3.案内
はい、続きをどうぞ〜。
街の中心に転移されたトガはすぐ楓と孝のIDを使って、チャットを送った。
『こちら、お城前にいる』
『ようやくか。こっちはお城前にある噴水前に立っている。楓も一緒だ』
『遅いよ~。早くこっちに来て!!』
待っていたということは、チュートリアルをやってなかったってことだろう。早速、噴水前まで行き、男女二人組になっている人を探してみたら、すぐに見つかった。
「よっ、あまり変えてないんだな?」
「あっ、お兄さん?」
「おう、今はトガだからな」
「俺はコウな」
「私はエージェだからねー。でも、こっちはお兄さんと呼ぶからね~」
「なんでだよ。コウもそのままだし」
エージェと名乗っている妹は、髪色が金髪になっており、眼も蒼くなったぐらいで、他は弄ってなかった。
コウは現実のと余り変わらない姿だったことで、黒髪黒目のままだ。名前もカタカナにしただけで、何も変えてなかったことに驚いていた。
「おい?」
「大丈夫だ、気にすぎるとハゲるぞ?」
「十代でハゲてたまるかよ」
本人がそう言っているから、もう気にしないことにする。
で、このゲームは基本的にボス戦闘以外ではパーティを組むことはない。何故、2人はトガを待っていたのか?
「ったく、案内される側が遅れてどうすんだよ」
「もしかして、チュートリアルを受けていたの? ルールはHPを見て、バッチリと言ってなかった?」
「習うよりは慣れろだからな。まぁ、チュートリアルを受けると先に言っておけばよかったな」
「しょうがないなぁ。案内してあげるから、すぐ行くよ!」
「あぁ、頼んだ」
「エージェはすぐフィールドに行きたいのを我慢して、待っていたからな」
「コウもそうだったし~」
トガはエージェに手を引っ張られて、案内をされるのだった。
ここは、最初の街になる『ハイロス王国』。街の中心には大きなお城が建っており、城下町は様々な店が並んでいる。
2人がこれから案内する場所は、このゲームを続けるなら必要になる所だ。
「まず、カード屋に行くぞ」
「名の通りに、カードを売っている場所ね。お金は魔術本を顕現して、店員に触れさせるだけでいいのー」
「魔術本を出してみろ。2ページ目の一番下を見てみろよ。数値があるだろ、それがお金の表示になっている」
「モンスターを倒したら、自動的に増えるから楽だよね~」
コウが言った通りにお金の表示は2ページ目の一番下にあった。1000エニと出ていたが、これでどれ位買えるかまだわかってない。
カード屋に着き、中に入ると何人かのプレイヤーがいた。
「お金は1000エニあるよな? あるなら、アイテムカードで回復の奴を買ってこいよ。1個で300エニだ」
「ふむ、2枚買っておくか」
経験者のアドバイスを聞き、回復薬のカードを買った。買ったカードはこの通りだ。
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アイテムカード
NO.0100
★★
下級回復薬
プレイヤーとモンスター1体のHPを200回復する。
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「そのカードは1枚でプレイヤーとモンスター1体を同時に回復出来る。ただ、アイテムカードは1回使ったら消えてしまうんだから、買い溜めしておくといいぞ」
「確かに、ライフの表示がないな。戦闘中に使えないのは痛いが、コストは掛からないのは助かるな」
「んー、確かにアイテムカードは戦闘中は使えないけど……、噂ではあるアイテムカードを持っているだけで、自動的に使わせることが出来る物もあるらしいよ」
「あぁ、聞いたことがあるな。まぁ、見つかってないから噂でしかないがな」
「あるとしたら、HPが半分になったモンスターがいたら、自動的に回復させたり、あとは蘇生のカードもその可能性がありそうだねー。β版では蘇生カードは見つからなかったけど」
殆どはプレイヤーの推測でしかないが、噂が出たことから可能性はあると言いたいだろう。
暇があれば、探してみるのも一興だろうと思いつつ、次の店に着いた。
「ここは進化屋だ。進化についての説明はいらないよな?」
「あぁ、既に調べてある」
「カードを集めて、進化させるのにお金も必要なのは大変だったよなー」
カードの進化はモンスターカードだけで、他は進化しない。
進化に必要なカードは、進化させるカードと同じモンスターである。
★ランクによって、必要な枚数も違う。
★1個→9枚
★2個→8枚
★3個→7枚
★4個→6枚
★5個→5枚
★6個→4枚
★7個→3枚
★8~10個→2枚
(*進化させる個体は上記の枚数には含まれていない。例:★1に必要な進化素材は9枚という事)
(俺の持っているレアカードだと、あと4枚は必要か。って、道中で拾えんのか?)
★ランクが6個もあるモンスターが野生で出るとは思えなかった。2人に野生から得る以外で他の方法を聞いてみた。
「NPCからクエストを受けるか、カード屋で買ったり……」
「あ、あれもあるね! ガチャ!!」
「ガチャ? 古風なのが来たな…」
進化屋から離れて、しばらく歩くと懐かしい物が目に入る。お金を入れて回すと、カードが出る奴だ。
「アレか……ん? カード口が2つある?」
「その上はメダルカードと言うアイテムカードを入れることで、下の口から別のカードが出るわけだ」
「メダルカードは銅、銀、金と色で分かれていて、1枚で1回のガチャが出来るよ。メダルカードはモンスターがたまに落とすよー」
「成る程……」
古風なガチャだが、主力を増やして鍛えるにはお世話になりそうだ。まだメダルカードはないから出来ないが、メダルカードが貰えるクエストがあるか探すのもいいだろう。
「ん~、案内はこれぐらいかな。あのお城はまだ開いてないから、後ねー」
「そろそろモンスターを倒したいしな。あ、最初のレアカードは何が出たんだ?」
「私は★ランクが4個だったな~。もう少し高いのが良かったなぁ」
「名前は言わないでおくか。まぁ、ランクだけでいいか。俺の場合は★ランクが5個だった。しかも、スキルが2つ!」
「2つ!? いいなぁ!! お兄さんは!?」
同じランクであることを期待するエージェだったが、トガは苦笑してランクだけ教えてやった。
「★ランクは6個だったな。あとは秘密だ」
「「6個!?」」
「6個だ」
レアカードで一番ランクが高い。それが最初から出たのはとても運が良かったのだろう。
スキルのことも聞かれたが秘密で押し通すトガであった。2人は羨ましいと思いつつ、フィールドに出る門前で解散するのだった…………
次は夜9時に載せます。