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88,合流即戦闘8

 何度か説明したような気もするが、この世界の人たちは仕方のないことかもしれないが、一部を除いて総じてレベルが低い。そのためこういう場合は転移者の強さが勝敗に直結する場合が多い。

 つまり何が言いたいのかというと、彼らは相手にならないということだ。

 彼らはこの世界ではトップクラスの強さを持つ者達ではあるが、<人魔大戦>のゲームに当てはめると中級者くらいの位置づけになる。全く役に立たないということはないが、<人魔大戦>でトップに数えられていた俺からするとただの障害物でしかない。

 俺は一斉に襲い掛かってきた彼らの攻撃を躱したり受けながら、一人づつ切り伏せていく。

 彼らは下っ端でこき使われているだけであろうことは想像できるが、こちらもほとんど戦えない非戦闘員を抱えてすでに被害も出ている。この状況ではこちらも殺さずに無力化するだけにとどめるのも難しい。彼らも覚悟を決めているようでどんどん切り伏せて絶命させているのにひるむ様子がない。

 しかし転移者の彼にとってはとてもまずい状況のようで、どんどん周りの味方をけしかけながら自分は逃げるように下がっている。

 「…おっ、お前らもっと囲めっ!囲んで殺せっ!!あいつは広範囲に強力な魔法やスキルを持っていない。囲んでたたけばやれるぞ!!」

 そのセリフを聞いた俺は、正直辟易した思いに駆られた。

 確かに俺は魔法より剣などの物理重視の能力で、大人数を相手にするよりボスなどの単体や少人数の編成のパーティーのほうが適している。なので数で押していく作戦は間違っていないが、転移者の彼がとっていい作戦ではないはずである。

 というのもこういった作戦は<人魔大戦>時代に散々追い回されていた時も、基本的にとられていた作戦なのである。最初のころはこういった人海戦術に散々苦労させられてきたが、その分この戦術に関してはいろいろなパターンに精通して、互角以上に立ち回るやり方もしっかり確立している。なのでこの場合、相手もこのやり方に精通していないと一方的な展開になってしまう。

 つまり彼らのトップである転移者の男(名前は忘れた)がうまく采配して味方がやられるのを防いだり、うまく連携を取って俺にダメージを与えながらも逃げたり、仕切り直しをさせて一息つかせないように立ち回る必要が出てくる。

 しかしこの転移者の男はそれができていない。とりあえず片っ端から周りの人間をぶつけてきているだけなのである。そのせいで彼ら聖騎士たちはうまく連携が取れずに、次々と無謀な特攻をしては俺に切り伏せられて各個撃破されている。俺としては魔法の援護や目を見張るような連携攻撃もなく、ただ前に進み出てくる敵を切り伏せるだけの作業になっていた。

大した苦労もなく、転移者の男以外を全滅させることができたがこいつは他の奴らをけしかけながら逃げ回っていた。転移者の男は周りにもう仲間がいないのを確認すると、震えながら身の丈ほどの斧をこちらに向けてきた。そして震えながら罵倒してきた。

 「てめえ…こいつらは俺たちに比べて全然強くないし上から命令されてきているだけだぞ?お前なら殺さずとも無力化できたはずじゃねえのか?」

この期に及んでずいぶんとずれたことを言ってくれる。無視してもいいが、これに関しては一言いいたかったので言い返す。

 「それは後ろのお前たちがやったことを見てからいってんのか?自分たちのやったことは棚に上げて、俺たちに偉そうに俺に説教か?人のことを言う前に自分たちの行動を振り返れよ!」

 後ろでこいつらに殺されている人たちは大体が背中から斬られて殺されている。見た限りでは死司天団の人たちは劣勢に追い込まれていたが、殺された人はほとんどいないだろう。

 これがどういうことかというと、彼らは逃げ惑う非戦闘員の救出された人たちに狙いを定めて殺していたということに他ならない。彼らが重要な情報を持っているのか、非戦闘員を積極的に狙うことで、こちらの動きを制限しようとしたのかはわからないが、どちらにしても仮にも聖騎士団の名を持つ者たちがしていいことではない。そんな奴らに命の大切さを説かれたくはない。

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