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91,合流即戦闘11

 「………ではいきますよ。」

 そういってクロイサスは弓を構える。

 ゆったりとした話し方とは裏腹にその動きは素早く、一瞬で弓を構えてこちらに照準を合わせている。

 こちらが回避行動に移る前に彼の弓から矢が放たれる。その矢は放たれてからすぐに幾重にも枝分かれしてこちらに襲い掛かってくる。いくつか体をひねったりして躱していくが、全部は躱せずにいくつかは食らってしまう。手を顔の前で交差させて顔への直撃は防ぐが、腕や体に枝分かれした矢が当たって大きな衝撃を受けて後ろへ後退してしまう。

(弱いほうに下振れしててくれなかったか………。)

 俺は心の中で舌打ちした。ゲームの中で強さが決まっていないので、この世界の基準に合わせて弱くなっていることを期待していたのだが、当たり前のように最強クラスの強さになっている。特に弓を構える動作はあまりにも早く、自然な動作だったので反応が遅れてしまったくらいだ。しかも弓が命中した箇所はにぶい痛みを訴えている。 <人魔大戦>でも本来防御力により低く、ダメージを与えられない攻撃にも無理やりダメージを通す攻撃がいくつもあったが、これもその類だろう。本来与えるダメージの何割かのダメージを防御を超えて与える。こういった攻撃は貫通攻撃と呼ばれている。幸いなのは大体一割から二割の低い割合になることだろうか。しかしそんな低い割合の攻撃でも、俺は結構な痛みを感じている。決して油断はできない。

 そう考えていたが、相手も同じ考えだったらしくこちらが大勢を整える前に次の矢をつがえていた。弓を構える動作が全く視認できないほどの早業である。

 そうして放たれた矢が今度は四つに分かれて俺の四方から襲い掛かってくる。そしてそれに合わせて転移者の男が低い位置から斧で薙ぎ払ってくる。こいつに限らず<人魔大戦>経験者は基本的に連携がうまい。これは大体の人がパーティーを組んで攻略しているからで、俺みたいなソロで攻略しているプレイヤーはまずいない。しかしその連携のうまさで彼らの狙いが読める。

(上に逃げるように誘導してジャンプしたら身動きがとりにくい空中で渾身の技で狙い撃ちして勝負を決める気だろ。)

 なので剣を地面に深く突き刺しながらしゃがみその剣で斧の攻撃を受けながら、斧が止まったところを見計らって、低い体勢から転移者の男にタックルをして吹き飛ばす。

 吹き飛ばされた男は後ろで狙いを定めていたクロイサスのほうに飛んでいき、クロイサスのほうも予想外の出来事だったのかそのままぶつかって後ろに吹き飛んだ。

 俺はチャンスと見て、剣を地面から引き抜いて追撃を仕掛けようとしたが、クロイサスは体勢を崩しながらも弓から矢を放ってきた。とっさに顔面狙いだろうとアタリをつけて顔の前に剣を持ってきてうけたが、予想通りの軌道であったのはいいが威力はとどめを想定していただけあって速さも威力も段違いで、俺も後方に吹き飛ばされる。

 そしてなんとか着地して前を見ると、すでに数えきれないほどの矢がこちらに迫ってきていた。威力も速さもさっきの一撃には遠く及ばないかんじだが、なにせ数が多い。どうやら相手は面での制圧で攻めようとしているようである。

 (ほんとにこいつは敵だと厄介でしかねえな)

心の中で舌打ちしながら右に駆け出して矢を回避していく。

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