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97,合流即戦闘17


 至近距離で起こった爆発による爆風で何メートルか吹き飛ばされたライガーは、体を起こしながら荒っぽく体についた汚れを手で払いながら口を開く。

 「おいおい、もう少し火力を抑えてもよかったんじゃないか?危うく俺まで黒焦げになるところだったぞ?」

 「いやに遅かったな、プラムにギルよぉ。」

 「あんたねぇ...。まず助けてくれてありがとうからでしょ?なんで文句からなのよ。」

 プラムと呼ばれた女性が答える。

 彼女も転移者でこの世界ではプラムと呼ばれていて、ライガーとデルタたちとパーティーを組んでいたメンバーの一人で、かつらかこの世界の特殊な染料で染めたのか鮮やかな赤い髪をしている。そして赤いローブと杖を持っている、がその杖の先端にはリング状の刃が付いていてその中心に深紅の宝玉が鈍い輝きを放っている。

 「あいつには最大火力でないと無理だっただろうからな...。申し訳ないが巻き込む覚悟でやらせてもらった。」

 そう答えたのはギルと呼ばれた男で、彼も同じ転移者で同じパーティーのメンバーである。彼の髪は黒髪ではあるが白い帽子をかぶり、白を基調としたローブを着ていて全体的に白っぽい印象の男である。彼の持っている杖はオーソドックスなもので中心に白い宝玉が白い光を淡くはなっている。

 彼ら二人はこのパーテイーの魔術師コンビで火力要因でもある。前衛二人の後衛の魔術師二人のいろいろと足りないものだらけのパーティーだが、そこまで不自由もなくやってこれていた。

 なのでもう気心の知れた友人通しの関係である。そんな弛緩した空気の中で緩やかにプラムが口を開く。

 「これで賞金と商品は私たちのものね。いやーとっても助かるわぁ。」

 「おいちょっと待てよ。こういったものは山分けが基本だろ?お前ら二人だけで俺に話ってのはあんまりじゃねーか?」

 そんなもう完全にこの後のことの話になっていた中で最初に異変に気付いたのはギルであった。

 「おいっ!なんかおかしくないか。」

 ギルがゆっくりと爆発の煙が晴れてきた中心地を指さしながら話かけてきた。

 「あぁん?何が?」

 そうけげんな返事をしながら、ようやく晴れてきた爆発の中心に目をやる。

 

 ない!

 まだ完全に煙が晴れたわけではないのでうっすらとした状態ではあるが、そこにはあるべきものがなかったのだ。

 彼らが相手にしていたシグマの死体があるはずのそこにないのである。

 「どういうことだ?跡形もなく吹き飛んだのか?それともはるか後方に吹っ飛んでいったのか?」

 「いや、今までの経験から言ってターゲットになった奴は中心からあまり吹き飛ぶことはなかったはずだ。」

 「じゃあ...。」

 その先をいいかけたプラムの胸から唐突に剣が生えてくる。一瞬何が起こったか意味が分からず全員がフリーズしたが、勢いよく噴き出す血に状況を察したプラムが悲鳴を上げたが、その声は逆流してきた大量の血によって遮られてすぐに声なき声に変った。

 「………キャ…ッガゴボッ…ガフッ。」

 ゆっくりと引き抜かれた剣によって支えを失ったかのように、ゆっくりとプラムが前に倒れていく。

 その状況によって我に返った二人は、とっさに距離を取ろうとしながら

 「気をつけろっ!奴の攻撃がが来るぞッ。」

 しかし、その時にはもうギルの後ろに回ったシグマによって心臓を貫かれていた。

 「………くっ…なんでこんな…。」

足を必死にばたつかせてなんとか立ち上がって逃げようとするが、足がうまく動かずに立つことができない。それでも四つん這いになってなんとかはいつくばって逃げようとするが、その背に無情にもシグマの剣が付きたてられる。

 「………あんまり意味がなかったな………………。」

 そんな、呆れを含んだシグマのつぶやきを聞きながら、ライガーの意識は深く沈んでいった。

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