99,合流即戦闘19
「………さてと…。」
4人の死亡を確認してから残ったクロイサスのほうに向かう。
クロイサスのほうは突然使えなくなった聖霊の力に動揺しつつも、弓を構えてこちらの様子を窺っている。
「無理だよ。もうしばらくは精霊の力は使えないぞ。」
突然告げられた言葉に衝撃を受けたが、そんな驚きを悟られないようにあえて声の抑揚を抑えて落ち着いた様子で聞き返す。
「なぜ、あなたにそれが分かるんですか?」
「お前の聖霊は攻撃の強弱に関係なく、30回発動すると5分から10分のインターバルを必要とする。しかも今回は大技を含めて全力攻撃ばかり使ってきていたはずだ。インターバルの時間はそれまでの攻撃の魔力消費に比例して増加していく。」
「つまり今回のインターバルは10分が必要になる。だからあと2~3分は聖霊はの能力は使えない。」
「だから、なぜあなたがそんなことを知っているんですか?」
(さてどう説明したものか………………。)
<人魔大戦>のことを説明できれば話は早いのだが、この状況ではそんなことを言っても理解されず変人扱いされるのが関の山だろう。俺としてはできれば彼を殺してしまうのは避けたい。
聖霊使いは貴重で例外なく強く、悪魔にとりつかれるということがない。
なのでできれば説得してこちらに鞍替えしてほしいのだ。幸い彼が聖騎士団に従っている理由は見当がついている。その理由さえクリアできれば彼もこちらに協力してくれるだろう。
(そのためにはこちらの話を信じてもらえないとどうしようもないよな。)
「………あー…。 ………えーっ…と…。
どういったらいいかな………。 ………えっとパラレルワールド………………。」
「そうっ!パラレルワールドって知ってるか?それだよそれ!」
「いや...そのパラレルワールドってのもわからないんですが…。それがどう関係しているんですか?」
「えっと…。パラレルワールドっていうのは、並行世界といって、何か大きな事件や事故などによって枝分かれしてしまった世界かな?まあ同じ世界でも少し違う世界、違う未来を進んでいる世界と思ってくれていい。つまりその世界から来たからそのあたりのことを知ってるんだよ。」
「?………………確かに…。彼らライアン教の聖騎士の中にも私のことを知っているような感じの人はいました…。それがあなたと同じパラレルワールドの世界から来たということならそのあたりのことも納得できますが。」
「そうだろ?そういうことなんだよ」
「しかし辻褄が合うだろうというだけです。何かそのことを証明できるものはありますか?そういったものを提示してもらって納得できたらあなたの話を聞きましょう。」




