表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/149

69,ボッチPKアジトを離れる24

倒した悪魔の力が手に入るはずなのに、能力が上がっている感覚がない。上がる量が微々たるものなのか何か条件があるのか…。

 できるならはっきりさせたいが、この情報もゲームで説明された情報なのでこの世界では確かめようがない。とりあえず保留にしておくしかないか。

 ほっと一息ついた瞬間体から黒い煙があふれて夕日の光に当たって消えていく。これはあらかじめ接敵する前に準備していた<シャドウミストシールド>である。この魔法は攻撃や魔法に対して、攻撃をはじくというより、身体の周りにまとって迫ってきた攻撃にまとわりついて、こちらのダメージを軽減するもので、この魔法も光に弱く、光属性にはほぼ負けてしまう。軽減倍率も一割から、熟練度を上げていってやっと3割に届くかというところである。このゲームではこちらの体力が少なめで死にやすいので、軽減するよりは回避するかシールドなどで遮断するほうが好まれるので、この魔法も敬遠されがちな魔法なのである。だがこの魔法はあまり使われいないからほとんど知られていないが、この魔法は4回まで重ね掛けが可能なのだ。しかも弱い部類の魔法だからからか効果時間がとても長い。一回だけだと一時間は持つ。なので4回重ね掛けしても十五分は持つのである。しかも効果が切れる前に重ね掛けすれば4回分の魔法力が必要になるが効果時間を十分伸ばせる。 

 だがこの魔法は光の変化に弱いので普通にしていると、すぐに光で消されてしまう。重ね掛けしてもヒカリエの体制は全く上がらないし消されたら、それに使った魔力は丸々無駄になってしまう。ではどうしていたのかというと装備の内側に展開していたのだ。これによって装備が破壊されない限り光が届くことはないし、魔法を使っているところを見られていなければ仕掛けに築かれることもない。そしてこの魔法のいいところは防御力だけでは防げない、防御を抜けてくる衝撃系の攻撃や、防御を貫通してくる攻撃にも有効だということだ。しかも四回重ね掛けにとる軽減率は、なんと6割から8割にもなる。この軽減率のおかげで、禁域種から始まり、ディオニスの信徒の二人と、悪魔までの連戦を戦い抜くことができたのだ。このレベルの敵はただ防御力が高いだけで攻撃を防げるような甘い攻撃はしてこない。悪魔が最後にはなった炎の鳥も、炎の鳥では、ダメージを受けなくてもそれから発せられる熱は別だった。なのであの攻撃がこちらまで届いていたら、こちらがやられていた可能性も十分にあった。普通に考えて周りの木々や周りの草が触れてもいないのに燃えだすなんて絶対に普通ではない。まともに食らっていたら蒸発していたかもしれない。

 そんなことを考えていると急に体が震えてくる。戦っている時は必死だからか、全く恐怖や葛藤が表に出てくることはないが、戦闘が終わって冷静になってくるといつもこうなる。この世界に来て一年以上になり、その半分くらいはこういった戦闘の日々だったのに、いまだに戦闘に慣れることはない、戦闘が終わるたびに自分のやったことの恐怖に全身が震える。割り切ってはいるが、心はそう簡単にいかないのだろう。しかしそういったものがなくなってしまったら、自分はこの完全にこの世界の住人になってしまったということのような気がする。それは自分が元の世界に戻れても、その世界で元のように普通に暮らせなくなってしまったことのような気がして、今の状態を維持していきたいという気持ちもある。

 考えても答えは出ない。しかし世の中はこちらの状態など意に介さずに、事態を進めていく……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ