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第10章  強襲部隊来襲



第10章  強襲部隊来襲



ズズズズズズーーーーーーン!


 もの凄い地鳴りと地響きが辺りを襲った。病院の地下、キャシー達のいる研究所のスタッフ達は突然襲ってきたその地響きに、多くの者がそこでバランスを崩し、椅子などから転げ落ちる。

「く……!」

 キャシーは椅子から転げ落ちなかったが机につかまり、必死に耐えている。

しばらくすると地響きは止んだ。スタッフは混乱しながらも起き上がる。とりあえずケガ人はいないようだ。

「なんだ、今のは!」

 最初に言葉を発したのはミサワだった。

「地震……でしょうか?」

「それではあんな大きな音までした説明がつかん」

 ランの問いにミサワは答えた。

「主任、これは……」

 ミサワは鬼気迫る表情でキャシーを見た。その表情を見ただけで彼が何を恐れているのかキャシーには理解できた。そしてその予測はおそらく当たっているだろう。

そう、奴らが遂に来たのだ。そしておそらく奴らの狙いは……

 キャシーは先ほどの地鳴りと地響きなど何事もなかったかのように、ただ眠り続けるユーファの方を見た。



「陽電子砲の命中確認!」

「よしミラージュを解除しろ」

「了解!」

 すると惑星ペペの上空に、宇宙強襲用戦艦リズリーが姿を現す。

そのブリッジで、艦長であるギルバートは今の奇襲攻撃の成否をモニターで見て確認する。

今の攻撃は陽電子砲でこの惑星ペペの軍事基地の司令部を狙ったのだ。そしてその攻撃は成功した。

司令部のある建物は跡かたもなく消し飛んだ。これでこの基地の指揮系統は混乱しているはず。ギルバートは次の指示を出す。

「スターナイト隊発進、全機発進後、防御シールドを張れ」

「了解」



「スターナイト隊出撃してください。繰り返します。スターナイト隊出撃!」

 CICから艦内放送でスターナイトの出撃命令が下される。

「よし、いいかお前ら!」

 先頭のスターナイトに乗っているこの副長のデニスが通信で他のパイロット達に話しかける。

「この基地には20年前の旧式スターナイトのポンコツしか配備されていない。戦力差は明らかだ。なめてかかって釣りがくる。気負うなよ」

「はい」

「それでは俺の第一部隊は基地に配備されているスターナイトを攻撃する。第二部隊は街に下り街を破壊しろ。いいな」

「……はい」

 パイロットから返事があったがその応答には力がない。まだ迷いがあるようだ、その事をデニスは感じ取った。パイロット達に再度話しかける。

「不服か?」

「いえ……」

「これも命令だ。隊長が言ったが、今回の作戦ではこの星の襲ったのは帝国ではなく、シェルリナの仕業として公開される。そのためにも出来うる限り悲惨な戦場であったことを示さなければならん。割り切れ、これも命令だ」

「……わかりました」

「それではスターナイト隊出撃する」

「デニム!」

 デニムが機体をカタパルトに乗せようとした時に、隊長のバルサロームから声がかかる。

「久しぶりの戦闘だからといって熱くなるな、お前達の一番重要な目的は俺達の乗る輸送機の道を確保することなんだからな」

「もちろんそれは理解しています」

「ならいい、行け!」

「了解!」

 デニムはスターナイトをカタパルトに乗せると前方の掲示板にカウントダウンが表示される。

 3……2……1……0

 ゼロとなった瞬間、カタパルトからデニムの乗るスターナイトが発進する。それに続き次々とスターナイトが発信していく。この戦艦に搭載されているスターナイトは約20機、その全てが発進していった。

格納庫にはバルサロームが直接指揮する特殊部隊の輸送艇が残っているだけとなった。彼らはまだ発進しない。スターナイト隊が敵基地の戦力をある程度無力化してから彼らは出撃するのだ。

バルサロームは目を閉じ、戦いに意識を集中した。

 


 街は先ほど陽電子砲が基地の司令部を破壊した時の衝撃波で、多くの建物は崩れ、全壊状態の建物も多くあった。

多くの人々はケガを負い、崩れた建物の下敷きとなり、運悪く亡くなった人も数多くいる。

その街の住民の1人が、空中に浮かぶ戦艦の存在に気づく。

「なんだあれは!」

 その住民が叫ぶ。それと同時に他の人達も空中に浮かぶ物体に気づいた。

皆それが宇宙戦艦だと気づくのにそれほど時間はかからなかったが、その時は誰ひとり逃げようともせず、空中に浮かぶ宇宙強襲用戦艦リズリーを凝視していた。

この星に住む人々は、ノンエリーターはもちろんの事、エリーター、準エリーターも含めて戦争など体験した事の無い人達がほとんどだった。それにこんな辺境の星に攻め入る者などいないと誰もが思っていたのである。

ゆえに戦艦リズリーがミラージュ機能を停止し、皆の前に姿を現してもそれがこの星を攻めてきた戦艦とは誰も思わず、ただ呆けたように空中に浮かぶ戦艦を見つめていた。

そしてリズリーからスターナイトの部隊が発進する。

 リズリーから発進したスターナイトの第2部隊は、直ぐに急降下し街に下りてきた。

そして何事か起ったのか理解すらしていない住民たちの住む街に向かって、躊躇なく攻撃を開始した。

それが皮切りとなった。

「うわあああああああああああああああああ」

街は悲鳴に包まれ、住民はパニックとなった。皆混乱して逃げ出し、それを帝国軍のスターナイトは容赦なく撃ち殺す。

惑星ペペの惨劇は今ここに始まったのである。



そんな第2部隊をしり目にデニム率いる第1部隊は空中で編隊を組んでいた。

第2部隊は街を攻撃することが任務なため、編隊など組まずに街に下り、ただ散開して攻撃を開始していたが、第1部隊は基地を攻撃することが任務だ。

ゆえに、旧式とはいえこの基地に配備してあるスターナイトを相手にする事になる。そこでデニムは隊員の気を引き締めるために編隊を組ませたのだ。

「それではこちらも敵基地に攻撃を開始する。全機安全装置を外せ、行くぞ!」

そしてデニム率いる第1部隊も基地に向かい降下を始めた。


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