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7.初クエスト

はい、続きです。

 


 言われた通りに北へ進み、門に門番が立っているのが見えたので、洞窟へ向かう道を教えて貰おうと話しかけた。


「すいません、北に行けば洞窟があると聞きましたが?」

「洞窟? 北にある洞窟は『風穴の洞窟』だけだな。この道を真っ直ぐに進み、途中で看板が立っているのが見えるはずだ。その看板の側に狭い道があるから、そこを進むといい」

「ありがとうございます」


 それ程に難しくはないのは助かる。お礼を言い、言われた通りに大きな道を進むと看板があった。が、その前にまたサイガーンが現れた。


「またお前か。まぁ、カードはあと2枚必要だったから、いいか。ノカゲ」

「……(こくり)」


 戦い慣れた敵だったのもあり、サイガーンに苦戦することもなく勝利するのだった。


「あと1枚か……、いくら必要になるんだ?」


 進化させる時、お金も必要だと聞いたが、いくらまでは知らない。もしかしたら、進化させようと頼む時に教えて貰うしかないかもしれない。


「まぁ、レア度の低いモンスターだし、そんなに高くはないんだろうな」


 大体2000エニはあれば充分だろうと考えつつ、看板の側にあった狭い道へ入っていく。

 しばらく歩くと4回も戦闘があったが、問題なくライフを減らすことなく進むことが出来た。


「お、ここか」


 1つの洞窟が見え、涼しい風が洞窟から流れてくるのを感じていた。この風があるから、『風穴の洞窟』と名付けられている。


(リーダ・アリゲイツを倒せば、クエスト成功するんだったな。おそらく、雑魚のモンスターも沢山いるんだろうな……)


 このクエストはボスに出会うまでに何戦か戦うことになるのはわかっていた。それを上手く避けたいと思うが、洞窟の中では遠回りして避けることは難しい。


「やっぱり、これを使うしかないか……」

「……?(じー)」

「ん、これか?」


 ノカゲが手に持っているカードに注目していたので、説明をしてやっていた。モンスターに説明することは、周りから見れば人形に話しかけているようなモノだが、トガは気にしていなかった。


「これから、洞窟に入るが戦闘は出来るだけ回避をしたい。ここまではわかるかい?」

「……(こくり)」

「それをしたいなら、このカードの出番ってことさ」


 このカードは帽子を被った青年と話した後に、カード屋で買った物である。お金はモンスターを倒すと少しだけ入ってきたし、いらないカードを売ることで400エニもした、このカードを手に入れたのだ。

 そのカードはーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 アイテムカード

 NO.0154

 ★★

 無音なる希薄者


 3分間、歩く音を消して気配と姿を希薄にする。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 完全に姿を消せるわけでもないが、洞窟はそれ程に明るくはないから音さえ消せば、先に進める。

 所々に灯りがある程度だから、近くを横切ることはなければ、気付かれないと思う。


「3分間しかないから、少し早足で行くぞ。ノカゲも攻撃をするなよ?」

「……(こくり)」


 ノカゲはトガの話を理解し、頷いていた。その様子に感心するトガだったが、今は素早く奥へ進むことに集中する。

 控えからアイテムカードを取り出し、そのカード名を唱えるだけで効果が発揮される。そのカードは手から消失してしまったが、トガとノカゲの姿が薄くなり、効果がちゃんと発揮されたのを確認出来た。

 すぐ洞窟に入り、モンスターの死角から抜けて先へ進んでいく。しばらく、そのように進んだが、一本道の洞窟は長く伸びていなかったので、あっさりと行き止まりになっている広場まで着いたのだった。


「あっさりと見つけたな。あれが、リーダ・アリゲイツか」

「……(ぴっ)」


 何体か屯っているアリゲイツの中に、一際と大きいモンスターがいて、ノカゲが指している通りにリーダ・アリゲイツがいた。


「こいつは、アリゲイツも纏めて戦うことになりそうだな……」

「……(くいくい)」


 早く戦おうよと言うように、服の裾を引っ張ってくる。バトルジャンキーだったっけ? と思ったが、『無音なる希薄者』の効果がそろそろ消えそうなので、ノカゲにファーストアタックを頼んだ。

 どのモンスターでも攻撃すれば、リーダ・アリゲイツも巻き込めるから、一番近いモンスターを攻撃していた。これで、ファーストアタックな成功し、戦闘フィールドへ移った。


「リーダ・アリゲイツが1体、アリゲイツは4体か。ならーー」


 ノカゲの『影縛り』でリーダ・アリゲイツとアリゲイツ2体を縛ってもらう。馬鹿みたいに真っ直ぐにこっちへ向かって来るので、罠を掛けやすかった。


「先に動けるアリゲイツを消すぞ!」

「……(しゅっ)」


 ノカゲの爪がアリゲイツを抉り、怯んだ瞬間にサイの突進で吹き飛ばす。クラゲはもう1体を攻撃していた。


「おらっ!」


 トガも動けないアリゲイツへ攻撃を加えていた。弱点はワニと同じように額の下だと推測し、パンチを喰らわすと青色のエフェクトが散った。


「よし、ノカゲもここを狙え!」

「……(こくっ)」


 指示を受けた通りに、ノカゲも額の下を狙った。もちろん、青色のエフェクトが散り、この攻撃でHPを0にしたようで、アリゲイツ1体を消し去った。

 次はクラゲがいるトコに行き、加勢することで5秒もすることなく、2体目も消えた。


「そろそろ20秒……!」


 ちゃんと時間を数えて、距離を取るトガ。前回の失敗を繰り返すこともなく、『影縛り』の効果が切れてからの反撃を防げた。

 もう1回、『影縛り』で縛ってボコボコにするだけだと思っていたがーーーーリーダ・アリゲイツがこっちを見ていることに気付いた。

 なんの視線かわからなかったが、操作する手を止めることはなかった。


「『影縛り』ーーーーなっ!?」

「……!?」


『影縛り』を設置したが、アリゲイツは引っかかってもリーダ・アリゲイツだけは設置した罠を踏まずに回避していた。まさに、設置されている場所がわかっているような動きだった。そのため、近くにいたノカゲが驚きで動きが鈍った。そのノカゲに鋭い牙で噛み付かれて、ダメージを受けてしまった。ノカゲのHPが一気に100まで減らされたことから、リーダ・アリゲイツのATKは150もあるのがわかる。


「くっ、ノカゲ下がれ!」


 もう1発を喰らったら、退場してしまうので、暫くは下げてトガが盾になる。

 サイとクラゲは残ったアリゲイツを任せ、リーダ・アリゲイツの攻撃はHPが1番高いトガが受ける。避けれる攻撃は回避するが、噛み付きの攻撃が早くて攻撃に回れず、防御主体で動いていた。

 リーダ・アリゲイツはボスらしく強いと感じていたので、正攻法で倒すより策を持って倒したほうがいいと判断した。

 その策はもう考え付いている。チラッとノカゲを見ると、ノカゲはわかっていると頷いていた。


「わかっているってわけか。普通の奴だったらキツイんだろうな……」


 トガは勝てる手段があるなら、残酷であっても良い結果になるならそれを手札として切る覚悟はあった。

 リーダ・アリゲイツの噛み付きが来る瞬間を狙い、スイッチをした。




「今だ!」




 前にいたトガは後ろに隠れていたノカゲと交代するように動いた。そうすれば、リーダ・アリゲイツの攻撃はノカゲに当たってしまう。

 だが、トガはそれが狙いだった。ノカゲのあるスキルを発動させる為にーーーー



 噛み付きがノカゲに襲い、ノカゲのHPは0になって光の粒にーーーーならなかった。『呪道連れ』と言う黒い光をした呪いが発動された。

 選択はプレイヤーのトガにあり、魔術本にどのモンスターを狙えるか、地図に表示された。敵の全てが表示されたので、リーダ・アリゲイツを選ぶ。


「これで消えろ」


 選択された同時に、黒い光は髑髏どくろの形になって、リーダ・アリゲイツの身体をすり抜けていった。すり抜けていった瞬間に、リーダ・アリゲイツはHPを0にして、光の粒になった。

 少女は死にしても、タダで死にはしないと言う体現であった…………




(後は、動けないアリゲイツをボコボコにするだけだな)




 ボスは道連れで倒して、後に残った雑魚のワニは動けないうちでボコボコにして、クエストをクリアしたのだった。








次は夜9時に載せます。

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