8話 沢山の角兎依頼と小屋船完成とランクアップ
朝だ……今日も1日頑張るか! いつものように身支度と洗濯物を取り込みギルドに向かう。
クエストボードを見ると角兎の調達依頼が8枚も張られている。依頼が増えそうだと聞いてはいたが、いきなり増えたな。
見てみると20羽納品なんて依頼もある。8枚の依頼を合計すると角兎110羽……無理だな。
依頼期間は3日あるがゴブリンが出て来る可能性も有るし、雨も降るかもしれない。雨? そういえば異世界に来てからまだ雨が降ってないな。
異世界って雨降るよね? さすがに雨は降りますか? なんて恥ずかしくて人に聞けない。どの位受ければ良いのか判断がつかないな、キツネミミのお姉さんに聞いてみよう。
「おはようございます。角兎の依頼表が沢山出てるんですが、どの位狩れるか判断がつかなくて。角兎を狩って来てから依頼を受けて納品って出来ますか?」
「おはようございます。はい出来ますよ、納品依頼ですので依頼品があればその場で受けて納品も可能です。しかし、他の方が先に依頼を受けた場合は納品出来なくなるので、お気を付けください」
「はい、分かりました。依頼がなくなってても、角兎なら買い取りカウンターで買い取ってもらえますよね? とりあえず1つだけ依頼を受けて行きます、ギルドカードです」
「はい、受理しました。角兎の買い取りは常時おこなっておりますし、料理店の方たちが状態の良い角兎が卸されるようになったと、大喜びで依頼を出していますので。依頼がなくなるという事は無さそうですので、お気をつけて、頑張ってくださいね」
「はい、頑張ってきます」
毎朝冒険者ギルドのお姉さんに全力で転がされてるなー、今日も1日頑張ろう。
朝食を3銅貨で買って狩場に出発だ。
到着っと、狩りをする前に小屋船を完成させないとね。まずは手漕ぎボートを召喚して、面倒だから倉庫船にしよう。
改めまして倉庫船を召喚して荷物を取り出す。船送還をして、小屋船召喚をする。土台の木材に空いた穴にロープを通して、ゴムボートと結び付けていく。
ランタンと毛布を設置して完成。広さはカプセルホテルより少し広いかな? 天井も高いし床も柔らかい、休憩には十分だね。大部屋で雑魚寝より居心地良さそうだ。
うーん、コンロとか売ってるかな? お湯が沸かせたら、お茶も淹れられるし楽しくなりそうだよね、ギルドの売店で聞いてみよう。
「うわっ」
革の扉をめくって外に出ようとすると角兎が体当たりしていた。外がまったく確認出来ないのも問題だな。とりあえずオールで角兎を叩く、ビックリしたな、小屋船から出る時は慎重に出ないと。
小屋船を送還して、ルーティンワークの時間だ。角兎発見→船召喚→殴打→血抜き→船送還。依頼が沢山だから頑張んないとね。
合間に休憩を挟み、小屋船の出来に満足しながら角兎を狩り続ける。
もうすぐ日が暮れるな……角兎は54羽か、あと1羽狩ったら戻ろう。あっさり1羽仕留められたので、戻る事にする。
暗くなりかけてるな。今日はちょっと頑張りすぎたかな? ギルドに戻って依頼表を確認してから納品だな。
ギルドに戻るといかつい顔のおっさんが見てる。まず依頼表の確認だよな、クエストボードにいかつい顔のおっさんの視線と共に移動する。負けるな自分。
良かった、依頼表は残ってるな。残ってると言うか減ってない……本当に人気ないんだな、55羽分の依頼表を手に取り……ずっと見ているいかつい顔のおっさんのカウンターに行く……負けた。
「朝受けた依頼表と、追加でこれらの依頼もお願いします。55羽分です、あっギルドカードです」
「おう、数が有るからなちょっと待ってろ」
「はい」
朝は綺麗なギルドのお姉さんでテンションが上がって、夜はいかつい顔のおっさんでテンションが下がる。どう考えてもいかつい顔のおっさんが邪魔だな。
「おう、待たせたな、55羽、高品質で間違いないぞ、5銀貨50銅貨だ、それと今回の依頼でEランクにランクアップだ」
「ランクアップですか? そんなに冒険者になって日数が経ってないですが?」
「Fランクは見習いだからな、1日に複数依頼をこなしてたらすぐに上がるさ。これからが本番だぞ、気を引き締めるようにな」
「はい、ありがとうございました」
ランクアップかー、いかつい顔のおっさんなんかじゃなくて、受付カウンターの綺麗なお姉さんに手続きしてもらいたかったな。
あとは、売店に寄ってコンロやコップがないか聞いてみるか。
「いらっしゃいませ」
「あのー、野外でお湯を沸かしたりする道具と、野外用の食器が欲しいのですが有りますか? あっ、あと、お茶の葉とお茶を淹れる道具もあればお願いします」
「はい、ございます。こちらのコンロが20銅貨です、魔力が切れたら魔石を交換しないといけませんが大丈夫でしょうか?」
「魔石を交換ですか?」
「ゴブリンの魔石ですので、冒険者の方は自分で討伐して交換される方がほとんどですが、1個5銅貨で購入も可能です」
「あははは、ゴブリンを倒したことが無いので交換用の魔石も1個下さい」
ゴブリンとかいまだに戦える気がしないよ。交換用の魔石をずっと購入する事になったりして。
「あとは鉄の小鍋と木のコップ、木のお皿のセットが10銅貨で有ります」
「それでお願いします」
「お茶の葉は紅茶と緑茶がございます。両方とも5銅貨になります。あと、飲み口部分に茶漉しが付いたコップが便利で人気が有りますね、1個5銅貨になります」
「茶葉は2つともください、コップもお願いします」
「かしこまりました、全部で50銅貨になります」
「はい」
うん気分が上向いた、そうだ、いかつい顔のおっさんで下がったテンションも、かわいい店員さんで取り戻せる……駄目だよね、毎日買う物なんてないし。
宿に戻り15銅貨を支払い、いつものシチューとパンを食べる。異世界に来て、この食生活はどうなんだろう?
朝は串焼き2本とパン、夜はシチューとパン、シチューは野菜たっぷりで体に良さそうなのは救いだが、味があまり変わらないのが欠点だな。
おいしいご飯も20銀貨貯まるまでは我慢するか。さて水浴び洗濯、生活魔法の練習だな。
うーん魔力を指先に集めるのはだいぶ速くなったかな? 明日、血抜きの時にいよいよ魔法を試してみよう。
ステータスチェックをして寝るか。今日も上がってないな……お休みなさい。
残高969銅貨
誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスを頂ければ大変助かります。
読んで頂いてありがとうございます。