No.00 Drei Jahre vor dem Treffen von Ihnen
"君"が夢に現れるのは8月。"君"は私と毎回会っているのに、いつも私のことを忘れている。
最初はそれがすごく寂しかった。でも、そのうちだんだんと慣れてきてしまった。
今はもうそんなことで落ち込んで時間を無駄にしないようにして、いっぱい君と話している。
でも…やっぱり起きている時は今でも落ち込んでいるんだ…
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-少女side-
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「…ねぇ、ちゃんと聞いてんの!?」
「ん?あー…まぁ……。」
「せっかく人が本当のことを教えてあげてんのに…」
「だって…僕たちさっき会ったばかりなのにいきなりそんなこと言われたって・・」
「…違うよ…。私たちが会ったのはこれで65回目だよ…」
だって今は8月3日。私達が会ったのは3年前。
この話をしたのは63回。最初に会ったときは本当にはじめましてだったし、2回目はデジャブなのかと思おうと頑張っていたから……
「でも例えそうだとしても証拠はないじゃん。」
「でも!!…でも…」
信じて欲しくてなにか言おうと考えていたそのとき、また"君"は私の夢の中から消えた…。
-少年side-
小鳥が鳴いている。母さんは今日も朝早くからパンを焼いているのだろう…香ばしい匂いがする。
「うん、今日もいい天気だ。」
8月はいつも寝覚めがさっぱりする。なんでだろう…?
僕が8月が大好きだからかな?
なんで??そりゃあ8月はもうオール夏休みと言っていい月だし…月・・だし…あと…なんだろう?
それだけなんだけど…なのに僕はすごく8月が好きなんだ。
…そうだ!!いきなり話を変えるけど、僕には宝物があるんだ。昔・・といっても3年くらい前、7月7日の七夕の日。お祭りの屋台でブレスレットを買った。それはとても綺麗な色をしていて、一目見て僕はそのブレスレットを買った。女っぽいって友達から言われたけどそんなの全然気にならなかった。そんな友達の言葉よりもブレスレットの美しさに魅入っていたんだ。それは僕の一番大事なものだからいっつも身に付けている。今日もそれを手につけて僕は図書館まで自転車をこいでいく…ハズだったんだけど……
-少女side-
朝。私は気だるく起き上がる。
はぁ…また今日も・・いや昨日も…か…信じてもらえなかった。
「全く…いい加減信じなさいよっつのっ!!」
思わず、両腕を振り上げて人形に枕を投げつけてしまった…。
その衝動で腕のブレスレットがかすかに揺れる。これは3年前の7月7日にもらったものだった。といっても、そのときに母がアクセサリーの多い屋台を出していて手伝いをしてくれたら売れ残ったアクセサリーをひとつだけくれるというので頑張って働いてもらったのだ。いわば、人生最初の給料みたいなものだ。
と言っても、今の私はまだ高校生なので、まだ、給料なんぞもらったことはないのだが…。
ま、そういうことで私は今日も走ってパン屋まで行く。あそこのおばちゃんには小さい頃からいろいろとお世話になっていていろいろとオマケしてもらっているのだ。だから私の行きつけはあそこなのだ。
よし!!今日も頑張って一日行くぞー!!
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パン屋につくと、店の前で男の子が自転車の近くでなにかをしていた。
パンクでもしたのだろうか…そう思いながら男の子の横を通ってパン屋に入ろうとすると…
「ねぇ、君…あの…そのブレスレット…えっと……どこかで拾った…の…?」
「…は!?なに言ってんの!?これは昔、母からもらったのよ!」
なんだ!?コイツ…!!いきなり人のブレスレット指差して…
もっと文句言ってやろうかと思ってソイツの顔を見ると…
ソイツは夢の中の"君"に似ていた…