プロローグ
今回はカードを使ったゲームの話になります。
ルールはチュートリアルを読んで、わからないと思ったら読んでみて下さいね。
ーー教室
梅雨が終わり、太陽の日差しがウザくなってきた頃…………
窓から注いでくる日差しだけでもウザいのに、更に暑苦しい奴がこっちへ向かってくるのが見えた。
「トガーー!! 抽選で当てたと聞いたんだが!?」
「あぁ、今日の夕方ぐらいに来るはずだ」
隣から急いで来たのは、高校1年から腐れ縁の佐々木孝。今の俺は、高校2年の高崎兎神。
1年だけで腐れ縁になる程に、仲良くなった理由は、同じ趣味を持つ者であり、ゲームが好きで様々なカードを集めるのが好きなカードコレクターでもあるのだ。
「くー、ようやくだなッ!! お前1人だけβ版の抽選に落ちるなんて、運が悪いよな~」
「あぁ、正規版が来るまでは楓の奴がウザかったぞ……」
今回のゲームは、β版もやっていた。孝と一緒に抽選へ応募をしていたが…………結果は兎神だけが落ち、コウが受かった。しかも、兎神の妹である楓も応募をしていて、抽選に選ばれていたのだ。
「まぁ、仕方がないんじゃないかな。β版は千個しかなかったんだし」
「正規版は一万だったかな?」
「これからは10倍もプレイヤーが増えてしまうかー。まぁ、特殊なルールだから、脱落する奴らが現れるんじゃないかな」
「ジャンルはRPGだが、カード集めが主なんだからな」
夕方に届く、『カード・キングダム・オンライン』と言うゲームは、VRMMOでは珍しいゲームの内容になっている。脱落する者とは、ゲームを辞めてしまう人のこと。
主な行動は、カード集めなのだから、合わない人も出てしまうだろうと考えていた。
「夕方、ログインしたらメールして来いよ! これが俺のIDだ」
「あぁ、わかった」
IDが書かれた紙を受け取り、チャイムが鳴ったので孝は自分の教室へ戻っていく。兎神も席に戻って、逸る気持ちを抑えて、大人しく授業を受けるのだった…………
夕方、家に帰ると玄関に1人の少女が立っていた。ツインテールが印象的な少女で、その少女は妹なのだ。高崎楓で、手には郵送物を持っていた。
「あ! お兄さん! これが届いていたから、早速やろうよー!!」
「はいはい、やりたいのはわかっているが、落ち着けよ。着替える時間ぐらいは待ってろ」
「むー、早くしてね!!」
妹の楓との仲は悪くない。一緒にゲームをするぐらいには良く遊ぶ。
兎神は高校2年、楓は中学2年で部活は入ってないから、これからは家に帰ったら、すぐゲームをすると決めていた。
着替えも終わり、親はいつも夜遅くに帰っているから2人はリビングに集まる。
「ねぇねぇ、どんなレアモンスターカードを手に入れるか、楽しみだねッ!!」
「確か、初めに貰えるカードの中で1枚だけはレアモンスターカードがあるんだったな。β版の時は★幾つだったんだ?」
「んー、★は4つだったよ。貰えるのは最高で6つだったから、今回はそれが来ると嬉しいなー! コウさんは、★が5つだったなー」
楓と孝はフレンドであり、たまに一緒にボスを倒しに行くことがある。
「β版の特典は回復カードが何枚か貰えるだけで、モンスターカードは正規版から始める人との差がないのは残念だけど、そこは経験の差で埋めるしかないわねッ!!」
「なる程。そろそろログインしようか」
「うん!!」
2人はソファーに身体を埋め、頭にヘッドギアを付ける。準備は終わり、これからログインしようと、スイッチを入れた。
『カード・キングダム・オンライン』へようこそ!!
その言葉が頭の中に流れて、意識が真っ白な世界へ移されるのだった。