84,合流即戦闘4
予想外の返答に、俺は固まってしまった。幸い周りの連中もなぜか棒立ちで戸惑っているみたいで、助かったみたいだ。というかさっきからケイコ=フリージアだっけ?まあその人しか動いていない感じで、様子を見ているというより戸惑っているという言葉のほうがしっくりくるような状況だ。
まあよくわからないが今が話を聞くチャンスだと思うので、さらに質問を続けてみることにする。
「いやなんで元の世界に帰るのにそんな大規模な戦争起こさないとダメなんだ?ゲームの設定で少し語られているのを見ただけでもやばいとわかるほどの凄惨な戦争だぞ?この世界がめちゃくちゃになるんじゃないのか?」
「私もつい最近までこいつらとはかかわってなくて、つい最近元に戻れる方法のめどがついたといわれてしぶしぶ参加しているだけだからまだ詳しいことは聞いていないんだけど。元の世界に戻るためには莫大なエネルギー?が必要になるらしいのよ。だからその戦争を起こせればどうやってかは聞いていないけれど、その必要なエネルギー?が手に入って私たちは帰れるって話なのよ。」
「………いや、普通に騙されてないか?莫大な何らかのエネルギーが必要になるであろうことはなんとなくわかるけど、それが戦争によって生み出されるっていうのがうさん臭いぞ?できるとしてもほぼ100パーセント負のエネルギーだろ?そんなもので元の世界に帰れるなんてとてもじゃないが無理じゃないか?そんなものが使えるのは悪魔とか悪側の存在だろ。絶対に何らかの代償を負わされることになるぞ?」
このゲームでPKをずっとやってきたからだろうか?それともこのベースになっている<人魔大戦>のゲームの影響からだろうか?俺はこういう不思議なことができるエネルギーを正と負で見る世になっていた。
俺たちがこの世界で普段恩恵を受けているマナという魔力の元の力はもちろん正のエネルギーだろう。このエネルギーこれは原理はよくわからないがまっとうなものであり、だからリスクが少なく使っても普通に循環している力なんだと思う。
しかし今彼らが利用しようとしているエネルギーは違う。そのエネルギーは俺がPK時代と今現在も苦労させられている業と同じ類のもの…、いや同じものかもしれないが、このエネルギーは俺には圧倒的にマイナスの効果しか生んでいない気がする。そしてかつてこの世界の人類が利用していた時期もあるが、その時期でも人類は常に追い詰められていた。
この世界の人類が今ここまで反映しているのは、神様にマナの扱い方と吸収方法を教えられてからである。
このことから考えてみると彼らが利用しようとしている負のエネルギーはおそらくろくでもない結果しかもたらさない気がする。
そしてこういった負のエネルギーを扱うのはほぼ悪魔だけである。つまり彼らの裏には悪魔がいるということになる。
しかしここで勘違いしないでほしいのは、すべての悪魔が人類に害をもたらす悪の存在ではないということだ。この世界というか<人魔大戦>ではその成り立ちの経緯もあって、すべてが人類や世界に害を与える存在ではなく、人に寄り添い協力している者もいる。そしてそういった存在は極めて常識的な存在である。だから俺たちをもとの世界に返すためとはいえ、この世界をメチャクチャにしてしまうような提案はどんなことがあってもすることはない。したがって彼らの裏にいるであろう悪魔は、おそらく力量的にも存在的にもかなりヤバイ、かかわってはいけないタイプのものである。
そんな存在の言いなりになって、元の世界に帰るというのはとてもリスクの高いまさに悪魔の契約である。絶対にろくでもない結果になると断言できる。そもそも元の世界に帰らせられるというのも怪しく思えてくる。
そういわれて彼女は驚いたように目を見開いてこちらを見つめていたが、やがて意を決したように口を開いた。
「そんなことは薄々わかってんだよ!!だがなぁ、私たちがこの世界に来てもう十年だよ!?その間、色々世界各地を回りながら元の世界に変える方法を探し歩いたのよ!それでも手掛かりはおろか前例らしき事象も全くない。そんな中で初めて見つかった希望なのよ!?多少のリスクがあっても、もうこの方法にすがるしか私たちが元の世界に変える方法はないのっ!!やるしかないのよっ!」
結構追い詰められているみたいだ。
でも十年だって?彼女はこの世界に十年もいるのか?俺はこの世界に来て一年ほどなのに?どういうことだ?




