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82,合流即戦闘2

孤軍奮闘しているソルの元に、大急ぎで駆けていくがどうにも先頭に立って積極的にソルに攻撃を仕掛けている二人の隊長かくらしき人物が気にかかる。

 一人は180ぐらいの背の高さだで、山賊のような外側のような服に銀色に輝く肩当をつけていて、その両肩の肩当から鎖が伸びていてその鎖は体の中心で留め具のようなものでつながってクロスして背後に回っている。そしてその手には斧と槍が合わさったようなハルバードのような形状をしているが、槍よりも短く斧の部分が大きくなっておりどちらかというと斧に槍の部分が付いているというのがしっくりくる形である。180の身長で大きな斧を振り回しているが、その体はこの場にいる誰よりも細く、はた目にはそんな武器を振り回せるようにはとても見えない。

 それに加えて顔も痩せこけていて眼鏡をかけているので、衣装以外の印象としてはのっぽのがり勉という感じである。そんな奴が自分の肩幅くらいの幅のある斧を軽々と振り回しているのである。違和感がやばい。しかしそんな印象とは裏腹に攻め方は力任せの強引なもので、どこか懐かしさを覚える。

 もう一人のほうは160くらいの女で、手足と胴と腰だけに赤い鎧を身に着けていてその下には黒いボディスーツのような下着をまとっている。しかしその体系は片割れのがりがりと正反対でかなり肉付きがいい。お腹辺りにも肉がはみ出ていて、そのうえ足や腕にも肉が余っているようで動くたびにはみ出たお肉がプルプル揺れている。こちらのほうもそんな見た目からは想像もつかないようなスピードで動き回り、手に持った槍で攻撃を仕掛けている。やはりこちらの動きにも何か引っかかるものがある。

 走りながらどこでこいつらを見たのか思い出していると、ふと<人魔大戦>のゲーム時代のことを思い出した。

 姿はゲーム作成時のものではなく、本人のものに変わっているから気が付かなかったが、俺はあの二人にはゲームで何度も会っていると気づいた。

 しかしその出会いは彼らのPK狩りの最中に敵としてなので、いい出会いではないのは確実ではある。しかも俺は、彼らが挑んできたからではあるが、20回は彼らをゲーム内で殺している。もともとこの状況では仲良くするなんて無理だが、このせいで彼らと仲良くするのは絶望的であると考えてもいいものになっている。

 まあそのおかげで彼らのあしらい方はある程度は心得ている。しかしこの状況では、どうあっても戦うしかないのだが、同じ世界の人間を殺すのはちょっと気が引けてしまう。だがこちらも命がかかっているのだから、いざというときは覚悟を決めるしかないか…。

 俺は走っている勢いのままガリガリの斧を持っているほうのたしかゲームではジャック=ドーレンだったような気がする。まあとにかく何とかジャックに、ドロップキックをお見舞いする。

 ジャックも他の面々もこちらのことは全く把握していなかったらしく、何の妨害などもなくあっさりと食らっていた。

 「うおおお⁉何だとっ!」

 そういいながらジャックは遥か後方に吹っ飛んでいく。この世界でのステータスで全力疾走の勢いをのせた渾身のドロップキックである。元の世界でのものとは比較にならない威力のはずである。

 というかソルのほうもこちらに気付いていなかったらしく驚いた表情でこちらを見ている。気付いてなかったんかーーい!って突っ込もうとしたが今の俺は気配隠ぺいのサブスキルでかなり気配が薄くなっていた。今の状態ならかなり気づかれにくくなっていたはずであり、気付かなかったのも仕方ないといえる。

 「ソルっ!!ここはいいから向こうのほうを頼むっ!」

 「こいつらかなり強いんだが大丈夫なのか?」

 「問題ない。こちらは任せてくれ。」

 「………わかった。見る限り向こうのほうがやばい状況みたいだしな。」

 ソルは周りを確認して向こうの状況を察して、そっちのほうに向かっていく。

 最初の予定と違うがこっちに切り替えた。俺はそんなに連携が得意ではなくむしろ苦手で、お互い邪魔しあうことになりかねなかったことと、この世界に来て初めて会った同じ転移者に聞きたいことがあったからだ。

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