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幼馴染は3時間に一回キスをしないと意識がなくなるらしい。って、俺とするの!?  作者: 冷泉七都
第二章

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第17話 好奇心は、突然に〈3〉

 離れようとすると、柚奈の腕が俺の首を抱いてきた。

 予想外に来たからバランスを崩してしまい、上半身が少し後ろに反る。


 柚奈の髪が俺の顔に掛かった。

 良い香りが俺の周りに充満し、クラクラしてしまいそうだ。


 頭が働かなくて、何秒キスをされていたのかは分からない。

 でもしばらくしてから、柚奈は拘束を解いてくれた。


 ……はぁ、はぁ。

 溺れた後のように、俺は酸素を求めて呼吸する。

 柚奈も同じようで、俺の頬をかすめてくすぐったい。


 しだいに、俺たちの呼吸のタイミングは一緒になった。

 俺の腰に当たっている柚奈の手が、息に合わせて揺れているせいだろう。


「口でするのって良いね、みんながしてる理由が分かったよ」


 興奮冷めやらない様子で柚奈はそう言った。

 みんながしている訳がないだろ――と一瞬思ったけど、『付き合っている人たちみんな』という意味で言ったのかもしれない。

 いやいや。

 そもそも俺たちは付き合っていないのだから、その理論はおかしい気がする。


「ねぇ、悠太。悠太も良かったよね、全然離してくれなかったし」

「え? 離さなかったのは柚奈じゃないのか?」

「手はね。でも、悠太は口押し付けてきたじゃん」

「…………」


 そんなことをしたつもりはない。

 しかし柚奈が噓を吐いている雰囲気じゃないし……。


 まさか――。

 俺はもしもを否定することができなかった。


「なんかね、繋がっているっていう実感が素晴らしいよね。守られているっていうか、求められているっていうか、わたしが必要とされている感じがして――」


 柚奈は共感を求めるように、俺を見てにこやかに笑って「でしょ」と言った。


「あぁ、そうだな」


 そこについては否定できない。

 俺もさっき、まさしくそう思った。


「毎回までとは言わないけど、一日に2回くらいはしたいな」

「2回……」

「だめ?」


 1回でも耐えられるか微妙なところなのに、そんなにしたらすぐにどうかなってしまいそうだ。

 でも、柚奈の懇願する目に嫌と言うのは憚られる。

 俺だってこのキスによって幸せになれる部分もあって――だから、ここでチャンスを逃してしまうのはもったいない。


「まぁ、いいよ」

「嬉しい。言質は取ったからね」


 あの映画で興奮してしまったせいであって、あれは一時の迷いだったんだ。

 あの言葉は本望じゃないから、なしで――。


 なんて言われるのなら、今のうちに言われておきたい。

 その方が心が楽だ。


 夢じゃないかと思うほど、いつもの柚奈とは違う様子をしている。

 嬉しいようで、嬉しくない。


「玲ちゃんに言ったこと、本当になっちゃった」

「好奇心のこと?」

「そう。だってしなくて良いことまでするって、好奇心だもん」


 あっけらかんに言うのが、俺の胸に響いた。



 今日の夜、もう一回だけ口でした。


 俺たちの関係が、少し――いや、かなり変わった。

 それが良いのか悪いのかは、考えられない。

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