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86.合流即戦闘6

 さて、話を戻すと彼女はこの世界の食べ物が軒並み微妙なのと、甘いものが全く手に入らないから元の世界に戻りたいということらしい。

 正直俺としてはそんなことで何でと思ってしまうが、よく考えてみると俺はこの世界に来てまだ一年だし、彼女の話が本当なら彼女は俺よりも9年も長くこの世界にいることになる。そう考えると俺自身十年後も同じ考えでいられるかというと正直自身はない。

 だが、それでも俺はどうしても気になったことがあったので聞いてみた。

 「なぁ、確かにこの世界では確かにほぼ全くと言っていいほど果物やスイーツ系統の甘いものを見かけないが、<人魔大戦>の時のアイテムはほぼ引き継がれてるんだからある程度は余裕あるはずだろ?ゲーム内でもレアアイテムだったがいろいろな魔獣が落としていたし、どっちかというとマジックポーションのほうが貴重だったからそこそこスイーツ系のアイテムは手に入る仕様だったような気がするから、普通ならそこそこの在庫を抱えているはずじゃないか?」

 「それはあなたが特殊な状況だったからそう思うだけなのよ。いい?あなたはあの頃はほとんどがPKで一人で、追われていたからあまり実感がないかもしれないけれどね、普通に5人でパーティーを組んで戦っていれば町から出て目的を果たして戻ってくるまでにMPを回復しなければならない状態なんてほとんど起こらないのよ。こういったMP回復アイテムが必要となってくるのはレイドボスなんかの大規模討伐や、上級者向けの高難易度のダンジョンや固有職を手に入れるときに戦うボスとかの普通のプレイではあまり用がないものばかりなのよ?

 そんな状況だったし、なによりあのゲーム内ではスイーツ系統の甘いものはただMPを回復するものでしかなかったわ。だから普通にプレイしている人の大半はああいったアイテムは常時ピンチをしのげるであろう範囲でしか持ち歩いていなかったし、貴重で金策にもなるから必要以上のものはすぐに売っていたわ。

 だからね、私が持っていたものなんてこっちに来て一年でもう食べきってしまっていたのよ。

 ほかのプレイヤーも軒並みほとんど持っていなかったし、手に入れるにはほんとに高難易度の魔獣とそのボスを討伐しなきゃいけなくて正直割に合わなかったわ。」

 割に合わなかったって………。何度かやり遂げてんのかいっ!!

 ………恐るべし。………甘いものへの執念!

 「…えっと、討伐自体はできたんだよな?じゃあある程度は手に入ったんっじゃないのか?」

 「だからっ!この世界はゲームと違うのっ!そういう場所を狙っているのは私たちだけじゃないのよ。苦労して討伐しても、すぐそのことを察知した別の魔獣の群れがたくさっもそ寄せてきて地獄絵図のバトルロイヤルに突入よ?しかも時間がたてばたつほどに魔獣の数は増えていくのよ?とてもじゃないけど守りきれないわ。」

 つまりその場所の魔獣を討伐できたとしても、そんな場所は他のいろいろな魔獣が常に狙っていて、その独占していた魔獣がいなくなったことによりその場所をめぐって争いが始まってしまってとてもじゃないが目当てのものを回収するのは無理だったということか。

 まあそんな状況でその場所を確保し続けるのはなかなか難しいだろう。まあそれなら仕方ない。

 「なら、俺のほうはまだ結構そういったものいくつか持っているから、もしそいつらと手を切るんなら、そこまでたくさんの種類はないけどある程度は融通するけど?」

 自分でも若干馬鹿にしていると取られかねないほどひどい取引内容だとは思うが、同じ転移者を手にかけるのはできれば避けたいので、俺には彼女にしてあげられることはこんなことしかないのでダメもとで提案してみている。

 「………マジ………で?………」

 彼女は驚きで目を見開いてこちらを見ている。

 「マジで!」

 「わかったぁ。そっちにつくぅ♡」

  いいのかよっ!!どんだけ甘いものに飢えてんだよっ!!

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