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72,ボッチPKアジトを離れる27

「それでディオニス様の話に移っていいか?」

 「…すまないが少し待ってくれ………。」

 正直頭が追いついていない。そんな設定があったというのも初耳だし、それはゲームの世界でも適用されていたのかとか、ほかのプレイヤーは知ってて当たり前のことだったのかとか、気にしだすと正直きりがない。

 しかしこの話を聞いて一つ思い出したことがある。魔術師系統のジョブでソロで活躍できるのは精霊術師だというのは、ゲームサービス開始のころから割りといわれていたことだった。精霊術師はすべての属性、系統の術を使える可能性があるからだったが、実際には精霊を集めるのはとても根気のいる作業で、先に言った全属性とか全系統網羅するとかは実質無謀というほかなかった。俺も最初のころ、ソロで進めるにあたって検討したことがあったので、覚えていた。

 この精霊集めがどう大変なのか軽く説明すると、まず情報がなかなか出てこないことがあげられる。NPCが星の数ほどいる中でほんとに一握りのものしかもっていないのだ。次に居場所の情報を得てもその情報はひどくあいまいでそこそこ広いエリアを探し回ることになる。そして一番ヤバイのが出てくる場所も時間も滞在している時間もランダムであるということだ。しかも強力な精霊ほど滞在時間の平均も短くなっていくという鬼畜仕様である。出会えれば特に条件なく契約できるが、それには尋常ではない根気が必要になってくる。このためオールラウンダーの可能性のある魔術職でありながら、人気は魔術職の中でも真ん中より下に位置している。

 正直、まだ語られた情報に頭が追いついていないが、まだ相手には話すことがまだ残っているのでとりあえず保留にして先を促すことにした。

 「じゃあ、ディオニスについて聞かせてくれ。」

 「わかった。とはいってもどこから話すか……。すべてを話すとなるととてもではないが時間が足りないから、かなりかいつまんで話すことになるぞ?詳しいことは自分で調べろ。

 まず悪魔というのは元々ディオニス様の眷属の闇の精霊の人に寄り添って活動していた者達だ。

 この世界では大気に散らばるマナを効率よく吸収して体の強度や、身体能力、いろいろな超常現象を引き起こす魔法として使ったりできるものほど強力な生物になる。だから体の大きいものは常に体の強度を上げなければならないので必然的にそのあたりに特化していったり、年を重ねるほど経験からマナの吸収や運用が効率的になったり、常に激しく動き回っているようなものも常にマナを使うので、マナの扱いがうまくなっていく。つまり大量のマナを吸収して使うということを繰り返すほどどんどん強力な生物になるということだ。

 その中で人という種は最もそのマナの運用や吸収の能力が低かった。そのため人類はこの世界の最初期では常に狩られる側で、長い年月を常に周りの魔獣に怯え、狩られ続けて滅びと隣り合わせの状況だった。

 そんな状況の中で、闇の精霊の一種だった悪魔の原種は人に寄り添い、人に力を貸し、手助けをして人類を守っていたが、闇の精霊の一種でそこまで力のなかった悪魔の原種はそれほど大した助けになっていなかった。魔獣側が圧倒的に強力で、もともと相手にならなかったのが、何とか逃げられるかという状況にもっていくのが精いっぱいだったのだ。

 その状況を打破するために悪魔の原種が手を出した力がカルマだった。人が持っていたいろいろな負の感情や怨念などから作られるカルマを力に変えて人に還元することで当時の凶悪な魔獣に対抗できるようにした。だがこの力はとても扱いが難しく、一つ間違えれば本人だけでなく周りの人々の命を奪ってしまうような、諸刃の剣だったのだ。しかしそれから月日が流れて、人に神様から特殊なマナの吸収法と運用方法のすべを授けられて、その中からジョブが生まれてくると、次第に悪魔の原種のカルマを利用した危険な戦い方は次第に敬遠されて、やがて禁忌の技とされるようになっていった。

 悪魔の原種であるヘリアンロートはその力の制御の改良に取り組みながらも、必要とされないなら、人から離れる意志を持っていたが、ほかの悪魔たちはそれを良しとはしなかった。」

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