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魂の果実  作者: 雪の幻影
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プロローグ

1


俺には秘密がある。


秘密と言うのは何の事はない、ただのサイキックだ。


そう、ただのサイコキネシス、幼い頃目覚め最近になってやっと、約10年たってやっと食パン1枚を5分かけて10センチほど浮かせられるだけの特に約に立たない能力だ。


でもまあ、仲間は出来たらからそれは良かったかな。


どうやらサイキッカーはサイキッカーを感じるらしく高校の入学式が終わってすぐに同じクラスの女子に声をかけられた。


話を聞いてみると俺の身体から出るオーラが見えたらしく声をかけたらしい。


俺は起きている間はサイコキネシスの訓練をしているからね。


やってる事は自分の身体を浮かす事、それの継続発動。


継続発動は最初にやりたい事をイメージしてそのまま継続発動をイメージするとその後意識していなくても維持されるテクニックで、自分的には能力がつよくなればいいな。位の気持ちで起きている時間はやっている。何もしないよりはいいかな。みたいなね。


俺も自分のオーラは見えるし能力を使っていない時は見えない。


今まで他の人のオーラが見えた事なかったし世界に俺独りみたいな感覚で使っていたから他の人の視線とか10年たった今では気にしなくなっていたな。


能力が発現して最初の方は優越感に浸っていたけどさ、それが随分とショボい能力だったからその優越感もなくなり逆に申し訳ない気持ちになっていったんだよ、だってそうだろう?二次元を愛する世界中の人達が望んでいるサイキックがこんなにもショボい能力だなんて、知ったらガッカリさせてしまうと思ってから。


例え偶然にしろ選ばれたにしろ自分が使えるのなら見せても恥ずかしくない能力にしないといけないって思ったんだよ。


それが能力を持った者の義務だと思ったからさ。




  

入学式が終わりクラスのホームルームも終わって帰る為に教室から出る時に声をかけられた。


「あの、神代さん、ですよね?少しお話したいんですけど・・・」


色白でショートカットの可愛い女の子だった。可愛いなとは思ったけど名前を思い出せない・・・


「あ、えっと・・・」


「あの、九条です。あの、いきなり変に思われるかもしれないですけどどうしてもお話したい事があって・・・」


そうそう、九条さん、九条カスミさんだ。


「えっと、大丈夫ですけど・・・」


そりゃね、いきなり初対面の可愛い女の子に話かけられれば緊張するって。なんだろう?一目惚れかなぁ・・・えへへ。


「こ、ここで大丈夫?」


もしかしたら初対面で一言『うぜぇから近づくなよ?』とかすぐに終わる用事かもしれないし・・・そうだったらやだな・・・


「あ、いえ出来れば静かな所のがいいんですけど、いいですか?」


キタ!きましたよこれは!正解はヒトメボレでした!農家の方に感謝です。あ、でも美人局的な何かかもしれないし・・・ドキドキです。


「い、いいよ。どこがいいかな?」


この時にはもう、女子慣れしていない男子に標準装備されてる敬語はテンパっている為に使用不能になっていた。


「んーと、えっと・・・まだ学校良く分からないから歩きながら見つけるのでもいいですか?」


それはそうだ。


「もちろんいいよ」


こうして一緒に歩き出した訳だけど当然生徒はあちこちにいる訳で・・・当然彼女の方は大事な話?はしない訳で・・・自分も女の子慣れしていない男子に標準装備の緊張して頭が真っ白で何の話をしていいのか分からない状態にある訳で・・・沈黙が痛いです。


しかしそんな状態もしばらくすると改善され、俺たちは誰もいない校舎裏に来て、どちらともなく歩みを止めた。


周りをキョロキョロしたが人は、いないみたい。もし、もしもカツアゲとかだったら俺の食パンを浮かせる威力のあるサイコキネシスが火を吹くぜ!


「あの、神代さん、その・・・疲れませんか!?」


九条さんがいきなり思いきった風に言ってきた。


「いや、これくらい平気だけど・・・」


たいして歩いてないはずだけど、やさし子なのかな?


「あ、いえ、ち、違うんです、そうじゃなくて・・・」


九条さんは泣きそうになっていた。

そんな表情をさせてしまっている彼女に申し訳なく思い自分の中の感情が落ち着いた。


「大丈夫ですよ、誰もいませんから。ゆっくりでいいですから、話すまで桜でも見ていますよ?」  


実際、4月の少し強い風に花びらが舞っている景色は幻想的でとても綺麗だった。


九条さんも困ってうつむいていた顔を上げ、その景色を見た。


「ホント、綺麗」


二人で何も言わずにしばらく見ていた。


「神代さん、サイキッカーですよね?」


身体中の血がなくなったと思う位、身体が冷えるのを感じた。




「・・・・どうして」


出た言葉はそれがやっとだった。頭の中では分かっていたのかもしれない。だってずっと、同じ様な人がいればいいなって思っていたから。ネットだって見まくったし学生が行ける範囲の都会にだって結構行った。当然継続発動したままで。

継続発動は仲間を見つけたい為に頑張って編み出したんだよ。


怖かった、こんな弱い能力でも他人と違う事が。

だから同じ様な能力を持った人と話たかった。

何年も探していた。

それがいきなり分かる人が現れるなんて・・・


「見えるんです・・・オーラが。さっき疲れるのを聞いたのはずっと発動していたのが見えたから」


九条さんの身体に纏うオーラが見える!

自分だけじゃなかったよ!


思わず九条さんを抱きしめてしまっていた。

多分自分は今泣いているんだろう。


しばらくして思考が出来る様になり、冷静に考えた結果とても、とても良くない事をしているのに気がつきました。

ほぼ初対面の女の子に抱きついて泣くとか最悪じゃねーか!


そりゃもう急いで離れましたよ。

でも九条さんも抱いてくれていた・・・?

わずかに九条さんの手の抵抗を感じたから。


「あわわ、ご、ごめん!」


おもいっきり謝りました。


「だ、大丈夫、大丈夫だから!気持ち、分かるから!」


そ、そう?・・・あれ?てことは


「九条さんも仲間を探していた?」


九条さんは顔を真っ赤にしながら目元をふいていた。


嬉しい。


「うん、小学生の頃から」


「えーっ!休みには結構オーラ出しっぱなしで町中歩いていたけど?」


「あ、私、北海道から引っ越して来たから。来て3日位で荷物もかたずけ終わってない状態だから」


「おおう、それじゃあさすがに会わないかぁ。あ、でもでも凄い偶然!」


「ホントだよね!あ、オーラ出しっぱなしで大丈夫なの?」


「これサイコキネシスの継続発動だから」


「へぇーサイコキネシスなんだぁ、いいなー私、テレポートだから羨ましいな。・・・・ん?継続発動?」


あれ?呼び方違うのかな?でもそのままの意味だから分かると思うけど・・・。


「うん、ほら最初に設定してそのままほっといても持続するやつ。俺は継続発動ってよんでいるんだ」


「えっ!なにそれ!知らないよ!?そんなのあるの!?」


むしろこっちがビックリだよ。これって発動する以前の段階だから共通だと思うけど。


ちなみに自分はサイコキネシスだけしか出来ない。テレポートも透視も読心もサイコメトリーも思い付く限り試したけど出来なかった。


九条さんとはそれから少し話して時間が結構経っているのに気づいて今日の所は解散する事になった。


もちろん携帯番号とアドレスも交換した。



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