5.森林フィールド
はい、続きをどうぞ!
トガが歩いている場所は、森林フィールドと呼ばれていて、木や土属性のモンスターが多い場所になる。
その中を歩いて行き、キノコのモンスターと戦い続けていた。
「ったく、ここはキノコしかいねぇのかよ?」
「……(くいくい)」
キノコのモンスターばかりで睥睨していた所に、ノカゲが服を引っ張ってきた。不気味な雰囲気には慣れており、少女が服の裾を引っ張って教えてくれていることに内心で微笑みを浮かべるぐらいの余裕が出来ていた。
「どうしたんだ?」
「……(ぴっ)」
ノカゲか指を指し、そこに眼を向けて見ると、木の側に小さな影があることに気付いた。
影を見つけ、木の上へ目線を向けるとリスのモンスターがいた。
「デカイ尻尾だな。しかし、ノカゲは届くか?」
「……(ふるふる)」
木の上にいては、ノカゲは攻撃出来ないようだ。なんとか地上に落とせないかと周りを調べーーーー
「うらっ!!」
投石が出来るか疑問だったが、リスのモンスターに当たると……戦闘フィールドに移った。
側にノカゲとサイが現れ、クラゲは裏にしておいたので顕現されていない。
「小動物のことだ、素早い動きをして来るはず。気を付けろよ」
「……(こくっ)」
予想していた通りに、リスのモンスターは素早かった。木から木へと移っていき、こっちを撹乱しようとしていた。
パッーーーードォンッ!!
リスのモンスターがノカゲに向かって、尻尾を使ったカカト落とし版なる尻尾落としで攻撃してきていた。ノカゲのSPDの方が高かったので、後ろに下がって回避を見せていた。尻尾は地面に当たり、いい音を鳴らしていたが、こっちにダメージはない。
「……(キッ)」
後ろを取ったノカゲは爪で背中を斬り裂いた。だが、弱点じゃなかったから黄色のエフェクトでまだ生き残っていた。
リスのモンスターはすぐノカゲから離れて、近くの木に登ろうとしていた。
「やらせるか! 『重鈍弾』!」
咄嗟に呪文カードをタッチして、リスのモンスターに向けて指を指すと、魔術本から光る弾が撃ち出された。
必中である弾は外れることもなく、リスのモンスターへ重りを付けることに成功した。
SPDが40も下がる呪文カード、重りのような絵が描かれていて、リスの四肢に黒い物が付いていた。
「まだだ。クラゲ、現れろ!!」
裏にしていたクラゲを表にして、動きが鈍っているリスの横へ顕現させた。そのまま、クラゲが触手でリスを貫いて光の粒にしていた。
次の瞬間にカードが現れ、魔術本の控えへ向かっていく。
「今回もモンスターカードかーーーーむ? メダルカードだと?」
リスのモンスターカードを手に入れたと思ったら、銅色をしたメダルが描かれたカードだった。ガチャで使えると聞いているので、どんなカードが出るか楽しみにもなるトガだった。戦闘フィールドが消えたのと同時に、何かが鳴ったような音が聞こえた。
「これは、レベルアップか!」
プレイヤーにはレベルがあり、レベルが上がるとステータスの数値やコストなどが増える。
これが今のステータスである。
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プレイヤー名:トガ
レベル:2
装備:無し
コスト30/32
HP:1020/1020
MP:120/120
ATK:20
DEF:20
SPD:20
スキル:無し
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レベルアップでのステータスの上がりは全プレイヤーでの差はない。同じように上がっていくので、これから手に入れるカードによって、他の者と差を付けるわけだ。
(う~ん、装備カードが欲しいな。これじゃ、まだ戦闘に参加出来ないな)
ATKが上がったら、トガも攻撃に参加する予定だ。
(もし、装備カードを手に入れるなら、使い慣れているアレが良いのだが……。まぁ、カード屋に行く時に探してみるか)
これからのことを考えていたら、ノカゲがまたモンスターを見つけて、服の裾を引っ張っていた。
「ん、サイガーンじゃないか」
そこにいたのは、トガが持っているカードと同じモンスターだった。3体もいたが、サイガーンの戦い方を知っているので、戦う事に決めた。ノカゲに指示を出して、攻撃して貰った。
サイガーンのHPは高いのを知っているので、4分の1だけは先に減らして置きたかった。
「よし、先制攻撃は成功したか。ノカゲ、『影縛り』だ!」
すぐ『影縛り』で3体共、動きを封じ込めるために、サイガーンの向かう先を読んで設置した。
「「「ギィ!?」」」
その読みは当たり、前へ進もうとしたサイガーンは『影縛り』で身動きを封じられた。後はボコボコするだけだったが…………
残り1体だけになったサイガーンだったが、突然に縛っていた『影縛り』が消えてしまった。
「っ!?」
運悪くサイガーンの近くにいたのはトガで、突進を避けようと横に逃げたが、右手に当てられてしまった。
それだけで20ダメージを喰らってしまったが、トガのHPはまだ1000も残っているから、慌てる程ではなかった。
それよりも、時間制限があったことに驚いていた。そんな物があるなら、カードに表示しとけよ!? と愚痴を吐きたくなっていた。
「20~30秒だったか?」
数えたわけでもないので、このぐらいだったなと思うトガだった。また使う時に何秒か調べるのもいいだろうと考え、今は敵に集中する。
集中すると言っても、油断から気を引き締めただけであるが。
「真っ直ぐにしか突撃出来ないのはわかっているから、もう攻撃は当ててやらん」
サイガーンは走り出したら真っ直ぐにしか突撃出来ないのを見破っており、皆でサイガーンの正面に立たず、側面か後面から攻撃を当て続けていた。
最後はノカゲの爪が止めになり、これで全てのサイガーンは光の粒へなって消えた。
「ん~、サイガーンのモンスターカードを2枚ゲットか。あと6枚集めれば、進化だったな? あ、お金も集めないと駄目か。戦闘をもっとやらないとなーー」
「……(こくっ)」
「しばらくはノカゲが頼りだぞ」
この中で一番強いのは、間違いなくノカゲである。頼むぞと言いつつ、撫でるとノカゲは嬉しそうな雰囲気を醸し出していた。
(ん、照れてる? そういえば、顔は見たことがないな。映画で見たのと違い、美少女だったら良いんだが……)
まだ見るには覚悟が必要で、自分から見せてとは言えなかった。ヘタレ気味なトガは兎も角、ノカゲは頼りにされたことで、やる気を出すのだった。
次は夜9時に載せます。