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創作論エッセイ

異世界の日常生活描写だけで作品を書いてみよう

作者: はまさん
掲載日:2026/02/16

■序文

 ファンタジーというと「ゲームみたいな」「剣と魔法」となる昨今。けど、皆も好きじゃないかな?

 ゲーム要素の薄い。イチから設定を構築した幻想世界での。住民たちによる、何気ない日常生活の描写。

 エモいよね。

 けど、そんなのどうやって描けば良いのか。膨大な設定資料集を作らないといけないんじゃない?


 そんなことない!

 ファンタジーに必要なのは、小難しい設定なんかじゃない。想像力であるはず。


 というわけで、この技法が皆さんの想像力を働かせる助けになれば幸いです。



■キャラ設定

 さっと決めてしまいましょう。サイコロでも振って、以下からどれか選んでください。


 まずは男か女。

 性差にセンシティブな昨今ですが。中世レベルになると、やはり性差が大きな影響を持ちますからね。

 なんなら人外視点でも悪くないかもしれません。モンスターとか土地神とか。


 次に年齢。赤ん坊は主人公にしづらいので。

 子供、青年、中年、老人、の四つの中から選んでください。


 主人公が住んでいる場所。

 自然豊かな「村」。人が大勢いる「町」。そして大勢がいるとは限らないが、場合によっては世界の根本と関わるかもしれない貴族や王族のいる場所、仮に「貴」としておきます。

 というわけで村、町、貴のみっつ。


 はい、これでキャラクター設定の完了です。この程度で充分。

 むしろ最初からガチガチに決めてしまうと、後から邪魔になりますので。



■風景の決定

 日常生活を描くのに、何が面倒くさいって。どこを切り取れば良いか分かりづらいところ。

 やはり異世界における生活の、なんか現代日本と違うところを我々は見たいわけですよ。


 というわけでボクが普段、ファンタジーの世界設定に使っているテンプレートを紹介。

 すなわち「冠婚葬祭」と「衣食住」。


 冠婚葬祭とは、成人式、結婚式、葬式、お祭り。

 生活の中で起こるイベントだ。


 それから衣食住は言うまでもないだろう。

 生活に必要な三要素。


 これら4+3の、七つの要素を描けば、他人の日常生活が垣間見えるはずだ。



■風景のファンタジー化

 冠婚葬祭と衣食住。どの日常風景を描くか決めたら、そこへファンタジーならではのアレンジを加えてゆこう。


 ボクは基本的に、タロット二枚を使っている。

 一枚は、日常風景がどう変わるのか。

 二枚目は、日常の中でキャラがどう動くのかだ。


 タロットの代わりに最初から、いかにもファンタジーな要素を加えても構わない。

 ドラゴンとか魔法とか勇者とか。


 では実際に作りながら解説してみよう。



■作例①

 設定は「結婚、男、貴族、中年」。

 出たタロットは「愚者の逆位置、審判」だ。


 主人公が中年だから、結婚するのは子供。愚者の逆位置だから、反対を押し切っている。また愚者から杖をイメージ。

 審判は繰り返し、ということは?


 はい、完成だ。


《実例①》

 貴族の結婚では、家を象徴する杖を当主から婿に手渡す。このバカ男、可愛い娘を誘惑しやがって。杖で殴ってやろうか。一瞬、力が入ったのを見抜かれたか、妻に肩を叩かれる。


 それで思い出した。自分も入り婿で最初は義父に結婚を反対されたものだ。自分もこの杖で殴られかけていたのかもしれない。



■作例②

 設定は「成人式、男、村、子供」。

 出たタロットは「恋人の逆位置、月の逆位置」。


 タロット的に、好きな人との別れ。それはなぜか、何かが分かったから。

 何かが分かる成人式。じゃあスキル鑑定だな。面倒だから魔力測定にしとくか、どっちみち一緒だし。


 はい、出来上がり。


《実例②》

 十歳になると全国民は魔力測定を受けなくてはならない。村にも測定官が来た。僕は15。なかなかじゃないかと大人が褒める。


 けど幼馴染みの女の子は180。周囲は驚き、僕は忘れられる。きっと都から迎えが来るだろう。


 好きな女の子に僕も、おめでとうと言った瞬間。もう子供でなくなったと分かった。



■作例③

 設定は「住宅、男、町、青年」。

 今回、アレンジにタロットは使っていない。代わりにファンタジー要素として分かりやすく、ドラゴンを使うことにした。


 家のドラゴン。柱が骨? じゃあ木材が少ない地域かな。竜の骨なら、竜骨か。いっそ船ということにする。だったら主人公は青年だから、船大工見習い。

 船の出航と、若者と、竜とを意味づけするなら、空飛ばしとくか。


 はい、終わり。


《実例③》

 この地域は大きな木材が乏しい。代わりに竜の墓場があり、竜の骨から船が造られる。


 ある船大工見習いは初めて、小型艇なら独力で造っても構わないと許された。舫い綱を解くと、完成した船はふわりと浮く。竜は空を飛ぶもの、竜骨の船も空を行くのだ。


 成功に見習いは歓喜する。彼の独り立ちは近い。



■結び

 いかがだったでしょうか。

 最低限の設定からでも、いわゆる正統派ファンタジーな風景が描けると分かったと思います。

 後のストーリー化するとか、どう文章描写するかは、各人の腕次第。


 設定は多ければ良いというものではありません。

 最初にキャラの設定を決めすぎさせなかったのは、後からどんな風景にいるかで、立場が変わるから。


 大事なのは、そこで生きる人の息づかいをイメージすることです。

 そのためには設定の要点さえ押さえていれば良い。そうすれば書きながら、いくらでも設定の細部なんて思いつきます。


 というわけで皆さんも、異世界の日常風景を描いてみませんか。

 エモいですよ。

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