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女の髪の毛を集めるカルマ君と、親がブログにあげた写真のせいでネットのおもちゃにされたマイちゃん  作者: 津山 まこと
親がブログにあげた写真のせいでネットのおもちゃにされたマイちゃん

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第21話 その日を境に、私は素肌をさらすことをやめた。

 あ――――見なきゃよかった。


 『マイちゃん』という文字を掲示板で見つけてしまい、もう逃げられないとわかってしまった。


 ここで見るのをやめて記憶から消すことも選べただろうが、私の知らないところで何が行われているのかわからないまま生活するほうが怖くて、身を守るにしたって情報が必要だと思い見るのを続けた。

 この時、目の前にいるお母さんがいたことも忘れるほど視野が狭まっていた。





 この掲示板でおこなわれていたことを一言でいうと、お母さんのブログにのっていた私の写真を性的に見てからかっていた。


 その写真は、さっき見ていた遊園地の記事の写真で、子供達が着ぐるみにまとわりついてピースしてる写真だった。




 あれはギャルピースが流行ってた頃で、子供ながらに真似したんだっけ。

 そのポーズは腕を前に突き出すようにするピースのやりかたで少し前屈みになる。

 それを子供より背の高い大人が上からの視線で撮るわけで。

 前屈みになった私の胸元が

 




……………………丸見えだった。





 乳首がはっきりと見えていたんだ。

 なんで、そんな……。

 さっきのブログにもこの写真はあった。

 でも言われるまで気づかなかった。

 この時の私はこんがり小麦色に日焼けをしてたから影ぐらいにしか思わなかったんだ。

 そうだ思い出した。

 日焼けで真っ黒なのがギャルみたいだねって話からギャルの真似、ギャルピースをしたんだ。

 たぶんこれは小二か小三で、そんな頃なんだからブラなんかつけてるわけもなく、見えて恥ずかしいとかの意識もまだ芽生えてない時期で…………。






『乳首モロ見えw w w』

『色が黒ずんでるからこいつ将来ヤリマンなるぞ』






 体の震えが止まらない。

 他の写真も辱められていた。

 ソフトクリームを食べてる私の写真だ。

 隠し撮りのようで写真の私は撮られてるなんてつゆほどにもかんじてなくて、思いきりベロを伸ばしてソフトクリームを舐めていた。






『これ狙ってるだろw』

『僕ちんのもなめなめしてほしいな』

『この歳から男の誘い方を本能で知ってるんだな』







『マイちゃんの乳首ちゅぱちゅぱちたい』







「ひっ――――」

 悲鳴が漏れた。


 マイちゃん、と名指しで書かれていてゾッとした。

 全身をナメクジが這い回るような感覚をおぼえる。

 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。






「なぁに、どうしたの?」

 





 私が突然声を出したからか、お母さんが声を掛けてきた。

 平和ぼけした顔で、あたかも私の思い出のブログはどう?

 素敵でしょうって誇ってるような顔しやがって。





「死ねよ!!!」





 私は握りしめていた携帯を勢いよく投げつけた。

 それは暢気にアルバム整理を続けてるお母さんの額にクリーンヒットし「痛ぁい!!」と鳴いた。

 痛みに頭を押さえるお母さんの手に血が滲み、私は一瞬怯んだけれど、それを覆ってしまうほどの怒りが私のなかでぐつぐつ煮えたぎる。




 いやお前は血がちょろっと出ただけですむじゃん? 

 でも私は世の中、いや世界中に無様な姿をさらしてるんだぞ。

 しかもお前のせいでな!!

 お母さんを傷つけてごめんなさいとか微塵も感じないから。

 ざまあみろでしょ!?

 それどころかこの程度じゃ怒りは全然収まってくれない。

 



 私は床に広げていたアルバムを手にとる。

 小学校の頃の写真だ。

 写真にうつる無警戒であどけなく笑う自分に苛立った。

 反射的にページを破いた。

 そしてまた次のページも破く。

 自分の過去を否定する。

 なかったことにする。

 そうしたい。

 そうしたい。

 そうしたいの!

 こんな写真は存在しないんだ、と引き千切っていく。

 全部嘘。

 全部嘘だ。




 にわかに廊下からドタドタと足音が聞こえてきて二階の窓拭き担当してたお父さんが『どうした何事だ?』って顔して現れた。

 私は持っていたアルバムをお父さんにぶん投げた。

 あの写真を撮ったのお前だろ!

  お前も同罪だ!!





 突然、物をぶつけられたお父さんは理解が追いつかないらしく部屋に入ることに怯んでいる。

 床に頭を抱えて転がるお母さんと私の慟哭をただ眺めているだけだった。





「うあああああああああああああああ!!」


 叫んでも叫んでも、怒りや恥辱は消えてはくれない。

 その日を境に、私は素肌をさらすことをやめた。




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