人なんだけど……ルッカの危機に駆けつけ、港を解放、食料を運び込み、兵士を運び連合軍結成のきっかけとなった人物と思われているらしい。


 ルッカの封鎖の事は? と聞くと第2王子様の評判が悪すぎて相対的に魔導士の評判が上がっているそうだ。権力におもねらず、怒らせると怖いが民の為に力をふるう正義の魔導士……誰の事だ?


 美人に釣られ、操舵室に籠ってDVDを見ていただけの僕が? ありえないな。  


 そんなこんなで集まって来た船は害も無いので放置していた。しかしストロングホールド号の周りに船が集まり、港に出入港する船に迷惑を掛ける事になってしまったので、フォートレス号の回収と侯爵様からのご褒美を受け取ってから直ぐに出発した。


 一応フォートレス号は外海に出てから送還したが、何とかフォートレス号の行き先を確かめようと、複数の魔導船が引っ付いて来た。


 外海が近づくにつれて魔導船も減り、最後まで追いかけて来た魔導船もフォートレス号が完全に外海に出ると諦めてくれた。外海に出られるって有利なんだな。普通に行き来してたから違和感が無くなっていたよ。


 フォートレス号の回収を済ませ、侯爵様からの褒美は僕に30白金貨、ジラソーレに30白金貨と莫大な報酬だった。これでも活躍に対して褒美としては少ないそうで、王都に行けば、更に色々な特典と金額の上乗せも間違いないそうだ。


 まあ、諦めるけど、ジラソーレの30白金貨と王太子様からジラソーレに送られた10白金貨も僕に回され、合計で80白金貨の報酬を得た。


 南方都市でジラソーレの預金も全部支払うとアレシアさんが言って来たので、かなりの報酬になると思う。最低でも龍の鱗の売却代金の50白金貨はあるんだよな……


 そう言えば龍の鱗のオークションももう直ぐのはずだ。結果次第では豪華客船に手が届くのかも? ダークエルフの村でお祭りもするし、楽しみになって来た。


 そろそろルト号に乗り換えてアレシアさん達を降ろす事になるな、もう一度予定を確認しておこう。イネスとフェリシアにジラソーレを食堂に集めて貰う。


「アレシアさん、船から降りて、歩いて南方都市まで向かうので構いませんか?」


「大丈夫です。ワタルさんはそのまま別の所に行くんですよね。行き先は秘密だそうですが南方都市に戻って来ますよね?」


「はい、ゆっくりする予定ですが、1ヶ月も掛からないと思います。アレシアさん、南方都市にも情報が広まってると思いますから、気を付けてくださいね」


「ええ、間違いなく冒険者ギルドのマスターに話を聞かれるでしょう、ワタルさんから魔導士様を紹介してもらったって広めて良いんですよね?」


「はい、僕も疑われると思いますが、旅の途中で仲良くなった魔導士を紹介したで通します。和船もルト号も魔導士様から買った事にしますし、言い張れるだけ言い張ってみますよ」

 

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」


「いえいえ、魔導士は有名になりましたが、殆ど人前に出ていませんし、声すら聞かれてないでしょう。帝国も大混乱です。他の国も調べに来ると思いますが、恐れられているのなら無茶もされないでしょう。


 貴族や商人達が和船やルト号にも興味を示すでしょうが、魔導士様の魔法で僕しか使えないと言えば何とかなるでしょう。魔導士様の威を借りて脅しには対抗できますしね。


 特別な船だとバレるんです。今回もパレルモに行ったのは嘘で、胡椒貿易を繰り返して胡椒を溜めていたって言いますよ。それに元々南方都市では狙われていたんです、街に出る時はイネスとフェリシアに頑張って貰いますから大丈夫です」


 目立つ目立たないも豪華客船を手に入れればどうにでもなる。自分から大騒ぎにする必要も無いが、今回の長い船旅はコッソリ胡椒を溜める為の期間に変えて商業ギルドで大金をゲットしてやる。


「そうですか南方都市に居る間は私達も一緒に行動しますので呼んで下さい」


「ええ、その時にはよろしくお願いします」


「はい」


 戦争が終わっても厄介事は当分付いて回るよね。……ああ、ダークエルフも見つけて移住してもらうまでは何とかこの大陸で粘りたいな。帝国で保護された違法奴隷は連合軍の管轄らしいし僕には手が出せない。魔導士がダークエルフを欲しがってるとか広まったら、面倒事が増えそうだ。


「そろそろ目的地ですね。ルト号に乗り換えてから大陸に向かいます」


「分かりました」


 ルト号に乗り換え、ジラソーレを送って行った後、そのままダークエルフの村に向かう。


 途中からストロングホールド号に乗り換え、イネス、フェリシア、リムにも手伝って貰いながら料理をする。お祭りなんだし、ストックしてある食材で沢山料理を作って差し入れしよう。


 唐揚げはもちろん、トンカツ、エビフライに魚のフライ、コロッケにピザ、バーベキューもしよう。肉や野菜、魚介類を串に刺していく。


 マヨネーズを作り、サラダにポテトサラダ、スープ、デザートにプリンとアイスを作る。そう言えば、醤油が手に入ったのに新しい料理を作ってないな。フカヒレはもうカラカラに乾いてるんだけど、成功してるのか疑問だしな。


 まあ戻したり煮込んだりとお祭りに出すには向かないだろうしフカヒレは今度だね。もう少し干しておこう。


 大量に料理を作り、次々と料理を送還していく。お酒は、蒸留酒とワインで良いか。後は食材を提供して色々作って貰おう賑やかなお祭りになると良いな。


「ご主人様、これだけあれば楽しいお祭りになりそうね」


「うん、一応の節目だからね。ただ飲んで食べて騒ぐだけだけど、楽しくなればそれで良いよね」


「うふふ、そうね楽しければそれで良いわよね」


 ……ギャンブルで借金をして身売りをしたイネスが言うと、問題がある気がするな。節度は大事だよね。


「ご主人様、こんなにまでして頂いて、本当にありがとうございます」


「あはは、フェリシアも分かってると思うけど下心満載の厚意だからね。気にしないで良いよ」


「ふふ、それでもありがとうございます。嬉しいです」


「ん、うん。どういたしまして?」


 ヤバいドキドキしてきた。もう直ぐフェリシアと……今から理性が飛びそうだ、楽しみにしていたお祭りが面倒に感じて来た。


 何とか欲望の方向をお祭りに向け直し更に準備に邁進する。


『わたる、たくさん?』


「ん? 沢山ご飯を作るのが不思議なのかな?」


『ん』


「それはね。今度お祭りをするんだ。沢山の人達と一緒に美味しいご飯を沢山食べて騒ぐんだ。楽しみだね」


『おまつり、たのしみ』


「うん、いっぱい食べて、いっぱい騒ごうね」


『たのしみ』


 嬉しそうにポヨンポヨンするリム……和む。


 楽しいお祭りを想像しながらダークエルフの島までの航海を過ごした。



 

 久しぶりのダークエルフの島に到着する。見張りを立てているのか既に村長さん達が出迎えに来てくれていた。……何故だか殺気立っていて、武装したダークエルフが集まっている……出迎えじゃないの?


 警戒している様子の村長さんにサロンから出て声を掛ける。


「村長さん、皆も集まってどうしたんですか?」


「おお、ワタルさんでしたか、見慣れぬ船が近づいて来ると警戒しておったのです。申し訳ありません」


 見慣れぬ船? ……あールッカで船の形を変えたのをそのままにしていたな。忘れないように元の形に戻してから南方都市に戻らないと、大騒ぎになるな。


「あはは……すみません。今回はこの船ですが、次回は前の船で来ますね」


「おお、ワタルさんは他にも魔導船をお持ちでしたか、素晴らしいですな」


「いえ、まあそんな感じです。それより村長さん、久しぶりなんですが村で困った事は起きていませんか?」


「はい、順調そのものです。まあここで話すのもなんですから村を見てください」


「そうですね。楽しみです。積み荷を降ろしますから、運んでもらえますか?」


「いつもありがとうございます。お前達聞いたな、武器を運ぶ者と積み荷を運ぶ者に別れて準備しろ」


 村長の号令に村人達が武器を3人に集め、あらかじめ召喚しておいた荷物を渡すと、身軽に丘の上の村まで運んでいく。


 久しぶりだし、ストックしていた食料を半分残し他は全て提供する。フェリーを購入してから食材をあまり使わないから、もっと提供しても良かったか? まあ様子を見て考えよう。


 村に着くと前とは様子が一変していた。柵に囲まれた中に大きくはないが家が完成し、花壇まで作られて花が咲いている。テントが張ってあった場所は広場になり、ここにも花壇が作られ、ベンチまで設置されている。


「凄いですねー、此処まで出来ているなんて驚きです」


「村の者達も自分達の家を作り、内装に挑戦しだしてから、腕を上げていきましてな。専門的な事は無理でも、大抵の事が出来るようになったのです。


 無論畑仕事や狩りなど仕事は熟しているのですが、時間が出来ると話し合って作りたい物を村に設置しています。隠れる必要が無くなった事で、今まで出来なかった事を楽しめるようになりました。ああ、きちんと防衛の準備もしてますよ」


 あー、なるほど。隠れ住んでいた時に出来なかった事と、上達した大工仕事が合わさってのこの結果か。凄いなー。


「村長さん、これなら十分完成したと言えますよね。以前に話したお祭りをしましょうか」


 良かったーまだ家が建っていないとかだったら、生殺しが継続だったよ。皆の頑張りに感謝だね。


「はい、実は村の者達も楽しみにしているのです。お世話になって申し訳ありませんがよろしくお願いします」


「あはは、実は僕もお祭りをする気満々で準備して来たんですよ。大騒ぎしましょう」


「ありがとうございます。皆、喜ぶでしょう」


「準備もありますし、明後日位を祭りの本番にして、それまでに仕事や祭りの準備を済ませておくのはどうですか? 畑仕事等は休めませんが、それも手伝いが増えれば早めに終わらせられますよね。天気が良ければこの広場で盛大にやりましょう」 


「おお、楽しそうですな。天気は狩人に聞いてみます。問題無ければ準備をしましょう」


 村長さんもテンションが上がって来たな。移住後初めてのお祭りだ、大成功させたいな。村長さんの家に向かいセシリアさんと談笑しながらお茶を飲む。ちなみに村長は村中に知らせて来ると張り切って出て行った。今夜は会議だそうだ。


「ふふ、お祭り、前にワタルさんが提案してくださって、村の皆も大張り切りでした。現実になるのならこれから大はしゃぎでしょう。ありがとうございます」  


「楽しみが先にあると良いですよね。楽しいお祭りにしましょう」


「はい」


 それからは急速に話が動いた。天気が問題無かった事で、全員が祭りの準備の為に仕事の分担を話し合うそうだ。楽しみだな。


 資金 手持ち 62金貨 80銀貨 46銅貨 ギルド口座 33白金貨 70金貨 貯金船 165白金貨 胡椒船 485艘

誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。

読んで頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ・1話のボリュームあって読みごたえがある! ・⬆により物語の進行に対し、ページ更新少なくてストレス軽減 ・船を用いた能力設定が面白い。 ・海を主軸とする題材が少ないので嬉しい。 ・ストーリ…
[一言] ・ルッカ侯爵 白金貨 120(フェリーレンタル代金)+ マイナス要因(騎士団長) ・王国 報酬が侯爵より低いことはないだろうが… マイナス要因(第二王子、子爵、男爵)
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