プロローグ3
3
期待と不安と喜びの混ざった放課後がやって来た。
他人には見せられないし聞かれなくないので場所はかなり悩んだ結果やはり昨日と同じ場所で待ち合わせした。
自分としては一緒に教室から行って周りからカップルと勘違いされてもいいけど九条さんは嫌がるかもしれないから待ち合わせにした。
そんな訳でドキドキの時間がやって来た。
さあ、言おう、言い訳は色々考えてあるから大丈夫!なはず!
「あ、あのさ、まず最初にどうしても話したい事があるんだ!」
「う、うん、な、なにかな?」
俺の勢いが強かったせいなのか九条さんはキョトンとして少し引いている。
「あのさ、俺、俺の能力サイコキネシスだっていったよね。あ、嘘じゃなくて本当に使えるよ?継続発動だってずっと使ってるし・・・でも、ただ弱いんだ・・・約に立たない程弱いんだ、ゴメン」
俺はそれだけ言うと、臆病な俺はそれだけ言うとうつむいた。
泣きそうだった。
俺だって頑張ってきたんだ!この10年間ずっと!
恥ずかしさと情けなさでそんな事を考えてしまっていた。
「そんな、そんなの気にしてないよ!?私だって凄く弱いし神代君と違って継続発動だって知らないし・・・私の方こそごめんなさい!プレッシャーかけちゃったみたいで・・・そんなつもりじゃなかったから・・・ゴメンね?」
九条さんは慌ててそう言ってくれた。
良かった・・・そして俺は情けない。色々と。
そんな風に言わせてしまった事とか能力が弱い同士で良かったとか、九条さんに軽蔑されるとか考えてしまった事とか・・・。
「・・・本当はさ、強いとか弱いとか使えるとか使えないとかそんなの何も考えてなくてただ、同じ様な人を探していただけだったんだけどな・・・」
思わずそう、呟いていまっていた。
「ううん、気持ち、分かるよ。私もそんな気持ちだった。この能力が自分にあるって知った時怖かったから。今でも少し怖いこわいから。他の人と違うんだって。私、どうなっちゃうんだろうってずっと、思って来たからだから・・・!?」
俺はそこで九条さんの手をとりその先を台詞を言うのを止めさせた。だってそんなの悲しいから。当たり前の様にある思考のネガティブな部分だとしても言わせたくない。
『だから同じ様な悩みを持つ犠牲者と悩み合う仲になって嬉しかった』
なんて台詞はさ。少なくともそんな感じな台詞はさ。
どぶに棄ててしまえ!と言いたい。言わないけど。
だからこそ言いたい素直な気持ちでこう言いたい。
「九条さん可愛いから嬉しさが2倍だよ。いや、マジで」
九条さんはそんな事を突然言われたのが驚いたのか、へっ?って顔をした後に頬を緩めた。
「あはは、急にきもちが邪になった!」
「まあ、俺なんてそんなもんさ。・・・ふっ」
「あはっ、ふっ!て。・・・でもそうだね。神代君もカッコいいからそれはお互い様かなぁ?なんてね!」
そう、お互い様。お互いに嬉しくて不安で怖くて、やっぱり嬉しくて・・・そして少し打ち解けた事が嬉しかった。
多分二人は同じ気持ちだって、同じ気持ちだったって理解できた。
普通の人間だって理解しあえた事が分かるのになおさら分かるよ。
だって俺達サイキッカーなんだぜ?
これ位フツーでヨユーだっての。マジで。






