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1.チュートリアル

チュートリアルになります。


 


 真っ白な世界に移された兎神は、自分の身体を見てみると裸だった。広い部屋に裸でいることに恥ずかしく思うが、すぐ画面が現れて、容姿を変えれると教えてくれた。


(ふむ、大きく変化させるのは無理みたいだが、髪色や身長などを変えれるのは面白いな)


 今の兎神は、日本人らしく黒髪に黒目だが、兎神はその両方を変える。髪は名前に入っている兎と同じ色、白色に変えて眼もやや赤に近い色を選んだ。髪型は首元までストレートに伸ばしており、前髪は邪魔にならない程度の長さにする。

 身長はあまり変えず、170センチぐらいにした。他に体型を少し増やすか減らすことも出来たが、そのままデフォにしていた。


「ん、これでいいか……、次は名前か。『トガ』でいいや」


 いつも孝に呼ばれているあだ名をそのまま入力してみたら、重なっている人がいなかったようで、1発だった。

 最後にこれで大丈夫ですか? のOKボタンを押すーーーー




「トガ様ですね、こんにちは。私はチュートリアルを説明させて頂くカレンと申します。宜しくお願い致します」

「うおっ!?」


 目の前に少女が現れて、驚いたがこっちはまだ裸だったのを思い出して、身体を隠そうとしたが……


「あれ、いつの間に服が……」

「服については、名前が決まった後に反映させて置きました。チュートリアルは受けるか受けないか決められますが、どうしますか?」

「あ、受けるよ」


 ルールはHPホームページで確認出来るが、実際にやるのと違うと考え、受けることにする。


「わかりました。では、この魔術本ファインダをお受け取り下さい」


 そう言われて、渡されたのは分厚い本1冊だった。分厚いといっても、浮いているから重さを感じない。開いてみれば、殆どがカードを収めるページだった。1ページ目は他のと違った構造をしており、そのことをカレンに聞いてみた。


「1ページ目は控えになっているカードからモンスターカード、呪文カード、罠カード、装備カードを選び、セットするページとなります」

「ふ~ん、2ページ目は控えじゃないみたいが?」

「そこは、チュートリアルを始めたら教えます。先に練習用のカードを渡すので、セットしてみて下さい」


 カレンの手にカードが現れて、それが光の粒になって魔術本に吸い込まれた。控えのページを見てみると、カードが何枚か入っているのが見えた。


「これをセットすればいいんだな?」

「はい。モンスターカードはリーダーとサブの方に嵌めて下さい。リーダーやサブなどの詳しい説明も必要ですか?」

「いや、そこは大丈夫だ。HPで読んだから、大体はわかる」

「そうですか。あ、サブカードの1枚だけは裏でセットしてみて下さい」


 言われた通りに、リーダーに1枚セットし、サブ2枚セットするが、1枚だけは裏にしてセットする。


「はい、それでいいです。次に呪文カードと罠カードをセットして下さい。練習だから、1枚ずつしかないけど、戦闘や決闘によって使える枚数が違いますので、気を付けて下さい」

「表でいいんだよな?」

「はい、裏にすることが出来るのはサブカードだけなので、覚えておいて下さいね」


 1枚ずつだったので、すぐセットし終わった。残ったカードは装備カードだけ。他にアイテムカードというカードもあるが、今回は戦闘のチュートリアルなので、アイテムカードは送られていない。


「HPでルールを見たなら知っていると思いますが、アイテムカードは戦闘中では使えないので気を付けて下さい。最後に、装備カードをセットしましょう。2枚渡しましたが、1枚はリーダーカードの裏に重ねます。そして、残った装備カードはプレイヤーの装備欄へセットしましょう」

「セットしたぞ」

「これで、戦闘の準備を終わらせましたね。ただ、その準備は戦闘が始まったら、出来ないので……」

「街の中か、移動中にやっておくといいんだよな?」

「はい。移動中、編集している時に不意打ちを受けないように気を付けて下さいね」


 準備が終わり、フィールドでモンスターに出会ったと言う経緯のシミュレーションが始まる。


「この赤いテープみたいなのが見えますね。赤いテープみたいなのに囲まれた空間が、『戦闘フィールド』と言います」


 カレンを中心に、半径25メートルの空間が出来る。そして、チュートリアルになるモンスターが3体現れた。


「案山子みたいな奴だな……」

「はい、案山子です。動きますが、攻撃はして来ないので大丈夫ですよ」

「成る程……お、こっちのモンスターも現れたか」


 こっちもカードからモンスターが飛び出して、トガを守るように展開された。トガはカードの内容を見てみるとーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 NO.0090

 ★★

 リーダー:ハイコボルト

 属性:土

 ライフ:3

 コスト:5

 装備:鉄の剣


 HP:320/320

 MP:120/120


 ATK:70(170)

 DEF:50

 SPD:50


 スキル:無し


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 NO.0089

 ★

 サブ:コボルト

 属性:土

 ライフ:3

 コスト:3


 HP:190/190

 MP:120/120


 ATK:40

 DEF:20

 SPD:20


 スキル:無し


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 現れたのは2体だけで、裏にしていたサブカードは待っても現れることはなかった。


「裏にセットしたカードは、初めから展開させずに、後から自分のタイミングで顕現させることが出来ます。では、顕現する際に2ページ目を使う事になります。その2ページ目は、戦闘フィールドの地図になっております」

「ふむ……」

「まず、先に顕現させたい場所を決めて地図にタッチをしてから、サブカードを裏返して下さい」

「奇襲に使えるか……」

「その考えもいいですが、タイミングを間違えて数の利を捨てたまま負けてしまうなどもありますので。あと、2ページ目の地図はそれだけで終わらず、罠カードを設置するのに使えます」


 サブカードを後出し出来て、上手くやれば奇襲にもなるのはわかった。次に、罠カードを戦闘フィールドに仕込むためのやり方は簡単。設置したい場所にタッチして、罠カードをタッチするだけ。設置したら、自分だけがわかるように赤い光が埋まっているのが見えるのだ。


「その罠は自分が踏んだらどうなる?」

「味方側は作動しないようにされていますので、何度も踏んでも大丈夫です」

「便利だな。今回はただの落とし穴だが、様々な効果が出る罠カードもあるから戦術が広がるな」


 早速、裏にしていたカードを表にして、もう1体のコボルトが顕現される。


「プレイヤーも装備カードをタッチすれば、武器が手元に現れます。防具であれば、装備した状態になります」

「今回はハイコボルトが装備しているのと同じ武器だな」

「トガ様はまだレベル1なので、ステータスはまだ低いです。このままでは、モンスターにあまりダメージを与えられません。なので、攻撃に加わるであれば、武器を装備しておくと良いですよ」


 今のトガのステータスはこうなっていた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 プレイヤー名:トガ(制限中)

 レベル:1

 装備:鉄の剣

 コスト28/30


 HP:1000/1000

 MP:100/100


 ATK:10(110)

 DEF:10

 SPD:10


 スキル:無し


 ーーーーーーーーーーーーーーーー




 敵にダメージを与える計算は単純なのだ。基本的の計算式は『ATKーDEF=ダメージ数値』になり、属性の相性や急所によってダメージ数値が増えることもある。

 もし、ATKよりDEFの方が高く、相性や急所などの倍数がない時は最低ダメージ数値となって、10ダメージと固定される。例50ー70=ー20で普通ならダメージを受けないが、このゲームでは必ず最低ダメージ数値として、固定された10ダメージを与えられる。

 特殊なルールで、当たっていれば必ず10ダメージ以上は与えられると言っても良い。


「成る程……、えい!」


 ハイコボルト達と一緒に行くが、ハイコボルト達の方が早く動いており、トガはいつもより少し身体が重いと感じられていた。なんとか追いつき、案山子に鉄の剣を振るうと黄色のエフェクトを散らしていた。


「今のは普通のダメージってことか?」

「そうです。属性の相性か急所に当たれば、青色のエフェクトが出ます。もし、属性の相性が良くて急所に当たれば、赤色のエフェクトになります」

「確か、青色なら2倍、赤色だと……4倍だったかな」


 倍数のことはHPで知っていたので、確認の意味で聞いてみたが変わった所はなかった。ダメージを喰らった案山子は慌てるようにトガから離れていった。ハイコボルト達も追っていくが、今から重い身体で走るのも面倒だと思い、使ってなかった呪文カードを使うことにする。だが、その前に…………




「なぁ、身体が重いのはステータスが足りないからか?」

「いえ、装備カードのせいです。装備カードの上昇数値よりも全ステータスの合計が下回っていたら、制限が掛かります」

「そうなのか、知らなかったな。って、装備カードをプレイヤーにもセットして下さいと言わないでくれよ!?」

「いえ、説明を聞くより体験した方がわかりやすいので」

「むぅ……」


 机に向き合うより身体で教え込むタイプかと呆れつつ、呪文カードをタッチした。その呪文カードは『瞬動』。効果は一番近いモンスターの前まで自動で移動出来る効果でーーーー




「うぉっ!?」




 いきなり身体が重力を無視して、案山子の前まで移動させられていた。急で驚いたが、チャンスを潰さないで案山子の中心へ向けて、鉄の剣を突き立てた。


 HPが0になったのか、案山子は光の粒になって消え去った。ハイコボルト達も他の案山子を倒し終わっていた。






「おめでとうございます。これで、チュートリアルは終わりです」








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